位相 群
定義 [編集 ]
乗法 G × G → G; (g, h) ↦ gh は連続 である。反転 G → G; g ↦ g−1 は連続 である。
がともに
定義 両立 する群 構造 と位相 構造 を持 つ集合 G は位相 群 であるという。すなわち位相 群 は、すべての群 演算 が連続 な群 を言 う。
この
準 同型 [編集 ]
すべての
例 [編集 ]
任意 の群 は離散 位相 を考 えることにより、自明 に位相 群 と考 えることができる(そのような群 は離散 群 と呼 ばれる)。この意味 で位相 群 論 は通常 の群論 に含 まれる。実数 の全体 R に通常 の位相 を入 れたものは、加法 に関 する位相 群 となる。より一般 に、n-次元 ユークリッド空間 Rn は加法 に関 して位相 群 である。位相 アーベル群 の他 の例 として、円周 群 S1 や自然 数 n に対 するトーラス群 (S1)n が挙 げられる。古典 群 は非 アーベル位相 群 の重要 な例 である。例 えば、成分 が実数 の n × n可逆 行列 全体 の成 す一般 線型 群 GL(n, R) は、ユークリッド空間 Rn×nの部分 空間 としての位相 を入 れて位相 群 とみることができる。他 の古典 群 として、直交 群 O(n) は、Rn上 の線型 変換 で、任意 のベクトルの長 さを変 えないもの全体 の成 す群 である。直交 群 は位相 空間 としてコンパクトになる。ユークリッド幾何 学 の大 部分 は、直交 群 あるいはそれと近 い関係 を持 つ Rn の対称 性 の群 O(n) ⋉ Rn の構造 の研究 と見 なすことができる。- ここまでに
挙 げた群 はすべてリー群 、すなわち滑 らかな多様 体 であって、群 演算 が連続 なだけでなく滑 らかな写像 となるようなものになっている。リー群 はよくわかっている位相 群 である。つまり、リー群 に関 する多 くの問題 がリー環 に関 する準 代数 的 な問題 に読 み替 えられ、そして解決 されている。 - リー
群 でない位相 群 の例 として、有理数 の加法 群 Q に R から遺伝 する位相 を入 れたものを考 える。これは可算 な空間 であって、かつ離散 位相 とは異 なる位相 を持 つ。数 論 において重要 な例 に、素数 p に対 する p-進 整数 の加法 群 Zp は、有限 群 Z/pnZ の n → ∞ の逆 極限 である。この群 Zp は、コンパクト(実 はカントール集合 に同相 )である点 でよく振 る舞 うが、(実 )リー群 と異 なり完全 不 連結 である。より一般 に、p-進 リー群 の理論 があって、それには GL(n, Zp) のようなコンパクト群 も、GL(n, Qp) のような局所 コンパクト群 も含 まれる。ここに、Qp は p-進数 の成 す局所 コンパクト位相 体 である。 - ある
種 の位相 群 は無限 次元 リー群 と見 なせる(このような呼 び方 は砕 けたい方 だが、そのような例 となる群 の様々 な族 を表 すのに、ちょうどよい)。例 えば、バナッハ空間 やヒルベルト空間 のような位相 線型 空間 は加法 に関 して位相 アーベル群 になる。他 にも研究 されている無限 次元 群 として、ループ群 、カッツ–ムーディ群 、自己 微分 同相 群 、自己 同相 群 、ゲージ群 などが挙 げられる。 任意 の乗法 単位 元 を持 つバナッハ代数 において、その可逆 元 全体 の成 す集合 (単元 群 )は乗法 に関 して位相 群 を成 す。例 えば、ヒルベルト空間 上 の可逆 有界 作用素 の群 はこの方法 で生 じる。
性質 [編集 ]
位相 群 G の反転 演算 は G上 の自己 同相 である。同様 に、各 元 a ∈ G の左 乗 および右 乗 は G の自己 同相 を与 える。任意 の位相 空間 は、二 通 りの仕方 で、一様 空間 と見 ることができる。左 一 様 性 は各 元 の左 乗 を一様 連続 写像 とする一様 構造 を言 い、右 一 様 性 は右 乗 を一様 連続 写像 とする一様 構造 を言 う[4]。G が非 アーベルならば、これら二 つが一致 する必要 はない。この一様 構造 により、完備 性 や一様 連続 性 あるいは一様 収束 性 を位相 群 上 で述 べることができる。一様 空間 として、任意 の位相 群 は完全 正則 である。これにより、単位 元 (のみからなる一 点 集合 )が G において閉(これは T0(コルモゴロフ)条件 )ならば、G は T2(ハウスドルフ)、さらに T3½(チホノフ)にさえなる。G がハウスドルフでないときには、単位 元 の閉包 K による剰余 群 G/H によってハウスドルフ位相 群 を得 ることができる[5]。これは G のコルモゴロフ商 をとることと同値 である。位相 群 の任意 の部分 群 は、相対 位相 に関 してそれ自身 が位相 群 になる。G の部分 群 H に対 し、左 剰余 類 全体 の成 す集合 G/H に商 位相 を入 れたものは G の等質 空間 と呼 ばれる。商 写像 q: G → G/H は常 に開 になる。例 えば、正 整数 n に対 し、超 球面 Sn は、Rn+1 の回転 群 SO(n + 1) の等質 空間 で、実際 Sn = SO(n + 1)/SO(n) が成 り立 つ。等質 空間 G/H がハウスドルフとなるための必要 十 分 条件 は、H が G において閉となることである[7]。半 ばこれを理由 に、位相 群 の研究 において部分 群 としては閉部分 群 を主 に考 えるのが自然 である。任意 の開 部分 群 H は G において閉である。これは H の補 集合 が、開 集合 gH (g ∈ G\H) の合併 に等 しいことからわかる。- G の
正規 部分 群 H に対 し、剰余 群 G/H は商 位相 に関 して位相 群 を成 す。この剰余 群 がハウスドルフとなるための必要 十 分 条件 は、H が G において閉となることである。例 えば、剰余 群 R/Z は円周 群 S1 に同型 である。 - G の
部分 群 H に対 し、H の閉包 もまた部分 群 となる。同様 に、H が G の正規 部分 群 ならば、H の閉包 も G において正規 になる。 任意 の位相 群 において、単位 成分 (すなわち、単位 元 を含 む連結 成分 )は閉部分 群 を成 す。単位 成分 C と任意 の点 a ∈ G に対 し、左 剰余 類 aC は G の a を含 む連結 成分 となる。したがって、G における C の左 剰余 類 全体 の成 す集合 、あるいは右 剰余 類 全体 の成 す集合 は、G の連結 成分 全体 の成 す集合 に等 しい。これにより、剰余 群 G/C は完全 不 連結 であることが従 う[8]通常 の群論 における代数 的 な群 の同型 定理 は、位相 群 に対 しては必 ずしも正 しくない(これは全 単 射 な準 同型 が必 ずしも位相 群 の同型 でないことによる)。それでも、定理 に現 れる写像 を適切 に制限 すれば、定理 は成 り立 つ。例 えば、第 一同 型 定理 の主張 「f: G → H が準 同型 ならば、それが誘導 する写像 G/ker(f) → im(f) は同型 」が成 り立 つための必要 十 分 条件 は、f がその像 の上 への開 写像 となることである[9]。
ヒルベルトの第 五 問題 [編集 ]
ヒルベルトの
この
(局所 )コンパクト群 の表現 [編集 ]
より
位相 群 のホモトピー論 [編集 ]
一般 化 [編集 ]
半 位相 群 (semitopological group) は、群 の乗法 が偏 連続 となる位相 を持 つ群 。すなわち、半 位相 群 G は各 元 c ∈ G の定 める二 つの写像 x ↦ xc および x ↦ cx が連続 になる。準 位相 群 (quasitopological group) は、反転 演算 も連続 となるような半 位相 群 を言 う。- パラ
位相 群 (paratopological group) は、群 の乗法 が連続 となる位相 を持 つ群 (反転 は連続 とは限 らない)、すなわち台 となる半 群 構造 が群 となるような位相 半 群 を言 う。
脚注 [編集 ]
出典 [編集 ]
- ^
例 えばWeisstein, Eric W. "Continuous Group". mathworld.wolfram.com (英語 ). - ^
例 えば Rowland, Todd. "Topological Group". mathworld.wolfram.com (英語 ). - ^
例 えば Armstrong 1997, p. 73, Bredon 1997, p. 51 - ^ Bourbaki 1998, section III.3.
- ^ Bourbaki 1998, section III.2.7.
- ^ Montgomery & Zippin 1955, section 1.22.
- ^ Bourbaki 1998, section III.2.5.
- ^ Bourbaki 1998, section I.11.5.
- ^ Bourbaki 1998, section III.2.8.
- ^ Montgomery & Zippin 1955, section 4.10.
- ^ Montgomery & Zippin 1955, section 4.6.
- ^ Bourbaki 1998, section III.4.6.
- ^ Hewitt & Ross 1970, Theorem 27.40.
- ^ Mackey 1976, section 2.4.
- ^ Banaszczyk 1983.
- ^ Hatcher 2001, Theorem 4.66.
- ^ Hatcher 2001, Theorem 3C.4.
- ^ Arhangel'skii & Tkachenko 2008, p. 12.
参考 文献 [編集 ]
- Arhangel'skii, Alexander; Tkachenko, Mikhail (2008). Topological Groups and Related Structures. World Scientific. ISBN 978-90-78677-06-2. MR2433295
- Armstrong, M. A. (1997). Basic Topology (1st ed.). Springer-Verlag. ISBN 0-387-90839-0. MR0705632
- Banaszczyk, W. (1983), “On the existence of exotic Banach–Lie groups”, Mathematische Annalen 264: 485–493, doi:10.1007/BF01456956, MR0716262
- Bourbaki, Nicolas (1998), General Topology. Chapters 1–4, Springer-Verlag, ISBN 3-540-64241-2, MR1726779
- Bredon, Glen E. (1997). Topology and Geometry. Graduate Texts in Mathematics (1st ed.). Springer-Verlag. ISBN 0-387-97926-3. MR1700700
- Hatcher, Allen (2001), Algebraic Topology, Cambridge University Press, ISBN 0-521-79540-0, MR1867354
- Hewitt, Edwin; Ross, Kenneth A. (1970), Abstract Harmonic Analysis, 2, Springer-Verlag, ISBN 978-0387048321, MR0262773
- Mackey, George W. (1976), The Theory of Unitary Group Representations, University of Chicago Press, ISBN 0-226-50051-9, MR0396826
- Montgomery, Deane; Zippin, Leo (1955), Topological Transformation Groups, New York, London: Interscience Publishers, MR0073104
関連 項目 [編集 ]
外部 リンク[編集 ]
- Rowland, Todd. "Topological Group". mathworld.wolfram.com (
英語 ). - Weisstein, Eric W. "Continuous Group". mathworld.wolfram.com (
英語 ). - topological group - PlanetMath.(
英語 ) - Hazewinkel, Michiel, ed. (2001), “Topological group”, Encyclopedia of Mathematics, Springer, ISBN 978-1-55608-010-4
- topological group in nLab