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周期しゅうき関数かんすう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

数学すうがくにおける周期しゅうき関数かんすう(しゅうきかんすう、えい: periodic function)は、一定いってい間隔かんかくあるいは周期しゅうきごとにかえ関数かんすうう。もっと重要じゅうようれいとして、2πぱい ラジアン間隔かんかくかえ三角さんかく関数かんすうげることができる。周期しゅうき関数かんすう振動しんどう波動はどうなどの周期しゅうきせいしめ現象げんしょう記述きじゅつするものとして自然しぜん科学かがくかく分野ぶんやにおいて利用りようされる。周期しゅうきてきでない任意にんい関数かんすう周期しゅうきてき(ひしゅうきてき、えい: aperiodic)であるという。

周期しゅうき P周期しゅうき関数かんすう図示ずし

定義ていぎ

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関数かんすう f周期しゅうきてき (periodic) あるいは(0 でない定数ていすう Pたいして)周期しゅうき Pつとは、x任意にんいたいして

成立せいりつするときにう。この性質せいしつ定数ていすう P のうちに最小さいしょう正数せいすう存在そんざいするとき[1]、そのような正数せいすう P基本きほん周期しゅうきぶ。周期しゅうき P関数かんすうは、ながP区間くかんごとにかえすが、そのような区間くかん一周いっしゅうあらわす。

幾何きかがくてきえば、周期しゅうき関数かんすうはそのグラフが平行へいこう移動いどう対称たいしょうとなるような関数かんすうとして定義ていぎすることができる。具体ぐたいてきには、関数かんすう f周期しゅうき Pかんして周期しゅうきてきならば、f のグラフは x じく方向ほうこうへの移動いどう距離きょり P平行へいこう移動いどうのもとで平行へいこう移動いどう不変ふへん英語えいごばんである。このような周期しゅうきせい定義ていぎは、ほかの幾何きかがく図形ずけい周期しゅうきてき平面へいめん充填じゅうてんのような幾何きかがくパターンにたいしても拡張かくちょうすることができる。

周期しゅうきてきでない関数かんすう周期しゅうきてきであるとう。

正弦せいげん関数かんすうのグラフを周期しゅうきぶんしめした

たとえば正弦せいげん関数かんすう任意にんいxたいして

たすから周期しゅうき 2πぱい周期しゅうき関数かんすうである。この関数かんすうなが2πぱい区間くかんごとにおなかえす。

日常にちじょうてきれい時間じかん変数へんすうとして、たとえば時計とけいはり月齢げつれいなどが周期しゅうきてきいをせる。周期しゅうき運動うんどうけい位置いちすべおな周期しゅうきを以って周期しゅうき関数かんすうあらわされるような運動うんどうう。

じつ変数へんすう整数せいすう変数へんすう関数かんすうであれば、周期しゅうきてきであることは関数かんすうのグラフ特定とくてい一部分いちぶぶんのコピーを一定いってい間隔かんかくならべて全体ぜんたい形作かたちづくることができることを意味いみする。

周期しゅうき関数かんすう簡単かんたんれいとして、引数ひきすう小数しょうすう部分ぶぶんかえ関数かんすう かんがえると、その周期しゅうき1 である。とく

f(0.5) = f(1.5) = f(2.5) = … = 0.5

のようなことがつ。この関数かんすう f のグラフは鋸歯きょしじょうなみになる。

f(x) = sin(x) および g(x) = cos(x) のグラフ。2 つの関数かんすうはともに周期しゅうき 2πぱいつ。

三角さんかく関数かんすう正弦せいげんおよび余弦よげん関数かんすうは、ともに周期しゅうき 2πぱいつ、共通きょうつう周期しゅうき関数かんすうである。フーリエ級数きゅうすう主題しゅだいは、「勝手かってな」周期しゅうき関数かんすう周期しゅうき調整ちょうせいした三角さんかく関数かんすうとしてあらわすというかんがえについて研究けんきゅうするものである。

上記じょうき定義ていぎしたがえば、たとえばディリクレ関数かんすうのような、あるしゅ際立きわだった (exotic) 関数かんすうまでもが周期しゅうきてきであることになる(ディリクレ関数かんすう周期しゅうき任意にんいれい有理数ゆうりすう)。

性質せいしつ

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周期しゅうき関数かんすう f周期しゅうき Pつならば f定義ていぎいきかくもと x任意にんい整数せいすう nたいして

f(x + nP) = f(x)

成立せいりつする。おなじく f周期しゅうき Pつならば、定数ていすう a, bたいして函数かんすう f(ax + b)周期しゅうき P|a|周期しゅうき函数かんすうになる。たとえば f(x) = sin x周期しゅうき 2πぱい ゆえ sin(5x)周期しゅうき 2πぱい/5つ。

じゅう周期しゅうき関数かんすう

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複素ふくそ平面へいめんうえ定義ていぎされる関数かんすうは、定数ていすう関数かんすうでなくともたがいに不均衡ふきんこうな 2 つの周期しゅうきる(この文脈ぶんみゃくでの「均衡きんこう」は、一方いっぽう他方たほうじつすうばいでないことをう)。そのような関数かんすうれいとして、楕円だえん関数かんすうげられる。

複素ふくそ変数へんすう周期しゅうき関数かんすう

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複素数ふくそすう変数へんすう周期しゅうき関数かんすうとして、以下いか複素ふくそ指数しすう関数かんすうがよくられている(この関数かんすうはときに cis 関数かんすうともばれる)。

余弦よげん関数かんすうきょ正弦せいげん関数かんすうのどちらも周期しゅうきてきであるから、この関数かんすうあきらかに周期しゅうきてきである。このような複素ふくそ指数しすう関数かんすう三角さんかく関数かんすうによる表示ひょうじオイラーの公式こうしきとしてられる。この複素ふくそ指数しすう関数かんすうもちいることで三角さんかく関数かんすう指数しすう関数かんすうによってあらわすことができる。三角さんかく関数かんすう同様どうよう指数しすう関数かんすう周期しゅうき LL = 2πぱい/kあたえられる。

一般いっぱん

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はん周期しゅうき関数かんすう

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周期しゅうき関数かんすう一般いっぱんひとつにはん周期しゅうき関数かんすう(はんしゅうきかんすう、えい: antiperiodic functions)があり、これはすべての xたいして f(x + P) = −f(x)たすような関数かんすう f のことをう。したがって、周期しゅうきについて P はん周期しゅうき関数かんすう2P 周期しゅうき関数かんすうになる。

ブロッホ関数かんすう

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ブロッホフロケ理論りろん文脈ぶんみゃくでは、周期しゅうき関数かんすうはさまざまな周期しゅうきてき微分びぶん方程式ほうていしきかいとして一般いっぱんされ、まとめられる。この文脈ぶんみゃくで(いち次元じげん場合ばあいの)かいは、典型てんけいてきには適当てきとうじつまたは複素ふくそ定数ていすう kともなって

なるかたちあらわされる(定数ていすう kブロッホベクトルフロケ指数しすうばれる)。この文脈ぶんみゃくでは、このかたち関数かんすうブロッホ周期しゅうきてきであるとうこともある。通常つうじょう周期しゅうき関数かんすうk = 0 なる特別とくべつ場合ばあいであり、またはん周期しゅうき関数かんすうk = πぱい/P なる特別とくべつ場合ばあいである。

しょう空間くうかんじょう関数かんすう

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フーリエ級数きゅうすう周期しゅうき関数かんすう表現ひょうげんし、フーリエ級数きゅうすうたた定理ていり (すなわち、フーリエ級数きゅうすうたたみは表現ひょうげんされる周期しゅうき関数かんすうせき対応たいおうし、ぎゃくもまたしかり)を満足まんぞくするけれども、信号しんごう処理しょりにおいて周期しゅうき関数かんすうたたみは通常つうじょう定義ていぎしたがえば積分せきぶん発散はっさんするためにたたむことができないという問題もんだい遭遇そうぐうする。これを解決かいけつする方法ほうほうひとつは、有界ゆうかいだが周期しゅうきてきでない領域りょういきじょう定義ていぎされた周期しゅうき関数かんすうというものをかんがえることである。これを達成たっせいするためにしょう空間くうかん概念がいねんもちいて

かんがえよう。このとき R/Zかくもとおな小数しょうすう部分ぶぶん実数じっすうからなる同値どうちるいであり、関数かんすう f: R/ZR周期しゅうき 1周期しゅうき関数かんすうあらわすものとかんがえられる。

関連かんれん項目こうもく

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 定数ていすう関数かんすう有理数ゆうりすう全体ぜんたい集合しゅうごう指示しじ関数かんすうのような、あるしゅ関数かんすうには最小さいしょうせい周期しゅうき」は存在そんざいしない(周期しゅうきとしてせいP下限かげん0 になってしまう)。

参考さんこう文献ぶんけん

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  • Ekeland, Ivar (1990). “One”. Convexity methods in Hamiltonian mechanics. Ergebnisse der Mathematik und ihrer Grenzgebiete (3) [Results in Mathematics and Related Areas (3)]. 19. Berlin: Springer-Verlag. pp. x+247. ISBN 3-540-50613-6. MR1051888 

外部がいぶリンク

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