1875年にのちに上院議員となるジョン・フェアフィールド・ドライデン(John F. Dryden)によって「プルデンシャル友愛組合」(Prudential friendly society)としてニュージャージー州のニューアークに設立された[1]。当時の生命保険は掛金・保険金とも高額で、一握りの裕福な上流階級の人々が加入しているにすぎなかった。しかし大不況にあえぐ庶民に対しても身の丈にあった保険を展開しようと試みたのである。まず「プルデンシャル」というのがイギリスのプルーデンシャル(現Prudential.plc)の商号を使ったものである。イギリスではゼネラル・アクシデント(現アビバ)やプルーデンシャルが労働者保険を普及させていたが、ドライデンは現地調査をして、週に3セントという非常に安い掛金で加入できる労働者保険をアメリカで初めて販売した。1911年にドライデンは死去し、息子のフォレスト・F・ドライデンが引き継ぎ1922年まで勤めた。プルデンシャルは少数株主による係争などかなりの困難を伴いながら、1915年には実質的に相互会社となった。この改組はリンダベリー(Richard V. Lindabury, 1850-1925)の主導で行われた。リンダベリーは、1905年アームストロング調査のときメットライフとプルデンシャルの両社を代表し、また後のプジョー委員会でジョン・モルガンらを弁護していた[2]。こうしてプルデンシャルの証券投資はモルガン流、あるいはエジソン流になっていった。1928年にはメットライフと他8社を抱きこんだ保険料カルテルを実現した。なお、1926年にフランクリン(Franklin D'Olier)が入社した。
メットライフとの寡占体制は、先のフランクリンが社長をつとめる第二次世界大戦中に巨額の米国債を消化した。戦後の資金需要が住宅ローンや社債へ切りかわり、メットライフとプルデンシャルは新興他社に対応の早さでひけをとって寡占を破られていった。また、1956年にはインド事業を国有化された。補償金は有効に運用された。1950年代中ごろIBMに対する金融に際してはモルガン・ギャランティ・トラスト系列のバンカース・トラスト(現ドイツ銀行)へ急接近、1960年代初期には同行と役員交流をふくむ協力関係を築いた。プルデンシャルは1968年不動産業へ、1970年損害保険業へ参入した[3]。1973年にロバート・A・ベックが12代会長となって、リテール業務をグローバルに展開した[4]。国際保険部門の最高責任者に日本人を起用したこともある。同年、プルデンシャルは再保険を手がけるようになった[3]。1976年イギリスのハンブロ生命を買収し[3]、ユーロ市場に食い込んでいった。その勢いで1973-78年の間にプルデンシャルはカナダで不動産開発を手がけた[3]。1981年、年金基金が不動産投資をするための特別目的事業体を設立した(Property Investment Separate Account)[3]。この同年、証券会社を設立した(Prudential-Bache)。1983年6月27日ベックは議会で、プルデンシャルがノンバンクを保有していなくても連邦預金保険公社がプルデンシャルのマネー・マーケット・ファンドを保護するべきだと豪語した[5]。アメリカ経済が機関化した1980年代、プルデンシャルはエンパイア・ステート・ビルディングを所有したが[6]、証券取引委員会から投資家を詐欺した疑いで罰金を課され、1997年には集団訴訟を提起された。
2001年12月、プルデンシャルは株式会社となってニューヨーク証券取引所に上場した(初値1株27.5ドル)。その後5年の間に株価は一時1株100ドルを突破、自己資本利益率も平均12%に達した。それらの功績を以って、前最高経営責任者(CEO)であるA・ライアン(Arthur F. Ryan)は米国の「機関投資家」誌において生命保険部門における「ベストCEO イン アメリカ」に選ばれている(2005年1月)。2008-9年、ウェルズ・ファーゴとのジョイント・ベンチャーだったリテール・ブローカー業務の持分(38%)をウェルズ・ファーゴに売却し、ウェルズ・ファーゴは45億ドルを払ってワコビアの持分も取得した[3]。
^United States. Congress. Senate. Committee on Banking, Housing, and Urban Affairs, "Financial Services Industry: Oversight : Hearings Before the Committee on Banking, Housing, and Urban Affairs, United States Senate, Ninety-eighth Congress, First Session, on Problems, Options, and Issues Currently Facing the Financial Services Industry and the Agencies that Regulate and Supervise These Entities", Part 2, U.S. Government Printing Office, 1983, "Why should some financial intermediaries have FDIC coverage and not others? Has FDIC coverage been extended beyond its original purpose? Why should may company have to acquire a nonbank in order to get FDIC coverage for our money-market funds so we compete on equal footing with banks? What should FDIC coverage really be used for?"