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けん (数学すうがく)

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
A, B, C対象たいしょうとし、1A, 1B, 1C, f, g, gfとするけん

数学すうがくいち分野ぶんやであるけんろんにおいて中核ちゅうかくてき概念がいねんけん(けん、えい: category)は、数学すうがくてき構造こうぞうあつかうための枠組わくぐみであり、数学すうがくてき対象たいしょうをあらわす対象たいしょうとそれらのあいだ関係かんけいあらわあつまりによってあたえられる。けんはそれ自体じたいぐん類似るいじした代数だいすうてき構造こうぞうとして理解りかいすることができる。

ふたつのけんひとしいとは、それらの対象たいしょうあつまりがひとしく、かつそれら対象たいしょうあいだあつまりがひとしく、さらにそれらしゃたい結合けつごう仕方しかた相等そうとうとなることをう。けんろん目的もくてきらせば、けんがまったくあいひとしいことは非常ひじょうつよすぎる条件じょうけんであり(それよりもゆるけん同型どうけい英語えいごばんでさえつよすぎる)、けん同値どうちがしばしば考慮こうりょされる(ふたつのけん同値どうちであるとは、おおまかにえばけん相等そうとうにおいて等式とうしきあたえられる関係かんけいを、それぞれのけんにおける同型どうけいえたものとしてあたえられる)。

けんろんはじめてあらわれるのは "General Theory of Natural Equivalences"(「自然しぜん同値どうちかんする一般いっぱん理論りろん」)とだいされた論文ろんぶん (Eilenberg & Mac Lane 1945) である[1]古典こてんてきだがいまもなおひろもちいられる教科書きょうかしょとして、マクレーンの『けんろん基礎きそ』がある。

ぐん構造こうぞう
全域ぜんいきせい 結合けつごうせい 単位たんいてき 可逆かぎゃくてき
ぐん Yes Yes Yes Yes
モノイド Yes Yes Yes No
はんぐん Yes Yes No No
ループ Yes No Yes Yes
じゅんぐん Yes No No Yes
マグマ Yes No No No
ぐん英語えいごばん No Yes Yes Yes
けん No Yes Yes No


定義ていぎ

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けん定義ていぎにはいくつか同値どうちなものが存在そんざいする[2]が、よくもちいられるもののひとつを以下いかしめす。 けん C以下いかのものからなる:

  • 対象たいしょうるい ob(C)
  • 対象たいしょうあいだるい hom(C)
    • かく f ∈ hom(C) にははじめいきばれる対象たいしょう a ∈ ob(C) およびおわりいきばれる対象たいしょう b ∈ ob(C)付随ふずいして、"fa から b へのしゃである" とい、f: abあらわす。
    • a から b へのるい (hom-class; ホムるい) hom(a, b)a から b への全体ぜんたいるいう。

このとき、任意にんいさん対象たいしょう a, b, c ∈ ob(C)たいし、合成ごうせいばれるこう演算えんざん hom(a, b) × hom(b, c) → hom(a, c); (f, g) ↦ gf存在そんざいして以下いか公理こうり満足まんぞくする:

  • 結合けつごうりつ: f: ab, g: bc, h: cd ならば h ∘ (gf) = (hg) ∘ fつ。
  • 単位たんいりつ: かく対象たいしょう x ∈ ob(C)たいして x恒等こうとうしゃばれる自己じこしゃ idx = 1x: xx存在そんざいして、任意にんい f: ax および g: xbたいして 1xf = f and g ∘ 1x = gたす。

これらの公理こうりから、かく対象たいしょうたいして恒等こうとうしゃはただひと存在そんざいすることがしめせる。文献ぶんけんによってはかく対象たいしょう対応たいおうする恒等こうとうどういちして、対象たいしょう存在そんざい仮定かていしない定義ていぎ採用さいようするものもある。

記法きほうについての注意ちゅうい
  • 一般いっぱんけんあらわすのに、しばしばラテン大文字おおもじ太字ふとじ C, D, … や、ラテン大文字おおもじのカリグラフたい 𝒞, 𝒟, ℰ, … などがもちいられる。特定とくていけんは、その対象たいしょうあらわ単語たんご(の省略形しょうりゃくけい)をもちいて同様どうよう仕方しかたであらわす。たとえば集合しゅうごうけん Set, 𝒮ℯ𝓉からだけん Field, 𝒾ℯ𝓁𝒹, 位相いそう空間くうかんけん Top, 𝒯𝓅, ファイバーたばけん Bdl, 𝒹𝓁 のような具合ぐあいである。
  • けん Cるい hom(C)mor(C)arr(C) などともく。同様どうよう対象たいしょう a, b ∈ ob(C)たいするるいmor(a, b)arr(a, b) などともかれる。どのけんかんがえているかまぎらわしいときには、homC(a, b)morC(a, b) のようにけん明示めいじすることもできる。より簡便かんべん記法きほうでは、けん C対象たいしょうるい|C|あらわし、るい記号きごう濫用らんようだが Cあらわす(この場合ばあい a から b へのるいたんC(a, b)く)。
  • 合成ごうせいgf で(あるいはたん併置へいち gf で)あらわすのは写像しゃぞうとその合成ごうせい慣習かんしゅうわせたものだが、文献ぶんけんによっては「図式ずしきじゅん」で f;gfgくものもある[注釈ちゅうしゃく 1]
けんおおきさ
けん Cちいさい (small) とは、対象たいしょうるい ob(C) およびるい hom(C) がともに集合しゅうごうとなる(つまりしんるいでない)ときにい、さもなくばおおきい (large) とう。るい集合しゅうごうとならずとも、任意にんい対象たいしょう a, b ∈ ob(C) をとるごとに、るい hom(a, b)集合しゅうごうとなるならば(hom(a, b)集合しゅうごう、ホム集合しゅうごうなどとび)、そのけん局所きょくしょてきちいさい (locally small) と[3]集合しゅうごうけんなど数学すうがくにおける重要じゅうようけんおおくは、ちいさくないとしても、すくなくとも局所きょくしょてきちいさい。

文献ぶんけんによっては、局所きょくしょてきちいさいけんのみをあつかい、それをたんけん場合ばあいもある[4][5]

以下いかけんれいである。Borceux (1994, Examples 1.2.5, Examples 1.2.6)参照さんしょう

分類ぶんるい けん記号きごう 対象たいしょうるい るい 合成ごうせい おおきさ 備考びこう
具体ぐたいけん 集合しゅうごうけん Set すべての集合しゅうごう すべての写像しゃぞう 写像しゃぞう合成ごうせい おおきい
マグマのけん Mag すべてのマグマ すべてのマグマじゅん同型どうけい
はんぐんけん SemiGrp すべてのはんぐん すべてのはんぐんじゅん同型どうけい
モノイドのけん Mon すべてのモノイド すべてのモノイドじゅん同型どうけい
ぐんけん Grp すべてのぐん すべてのぐんじゅん同型どうけい
アーベルぐんけん Ab すべてのアーベルぐん ぐんけん充満じゅうまん部分ぶぶんけん
Z-ぐんけんおなじもの
なずらえたまきけん Rng すべてのなずらえたまき すべてのなずらえかんじゅん同型どうけい
たまきけん Ring すべての単位たんいてきたまき すべての単位たんいてきたまきじゅん同型どうけい
ぐんけん R-Mod すべてのR-ぐん すべてのR-ぐんじゅん同型どうけい R任意にんい固定こていしたたまき
かわたまきならひだり/みぎ/両側りょうがわぐんけんかんが
ベクトル空間くうかんけん K-Vect すべての K-ベクトル空間くうかん すべての K-線型せんけい写像しゃぞう K任意にんい固定こていしたかわからだ
K-ぐんけんおなじもの
表現ひょうげんけん G-Mod すべての G-アーベルぐん すべての G-どうへん写像しゃぞう英語えいごばん G固定こていしたぐん
Z[G]-ぐんけんおなじもの
線型せんけい表現ひょうげんけん G-VectK すべての (K-係数けいすう) G-線型せんけい空間くうかん すべての G-どうへん線型せんけい写像しゃぞう G固定こていしたぐん
K[G]-ぐんけんおなじもの
射影しゃえい表現ひょうげんけん G-ProjK すべての (K-係数けいすう) G-射影しゃえい空間くうかん すべての G-どうへん射影しゃえい変換へんかん G固定こていしたぐん
多元たげんたまきけん K-Alg すべての K-多元たげんたまき すべての K-多元たげんたまきじゅん同型どうけい K固定こていしたかわかんまたはかわからだ
結合けつごう多元たげんたまきけん分配ぶんぱい多元たげんたまきけん充満じゅうまん部分ぶぶんけん
かわ多元たげんたまきけんは(かわとはかぎらない)多元たげんたまきけん充満じゅうまん部分ぶぶんけん
位相いそう空間くうかんけん Top すべての位相いそう空間くうかん すべての連続れんぞく写像しゃぞう
一様いちよう空間くうかんけん Uni すべての一様いちよう空間くうかん すべての一様いちよう連続れんぞく写像しゃぞう
距離きょり空間くうかんけん Met すべての距離きょり空間くうかん すべての縮小しゅくしょう写像しゃぞう べつ種類しゅるい写像しゃぞうかんが
多様たようたいけん Manp すべての Cp-きゅう多様たようたい すべての Cp-きゅう写像しゃぞう
ファイバーたばけん Bdl すべてのファイバーたば すべてのたば写像しゃぞう
ぜん順序じゅんじょ集合しゅうごうけん Ord すべてのぜん順序じゅんじょ集合しゅうごう すべての単調たんちょう写像しゃぞう
関係かんけいけん Rel すべての集合しゅうごう すべてのこう関係かんけい 関係かんけい合成ごうせい おおきい 具体ぐたいけん同様どうよう対象たいしょう制限せいげんして様々さまざま部分ぶぶんけんかんが
離散りさんけん 離散りさんけん C るい C (任意にんい) 恒等こうとうしゃのみ 場合ばあいによる
I うえ離散りさんけん I 集合しゅうごう I ちいさい
ぜん順序じゅんじょ集合しゅうごう英語えいごばん (P, ≤) 集合しゅうごう P Hom(x, y) ≔ {xy} (if xy),
Hom(x, y) ≔ ∅ (otherwise)
推移すいいりつ ちいさい 反射はんしゃりつ単位たんいりつ相当そうとう
はん順序じゅんじょ, ぜん順序じゅんじょ集合しゅうごう, 順序じゅんじょすうなどでもおな
同値どうち関係かんけい R集合しゅうごう (X, R) 集合しゅうごう X Hom(x, y) ≔ {xy} (if x R y),
Hom(x, y) ≔ ∅ (otherwise)
RX うえ固定こていした同値どうち関係かんけい
たん対象たいしょうけん モノイド M * (任意にんい) M あたえられた演算えんざん ちいさい
ぐん G G
ぐん G 任意にんい同型どうけいしゃ
有向ゆうこうグラフ (V, E) V E(ループがあってもよい) みち連接れんせつ ちいさい 自由じゆうけん英語えいごばんどういちできる
えびら参照さんしょう
2-けん ちいさいけんけん Cat すべてのさいけん すべてのはこしゅ はこしゅ合成ごうせい おおきい 自然しぜん変換へんかんかんがえると2-けん英語えいごばんれいとなる
はこしゅけん Func(A, B) けん A, B あいだのすべてのはこしゅ はこ手間てまのすべての自然しぜん変換へんかん 自然しぜん変換へんかん垂直すいちょく合成ごうせい おおきい
なずらえけん けんけん CAT すべてのけん すべてのはこしゅ はこしゅ合成ごうせい 非常ひじょうおおきい 実際じっさいにはけんではない

しょ定義ていぎ

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以下いかではとくことわらないかぎCけんXY をその対象たいしょう、そのあいだƒ : XY とする。Weibel (1994, A.1 Categories)参照さんしょう

けん構成こうせいほう
  • 双対そうついけん Cop - obj(Cop) = obj(C), HomCop(X, Y) = HomC(Y, X) であるけん Cop
  • 部分ぶぶんけん D - obj(D) ⊂ obj(C) であって、任意にんい対象たいしょう X, YDたいして HomD(X, Y) ⊂ HomC(X, Y) となるけん D
  • 充満じゅうまん部分ぶぶんけん D - けん C部分ぶぶんけんであって、任意にんい対象たいしょう X, YDたいして HomD(X, Y) = HomC(X, Y) となるけん D
対象たいしょう種類しゅるい
種類しゅるい
  • たん ƒ : XY - 任意にんい対象たいしょう Z g, h : ZXたいして ghƒgƒh である ƒ
  • ぜん ƒ : XY - 任意にんい対象たいしょう Z g, h : YZたいして gh である ƒ
  • ぜんたんしゃ ƒ : XY - たんかつぜんしゃである ƒ
  • 同型どうけいしゃ ƒ : XY - = idX かつ ƒg = idY となる g : YX がある ƒ
  • ぎゃく ƒ−1 : YX - 同型どうけいしゃ定義ていぎにおける g
以下いかではけん Cれい対象たいしょう0をもつとする。
  • れいしゃ 0 : XY - X → 0 と 0Y合成ごうせい
  • かく i : WX - より正確せいかくには、 f : XYかくとは ƒi = 0 であって、ƒu = 0 をたす任意にんい u : UXたいして u = i v となる v : UW一意いちい存在そんざいするしゃ i
  • かく p : YZ - より正確せいかくには、 f : XYかくとは = 0 であって、 = 0 をたす任意にんい u : YUたいして u = v p となる v : ZU一意いちい存在そんざいするしゃ p

せきしゅ

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2 つのけん C, D があったとき、

  • C対象たいしょう XたいD対象たいしょう F(X) をあたえる
  • f : XYたい F(f) : F(X) → F(Y) をあたえる

という対応たいおう F合成ごうせい恒等こうとうしゃたもつものは(きょうへん (covariant))せきしゅ F とよばれる。一方いっぽうたような対応たいおう定義ていぎいき定義ていぎいきとをえ、合成ごうせい順番じゅんばん反対はんたいにする対応たいおうC から D へのはんへんせきしゅ (contravariant functor) とよばれる。C から D へのはんへんせきしゅかんがえるということは C双対そうついけん Cop から D へのきょうへんせきしゅかんがえるということとおなじになる。

自然しぜん変換へんかん

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自然しぜん変換へんかん (natural transformation) は 2 つのせき手間てま関係かんけいである。せきしゅはしばしば「自然しぜん構成こうせい」を記述きじゅつし、そして自然しぜん変換へんかんはそのような 2 つの構成こうせいあいだの「自然しぜんじゅん同型どうけい」を記述きじゅつする。ときに 2 つのまったちが構成こうせいが「同様どうようの」結果けっかをもたらすことがある。これは、2 つのせき手間てま自然しぜん同型どうけい (natural isomorphism) にて表現ひょうげんされる。 2 つのせきしゅ F, Gたいし、F から G への自然しぜん変換へんかん存在そんざいして ηいーたxCふくまれるすべての対象たいしょう xたいして同型どうけいしゃとなるとき、この自然しぜん変換へんかん自然しぜん同型どうけい (naturally isomorphic) であるという。

けん種類しゅるい

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高次こうじけん

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けんあたえられているとき、そこからより複雑ふくざつ高次こうじけんかんがえることができる。簡潔かんけつには、2 つの対象たいしょうあいだを「一方いっぽう対象たいしょうからもう一方いっぽうへの対応たいおう関係かんけい」とみなすならば、これを高次こうじけんにおいて「高次こうじ対応たいおう関係かんけい」を考慮こうりょすることで、より有益ゆうえき一般いっぱん可能かのうとなる。

たとえば、「次元じげんけん」であるそうけん英語えいごばんbicategory) もしくは 2-けん英語えいごばん (2-category)[注釈ちゅうしゃく 2] は「あいだ」、つまり、あるべつ変換へんかんする対応たいおう関係かんけいによってられるけんである。これらの「2-」(2-cell) は水平すいへい垂直すいちょくに「合成ごうせい」することができ、かかる 2 つの合成ごうせいそくにおいては 2 次元じげんの「交換こうかんそく」(exchange law) がつ。このもっと標準ひょうじゅんてきれいCat、つまりすべての(ちいさな)けんからる 2-けんであり、このれいにおいて、にはせきしゅが、2-には、せきしゅ自然しぜん変換へんかんてはまる。もう 1 つの基本きほんてきれいとしては、対象たいしょう 1 つからる 2-けんである—これは(狭義きょうぎ)モノイドけんである。

この手法しゅほう任意にんい自然しぜんすう n拡張かくちょうし、n-けんn-categoryn つぎけん)を定義ていぎすることができる。さらに順序じゅんじょすう ωおめがたいする ωおめが-categoryばれる高次こうじけんもある。このアイデアにかんする堅苦かたくるしくない入門にゅうもん文献ぶんけんとしてJohn Baez: The Tale of n-categoriesげられる。

空間くうかんけんあらわ

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(O, ≤) が順序じゅんじょ集合しゅうごうのとき、これをつぎのようなけん CO同一どういつすることができる:obj(CO) = O とし、p, q ∈ O = obj(CO) について pq のとき、およびそのときにかぎp から q へのがただ 1 つ存在そんざいする、として CO におけるさだめる。ここで順序じゅんじょ関係かんけい推移すいいりつ合成ごうせいに、反射はんしゃりつ恒等こうとうしゃ対応たいおうしている。とく位相いそう空間くうかん Xたいしてそのひらけ集合しゅうごうけい O(X) をけんなすことができる。

Gぐんのとき、対象たいしょう Y ただ 1 つからなり、Hom (Y, Y) ≡ G であるようなけんG同一どういつすることができる。また、位相いそう空間くうかん基本きほんぐんや「被覆ひふく」のホロノミーぐんなど、様々さまざまぐんによる幾何きかがくてき情報じょうほう定式ていしきられている。

これらは様々さまざま種類しゅるい数学すうがくてき対象たいしょうけんによっていいかえていることになる。そうトポス概念がいねんによってこれらを共通きょうつう文脈ぶんみゃくなかにおくことが可能かのうになる。

歴史れきし

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1945ねんサミュエル・アイレンベルグソーンダース・マックレーンによる、代数だいすうてき位相いそう幾何きかがくにおいて直感ちょっかんてきわせてき定義ていぎされていたホモロジーコホモロジー公理こうりする研究けんきゅうなかけんせきしゅおよび自然しぜん変換へんかん実際じっさい定義ていぎされた。アイレンベルグとマックレーンの目的もくてきは、位相いそう空間くうかん理論りろんかわぐん理論りろんのようなことなる数学すうがくてき体系たいけいあいだ自然しぜん変換へんかん理解りかいすることだったが、そのためにはせきしゅ概念がいねん必要ひつようであり、せき定義ていぎするためにはけん概念がいねん必要ひつようだったのである。

そのアレクサンドル・グロタンディークらによるホモロジー・コホモロジー理論りろんけんろんもとづいて定式ていしきするこころみのなかで、アーベルけん三角さんかくけんなど、せき計算けいさんするうえで期待きたいされる重要じゅうよう性質せいしつクラスけん公理こうりされていった。一方いっぽうガロア理論りろんけんろんつうじ、ぐん作用さようする集合しゅうごうけん通常つうじょう位相いそう空間くうかんけんろん枠組わくぐみで包括ほうかつてきにとらえるようなトポスの概念がいねんられた。

関連かんれん項目こうもく

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ちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ この目的もくてきでz記法きほうふといセミコロン (U+2A1F) が用意よういされている
  2. ^ これら語法ごほうにはやや注意ちゅうい必要ひつようである。通常つうじょうそうけんには定義ていぎあらわれる等式とうしきてき公理こうりにおいて、等号とうごうわりに同型どうけいゆるめた条件じょうけんす。厳密げんみつ等式とうしきとしてつものは「厳密げんみつな 2-けん英語えいごばん」とう。2-けんがどちらの意味いみであるかは文脈ぶんみゃくによる。より高次こうじけんではさらに状況じょうきょう面倒めんどうである(どの等号とうごう同型どうけいゆるめるかで定義ていぎかず組合くみあわ爆発ばくはつする)。[1][2][3] などを参照さんしょう

出典しゅってん

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  1. ^ a b Eilenberg, S.; Mac Lane, S. (sep. 1945), “General Theory of Natural Equivalences”, Transactions of The American Mathematical Society 58 (2): 231-294, doi:10.2307/1990284 
  2. ^ Barr & Wells 2005, Chapter 1.
  3. ^ Awodey 2006, Definition 1.12.
  4. ^ Weibel 1994, Definition A.1.1.
  5. ^ Borceux 1994, Definition 1.2.1.

参考さんこう文献ぶんけん

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  • Awodey, Steve (2006). Category theory. Oxford University Press. ISBN 0-19-856861-4. Zbl 1100.18001. https://books.google.co.jp/books?id=IK_sIDI2TCwC 
  • Barr, Michael; Wells, Charles (2005), Toposes, Triples and Theories, Reprints in Theory and Applications of Categories, 12 (revised ed.), MR2178101, http://www.tac.mta.ca/tac/reprints/articles/12/tr12abs.html .
  • Borceux, Francis (1994). Handbook of categorical algebra. 1. Basic category theory.. Cambridge University Press. ISBN 0-521-44178-1. Zbl 0803.18001. https://books.google.co.jp/books?id=YfzImoopB-IC 
  • Weibel, Charles A. (1994). An introduction to homological algebra. Cambridge University Press. ISBN 0-521-43500-5. Zbl 0797.18001. https://books.google.co.jp/books?id=flm-dBXfZ_gC 

外部がいぶリンク

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