ロバート・レコード による The Whetstone of Witte (1557) に記 しる されている、最 もっと も古 ふる い方程式 ほうていしき 。14x + 15 = 71 を表 あらわ している。
数学 すうがく において方程式 ほうていしき (ほうていしき、英 えい : equation )とは、未知数 みちすう である変数 へんすう を含 ふく む等式 とうしき である[ 注 ちゅう 1] 。
方程式 ほうていしき を成 な りたせる未知数 みちすう の値 ね を方程式 ほうていしき の解 かい (かい、英 えい : solution )という[ 注 ちゅう 2] [ 注 ちゅう 3] 。解 かい を求 もと めることを方程式 ほうていしき を解 と く (とく、英 えい : solve)という。
方程式 ほうていしき には様々 さまざま な種類 しゅるい があり、数学 すうがく のすべての分野 ぶんや において目 め にする。方程式 ほうていしき を調 しら べるために使 つか われる方法 ほうほう は方程式 ほうていしき の種類 しゅるい に応 おう じて異 こと なる。
代数 だいすう 学 がく は特 とく に2種類 しゅるい の方程式 ほうていしき を研究 けんきゅう する:多項式 たこうしき の方程式 ほうていしき と、中 なか でも一 いち 次 じ 方程式 ほうていしき である。多項式 たこうしき 方程式 ほうていしき は、P をある多項式 たこうしき として、P (X ) = 0 の形 かたち である。線型 せんけい 方程式 ほうていしき は、a を線型 せんけい 写像 しゃぞう 、b をベクトル として、a (x ) + b = 0 の形 かたち である。それらを解 と くために、線型 せんけい 代数 だいすう 学 がく や解析 かいせき 学 がく から来 く る、アルゴリズム 的 てき あるいは幾何 きか 学 がく 的 てき 手法 しゅほう を用 もち いる。変数 へんすう の動 うご く範囲 はんい を変 か えることにより方程式 ほうていしき の性質 せいしつ が大幅 おおはば に変 か わり得 え る。代数 だいすう 学 がく はディオファントス方程式 ほうていしき 、すなわち係数 けいすう と解 かい が整数 せいすう の方程式 ほうていしき も研究 けんきゅう する。用 もち いられる手法 しゅほう は異 こと なり、本質 ほんしつ 的 てき に数 かず 論 ろん のものである。これらの方程式 ほうていしき は一般 いっぱん に難 むずか しい。しばしば解 かい の存在 そんざい あるいは非 ひ 存在 そんざい を決定 けってい し、存在 そんざい するときはその個数 こすう を調 しら べるだけである。
幾何 きか 学 がく は図形 ずけい を記述 きじゅつ するために方程式 ほうていしき を利用 りよう する。目的 もくてき はやはり前 まえ の場合 ばあい とは異 こと なり、方程式 ほうていしき は幾何 きか 学 がく 的 てき 性質 せいしつ を調 しら べるために利用 りよう される。この文脈 ぶんみゃく では方程式 ほうていしき の種類 しゅるい に2つの大 おお きなものがある。直交 ちょっこう 座標 ざひょう 系 けい における方程式 ほうていしき とパラメトリック方程式 ほうていしき である。
解析 かいせき 学 がく は f (x ) = 0 の形 かたち の方程式 ほうていしき を研究 けんきゅう する。ここで f は、連続 れんぞく 、微分 びぶん 可能 かのう 、収縮 しゅうしゅく 、といったある種 しゅ の性質 せいしつ を持 も った関数 かんすう である。解析 かいせき 学 がく の手法 しゅほう では方程式 ほうていしき の解 かい に収束 しゅうそく する列 れつ を構成 こうせい できる。目的 もくてき はできるだけ正確 せいかく に解 かい を求 もと められるようにすることである。
微分 びぶん 方程式 ほうていしき は1つ以上 いじょう の関数 かんすう とその導 しるべ 関数 かんすう を含 ふく む方程式 ほうていしき である。導 しるべ 関数 かんすう を含 ふく まない関数 かんすう の表示 ひょうじ を見 み つけることによって解 と かれる。微分 びぶん 方程式 ほうていしき は連続 れんぞく 的 てき に変化 へんか し得 え る対象 たいしょう のダイナミクスを調 しら べるためにしばしば利用 りよう される。微分 びぶん 方程式 ほうていしき によって特徴 とくちょう づけられる連続 れんぞく 的 てき な数理 すうり モデル は、物理 ぶつり 学 がく 、化学 かがく 、生物 せいぶつ 学 がく 、経済 けいざい 学 がく など様々 さまざま な分野 ぶんや において、それぞれの対象 たいしょう に対 たい し用 もち いられる。
力学 りきがく 系 けい は、解 かい が列 れつ あるいは1変数 へんすう あるいは多 た 変数 へんすう の関数 かんすう であるような方程式 ほうていしき によって定義 ていぎ される。中心 ちゅうしん 的 てき な問題 もんだい が2つある。始 はじめ 状態 じょうたい (しじょうたい、英 えい : initial state )と漸近 ぜんきん 的 てき 挙動 きょどう (ぜんきんてききょどう、英 えい : asymptotic behaviour )である。各 かく 初期 しょき 条件 じょうけん 、例 たと えば列 れつ あるいは関数 かんすう の 0 での値 ね 、に対 たい し方程式 ほうていしき は一意 いちい な解 かい を持 も つ。大抵 たいてい の系 けい について、始 はじめ 状態 じょうたい を少 すこ しだけ変更 へんこう した場合 ばあい 、解 かい もまた僅 わず かだけ変化 へんか することが期待 きたい され、実際 じっさい そのように振 ふ る舞 ま う。しかしすべての場合 ばあい でそうというわけではなく、ある始 はじめ 状態 じょうたい の近傍 きんぼう では解 かい が著 いちじる しく異 こと なることがある。このような初期 しょき 条件 じょうけん に関 かん する鋭敏 えいびん 性 せい は第 だい 一 いち の問題 もんだい の目的 もくてき である。解 かい の極限 きょくげん でのあるいは漸近 ぜんきん 的 まと 振 ぶ る舞 ま いは変数 へんすう が無限 むげん 大 だい に行 い くときの解 かい の形 かたち に対応 たいおう し、この振 ふ る舞 ま いが第 だい 二 に の問題 もんだい の目的 もくてき である。解 かい が発散 はっさん しなければ、次 つぎ のいずれかとなる。1つの値 ね に近 ちか づくか、あるいは、循環 じゅんかん 的 てき な振 ふ る舞 ま い(周期 しゅうき 関数 かんすう か、値 ね が同 おな じ有限 ゆうげん 集合 しゅうごう を同 おな じ回数 かいすう ずっと動 うご き続 つづ ける列 れつ )に近 ちか づくか、あるいは、解 かい が定義 ていぎ により決定的 けっていてき であったとしてもランダムに進展 しんてん するように見 み えるカオス な振 ふ る舞 ま いをする。
方程式 ほうていしき の最 もっと も典型 てんけい 的 てき な形 かたち は未知数 みちすう (unknown ) と呼 よ ばれる項 こう を含 ふく んだ等式 とうしき である。方程式 ほうていしき における未知数 みちすう はしばしば x などの特定 とくてい の慣習 かんしゅう 的 てき な文字 もじ によって表 あらわ され、「様々 さまざま に値 ね を変 か える数 かず である」という観点 かんてん から変数 へんすう (variable ) と呼 よ ばれたり、あるいは「特定 とくてい の値 ね を持 も つわけではない」という観点 かんてん から不定 ふてい 元 もと (indeterminate, indeterminant ) と呼 よ ばれることもある。
方程式 ほうていしき に含 ふく まれる変数 へんすう に対 たい して、変 へん 域 いき と呼 よ ばれるある特定 とくてい の範囲 はんい の値 ね で変数 へんすう を置 お き換 か える操作 そうさ を考 かんが えることができるが、これは代入 だいにゅう と呼 よ ばれる。各 かく 変数 へんすう に代入 だいにゅう されるべきものは、数値 すうち ・関数 かんすう ・式 しき など様々 さまざま であり、それぞれの変数 へんすう がどのような変 へん 域 いき を持 も つかは文脈 ぶんみゃく に依存 いぞん している。
未知数 みちすう に値 ね の代入 だいにゅう が行 おこな われて初 はじ めて、方程式 ほうていしき が等式 とうしき として成立 せいりつ するか否 ひ かの評価 ひょうか が行 おこな われる。そして、与 あた えられた方程式 ほうていしき を等式 とうしき として成立 せいりつ させるような未知数 みちすう の値 ね を方程式 ほうていしき の解 かい と呼 よ び、方程式 ほうていしき の解 かい を全 すべ て求 もと めることを方程式 ほうていしき を解 と く と言 い う[ 注 ちゅう 4] 。ふつう方程式 ほうていしき の解 かい は変 へん 域 いき のとりうる任意 にんい の値 ね ではなく、何 なん らかの特定 とくてい の値 ね に制限 せいげん を受 う け、時 とき には存在 そんざい しない場合 ばあい すらありうる。
実数 じっすう (または単位 たんい 的 てき 環 たまき )全体 ぜんたい を変 へん 域 いき とする変数 へんすう x に関 かん する等式 とうしき
(
x
+
1
)
2
=
x
2
+
2
x
+
1
{\displaystyle \left(x+1\right)^{2}=x^{2}+2x+1}
のような、変数 へんすう にどんな値 ね を代入 だいにゅう しても成 な り立 た つ方程式 ほうていしき はその変 へん 域 いき 上 じょう の恒等 こうとう 式 しき と呼 よ ばれる。
一般 いっぱん には1つの方程式 ほうていしき に変数 へんすう が1つであるとは限 かぎ らない。代入 だいにゅう の際 さい に同 おな じ文字 もじ は同 おな じ値 ち をとるという約束 やくそく の下 した で変数 へんすう が複数 ふくすう 存在 そんざい する方程式 ほうていしき を多元 たげん 方程式 ほうていしき あるいは多 た 変数 へんすう 方程式 ほうていしき (multiple variable equation) などと言 い う。あるいはさらに、方程式 ほうていしき として与 あた えられる等式 とうしき が1つである必要 ひつよう はない。方程式 ほうていしき が1つではなく複数 ふくすう ある時 とき 、やはり同 おな じ文字 もじ は同時 どうじ に同 おな じ値 ち をとるという前提 ぜんてい が成 な り立 た つならば、方程式 ほうていしき は系 けい をなす や連立 れんりつ する などと言 い い、その複数 ふくすう 本 ほん の方程式 ほうていしき を一 いち 括 くく りにして方程式 ほうていしき 系 けい (ほうていしきけい、system of equations )もしくは連立 れんりつ 方程式 ほうていしき (れんりつほうていしき、simultaneous equation )などと呼 よ ぶ。
与 あた えられた等式 とうしき がどのようなものであるかということによって、方程式 ほうていしき には幾 いく つかの分類 ぶんるい がある。以下 いか に代表 だいひょう 的 てき な方程式 ほうていしき の種類 しゅるい を挙 あ げる。
両辺 りょうへん を多項式 たこうしき (polynomial ) とする等式 とうしき によって表 あらわ された方程式 ほうていしき を代数 だいすう 方程式 ほうていしき と言 い う。多項式 たこうしき p (·) によって与 あた えられる変数 へんすう の組 くみ (x, y, z,... ) を未知数 みちすう とする方程式 ほうていしき [ 注 ちゅう 5]
p
(
x
,
y
,
z
,
…
)
=
0
{\displaystyle p(x,y,z,\dots )=0}
の解 かい (x, y, z,... ) のことを p の根 ね (root ) または零 れい 点 てん (zero ) とも言 い う。代数 だいすう 方程式 ほうていしき はさらに、一 いち 次 じ 方程式 ほうていしき 、二 に 次 じ 方程式 ほうていしき といったように、多項式 たこうしき の次数 じすう (degree ) d により d 次 じ 方程式 ほうていしき (d -ic equation,[ 注 ちゅう 6] d th degree equation ) に分類 ぶんるい される。
四 よん 次 じ 以下 いか の一変 いっぺん 数 すう 代 だい 数 すう 方程式 ほうていしき は多項式 たこうしき の係数 けいすう に関 かん する四則 しそく 演算 えんざん と根号 こんごう を用 もち いて解 かい を表 あらわ すことができる。代数 だいすう 方程式 ほうていしき の解 かい のようすを調 しら べる研究 けんきゅう は、群 ぐん の概念 がいねん の導入 どうにゅう など、ガロア理論 りろん を始 はじ めとする19世紀 せいき の代数 だいすう 学 がく の発展 はってん の大 おお きな原動力 げんどうりょく の1つとなった。
歴史 れきし 上 じょう の数学 すうがく の発展 はってん において様々 さまざま な代数 だいすう 方程式 ほうていしき の解 かい を求 もと める試 こころ みはそれまでになかった新 あたら しい数 かず の体系 たいけい を生 う み出 だ してきている。その最 もっと も古 ふる い例 れい として、古代 こだい ギリシアにおける無理 むり 数 すう の発見 はっけん をもたらした、正方形 せいほうけい の辺 あたり と対角線 たいかくせん の比 ひ x に関 かん する方程式 ほうていしき [ 注 ちゅう 7]
x
2
−
2
=
0
{\displaystyle x^{2}-2=0}
が挙 あ げられる。さらに、三 さん 次 じ 方程式 ほうていしき
x
3
+
p
x
+
q
=
0
{\displaystyle x^{3}+px+q=0}
の実数 じっすう 解 かい 表示 ひょうじ を与 あた えるカルダノの公式 こうしき
x
=
−
q
2
+
(
q
2
)
2
+
(
p
3
)
3
3
+
−
q
2
−
(
q
2
)
2
+
(
p
3
)
3
3
{\displaystyle x={\sqrt[{3}]{-{\frac {q}{2}}+{\sqrt {\left({\frac {q}{2}}\right)^{2}+\left({\frac {p}{3}}\right)^{3}}}}}+{\sqrt[{3}]{-{\frac {q}{2}}-{\sqrt {\left({\frac {q}{2}}\right)^{2}+\left({\frac {p}{3}}\right)^{3}}}}}}
は複素数 ふくそすう の発見 はっけん につながった。また、量子力学 りょうしりきがく における粒子 りゅうし の位置 いち と運動 うんどう 量 りょう の間 あいだ に成 な り立 た つ正 せい 準 じゅん 交換 こうかん 関係 かんけい
p
q
−
q
p
=
i
ℏ
{\displaystyle pq-qp=i\hbar }
は系 けい の状態 じょうたい を通常 つうじょう の数 かず (C 数 すう 、classical number )の組 くみ でなく作用素 さようそ で与 あた える範 はん 例 れい をもたらした。
数 かず の等式 とうしき ではなく関数 かんすう の等式 とうしき で与 あた えられる方程式 ほうていしき を関数 かんすう 方程式 ほうていしき と呼 よ ぶ。
F
(
x
,
y
,
z
,
…
;
f
1
(
x
,
y
,
z
,
…
)
,
f
2
(
x
,
y
,
z
,
…
)
,
…
)
=
0
{\displaystyle F\!\left(x,y,z,\dots ;f_{1}(x,y,z,\dots ),f_{2}(x,y,z,\dots ),\dots \right)=0}
関数 かんすう 方程式 ほうていしき によって決定 けってい される関数 かんすう を未知 みち 関数 かんすう (unknown function ) と呼 よ び、方程式 ほうていしき 中 ちゅう のそれ以外 いがい の関数 かんすう は既知 きち 関数 かんすう (known function ) として区別 くべつ される。特 とく に関数 かんすう とその導 しるべ 関数 かんすう に対 たい して関係 かんけい 式 しき を与 あた えることで得 え られる微分 びぶん 方程式 ほうていしき は、物理 ぶつり 学 がく の研究 けんきゅう から興味深 きょうみぶか い実例 じつれい を与 あた えられ、逆 ぎゃく にその研究 けんきゅう 成果 せいか が物理 ぶつり 学 がく に寄与 きよ するなど、物理 ぶつり 学 がく との関連 かんれん が深 ふか い。一方 いっぽう 純粋 じゅんすい 数学 すうがく 的 てき には層 そう の理論 りろん などと結 むす びついて興味深 きょうみぶか い結果 けっか が得 え られている。微分 びぶん 方程式 ほうていしき はさらに常微分 じょうびぶん 方程式 ほうていしき と偏 へん 微分 びぶん 方程式 ほうていしき に別 わ けられる。
連続 れんぞく 的 てき な変数 へんすう に関 かん する微分 びぶん の近似 きんじ として、離散 りさん 系 けい における差分 さぶん によって定式 ていしき 化 か された差分 さぶん 方程式 ほうていしき の考察 こうさつ がしばしば有用 ゆうよう である。微分 びぶん 方程式 ほうていしき と差分 さぶん 方程式 ほうていしき では様々 さまざま な類似 るいじ 概念 がいねん や類似 るいじ 手法 しゅほう が並行 へいこう して通用 つうよう するため、同 おな じ事象 じしょう の連続 れんぞく 的 てき な側面 そくめん と離散 りさん 的 てき な側面 そくめん とを表 あらわ していると考 かんが えることもできる。
また、方程式 ほうていしき の形 かたち のみならず「重 かさ ね合 あ わせの原理 げんり が働 はたら く」か否 ひ かという、解 かい の状態 じょうたい についての分類 ぶんるい が考 かんが えられる。解 かい の重 かさ ね合 あ わせが考 かんが えられる方程式 ほうていしき を線型 せんけい 方程式 ほうていしき 、そうでないものを非 ひ 線型 せんけい 方程式 ほうていしき と呼 よ ぶ。解 かい の重 かさ ね合 あ わせはベクトル空間 くうかん の概念 がいねん と結 むす びつき、線型 せんけい 性 せい という観点 かんてん から線型 せんけい 代数 だいすう 学 がく の様々 さまざま な概念 がいねん や手法 しゅほう を適用 てきよう することが可能 かのう になる。とくに微分 びぶん 方程式 ほうていしき を代数 だいすう 的 てき に取 と り扱 あつか うという立場 たちば においては線型 せんけい 微分 びぶん 方程式 ほうていしき は最 もっと も基本 きほん 的 てき な対象 たいしょう となる。
重要 じゅうよう な数学 すうがく 的 てき 概念 がいねん の導入 どうにゅう ・発展 はってん をもたらした関数 かんすう 方程式 ほうていしき に、熱 ねつ 方程式 ほうていしき や超 ちょう 幾何 きか 関数 かんすう の微分 びぶん 方程式 ほうていしき 、可 か 積分 せきぶん 系 けい に対 たい するKdV方程式 ほうていしき ・KZ方程式 ほうていしき が挙 あ げられる。
関数 かんすう 方程式 ほうていしき の解 かい の種類 しゅるい [ 編集 へんしゅう ]
微分 びぶん 方程式 ほうていしき や差分 さぶん 方程式 ほうていしき の解 かい は、一般 いっぱん 解 かい と特異 とくい 解 かい とに分類 ぶんるい されることがある。
一般 いっぱん 解 かい
微分 びぶん 方程式 ほうていしき や差分 さぶん 方程式 ほうていしき の解 かい の多 おお くは、積分 せきぶん 定数 ていすう などの任意 にんい 定数 ていすう や、任意 にんい 関数 かんすう を含 ふく む形 かたち で記述 きじゅつ されることが多 おお い。例 たと えば、n 階 かい の常微分 じょうびぶん 方程式 ほうていしき であれば n 個 こ の積分 せきぶん 定数 ていすう を持 も つ。このように、任意 にんい 定数 ていすう や任意 にんい 関数 かんすう を含 ふく む形 かたち で書 か かれる解 かい のことを 一般 いっぱん 解 かい (general solution ) と言 い う。また、一般 いっぱん 解 かい に含 ふく まれる個々 ここ の解 かい のことを特殊 とくしゅ 解 かい (particular solution ) あるいは特 とく 解 かい と言 い う。一般 いっぱん 解 かい に含 ふく まれる任意 にんい 定数 ていすう や、任意 にんい 関数 かんすう に特定 とくてい の値 ね や関数 かんすう を与 あた えることによって得 え られる解 かい は全 すべ て特殊 とくしゅ 解 かい である。一般 いっぱん 解 かい が任意 にんい 定数 ていすう を係数 けいすう とする関数 かんすう の線型 せんけい 結合 けつごう で表 あらわ される場合 ばあい 、この既知 きち の関数 かんすう の組 くみ を基本 きほん 解 かい 系 けい と呼 よ び、その要素 ようそ を基本 きほん 解 かい (elementary solution ) と言 い う(基本 きほん 解 かい 系 けい を単 たん に基本 きほん 解 かい と呼 よ ぶこともある)。
特異 とくい 解 かい
一般 いっぱん 解 かい はその名前 なまえ から「方程式 ほうていしき の解 かい のすべてを表現 ひょうげん したもの 」と誤解 ごかい されることが多 おお いが、一般 いっぱん 解 かい だけでは表現 ひょうげん できない解 かい が存在 そんざい することがある。この一般 いっぱん 解 かい で表 あらわ されない解 かい を特異 とくい 解 かい (singular solution ) と言 い う。
有名 ゆうめい な例 れい としては、クレローの方程式 ほうていしき
y
=
x
⋅
d
y
d
x
−
(
d
y
d
x
)
2
{\displaystyle y=x\cdot {\frac {dy}{dx}}-\left({\frac {dy}{dx}}\right)^{2}}
は、一般 いっぱん 解 かい
y
=
C
x
−
C
2
{\displaystyle y=Cx-C^{2}}
の他 ほか に特異 とくい 解 かい
y
=
x
2
4
{\displaystyle y={\frac {x^{2}}{4}}}
を持 も つ。
自然 しぜん 科学 かがく が取 と り扱 あつか う様々 さまざま な量 りょう の間 あいだ に成 な り立 た つ関係 かんけい は方程式 ほうていしき として記述 きじゅつ されている。とくに17世紀 せいき のガリレイ やケプラー 以降 いこう の物理 ぶつり 学 がく における種々 しゅじゅ の基本 きほん 的 てき な法則 ほうそく はふつう数学 すうがく 的 てき な方程式 ほうていしき によって表 あらわ されてきた。また、化学 かがく における様々 さまざま な媒質 ばいしつ の平衡 へいこう 状態 じょうたい や生物 せいぶつ 学 がく における大 だい 規模 きぼ な個体 こたい 群 ぐん における個体 こたい 数 すう の変移 へんい に関 かん する種々 しゅじゅ の法則 ほうそく も数学 すうがく 的 てき な方程式 ほうていしき によって表 あらわ されている。
俗語 ぞくご として諸 しょ 問題 もんだい を解決 かいけつ する時 とき に最 もっと も適切 てきせつ な方法 ほうほう という意味 いみ に転用 てんよう して使 つか われることもある。例 れい としては「恋愛 れんあい の方程式 ほうていしき 」、勝利 しょうり の方程式 ほうていしき などがあり、スポーツ新聞 しんぶん や読 よ み物 もの に分類 ぶんるい されるような書籍 しょせき 、インターネット上 じょう の一般 いっぱん サイトなど、さして形式 けいしき 張 は らない場 ば ではしばしば見受 みう けられる。この意味 いみ では「公式 こうしき 」も同様 どうよう に使 つか われる。
ただし、「公式 こうしき 」の場合 ばあい は、俗称 ぞくしょう と一般 いっぱん 的 てき な用語 ようご の両方 りょうほう とも解決 かいけつ 策 さく である。しかし、「方程式 ほうていしき 」の場合 ばあい は俗称 ぞくしょう では解決 かいけつ 策 さく であるが、一般 いっぱん 的 てき には本 ほん 項 こう で示 しめ す通 とお り解決 かいけつ していない問題 もんだい を含 ふく む等号 とうごう で結 むす んだ単 たん なる式 しき のことである。
^ "= " という記号 きごう はロバート・レコード (Robert Recorde, 1510–1558) によって発明 はつめい された。同 おな じ長 なが さの平行 へいこう な直線 ちょくせん よりも等 ひとし しかり得 え るものは存在 そんざい しないと考 かんが えた。
^ 関数 かんすう を最小 さいしょう 化 か する変数 へんすう の値 ね は「最小 さいしょう 解 かい 」と呼 よ ばれる。
^ 解 かい の近似 きんじ と見 み なされる変数 へんすう の値 ね は「近似 きんじ 解 かい 」、「収束 しゅうそく 解 かい 」などと呼 よ ばれる。
^ 一般 いっぱん に「方程式 ほうていしき を解 と く方法 ほうほう 」は必 かなら ずしも存在 そんざい するわけではない。
^ 等式 とうしき の両辺 りょうへん から1つの多項式 たこうしき を足 た し引 び きすることはいつでもできるため、等式 とうしき の一方 いっぽう の辺 あたり をゼロにするように引 ひ き算 ざん をすることで、各 かく 辺 あたり の多項式 たこうしき を1つの辺 あたり にまとめることができる。従 したが って一般 いっぱん の代数 だいすう 方程式 ほうていしき は必 かなら ず以下 いか の形 かたち に表 あらわ すことができる。
^ d にはラテン語 らてんご かギリシア語 ご の数詞 すうし が入 はい る。d = 2 なら quadratic , d = 4 なら quartic , d = 5 なら quintic など。例外 れいがい として、d = 1 なら linear , d = 3 なら cubic と呼 よ ばれる。
^ この方程式 ほうていしき の正 せい の根 ね は2の平方根 へいほうこん √ 2 である。この数 かず は整数 せいすう の比 ひ で表 あらわ すことができない 。
Frege, Gottlob (1884). Die Grundlagen der Arithmetik: Eine logisch mathematische Untersuchung über den Begriff der Zahl . Breslau: Koebner, (Nachdruck herausgegeben von Joachim Schulte, Reclam Verlag, 1986, Ditzingen)
Russell, Bertrand (1919). Introduction to Mathematical Philosophy . London: George Allen and Unwin, (reprinted with intro. by John G. Slater, Routledge, 1993, London)