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けい (自然しぜん科学かがく)

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

自然しぜん科学かがくにおけるけい(けい、英語えいご: system)とは、自然しぜんかいのうちで考察こうさつ対象たいしょうとして注目ちゅうもくしている部分ぶぶんをいう[1][2]分野ぶんや考察こうさつ内容ないようおうじて力学りきがくけい生態せいたいけい太陽系たいようけい実験じっけんけいなどというようにもちいられる。考察こうさつ対象たいしょうとされない部分ぶぶん外界がいかい英語えいごばんとして区別くべつされる。これは外界がいかいけいくらべて非常ひじょうおおきく、外界がいかいけい影響えいきょうおよぼしてけい状態じょうたい変化へんかこすことがあっても、けい外界がいかいおよぼす影響えいきょう無視むしできるとする仮定かていした考察こうさつ対象たいしょうからはずされる。外界がいかい状態じょうたいは、つね一定いっていであるとしたり、単純たんじゅん変化へんかをしたりと、考察こうさつ前提ぜんていとして仮定かていされる。また、観測かんそくしゃ外界がいかいにいるものとして通常つうじょう考察こうさつ対象たいしょうとされない。

物理ぶつりがくでは、けい古典こてんろん記述きじゅつするとき、そのけい古典こてんけいぶ。一方いっぽうけい量子りょうしろん記述きじゅつするとき、そのけい量子りょうしけいとよぶ[3]

ねつ力学りきがくてき分類ぶんるい

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ねつ力学りきがく観点かんてんでは、けい外界がいかいとのあいだゆるされるエネルギー移動いどう形態けいたいから分類ぶんるいされる。 ねつ力学りきがくにおいて考察こうさつされるエネルギーの移動いどう形態けいたいは、仕事しごとねつ、および物質ぶっしつ質量しつりょう)の移動いどうともなうエネルギーの移動いどうである。ここでいう仕事しごととは、ピストン-シリンダけいのようなちから変位へんいせきとしてあらわされる機械きかいてき仕事しごとだけではなく、電気でんきてきなエネルギーの移動いどうなど、ねつ力学りきがくらずに考察こうさつ可能かのうなエネルギーの移動いどうである。質量しつりょう移動いどうとは、たとえばガソリンエンジンであれば、燃焼ねんしょうしつへのガソリン空気くうき吸入きゅうにゅうや、燃焼ねんしょう排気はいきなどである。ガソリンなどの燃料ねんりょうは、化学かがくてきなエネルギーを内在ないざいしており、燃焼ねんしょうともなってそれが放出ほうしゅつされる。すなわちガソリンの吸入きゅうにゅうはエネルギーの流入りゅうにゅうである。 燃焼ねんしょうという急激きゅうげき化学かがく反応はんのうともな状況じょうきょうかぎらず、部屋へや換気かんきでも室内しつないがい温度おんど湿度しつどことなる空気くうき交換こうかんともないエネルギーが移動いどうする。

外界がいかいとのあいだ物質ぶっしつ移動いどうゆるけい開放かいほうけいひらいたけい、open system)、物質ぶっしつ移動いどうゆるさないけい閉鎖へいさけいじたけいclosed system)とばれる。閉鎖へいさけいのうち物質ぶっしつ移動いどうくわえてねつによるエネルギーの移動いどうゆるさないけい断熱だんねつけいadiabatic system)とばれる。さらに断熱だんねつけいのうち、物質ぶっしつ移動いどうねつくわえて、仕事しごとによるエネルギーの移動いどうゆるさないけい、つまり、あらゆるエネルギーの移動いどうゆるさないけい孤立こりつけいisolated system)とばれる。 外界がいかいとのエネルギーの移動いどう制限せいげんがあるけいでは、その制限せいげんおうじた法則ほうそくち、孤立こりつけいではエネルギー保存ほぞんそく断熱だんねつけいではエントロピー増大ぞうだいそく閉鎖へいさけいでは質量しつりょう保存ほぞんそく[ちゅう 1]つ。

けいねつ交換こうかんする外界がいかいねつよくheat bath)とばれ、質量しつりょう交換こうかんする外界がいかい粒子りゅうしよくparticle bath)とばれる。

容器ようきにつめられた気体きたい集合しゅうごう場合ばあいもあれば、特定とくてい溶液ようえきちからけた・あたえた物体ぶったいまたは細胞さいぼううち機関きかんうちなどの場合ばあいもある。

開放かいほうけい
閉鎖へいさけい
  • おおきな水槽すいそうなかしずめた、せんまったフラスコ
  • 温室おんしつ
  • 特定とくていちからのみを外界がいかいけたりあたえたりする物体ぶったい
断熱だんねつけい
  • 断熱だんねつざいおおわれたフラスコ

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 相対そうたいろんてき質量しつりょうのエネルギーへの転換てんかんかんがえない場合ばあいかぎる。
  2. ^ 生物せいぶつ場合ばあいねつ力学りきがくてきるとすべ開放かいほうけいぞくしており、ホメオスタシス運動うんどう自律じりつせいをはじめとした生物せいぶつ基本きほん特性とくせいのうちのいくつかは、これを基礎きそとしている[4]

出典しゅってん

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  1. ^ Peter Atkins; Julio de Paula ちょ千原ちはら秀昭ひであき, 稲葉いなばあきら やく『アトキンス物理ぶつり化学かがくようろん』(4はん東京とうきょう化学かがく同人どうじん、2007ねん、37ぺーじISBN 978-4-8079-0649-9 
  2. ^ 土井どいまさる物理ぶつりがく入門にゅうもんにち科技かぎれん、2005ねん、46ぺーじISBN 4-8171-9068-X 
  3. ^ 清水しみずあきら新版しんぱん 量子りょうしろん基礎きそ―その本質ほんしつのやさしい理解りかいのために―』サイエンスしゃ、2004ねんISBN 4-7819-1062-9 
  4. ^ 生物せいぶつがく辞典じてん岩波書店いわなみしょてん

関連かんれん項目こうもく

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