原文 げんぶん と比 くら べた結果 けっか 、この記事 きじ には多数 たすう の(または内容 ないよう の大 だい 部分 ぶぶん に影響 えいきょう ある)誤訳 ごやく があることが判明 はんめい しています。情報 じょうほう の利用 りよう には注意 ちゅうい してください。正確 せいかく な表現 ひょうげん に改訳 かいやく できる方 ほう を求 もと めています。
トーラス 上 うえ の点 てん p を始点 してん と終点 しゅうてん にもつループ
数学 すうがく 、特 とく に代数 だいすう トポロジー において、基本 きほん 群 ぐん (きほんぐん、英 えい : fundamental group )とは、ある固定 こてい された点 てん を始点 してん と終点 しゅうてん にもつふたつのループが互 たが いに連続 れんぞく 変形 へんけい 可能 かのう かを測 はか る点 てん 付 つ き位相 いそう 空間 くうかん に付帯 ふたい する群 ぐん である。直観 ちょっかん 的 てき には、それは位相 いそう 空間 くうかん にある穴 あな についての情報 じょうほう を記述 きじゅつ している。基本 きほん 群 ぐん はホモトピー群 ぐん の最初 さいしょ で最 もっと も単純 たんじゅん な例 れい である。基本 きほん 群 ぐん は位相 いそう 不 ふ 変量 へんりょう である。つまり同相 どうしょう な位相 いそう 空間 くうかん は同 おな じ基本 きほん 群 ぐん を持 も っている。
基本 きほん 群 ぐん は被覆 ひふく 空間 くうかん の理論 りろん を用 もち いて研究 けんきゅう することができる。なぜなら、基本 きほん 群 ぐん は元 もと の空間 くうかん に付帯 ふたい する普遍 ふへん 被覆 ひふく 空間 くうかん の被覆 ひふく 変換 へんかん 群 ぐん に一致 いっち するからである。基本 きほん 群 ぐん のアーベル化 か は、その空間 くうかん の第 だい 一 いち ホモロジー群 ぐん と同一 どういつ 視 し することできる。位相 いそう 空間 くうかん が単体 たんたい 複 ふく 体 たい に同相 どうしょう のとき、基本 きほん 群 ぐん は群 ぐん の生成 せいせい 子 こ と関係 かんけい 式 しき のことばで明示 めいじ 的 てき に記述 きじゅつ することができる。
基本 きほん 群 ぐん はアンリ・ポアンカレ によって1895年 ねん に論文 ろんぶん "Analysis situs [1] "で定義 ていぎ された。ベルンハルト・リーマン とポアンカレとフェリックス・クライン の仕事 しごと でリーマン面 めん の理論 りろん において基本 きほん 群 ぐん の概念 がいねん が現 あらわ れた。基本 きほん 群 ぐん は閉曲面 めん の位相 いそう 的 てき な完全 かんぜん な分類 ぶんるい を提供 ていきょう するだけでなく、複素 ふくそ 関数 かんすう のモノドロミー 的 てき 性質 せいしつ の記述 きじゅつ もする。
直感 ちょっかん 的 てき 説明 せつめい [ 編集 へんしゅう ]
空間 くうかん (例 たと えば、曲面 きょくめん )とその中 なか の点 てん があり、この点 てん を始点 してん と終点 しゅうてん とするすべてのループ — この点 てん を始点 してん とし周囲 しゅうい を巡 めぐ り最終 さいしゅう 的 てき に始点 してん に戻 もど ってくる道 みち — を考 かんが える。2つのループは明 あき らかな方法 ほうほう でつなげることができる、すなわち第 だい 一 いち のループに沿 そ って移動 いどう してから、第 だい 二 に のループに沿 そ って移動 いどう する。2つのループは、ループを壊 こわ すことなく一方 いっぽう から他方 たほう へ変形 へんけい できるときに同値 どうち であると考 かんが える。すべてのそのようなループの集合 しゅうごう にこの方法 ほうほう で合成 ごうせい と同値 どうち 関係 かんけい を入 い れたものがその空間 くうかん の基本 きほん 群 ぐん である。
X を位相 いそう 空間 くうかん 、x 0 を X の点 てん とする。x 0 を基点 きてん とするループ と呼 よ ばれる連続 れんぞく 写像 しゃぞう
f
:
[
0
,
1
]
→
X
,
f
(
0
)
=
x
0
=
f
(
1
)
{\displaystyle f\colon [0,1]\to X,\quad f(0)=x_{0}=f(1)}
の集合 しゅうごう に注目 ちゅうもく する。基点 きてん x 0 を持 も つ X の基本 きほん 群 ぐん は、この集合 しゅうごう をホモトピー h で割 わ った集合 しゅうごう
{
f
:
[
0
,
1
]
→
X
:
f
(
0
)
=
x
0
=
f
(
1
)
}
/
h
{\displaystyle \{f\colon [0,1]\to X:f(0)=x_{0}=f(1)\}/h}
に、群 ぐん の乗法 じょうほう を次 つぎ のように与 あた えたものである。
(
f
∗
g
)
(
t
)
=
{
f
(
2
t
)
0
≤
t
≤
1
2
g
(
2
t
−
1
)
1
2
≤
t
≤
1
.
{\displaystyle (f\ast g)(t)={\begin{cases}f(2t)&0\leq t\leq {\tfrac {1}{2}}\\g(2t-1)&{\tfrac {1}{2}}\leq t\leq 1\end{cases}}.}
したがってループ f ∗ g はまずループ f を「2倍 ばい の速度 そくど 」で回 まわ り、次 つぎ にループ g を 2倍 ばい の速度 そくど で回 まわ る。2つのループのホモトピー類 るい [f ] と [g ] の積 せき は、[f ∗ g ] と定義 ていぎ され、この積 せき は代表 だいひょう 元 もと の取 と り方 かた に依 よ らないことを示 しめ すことができる。
x 0 を基点 きてん とするループのすべてのホモトピー類 るい の集合 しゅうごう に上記 じょうき の積 せき を考 かんが えたものが、点 てん x 0 における X の基本 きほん 群 ぐん をなし、この基本 きほん 群 ぐん を
π ぱい
1
(
X
,
x
0
)
,
{\displaystyle \pi _{1}(X,x_{0}),}
あるいは、単 たん に π ぱい (X , x 0 ) と書 か く。単位 たんい 元 もと は基点 きてん に留 と まる定数 ていすう 写像 しゃぞう で、ループ f の逆 ぎゃく 元 もと は g (t ) = f (1 − t ) で定義 ていぎ されるループ g である。すなわち、g は f の逆 ぎゃく 向 む きのループである。
基本 きほん 群 ぐん は一般 いっぱん 的 てき には基点 きてん の選択 せんたく に依存 いぞん しているが、空間 くうかん X が弧状 こじょう 連結 れんけつ である限 かぎ り、同型 どうけい を除 のぞ いて (実 じつ は内部 ないぶ 自己 じこ 同型 どうけい の違 ちが いを除 のぞ いて)、この選択 せんたく は何 なん の差異 さい ももたらさない。したがって弧状 こじょう 連結 れんけつ 空間 くうかん に対 たい し、群 ぐん の同型 どうけい 類 るい (英語 えいご 版 ばん ) だけに興味 きょうみ がある場合 ばあい にはいつでも、曖昧 あいまい さなしで π ぱい 1 (X , x 0 ) の代 か わりに π ぱい 1 (X ) と書 か くことができる。
自明 じめい な基本 きほん 群 ぐん
n 次元 じげん ユークリッド空間 くうかん R n や R n 内 うち の任意 にんい の凸 とつ 集合 しゅうごう に対 たい して、ループのホモトピー類 るい が唯 ただ 一 ひと つあり、したがって基本 きほん 群 ぐん はひとつの元 もと からなる自明 じめい な群 ぐん である。自明 じめい な基本 きほん 群 ぐん を持 も つ弧状 こじょう 連結 れんけつ な空間 くうかん を単 たん 連結 れんけつ 空間 くうかん と呼 よ ぶ。
無限 むげん 巡回 じゅんかい 群 ぐん になる基本 きほん 群 ぐん
例 れい は円 えん であり、各々 おのおの のホモトピー類 るい はある与 あた えられた回数 かいすう (周 しゅう る方向 ほうこう によって正 せい にも負 まけ にもなりうる)円 えん の周 まわ りを周 しゅう ったすべてのループからなる。m 回 かい 巻 ま き付 つ いているループと n 回 かい 巻 ま き付 つ いているループの積 せき は、m + n 回 かい 巻 ま き付 つ いているループとなる。従 したが って、円 えん の基本 きほん 群 ぐん は整数 せいすう の加法 かほう 群 ぐん (Z , +) に同型 どうけい である。この事実 じじつ は、 2次元 じげん のブラウアーの不動点 ふどうてん 定理 ていり やボルスーク・ウラムの定理 ていり (英語 えいご 版 ばん ) の証明 しょうめい に使 つか うことができる。
基本 きほん 群 ぐん はホモトピー不 ふ 変量 へんりょう であるので、複素 ふくそ 平面 へいめん から一 いち 点 てん を除 のぞ いた空間 くうかん の回転 かいてん 数 すう の理論 りろん は、円 えん (の基本 きほん 群 ぐん )と同 おな じとなる。
高次 こうじ ランクの自由 じゆう 群 ぐん
位相 いそう 空間 くうかん に付帯 ふたい するホモロジー群 ぐん や高次 こうじ ホモトピー群 ぐん とは異 こと なり、基本 きほん 群 ぐん は可 か 換 かわ である必要 ひつよう はない。例 たと えば、8の字 じ の基本 きほん 群 ぐん は、2つの生成 せいせい 元 もと から生成 せいせい される自由 じゆう 群 ぐん である。より一般 いっぱん 的 てき に、任意 にんい のグラフ の基本 きほん 群 ぐん は、自由 じゆう 群 ぐん である。グラフ G が連結 れんけつ であれば、自由 じゆう 群 ぐん のランクは全域 ぜんいき 木 き に入 はい っていない辺 あたり の数 かず に等 ひと しい。
n 個 こ の穴 あな のあいた平面 へいめん の基本 きほん 群 ぐん も、n 個 こ の生成 せいせい 子 こ を持 も つ自由 じゆう 群 ぐん で、i 番 ばん 目 め の生成 せいせい 子 こ は i 番 ばん 目 め の穴 あな の周 まわ りを回 まわ り他 ほか のどの穴 あな の周 まわ りも回 まわ らないループの類 るい である。
結 むす び目 め 理論 りろん
非 ひ 可 か 換 かわ 基本 きほん 群 ぐん を持 も つもう少 すこ し複雑 ふくざつ な空間 くうかん の例 れい は、R 3 の中 なか の三 さん 葉 よう 結 むす び目 め の補 ほ 空間 くうかん であり、この場合 ばあい はブレイド群 ぐん
B
3
{\displaystyle B_{3}}
であることが知 し られている。
f : X → Y を連続 れんぞく 写像 しゃぞう とし、x0 ∈ X と y0 ∈ Y は f(x0 ) = y0 とすると、基点 きてん を x0 とする X の任意 にんい のループは、f と 組 く み合 あ わせて y0 を基点 きてん とする Y のループを構成 こうせい することができる。この操作 そうさ は、ホモトピー同値 どうち 関係 かんけい およびループの合成 ごうせい と整合 せいごう 性 せい を持 も っている。得 え られる群 ぐん 準 じゅん 同型 どうけい は、誘導 ゆうどう された準 じゅん 同型 どうけい 写像 しゃぞう (英語 えいご 版 ばん ) と呼 よ ばれ、π ぱい (f) と書 か く。あるいはより一般 いっぱん 的 てき には、
f
∗
:
π ぱい
1
(
X
,
x
0
)
→
π ぱい
1
(
Y
,
y
0
)
.
{\displaystyle f_{*}:\pi _{1}(X,x_{0})\to \pi _{1}(Y,y_{0}).}
とも書 か かれる。この連続 れんぞく 写像 しゃぞう から群 ぐん 準 じゅん 同型 どうけい への写像 しゃぞう は、恒等 こうとう 写像 しゃぞう および写像 しゃぞう の結合 けつごう と整合 せいごう 性 せい を持 も っている。い換 いか えると、(この準 じゅん 同型 どうけい は、)点 てん 付 つ き空間 くうかん の圏 けん から群 ぐん の圏 けん への関 せき 手 しゅ である。
この関 せき 手 しゅ は、基点 きてん と相対 そうたい 的 てき にホモトピック である写像 しゃぞう を区別 くべつ することはできないことが分 わ かる。f, g : X → Y が連続 れんぞく 写像 しゃぞう で、f(x0 ) = g(x0 ) = y0 であり、f と g は {x0 } と相対 そうたい 的 てき にホモトピックであれば、f∗ = g∗ となる。結局 けっきょく 、2つのホモトピー同値 どうち な弧状 こじょう 連結 れんけつ 空間 くうかん は同型 どうけい な基本 きほん 群 ぐん を持 も つ。
X
≃
Y
⟹
π ぱい
1
(
X
,
x
0
)
≅
π ぱい
1
(
Y
,
y
0
)
.
{\displaystyle X\simeq Y\implies \pi _{1}(X,x_{0})\cong \pi _{1}(Y,y_{0}).}
重要 じゅうよう で特別 とくべつ な場合 ばあい として、X が弧状 こじょう 連結 れんけつ であれば、いかなる 2つの異 こと なる基点 きてん も同型 どうけい な基本 きほん 群 ぐん を与 あた え、同型 どうけい は与 あた えられた 2つの基点 きてん の間 あいだ の経路 けいろ を選択 せんたく することで与 あた えられる。
基本 きほん 群 ぐん の関 せき 手 しゅ は、積 せき を群 ぐん の直積 ちょくせき へ、余 よ 積 せき を余 よ 積 せき へ写像 しゃぞう する。すなわち、X と Y が弧状 こじょう 連結 れんけつ であれば、
π ぱい
1
(
X
×
Y
)
≅
π ぱい
1
(
X
)
×
π ぱい
1
(
Y
)
{\displaystyle \pi _{1}(X\times Y)\cong \pi _{1}(X)\times \pi _{1}(Y)}
と
π ぱい
1
(
X
∨
Y
)
≅
π ぱい
1
(
X
)
∗
π ぱい
1
(
Y
)
{\displaystyle \pi _{1}(X\vee Y)\cong \pi _{1}(X)*\pi _{1}(Y)}
が成 な り立 た つ。(後者 こうしゃ の公式 こうしき では、
∨
{\displaystyle \vee }
は位相 いそう 空間 くうかん のウェッジ和 わ を表 あらわ し、* は群 ぐん の自由 じゆう 積 せき を表 あらわ す。)双方 そうほう の公式 こうしき は任意 にんい の積 せき に対 たい して一般 いっぱん 化 か することができる。さらに後者 こうしゃ の式 しき は、ザイフェルト–ファン・カンペンの定理 ていり の特別 とくべつ な場合 ばあい になっている。ここでザイフェルト–ファン・カンペンの定理 ていり は、基本 きほん 群 ぐん の関 せき 手 しゅ が包含 ほうがん 写像 しゃぞう に沿 そ った押 お し出 だ し(英語 えいご 版 ばん ) (pushout)を押 お し出 だ しに写 うつ すという定理 ていり である。
空間 くうかん の積 せき の一般 いっぱん 化 か は、ファイブレーション (英語 えいご 版 ばん ) により与 あた えられる。
F
→
E
→
B
.
{\displaystyle F\to E\to B.}
ここに全 ぜん 空間 くうかん E は、底 そこ 空間 くうかん B とファイバー(fiber) F の「ツイスト (英語 えいご 版 ばん ) した積 せき 」の一種 いっしゅ である。一般 いっぱん に、B, E, F の基本 きほん 群 ぐん は、高次 こうじ ホモトピー群 ぐん を含 ふく むファイブレーションの長 なが 完全 かんぜん 系列 けいれつ の項 こう である。空間 くうかん がすべて連結 れんけつ のとき、この系列 けいれつ は次 つぎ の基本 きほん 群 ぐん についての結果 けっか をもたらす。
F が単 たん 連結 れんけつ であれば、π ぱい 1 (B) と π ぱい 1 (E) は同型 どうけい である。
E が可 か 縮 ちぢみ であれば、π ぱい n+1 (B) と π ぱい n (F) は同型 どうけい である。
後者 こうしゃ の式 しき は、しばしば次 つぎ のような状況 じょうきょう へ応用 おうよう される。E を B の道 みち (位相 いそう 空間 くうかん 論 ろん ) の空間 くうかん 、F を B のループ空間 くうかん (英語 えいご 版 ばん ) とするか、もしくは、B を 位相 いそう 群 ぐん G の分類 ぶんるい 空間 くうかん BG とし、E を普遍 ふへん G-バンドル EG とする。
1次 じ のホモロジー群 ぐん との関係 かんけい [ 編集 へんしゅう ]
位相 いそう 空間 くうかん X の基本 きほん 群 ぐん は、ループは特異 とくい 1-サイクルでもあるので、1次 じ の特異 とくい ホモロジー群 ぐん と関連 かんれん している。基点 きてん を x0 とする各々 おのおの のループのホモトピー類 るい をループのホモロジー類 るい へ写像 しゃぞう することは、基本 きほん 群 ぐん π ぱい 1 (X, x0 ) からホモロジー群 ぐん H1 (X) への準 じゅん 同型 どうけい を与 あた える。X が弧状 こじょう 連結 れんけつ であれば、この準 じゅん 同型 どうけい は全 ぜん 射 い で、その核 かく は、π ぱい 1 (X, x0 ) の交換 こうかん 子 こ 部分 ぶぶん 群 ぐん であり、従 したが って H1 (X) は π ぱい 1 (X, x0 ) のアーベル化 か に同型 どうけい である。これは代数 だいすう トポロジーのフレヴィッツの定理 ていり の特別 とくべつ な場合 ばあい である。
普遍 ふへん 被覆 ひふく 空間 くうかん [ 編集 へんしゅう ]
X が弧状 こじょう 連結 れんけつ な位相 いそう 空間 くうかん であり、局所 きょくしょ 弧状 こじょう 連結 れんけつ で局所 きょくしょ 単 たん 連結 れんけつ であれば、X は単 たん 連結 れんけつ な普遍 ふへん 被覆 ひふく 空間 くうかん を持 も ち、その上 うえ で基本 きほん 群 ぐん π ぱい (X,x0 ) は商 しょう 空間 くうかん X に、被覆 ひふく 変換 へんかん により自由 じゆう に作用 さよう する。この空間 くうかん は、ペア (x, γ がんま ) をとることで、基本 きほん 群 ぐん と同様 どうよう に構成 こうせい することができる。ここに x は X の点 てん であり、γ がんま は x0 から x への道 みち のホモトピー類 るい で、π ぱい (X, x0 ) の作用 さよう は経路 けいろ を足 た すことによる。この空間 くうかん は一意 いちい な被覆 ひふく 空間 くうかん として決 き まる。
円 えん
円 えん S 1 の普遍 ふへん 被覆 ひふく は、直線 ちょくせん R で、S 1 = R /Z を得 え る。よって、任意 にんい の基点 きてん x について、π ぱい 1 (S 1 ,x ) = Z となる。
トーラス
前 まえ の例 れい である 2つの円 えん のカルテシアン積 せき をとることにより、トーラス T = S 1 × S 1 の普遍 ふへん 被覆 ひふく は平面 へいめん R 2 である。T = R 2 /Z 2 を得 え る。このようにして、π ぱい 1 (T,x) = Z 2 が基点 きてん x について成 な り立 た つ。
同様 どうよう にして、n-次元 じげん のトーラスの基本 きほん 群 ぐん は、 Z n となる。
実 じつ 射影 しゃえい 空間 くうかん
n ≥ 1 に対 たい し、n-次元 じげん 実 じつ 射影 しゃえい 空間 くうかん P n (R ) は、n-次元 じげん 球面 きゅうめん S n を中心 ちゅうしん 対称 たいしょう 性 せい で割 わ って P n (R ) = S n /Z 2 求 もと められる。n-球面 きゅうめん S n は n ≥ 2 では単 たん 連結 れんけつ なので、実 じつ 射影 しゃえい 空間 くうかん の普遍 ふへん 被覆 ひふく であることが結論 けつろん づけられる。このようにして、P n (R ) の基本 きほん 群 ぐん は、 n ≥ 2 に対 たい して Z 2 である。
リー群 ぐん
G が連結 れんけつ かつ単 たん 連結 れんけつ なコンパクトリー群 ぐん とする。例 たと えば、G を特殊 とくしゅ ユニタリ群 ぐん SU(n ) とし、Γ がんま を G の有限 ゆうげん 部分 ぶぶん 群 ぐん としよう。すると、等質 とうしつ 空間 くうかん X = G/Γ がんま は基本 きほん 群 ぐん Γ がんま を持 も つ。Γ がんま は右 みぎ から乗法 じょうほう 的 てき に普遍 ふへん 被覆 ひふく 空間 くうかん G の上 うえ に作用 さよう する。この構成 こうせい には多 おお くの種類 しゅるい があるが、最 もっと も重要 じゅうよう な構成 こうせい は局所 きょくしょ 対称 たいしょう 空間 くうかん (英語 えいご 版 ばん )
X
=
Γ がんま
∖
G
/
K
{\displaystyle X=\Gamma \backslash G/K}
である。ここでは、
G は非 ひ コンパクト単 たん 連結 れんけつ 、連結 れんけつ なリー群 ぐん (しばしば、半 はん 単純 たんじゅん )
K は G の極大 きょくだい コンパクト部分 ぶぶん 群 ぐん
Γ がんま は G の離散 りさん かつ可算 かさん なねじれのない 部分 ぶぶん 群 ぐん
が成 な り立 た つ。
この場合 ばあい には、基本 きほん 群 ぐん は Γ がんま であり、普遍 ふへん 被覆 ひふく 空間 くうかん G/K は可 か 縮 ちぢみ である(リー群 ぐん のカルタン分解 ぶんかい (英語 えいご 版 ばん ) による)。
例 れい では、G = SL(2, R ), K = SO(2) で、Γ がんま はモジュラー群 ぐん SL(2, Z ) の任意 にんい のねじれのない合同 ごうどう 部分 ぶぶん 群 ぐん (英語 えいご 版 ばん ) である。
明 あき らかにわかるように、弧状 こじょう 連結 れんけつ な位相 いそう 空間 くうかん である普遍 ふへん 被覆 ひふく 空間 くうかん H が、再 ふたた び、弧状 こじょう 連結 れんけつ な位相 いそう 群 ぐん G である。さらに、被覆 ひふく 写像 しゃぞう は G から H の上 うえ への連続 れんぞく で開 ひらけ 準 じゅん 同型 どうけい であり、核 かく は Γ がんま で、G の閉 と じた離散 りさん 正規 せいき 部分 ぶぶん 群 ぐん である。
1
→
Γ がんま
→
G
→
H
→
1.
{\displaystyle 1\to \Gamma \to G\to H\to 1.}
G は連結 れんけつ 群 ぐん で離散 りさん 群 ぐん Γ がんま 上 うえ の共役 きょうやく により連続 れんぞく 作用 さよう を持 も っているので、自明 じめい に作用 さよう するはずで、従 したが って、Γ がんま は G の中心 ちゅうしん の部分 ぶぶん 群 ぐん となっているはずである。特 とく に、π ぱい 1 (H) = Γ がんま は可 か 換 かわ 群 ぐん で、このことも被覆 ひふく 空間 くうかん を使 つか うことなしに容易 ようい に直接 ちょくせつ わかる。群 ぐん G は H の普遍 ふへん 被覆 ひふく 群 ぐん と呼 よ ばれる。
普遍 ふへん 被覆 ひふく 群 ぐん が示唆 しさ しているように、位相 いそう 群 ぐん の基本 きほん 群 ぐん と群 ぐん の中心 ちゅうしん とは類似 るいじ 関係 かんけい にあり、このことは被覆 ひふく 群 ぐん の束 たば (英語 えいご 版 ばん ) に詳 くわ しく記載 きさい されている。
単体 たんたい 複 ふく 体 たい の辺 あたり ループ群 ぐん [ 編集 へんしゅう ]
連結 れんけつ な単体 たんたい 複 ふく 体 たい X の辺 あたり 道 どう は、X の辺 あたり で繋 つな がれた頂点 ちょうてん の鎖 くさり として定義 ていぎ される。ふたつの辺 あたり 道 どう が辺 あたり 同値 どうち とは、一方 いっぽう の辺 あたり 道 どう が他方 たほう の辺 あたり 道 どう から、その適当 てきとう な辺 あたり を X 内 うち の三角形 さんかっけい の二 ふた つの対辺 たいへん で置 お き換 か える操作 そうさ を連続 れんぞく 的 てき に行 い って得 え られるときに言 い う。X の固定 こてい した頂点 ちょうてん v における辺 あたり ループ とは、v を始点 してん かつ終点 しゅうてん とする辺 あたり 道 どう を言 い う。辺 あたり ループ群 ぐん E (X , v ) は、v における辺 あたり ループの辺 あたり 同値 どうち 類 るい 全体 ぜんたい の成 な す集合 しゅうごう として定義 ていぎ され、積 せき や逆 ぎゃく 元 もと は辺 あたり ループの連接 れんせつ と逆転 ぎゃくてん により定義 ていぎ される。
辺 あたり ループ群 ぐん は X の幾何 きか 学 がく 的 てき 実現 じつげん (英語 えいご 版 ばん ) |X | の基本 きほん 群 ぐん π ぱい 1 (|X |, v ) に自然 しぜん 同型 どうけい となる。辺 あたり ループの各 かく 同値 どうち 類 るい は、X の2-スケルトン (英語 えいご 版 ばん ) X 2 (つまり、X の頂点 ちょうてん 、辺 あたり 、三角形 さんかっけい )にしか依 よ らないから、二 ふた つの群 ぐん π ぱい 1 (|X|, v ) と π ぱい 1 (|X 2 |, v ) は同型 どうけい である。
辺 あたり ループ群 ぐん は生成 せいせい 元 もと と基本 きほん 関係 かんけい を用 もち いて陽 ひ に書 か き表 あらわ せる。T が X の1-スケルトン (英語 えいご 版 ばん ) における極大 きょくだい 全域 ぜんいき 木 き ならば、T に現 あらわ れない X の有向 ゆうこう 辺 べ 道 どう を生成 せいせい 元 もと とし、X 内 うち の三角形 さんかっけい に対応 たいおう する辺 あたり 同値 どうち を基本 きほん 関係 かんけい とする群 ぐん に E (X , v ) は自然 しぜん 同型 どうけい になる。同様 どうよう な結果 けっか は、T を X の任意 にんい の単 たん 連結 れんけつ —特 とく に可 か 縮 ちぢみ な—部分 ぶぶん 複 ふく 体 たい に取 と り換 か えても成立 せいりつ する。これはしばしば、基本 きほん 群 ぐん を計算 けいさん する実用 じつよう 的 てき な方法 ほうほう を与 あた え、また、任意 にんい の有限 ゆうげん 表示 ひょうじ 群 ぐん が有限 ゆうげん 単体 たんたい 複 ふく 体 たい の基本 きほん 群 ぐん として生 しょう じることを示 しめ すための利用 りよう できる。これは(その基本 きほん 群 ぐん によって分類 ぶんるい される)位相 いそう 的 てき 曲面 きょくめん に対 たい して用 もち いられる古典 こてん 的 てき 方法 ほうほう のひとつでもある。
有限 ゆうげん 連結 れんけつ 単体 たんたい 複 ふく 体 たい X の普遍 ふへん 被覆 ひふく 空間 くうかん は、辺 あたり 道 どう を用 もち いて単体 たんたい 複 ふく 体 たい として直接 ちょくせつ に記述 きじゅつ できる。その頂点 ちょうてん は X の頂点 ちょうてん w と v から w への辺 あたり 道 みち の辺 べ 同値 どうち 類 るい γ がんま との順序 じゅんじょ 対 たい (w , γ がんま ) である。(w , γ がんま ) を含 ふく む k -単体 たんたい は自然 しぜん に w を含 ふく む k -単体 たんたい に対応 たいおう する。k -単体 たんたい の別 べつ の頂点 ちょうてん u は辺 あたり wu を、従 したが って連接 れんせつ により v から u への新 あたら しい道 みち γ がんま u を与 あた える。点 てん (w , γ がんま ) および (u , γ がんま u ) は、普遍 ふへん 被覆 ひふく 空間 くうかん へ「送 おく られた」単体 たんたい の頂点 ちょうてん である。辺 あたり ループ群 ぐん は連接 れんせつ により普遍 ふへん 被覆 ひふく 空間 くうかん に自然 しぜん に作用 さよう して、その作用 さよう は普遍 ふへん 被覆 ひふく 空間 くうかん の単体 たんたい 構造 こうぞう を保 たも ち、かつその作用 さよう による普遍 ふへん 被覆 ひふく 空間 くうかん の商 しょう は X にちょうど一致 いっち する。
よく知 し られているように、この方法 ほうほう は任意 にんい の位相 いそう 空間 くうかん の基本 きほん 群 ぐん を計算 けいさん することにも使 つか われる。このことは疑 うたが いなく、エデュアール・チェック (英語 えいご 版 ばん ) とジャン・ルレイ により知 し られていて、明 あき らかには論文 ろんぶん Weil (1960) の中 なか に注意 ちゅうい として記載 きさい されていて、L. Calabi, W-T. Wu や N. Berikashvili といった多 おお くの著者 ちょしゃ により証明 しょうめい が与 あた えられている。被覆 ひふく の中 なか の有限 ゆうげん 個 こ の開 ひらき 集合 しゅうごう の空 そら でない共通 きょうつう 部分 ぶぶん がいつでも可 か 縮 ちぢみ となるような有限 ゆうげん な開 ひらき 被覆 ひふく を持 も つコンパクト空間 くうかん X の最 もっと も単純 たんじゅん なケースでは、基本 きほん 群 ぐん は開 ひらけ 被覆 ひふく の脈 みゃく 体 たい (英語 えいご 版 ばん ) (nerve of the covering)に対応 たいおう する単体 たんたい 複 ふく 体 たい の辺 あたり ループ群 ぐん と同一 どういつ 視 し することができる。
すべての群 ぐん は、2 次元 じげん (もしくはより高 こう 次元 じげん )の連結 れんけつ なCW複 ふく 体 たい として実現 じつげん することができる[2] 。上記 じょうき で注意 ちゅうい したように、自由 じゆう 群 ぐん でさえ、1-次元 じげん のCW複 ふく 体 たい の基本 きほん 群 ぐん として現 あらわ れる(つまりグラフである)。
すべての有限 ゆうげん 表示 ひょうじ された群 ぐん は、4 次元 じげん (もしくは、それ以上 いじょう の高 こう 次元 じげん の)コンパクト な連結 れんけつ 微分 びぶん 可能 かのう 多様 たよう 体 たい の基本 きほん 群 ぐん として実現 じつげん できる。(一方 いっぽう でコンパクトな位相 いそう 多様 たよう 体 たい の基本 きほん 群 ぐん は有限 ゆうげん 表示 ひょうじ されることが証明 しょうめい できる[3] 。)しかし、低 てい 次元 じげん の多様 たよう 体 たい の基本 きほん 群 ぐん として実現 じつげん されるには、厳 きび しい制限 せいげん がある。例 たと えば、ランク 4 もしくはそれ以上 いじょう の自由 じゆう アーベル群 ぐん は、次元 じげん が 3 以下 いか の多様 たよう 体 たい の基本 きほん 群 ぐん としては実現 じつげん できない。
関連 かんれん する概念 がいねん [ 編集 へんしゅう ]
基本 きほん 群 ぐん は、空間 くうかん の 1-次元 じげん の穴 あな の構造 こうぞう を測 はか る。「高 こう 次元 じげん の穴 あな 」の研究 けんきゅう のためには、ホモトピー群 ぐん が使 つか われる。X の n-ホモトピー群 ぐん の元 もと は、S n から X への(基点 きてん を保 たも つ)写像 しゃぞう のホモトピー類 るい である。
特別 とくべつ な基点 きてん を持 も つループの集合 しゅうごう は、ホモトピックなループを同値 どうち と考 かんが えずに研究 けんきゅう される。この大 おお きな対象 たいしょう は、ループ空間 くうかん (英語 えいご 版 ばん ) である。
位相 いそう 群 ぐん では、つなぎ合 あ わせではなく各 かく 点 てん における積 せき によって、ループの集合 しゅうごう に別 べつ の群 ぐん の積 せき を割 わ り当 あ てることもできる。この群 ぐん がループ群 ぐん (英語 えいご 版 ばん ) である。
さらに、ひとつの基点 きてん を選 えら んでホモトピー同値 どうち なループを考 かんが えるのではなく、空間 くうかん の中 なか の「すべて」の道 みち のホモトピー類 るい を考 かんが えることもできる(始点 してん と終点 しゅうてん は固定 こてい する)。これは群 ぐん ではなく、亜 あ 群 ぐん であり、空間 くうかん の基本 きほん 亜 あ 群 ぐん となる。
さらに一般 いっぱん 的 てき に、幾何 きか 学 がく 的 てき な状況 じょうきょう に沿 そ った選択 せんたく をした基点 きてん の集合 しゅうごう A の上 うえ の基本 きほん 亜 あ 群 ぐん を考 かんが えることができて、例 たと えば円周 えんしゅう の場合 ばあい は、共通 きょうつう 部分 ぶぶん が2つの連結 れんけつ 成分 せいぶん を持 も つような、2つの連結 れんけつ 開 ひらけ 集合 しゅうごう の合併 がっぺい として表現 ひょうげん できるので、各 かく 成分 せいぶん の中 なか から1つずつ基点 きてん を選択 せんたく することができる。この理論 りろん が現 あらわ れたのは、Topology and groupoids として現在 げんざい は出版 しゅっぱん されている1968年 ねん と1988年 ねん の版 はん で与 あた えられ、被覆 ひふく 空間 くうかん や軌道 きどう 空間 くうかん と関連 かんれん する考 かんが え方 かた も記載 きさい されている。
出典 しゅってん は列挙 れっきょ するだけでなく、脚注 きゃくちゅう などを用 もち いてどの記述 きじゅつ の情報 じょうほう 源 げん であるかを明記 めいき してください。記事 きじ の信頼 しんらい 性 せい 向上 こうじょう にご協力 きょうりょく をお願 ねが いいたします。(2015年 ねん 7月 がつ )
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