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ボホナー積分せきぶん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

数学すうがくにおけるボホナー積分せきぶん(ボホナーせきぶん、えい: Bochner integral)は、サロモン・ボホナーちなむ、(たん函数かんすう積分せきぶん極限きょくげんとしての)ルベーグ積分せきぶんバナッハ空間くうかんをとる函数かんすうへの拡張かくちょうである。

定義ていぎ[編集へんしゅう]

(X, Σしぐま, μみゅー) を測度そくど空間くうかんB をバナッハ空間くうかんとする。ボホナー積分せきぶんはルベーグ積分せきぶんとほとんどおな方法ほうほう定義ていぎされる。X うえB-たん函数かんすう s は、完全かんぜん加法かほうぞく Σしぐまたがいにまじわらないもとぞく EiBそうことなるもと bi使つかって

なるかたちあらわされる。ただし、χかいE集合しゅうごう E指示しじ函数かんすうである。たん函数かんすう s をこのかたちくとき, bi が 0 でないような i ではかならμみゅー(Ei) が有限ゆうげんとなるならば、このたん函数かんすう s積分せきぶんであるといい、その積分せきぶん

定義ていぎすることは通常つうじょうのルベーグ積分せきぶんまったおなじである。

はか函数かんすう ƒ: XBボホナー積分せきぶんであるとは、積分せきぶんたんはこ数列すうれつ sn

たすようなものが存在そんざいするときにう。ここで左辺さへん積分せきぶん通常つうじょうのルベーグ積分せきぶんである。

このとき、ボホナー積分せきぶん

定義ていぎされる。はか函数かんすうがボホナー積分せきぶんであるための必要ひつようじゅうふん条件じょうけんは、それがボホナー空間くうかん L1ぞくすることである。

性質せいしつ[編集へんしゅう]

ルベーグ積分せきぶんについてよくられた性質せいしつおおくは、ボホナー積分せきぶんたいしてもつづ成立せいりつする。おそらくもっといちじるしいれいはボホナーの積分せきぶん判定はんてい条件じょうけんで、これは (X, Σしぐま, μみゅー) が有限ゆうげん測度そくど空間くうかんならばボホナーはか函数かんすう ƒ: XB がボホナー積分せきぶんであるための必要ひつようじゅうふん条件じょうけん

であることをべるものである。ただし、函数かんすう ƒ: XB がボホナーはかであるとは、B可分かぶん部分ぶぶん空間くうかん B0をとる函数かんすう g で、B任意にんいひらき集合しゅうごう Uぎゃくぞう g−1(U) が Σしぐまぞくするようなものをもちいて、μみゅーかんしてほとんどいたところ f = g となるときにいう。つまり、ボホナーはか函数かんすう ƒ は μみゅーかんしてほとんいたところたんはこ数列すうれつ極限きょくげんになっている。

ボホナー積分せきぶんたいしてもゆう収斂しゅうれん定理ていり一種いっしゅつ。具体ぐたいてきには、ƒn: XB完備かんび測度そくど空間くうかんじょうはかはこ数列すうれつでほとんどいたところ ƒ に収斂しゅうれんし、ほとんどすべての xX で ‖fn(x)‖Bg(x) をたす gL1(μみゅー)存在そんざいするならば、n → ∞ とする極限きょくげん

および、任意にんいEΣしぐまたいして

成立せいりつする。

ƒ がボホナー積分せきぶんならば不等式ふとうしき

任意にんいEΣしぐまたいして成立せいりつする。とく集合しゅうごう函数かんすう

μみゅーかんして絶対ぜったい連続れんぞくX うえ可算かさん加法かほうてき B-ベクトル測度そくどさだめる。

ラドン–ニコディムせい[編集へんしゅう]

ボホナー積分せきぶんかんしてラドン–ニコディムの定理ていり一般いっぱんには成立せいりつないという重要じゅうよう事実じじつがある。これはバナッハ空間くうかんのラドン–ニコディムせいとしてられる重要じゅうよう性質せいしつである。具体ぐたいてきに、μみゅーはか空間くうかん (X, Σしぐま) うえ測度そくどとすると、Bμみゅーかんするラドン–ニコディムせいつとは、(X, Σしぐま) うえBをとる任意にんい有界ゆうかい変動へんどうかつ μみゅー-絶対ぜったい連続れんぞく可算かさん加法かほうてきベクトル測度そくど γがんまたいして、μみゅー-積分せきぶん函数かんすう g: XB任意にんいはか集合しゅうごう EΣしぐまたいしてたすものが存在そんざいすることをいう[1]

バナッハ空間くうかん Bラドン–ニコディムせいとは、B任意にんい有限ゆうげん測度そくどかんしてラドン–ニコディムせいつときにう。l1 はラドン–ニコディムせいち、c0Rn有界ゆうかいひらき領域りょういき Ωおめがたいする L(Ωおめが), L1(Ωおめが) および C(Ωおめが) はラドン=ニコディムせいたないことがられている。ラドン–ニコディムせい空間くうかんには、可分かぶん双対そうつい空間くうかんダンフォード–ペティスの定理ていり)や回帰かいきてきバナッハ空間くうかんとくヒルベルト空間くうかん)などがある。

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ The Radon-Nikodym Theorem for Reflexive Banach Spaces, Diómedes Bárcenas, Divulgaciones Matemáticas Vol. 11 No. 1(2003), (pp. 55–59), pp. 55-56

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]