出典 しゅってん は列挙 れっきょ するだけでなく、脚注 きゃくちゅう などを用 もち いてどの記述 きじゅつ の情報 じょうほう 源 げん であるかを明記 めいき してください。記事 きじ の信頼 しんらい 性 せい 向上 こうじょう にご協力 きょうりょく をお願 ねが いいたします。(2019年 ねん 1月 がつ )
A が B の部分 ぶぶん 集合 しゅうごう なら、A の測度 そくど は B と等 ひと しいかそれより小 ちい さい。また空 そら 集合 しゅうごう の測度 そくど は 0 でなければならない。
測度 そくど 論 ろん (そくどろん、英 えい : measure theory )は、数学 すうがく の実 じつ 解析 かいせき における一 いち 分野 ぶんや で、測度 そくど とそれに関連 かんれん する概念 がいねん (完全 かんぜん 加法 かほう 族 ぞく 、可 か 測 はか 関数 かんすう 、積分 せきぶん 等 ひとし )を研究 けんきゅう する。ここで測度 そくど (そくど、英 えい : measure )とは面積 めんせき 、体積 たいせき 、個数 こすう といった「大 おお きさ」に関 かん する概念 がいねん を精緻 せいち 化 か ・一般 いっぱん 化 か したものである。よく知 し られているように積分 せきぶん は面積 めんせき と関係 かんけい があるので、積分 せきぶん (厳密 げんみつ にはルベーグ積分 せきぶん )も測度 そくど 論 ろん を基盤 きばん にして定式 ていしき 化 か ・研究 けんきゅう できる[1] 。
また、測度 そくど の概念 がいねん は確 かく 率 りつ を数学 すうがく 的 てき に定式 ていしき 化 か する際 さい にも用 もち いられるため(コルモゴロフの公理 こうり )、確率 かくりつ 論 ろん や統計 とうけい 学 がく においても測度 そくど 論 ろん は重要 じゅうよう である。たとえば「サイコロの目 め が偶数 ぐうすう になる確 かく 率 りつ 」は目 め が 1, ..., 6 になるという 6 つの事象 じしょう の集合 しゅうごう の中 なか で、2, 4, 6 という 3 つ分 ぶん の「大 おお きさ」を持 も っているため、測度 そくど の概念 がいねん で記述 きじゅつ できる。
与 あた えられた集合 しゅうごう 上 じょう の測度 そくど は 2 段階 だんかい のステップで定義 ていぎ される。まずその集合 しゅうごう の部分 ぶぶん 集合 しゅうごう で測度 そくど が定義 ていぎ 可能 かのう なもの(可 か 測 はか 集合 しゅうごう という)はどれであるかを決 き め、次 つぎ にそれらの部分 ぶぶん 集合 しゅうごう に対 たい し具体 ぐたい 的 てき に測度 そくど を定義 ていぎ する。測度 そくど の定義 ていぎ は形式 けいしき 的 てき に与 あた えられ、その要件 ようけん は、空 そら 集合 しゅうごう の測度 そくど が 0 であることと、n 個 こ の互 たが いに素 そ な集合 しゅうごう の測度 そくど の和 わ がそれらの集合 しゅうごう の和 わ 集合 しゅうごう の測度 そくど と一致 いっち することだけである。前述 ぜんじゅつ した面積 めんせき 、体積 たいせき 、個数 こすう はいずれも測度 そくど であることが容易 ようい に確 たし かめられる。
重要 じゅうよう なことは上 うえ の定義 ていぎ で n が可算 かさん 個 こ であってもよいということである。このことが測度 そくど 論 ろん をベースにした積分 せきぶん の定義 ていぎ (ルベーグ積分 せきぶん )を従来 じゅうらい の定義 ていぎ (リーマン積分 せきぶん )よりも使 つか い易 やす くしており、前者 ぜんしゃ では適切 てきせつ な条件 じょうけん のもと積分 せきぶん と可算 かさん 和 わ の順番 じゅんばん を交換 こうかん できることを保証 ほしょう できる(有界 ゆうかい 収束 しゅうそく 定理 ていり )が、後者 こうしゃ の場合 ばあい は同 おな じ条件下 じょうけんか であってもこの種 たね の交換 こうかん は有限 ゆうげん 和 わ のときにしか保証 ほしょう されない。
この測度 そくど の概念 がいねん で、測度 そくど が定義 ていぎ できない集合 しゅうごう が存在 そんざい することが知 し られている。例 たと えば
R
2
{\displaystyle \mathbb {R} ^{2}}
上 うえ の測度 そくど として面積 めんせき を考 かんが えた場合 ばあい 、面積 めんせき が定義 ていぎ できない集合 しゅうごう が存在 そんざい する。しかしながら面積 めんせき を定義 ていぎ できない集合 しゅうごう は通常 つうじょう の方法 ほうほう では作 つく れない(そのような集合 しゅうごう を作 つく るには選択 せんたく 公理 こうり が必要 ひつよう である)ことが知 し られているため、面積 めんせき が定義 ていぎ できない集合 しゅうごう があるという事実 じじつ は、
R
2
{\displaystyle \mathbb {R} ^{2}}
上 うえ で測度 そくど 論 ろん を展開 てんかい する上 じょう であまり障害 しょうがい にならない。ただし面積 めんせき が定義 ていぎ できない集合 しゅうごう が存在 そんざい することを利用 りよう すると、非常 ひじょう に不可解 ふかかい な性質 せいしつ を導 みちび くことができることが知 し られている(バナッハ=タルスキーのパラドックス )。
歴史 れきし 的 てき に微分 びぶん 積分 せきぶん 学 がく で扱 あつか うことのできた素朴 そぼく な意味 いみ での体積 たいせき (一般 いっぱん には多次元 たじげん の体積 たいせき )は、リーマン積分 せきぶん を用 もち いて表 あらわ され、有限 ゆうげん 加法 かほう 的 てき であった。1902年 ねん 、アンリ・ルベーグ は彼 かれ の学位 がくい 論文 ろんぶん 『積分 せきぶん 、長 なが さ、体積 たいせき 』("Intégrale, longueur, aire ") において測度 そくど の概念 がいねん を確立 かくりつ する。これにより新 あら たに定義 ていぎ された"体積 たいせき "は、完全 かんぜん 加法 かほう 的 てき であることを積極 せっきょく 的 てき に要求 ようきゅう したため、極限 きょくげん 概念 がいねん との親和 しんわ 性 せい が高 たか く、そのためリーマン積分 せきぶん (とジョルダン測度 そくど )による場合 ばあい よりも多 おお くの集合 しゅうごう に体積 たいせき の定義 ていぎ が可能 かのう となった。これが測度 そくど 論 ろん の始 はじ まりである。
形式 けいしき 的 てき 定義 ていぎ [ 編集 へんしゅう ]
形式 けいしき 的 てき に、集合 しゅうごう X の部分 ぶぶん 集合 しゅうごう からなる完全 かんぜん 加法 かほう 族 ぞく A 上 うえ で定義 ていぎ される可算 かさん 加法 かほう 的 てき 測度 そくど μ みゅー とは拡張 かくちょう された区間 くかん [0, ∞] に値 ね を持 も つ(つまり、無限 むげん 大 だい も許 ゆる す非負 ひふ 値 ち の)関数 かんすう であって、次 つぎ の性質 せいしつ を満 み たすもののことである:
空 そら 集合 しゅうごう の測度 そくど は 0 である。
μ みゅー
(
∅
)
=
0.
{\displaystyle \mu (\emptyset )=0.}
完全 かんぜん 加法 かほう 性 せい (可算 かさん 加法 かほう 性 せい ):E 1 , E 2 , E 3 , ... がどの二 ふた つも互 たが いに共通 きょうつう 部分 ぶぶん を持 も たない A に属 ぞく する集合 しゅうごう の列 れつ ならば
μ みゅー
(
⋃
i
E
i
)
=
∑
i
μ みゅー
(
E
i
)
{\displaystyle \mu \left(\bigcup _{i}E_{i}\right)=\sum _{i}\mu (E_{i})}
A の元 もと は可 か 測 はか 集合 しゅうごう (measurable sets ) と呼 よ ばれる。 また、数学 すうがく 的 てき 構造 こうぞう (X , A , μ みゅー ) は 測度 そくど 空間 くうかん (measure space ) と呼 よ ばれる。次 つぎ の性質 せいしつ は、上 うえ の定義 ていぎ から導 みちび かれるものである:
単調 たんちょう 性 せい :E 1 と E 2 が可 か 測 はか 集合 しゅうごう で E 1 ⊆ E 2 を満 み たすならば、
μ みゅー
(
E
1
)
≤
μ みゅー
(
E
2
)
{\displaystyle \mu (E_{1})\leq \mu (E_{2})}
E 1 , E 2 , E 3 , ... が可 か 測 はか 集合 しゅうごう の列 れつ で、各 かく n において En ⊆ E n +1 ならば、En たちの和 わ 集合 しゅうごう は可 か 測 はか で
μ みゅー
(
⋃
i
E
i
)
=
lim
i
μ みゅー
(
E
i
)
{\displaystyle \mu \left(\bigcup _{i}E_{i}\right)=\lim _{i}\mu (E_{i})}
E 1 , E 2 , E 3 , ... が可 か 測 はか 集合 しゅうごう の列 れつ で、各 かく n において En ⊇ E n +1 ならば、En たちの共通 きょうつう 部分 ぶぶん も可 か 測 はか である。さらに、少 すく なくとも 1 つの n について En の測度 そくど が有限 ゆうげん 値 ち であるならば
μ みゅー
(
⋂
i
E
i
)
=
lim
i
μ みゅー
(
E
i
)
{\displaystyle \mu \left(\bigcap _{i}E_{i}\right)=\lim _{i}\mu (E_{i})}
σ しぐま -有限 ゆうげん 測度 そくど [ 編集 へんしゅう ]
測度 そくど 空間 くうかん Ω おめが が有限 ゆうげん であるというのは、μ みゅー (Ω おめが ) が有限 ゆうげん 値 ち であることである。また、Ω おめが が測度 そくど 有限 ゆうげん なる可 か 測 はか 集合 しゅうごう の可算 かさん 和 わ で表 あらわ されるとき、Ω おめが は σ しぐま -有限 ゆうげん であるという。測度 そくど 空間 くうかん に属 ぞく する集合 しゅうごう は、それが測度 そくど 有限 ゆうげん なる可 か 測 はか 集合 しゅうごう の可算 かさん 和 やわ であるとき σ しぐま -有限 ゆうげん 測度 そくど を持 も つという。
例 たと えば、実数 じっすう 全体 ぜんたい の集合 しゅうごう に標準 ひょうじゅん ルベーグ測度 そくど を考 かんが えた測度 そくど 空間 くうかん は σ しぐま -有限 ゆうげん であるが、有限 ゆうげん ではない。実際 じっさい に、任意 にんい の整数 せいすう k に対 たい して 閉区間 あいだ [k , k + 1] を考 かんが えると、これらは可算 かさん 個 こ であり、それぞれ測度 そくど 1 であって、和 わ 集合 しゅうごう を考 かんが えれば実数 じっすう 直線 ちょくせん を尽 つ くす。
対 たい して、実数 じっすう 全体 ぜんたい の集合 しゅうごう に数 かぞ え上 あ げ測度 そくど を考 かんが える。これは、実数 じっすう からなる有限 ゆうげん 集合 しゅうごう に、その集合 しゅうごう に入 はい る点 てん の数 かず を対応 たいおう させるものである。この測度 そくど 空間 くうかん は σ しぐま -有限 ゆうげん でない。なぜなら、どの測度 そくど 有限 ゆうげん な集合 しゅうごう も有限 ゆうげん 個 こ の点 てん しか持 も たないのであって、その可算 かさん 個 こ の和 わ 集合 しゅうごう は高々 たかだか 可算 かさん であるので、非 ひ 可算 かさん 集合 しゅうごう である数 すう 直線 ちょくせん を被覆 ひふく し尽 つ くすことができないからである。
σ しぐま -有限 ゆうげん な測度 そくど 空間 くうかん は非常 ひじょう によい性質 せいしつ を持 も っている; σ しぐま -有限 ゆうげん 性 せい は位相 いそう 空間 くうかん の可分 かぶん 性 せい になぞらえることができる.
可 か 測 はか 集合 しゅうごう S が μ みゅー (S ) = 0 であるとき零 れい 集合 しゅうごう (null set ) という。測度 そくど μ みゅー が完備 かんび (complete ) であるとは、零 れい 集合 しゅうごう の全 すべ ての部分 ぶぶん 集合 しゅうごう が可 か 測 はか であることである。もちろん自動的 じどうてき に零 れい 集合 しゅうごう 自身 じしん が可 か 測 はか となる。
測度 そくど を完備 かんび 測度 そくど に拡張 かくちょう することは簡単 かんたん である。単純 たんじゅん に、可 か 測 はか 集合 しゅうごう S と零 れい 集合 しゅうごう の分 ぶん だけ異 こと なる集合 しゅうごう S' たち(すなわち、そのような S と S' の対称 たいしょう 差 さ は零 れい 集合 しゅうごう である)をすべて合 あ わせたものの成 な す完全 かんぜん 加法 かほう 族 ぞく を考 かんが えればよい。
零 れい 測度 そくど (null measure):全 すべ ての可 か 測 はか 集合 しゅうごう Sに対 たい してμ みゅー (S ) = 0 となるような測度 そくど 。
以下 いか に重要 じゅうよう な測度 そくど をいくつか掲 かか げる。
目的 もくてき によっては、"測度 そくど " の値域 ちいき を非負 ひふ の実数 じっすう あるいは無限 むげん 大 だい に制限 せいげん しないものも有用 ゆうよう である。たとえば、可算 かさん 加法 かほう 的 てき な集合 しゅうごう 関数 かんすう で負 ふ 符号 ふごう も許 ゆる す実数 じっすう に値 ね をとるものは符号 ふごう 付 づけ 測度 そくど と呼 よ ばれる。同様 どうよう の関数 かんすう で複素数 ふくそすう に値 ね をとるものは複素 ふくそ 測度 そくど と呼 よ ばれる。バナッハ空間 くうかん に値 ね をとる測度 そくど はスペクトル測度 そくど (spectral measure ) と呼 よ ばれ、主 おも に関数 かんすう 解析 かいせき 学 がく においてスペクトル定理 ていり (spectral theorem ) などに用 もち いられる。これらの一般 いっぱん 化 か した測度 そくど との区別 くべつ のため、通常 つうじょう の測度 そくど を"正 せい 値 ち 測度 そくど "と呼 よ ぶことがある。
ほかの一般 いっぱん 化 か として有限 ゆうげん 加法 かほう 的 てき 測度 そくど (premeasure ) がある。これは、完全 かんぜん 加法 かほう 性 せい の代 か わりに有限 ゆうげん 加法 かほう 性 せい を課 か すことを除 のぞ けば測度 そくど と同 おな じである。歴史 れきし 的 てき には、こちらの定義 ていぎ の方 ほう が先 さき に使 つか われていたが、あまり有用 ゆうよう ではないことが証明 しょうめい された。
ハドヴィガーの定理 ていり (Hadwiger's theorem ) として知 し られる積分 せきぶん 幾何 きか 学 がく における注目 ちゅうもく すべき結果 けっか によると、R n のコンパクト凸 とつ 集合 しゅうごう の有限 ゆうげん 和 わ の上 うえ で定義 ていぎ された平行 へいこう 移動 いどう 不変 ふへん 、有限 ゆうげん 加法 かほう 的 てき で、必 かなら ずしも非負 ひふ ではない集合 しゅうごう 関数 かんすう のなす空間 くうかん は、(スカラー倍 ばい の違 ちが いを除 のぞ き)各 かく k = 0, 1, 2, ..., n に対 たい して「次数 じすう k の斉 ひとし 次 つぎ な」測度 そくど とそれらの測度 そくど の線型 せんけい 結合 けつごう からなる。「次数 じすう k の斉 ひとし 次 つぎ な」とは、任意 にんい の集合 しゅうごう は c > 0 倍 ばい すると測度 そくど が ck 倍 ばい になるということである。次数 じすう n の斉 ひとし 次 つぎ な測度 そくど は通常 つうじょう の n 次元 じげん 体積 たいせき であり、次数 じすう n − 1 の斉 ひとし 次 つぎ な測度 そくど は「表面積 ひょうめんせき 」である。次数 じすう 1 の斉 ひとし 次 つぎ な測度 そくど は「平均 へいきん 幅 はば 」という誤 あやま 称 しょう をもつ不思議 ふしぎ な関数 かんすう である。次数 じすう 0 の斉 ひとし 次 つぎ な測度 そくど はオイラー標 しるべ 数 すう である。
P. Halmos (1950). Measure theory . D. van Nostrand and Co.
M. E. Munroe (1953). Introduction to Measure and Integration . Addison Wesley