ブラック・クランズマン

ブラック・クランズマン
BlacKkKlansman
第だい71回かいカンヌ国際映画祭かんぬこくさいえいがさいに出席しゅっせきする監督かんとく・主要しゅようキャスト
監督かんとく	スパイク・リー
脚本きゃくほん	スパイク・リー デヴィッド・ラビノウィッツ ケヴィン・ウィルモット チャーリー・ワクテル
原作げんさく	ロン・ストールワース 『ブラック・クランズマン』
製作せいさく	スパイク・リー ジョーダン・ピール ショーン・レディック ショーン・マッキトリック レイモンド・マンスフィールド
出演しゅつえん者しゃ	ジョン・デヴィッド・ワシントン アダム・ドライバー ローラ・ハリアー トファー・グレイス
音楽おんがく	テレンス・ブランチャード
撮影さつえい	チェイス・アーヴィン
編集へんしゅう	バリー・アレクサンダー・ブラウン
製作せいさく会社かいしゃ	レジェンダリー・エンターテインメント パーフェクト・ワールド・ピクチャーズ ブラムハウス・プロダクションズ モンキーパー・プロダクションズ QCエンターテインメント
配給はいきゅう	フォーカス・フィーチャーズ パルコ
公開こうかい	2018年ねん8月がつ10日とおか 2019年ねん3月22日にち
上映じょうえい時間じかん	128分ふん 135分ふん
製作せいさく国こく	アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく
言語げんご	英語えいご
製作せいさく費ひ	$15,000,000
興行こうぎょう収入しゅうにゅう	$93,411,426 1億おく8000万まん円えん

『ブラック・クランズマン』（BlacKkKlansman）は、2018年ねんのアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくの伝記でんき犯罪はんざい映画えいが。監督かんとくはスパイク・リー、出演しゅつえんはジョン・デヴィッド・ワシントンとアダム・ドライバーなど。

ロン・ストールワースが2014年ねんに上梓じょうしした回顧かいこ録ろく『ブラック・クランズマン』（鈴木すずき沓くつ子こ・玉川たまがわ千絵子ちえこ訳わけ、丸屋まるや九きゅう兵衛ひょうえ監修かんしゅう、PARCO出版しゅっぱん、2019年ねん）を原作げんさくとし、実話じつわをもとに警察けいさつと白人はくじん至上しじょう主義しゅぎ団体だんたいの戦たたかいを笑わらいありスリルありで描えがいた社会しゃかい派はの刑事けいじアクションである。

概要がいよう

1970年代ねんだいのアメリカ・コロラド州しゅうコロラドスプリングスで、アフリカ系けいアメリカ人じん（黒人こくじん）初はつの市し警察けいさつ巡査じゅんさとなったロンが、白人はくじん至上しじょう主義しゅぎ団体だんたいクー・クラックス・クランの地方ちほう支部しぶへの潜入せんにゅう捜査そうさに着手ちゃくしゅし、活動かつどう内容ないようや極秘ごくひ計画けいかくを暴あばくまでを描えがく。

映画えいがは、スパイク・リー、ショーン・レディック、ショーン・マッキトリック、ジェイソン・ブラム、ジョーダン・ピールによって製作せいさくされている。映画えいがの制作せいさくにあたって、レディックは原作げんさくを映画えいが化かする権利けんりを買かい取とり、2017年ねん9月がつに、スパイク・リーが監督かんとくに決定けっていした。キャスト陣じんは翌月よくげつ10月がつに決定けっていし、ニューヨーク州しゅうで撮影さつえいが始はじまった。

同どう映画えいがは、2018年ねん5月がつ14日にち、第だい71回かいカンヌ国際映画祭かんぬこくさいえいがさいでカンヌ国際映画祭かんぬこくさいえいがさい 審査しんさ員いん特別とくべつグランプリを受賞じゅしょうし、8月がつ10日とおか、全米ぜんべいで上映じょうえいが開始かいしされた。その日ひは、白人はくじん至上しじょう主義しゅぎ者しゃの極右きょくう集会しゅうかい「ユナイト・ザ・ライト・ラリー」からちょうど1周年しゅうねんの日ひであった。

また同どう作さくは批評ひひょう家かからワシントンとドライバーの演技えんぎや、映画えいがのタイムリーな題材だいざいを賞賛しょうさんされ、長年ながねん賞しょうから遠とおざかっていたリー監督かんとくの復帰ふっき作さくとしても話題わだいとなった。第だい91回かいアカデミー賞しょうで同どう作さくは、作品さくひん賞しょう、監督かんとく賞しょう（リー監督かんとくにとっては初はつ）、助演じょえん男優だんゆう賞しょうを含ふくむ6つの賞しょうにノミネートされ、最終さいしゅう的てきに脚色きゃくしょく賞しょうを受賞じゅしょうした。

AFIはまた、2018年ねんのトップ10映画えいがの1つとして同どう作さくを推薦すいせんし、第だい76回かいゴールデングローブ賞しょうでは作品さくひん賞しょう (ドラマ部門ぶもん)を含ふくむ4つのノミネートを獲得かくとくした。

ストーリー

1972年ねん、ロン・ストールワースはコロラド州しゅうコロラド・スプリングズの警察けいさつ署しょでアフリカ系けいアメリカ人じん（黒人こくじん）として初はじめて警察官けいさつかんに採用さいようされる。警察けいさつ署しょ内ないでも人種じんしゅ差別さべつを経験けいけんしながら、ロンは見習みならい潜入せんにゅう捜査そうさ官かんとして元もとブラック・パンサー党とうのクワメ・トゥーレ（ストークリー・カーマイケル）の演説えんぜつ会かいに派遣はけんされ、地元じもとの黒人こくじん解放かいほう活動かつどう家かパトリスと親交しんこうを深ふかめる。

情報じょうほう部ぶに正式せいしき配属はいぞくされたロンは白人はくじん至上しじょう主義しゅぎ団体だんたいクー・クラックス・クラン（KKK）の新聞しんぶん広告こうこくに電話でんわをかけ、白人はくじんのレイシストを装よそおってKKK支部しぶに入会にゅうかいする。同僚どうりょうのユダヤ系けい警官けいかんフリップ・ジマーマンが潜入せんにゅう担当たんとう、ロンは電話でんわ連絡れんらく担当たんとうとして、二人ふたり一役ひとやくでKKK志願しがん者しゃを演えんじることになる。

白人はくじん訛なまりを使つかいこなすロンと、現場げんばでのトラブルにも動どうじないフリップの演技えんぎは優秀ゆうしゅうで、KKK支部しぶ長ちょうウォルターや全国ぜんこく指導しどう者しゃデビッド・デュークからも信頼しんらいを得えて、次期じき支部しぶ長ちょうに推挙すいきょされるまでになる。過激かげき派は支部しぶ員いんのフェリックスだけが、新入しんいりのロンに懐疑かいぎ的てきな目めを向むけ続つづけ、ロンの正体しょうたいを暴あばこうとする。

そのフェリックスが陸軍りくぐん内うちのシンパから受うけ取とったプラスチック爆薬ばくやくで黒人こくじん殺傷さっしょうを企たくらんでいることを察知さっちしたロンは、自分じぶんが警官けいかんであることを明あかしてパトリスに集会しゅうかいを避さけるよう警告けいこくする。パトリスはロンが身分みぶんを隠かくしていたことをなじる。

パトリス達たちの黒人こくじん集会しゅうかい当日とうじつ、同時どうじにKKK支部しぶでもデュークを迎むかえた集会しゅうかいが開ひらかれる。フリップはKKK支部しぶ員いんロンとして、ロンはデュークを警護けいごする警官けいかんとして、KKK集会しゅうかいに参加さんかする。その裏うらでフェリックスに爆ばく弾だんを託たくされた妻つまコニーは、警戒けいかいが強化きょうかされた黒人こくじん集会しゅうかい場じょうからパトリスの自宅じたくへ標的ひょうてきを変かえる。ロンが駆かけつけたためにパトリスは間一髪かんいっぱつで難なんを逃のがれ、コニーが仕掛しかけ損そこねた爆ばく弾だんでフェリックス一味いちみは爆ばく死ししてしまう。

爆ばく弾だん事件じけんの後のち、ロンたち捜査そうさ班はんは署長しょちょうから慰労いろうとともに捜査そうさを中止ちゅうしさせられる。ロンはデュークに電話でんわをかけて自分じぶんの正体しょうたいをばらし、狼狽ろうばいするデュークを皆みなで嘲笑ちょうしょうして溜飲りゅういんを下さげる。

ある夜よる、仲直なかなおりしたパトリスとロンが警察けいさつを退職たいしょくするかどうかで口論こうろんしていると、何者なにものかが玄関げんかんをノックする。2人ふたりが拳銃けんじゅうを構かまえながら玄関げんかんに向むかうとカメラがズームアウトし、野外やがいで十字架じゅうじかを燃もやす儀式ぎしきを行おこなっているKKKの集団しゅうだんを捉とらえる。2017年ねんバージニア州しゅうシャーロッツヴィルの極右きょくう集会しゅうかいにおける実際じっさいのドキュメンタリー映像えいぞうが次々つぎつぎにカットインされる。デモ隊たいに自家用車じかようしゃが衝突しょうとつし、黒人こくじん男性だんせいが「クソ野郎やろうは俺おれの街まちから出でていけ」と悲痛ひつうに叫さけぶ。轢ひき殺ころされた白人はくじん女性じょせいヘザー・ハイアーの追悼ついとうの場面ばめんが映うつし出だされ、映画えいがが終おわる。

キャスト

※括弧かっこ内ないは日本語にほんご吹替

• ロン・ストールワース刑事けいじ - ジョン・デヴィッド・ワシントン（松田まつだ健一郎けんいちろう）
• フィリップ・"フリップ"・ジマーマン刑事けいじ - アダム・ドライバー（坂さか詰つめ貴之たかゆき）
• デビッド・デューク - トファー・グレイス（橘たちばな潤じゅん二に）
• クワメ・トゥーレ - コーリー・ホーキンズ（橘たちばな潤じゅん二に）
• パトリス・デュマス - ローラ・ハリアー（西島にししま麻あさ紘ひろし）
• ウォルター・ブリーチウェイ - ライアン・エッゴールド（蜂須賀はちすか智さとし隆たかし）
• フェリックス・ケンドリックソン - ヤスペル・ペーコネン（虎島とらじま貴明たかあき）
• アイヴァンホー - ポール・ウォルター・ハウザー（臼木うすき健けん士朗しろう）
• コニー・ケンドリックソン - アシュリー・アトキンソン（杉山すぎやま慈美）
• ボーリガード博士はかせ／ナレーター - アレック・ボールドウィン（臼木うすき健けん士朗しろう）
• ジェローム・ターナー - ハリー・ベラフォンテ
• ブリッジス署長しょちょう - ロバート・ジョン・バーク（大泊おおとまり貴き揮）
• ジャッボ - マムズ・ダ・スキーマー
• オデッタ - ダマリス・ルイス
• トゥレンティーン - イザイア・ウィットロック・Jr

製作せいさく

2015年ねん、ショーン・レディックはロン・ストールワースの自伝じでん『Black Klansman』の映画えいが化か権けんを購入こうにゅうし脚色きゃくしょく作業さぎょうに取とりかかった。2017年ねんにはジェイソン・ブラム率ひきいるブラムハウス・プロダクションズとジョーダン・ピール率ひきいるモンキーパー・プロダクションズが製作せいさくに関与かんよすることになった。9月、スパイク・リーが監督かんとくに起用きようされ、ジョン・デヴィッド・ワシントンが出演しゅつえん交渉こうしょうに臨のぞんでいるとの報道ほうどうがあった。10月25日にち、アダム・ドライバーが本ほん作さくに出演しゅつえんすることになったと報ほうじられた。31日にち、トファー・グレイスとコーリー・ホーキンズの出演しゅつえんが決きまった。11月9日にち、ポール・ウォルター・ハウザーがキャスト入いりした。16日にち、ヤスペル・ペーコネンが本ほん作さくに出演しゅつえんするとの報道ほうどうがあった。17日にち、ライアン・エッゴールドの出演しゅつえんが決きまったと報ほうじられた。12月4日にち、アシュリー・アトキンソンが起用きようされたと報ほうじられた。

撮影さつえい

2017年ねん10月がつ、本ほん作さくの主要しゅよう撮影さつえいがニューヨークで始はじまった。

白人はくじん至上しじょう主義しゅぎ者しゃを演えんじたグレイスは精神せいしん的てきに消耗しょうもうしきり、数すう週間しゅうかんにもわたって深刻しんこくな鬱うつ状態じょうたいに苦くるしむこととなった。グレイスはピーター・ジャクソン監督かんとくの『ホビット』三さん部ぶ作さくを1本ほんの映画えいがに再さい編集へんしゅうするという作業さぎょうを通とおして、徐々じょじょに精神せいしんの安定あんていを回復かいふくすることができたのだという。グレイスは自身じしんの演技えんぎに関かんして「『ブラック・クランズマン』を見みた人ひとの中なかには、私わたしがデュークを好人物こうじんぶつであるかのように演えんじていてけしからんと思おもわれる方ほうが出でるでしょう。しかし、デュークが好人物こうじんぶつに見みえることこそ、彼かれを一層いっそう厄介やっかいな存在そんざいたらしめているものなのです。」と語かたっている。

公開こうかい・興行こうぎょう収入しゅうにゅう

2018年ねん5月がつ14日にち、本ほん作さくは第だい71回かいカンヌ国際映画祭かんぬこくさいえいがさいでプレミア上映じょうえいされた。また、同日どうじつにオフィシャル・トレイラーも公開こうかいされた。6月16日にちにはシドニー映画えいが祭さいでの上映じょうえいが行おこなわれた。本ほん作さくは2018年ねん8月がつ10日とおかに全米ぜんべい公開こうかいされる予定よていだが、これは前年ぜんねんに発生はっせいしたシャーロッツビルでの暴動ぼうどうの1周年しゅうねんにぶつけたものである。

リー監督かんとくはデビッド・デュークとドナルド・トランプにこそ本ほん作さくを鑑賞かんしょうしてほしいという主旨しゅしの発言はつげんをしている。

本ほん作さくは『MEG ザ・モンスター』及および『スレンダーマン 奴やつを見みたら、終おわり』と同おなじ週しゅうに封切ふうぎられ、公開こうかい初はつ週末しゅうまつに1100万まんドル前後ぜんこうを稼かせぎ出だすと予想よそうされていたが、その予想よそうは的中てきちゅうした。2018年ねん8月がつ9日にち、本ほん作さくは全米ぜんべい1512館かんで公開こうかいされ、公開こうかい初はつ週末しゅうまつに1084万まんドルを稼かせぎ出だし、週末しゅうまつ興行こうぎょう収入しゅうにゅうランキング初はつ登場とうじょう5位いとなった。

評価ひょうか

カンヌでの上映じょうえい後ご、10分間ふんかんにもわたるスタンディングオベーションが発生はっせいした。最高さいこう賞しょうであるパルム・ドールの受賞じゅしょうこそ適かなわなかったが、次点じてんに相当そうとうする審査しんさ員いん特別とくべつグランプリに選出せんしゅつされた。

本ほん作さくは批評ひひょう家かから絶賛ぜっさんされている。映画えいが批評ひひょう集積しゅうせきサイトのRotten Tomatoesには44件けんのレビューがあり、批評ひひょう家か支持しじ率りつは95%、平均へいきん点てんは10点てん満点まんてんで7.4点てんとなっている。サイト側がわによる批評ひひょう家かの見解けんかいの要約ようやくは「『ブラック・クランズマン』は史実しじつを利用りようして現代げんだいの出来事できごとを実じつに痛烈つうれつに批評ひひょうしており、全盛期ぜんせいきのスパイク・リー作品さくひんを思おもわせるものが随所ずいしょにある。」となっている。また、Metacriticには17件けんのレビューがあり、加重かじゅう平均へいきん値ちは75/100となっている。なお、本ほん作さくのCinemaScoreはA-となっている。

『ガーディアン』のピーター・ブラッドショーは本ほん作さくに5つ星ほし評価ひょうかで3つ星ほしを与あたえ、「『ブラック・クランズマン』は娯楽ごらく作品さくひんであるが、ジョーダン・ピール監督かんとくが『ゲット・アウト』で垣間見かいまみせたような社会しゃかい風刺ふうしがあり、それによって全体ぜんたいのバランスを見事みごとにとっている。同どう作さくはトランプ政権せいけんの中心ちゅうしんにいる粗野そやな人々ひとびとに対たいする怒いかりに満みちた苛烈かれつな応答おうとうであり、痛快つうかいなしっぺ返がえしでもある」と述のべている。『インディワイアー』のデヴィッド・エーリッヒは本ほん作さくにB+評価ひょうかを下くだし、「愉快ゆかいな作品さくひんである以上いじょうに、ずっと恐おそろしい作品さくひんである」「重苦おもくるしくかつ極きわめて今日きょう性せいの高たかい題材だいざいをワイルドにまとめあげているが、娯楽ごらく作品さくひんでもあるという点てんでは終始しゅうし一貫いっかんしている。」と評ひょうしている。

関連かんれん項目こうもく

• 風ふうと共ともに去さりぬ (映画えいが)
• 國民こくみんの創そう生せい
• ブラックスプロイテーション
• W・E・B・デュボイス
• ジェシー・ワシントンリンチ事件じけん
• en:List of black films of the 2010s - 2010年代ねんだいの黒人こくじんがテーマの映画えいが

外部がいぶリンク

• ウィキメディア・コモンズには、ブラック・クランズマンに関かんするカテゴリがあります。
• 公式こうしきウェブサイト（英語えいご）
• 公式こうしきウェブサイト - ウェイバックマシン（2020年ねん11月2日にちアーカイブ分ぶん）（日本語にほんご）
• ブラック・クランズマン - allcinema
• ブラック・クランズマン - KINENOTE
• BlacKkKlansman - IMDb（英語えいご）
• BlacKkKlansman - Rotten Tomatoes（英語えいご）