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ボイルの法則ほうそく

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

ボイルの法則ほうそく(ボイルのほうそく、えい: Boyle's law[1])とは、一定いってい温度おんどしたでの気体きたい体積たいせき圧力あつりょく反比例はんぴれいすることを主張しゅちょうする法則ほうそくであり、充分じゅうぶん圧力あつりょくひく領域りょういきにおいて近似きんじ法則ほうそくである[1]。 この法則ほうそく1662ねんロバート・ボイルによりしめされた[1]。ボイルとは独立どくりつ1676ねんエドム・マリオットさい発見はっけんしており[2]マリオットの法則ほうそく、あるいはボイル=マリオットの法則ほうそくともばれる[2]

概要がいよう

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温度おんど T圧力あつりょく p平衡へいこう状態じょうたいにある理想りそう気体きたい体積たいせき V

あるいは

あらわされる。一定いってい温度おんどしたでは体積たいせき圧力あつりょくせき一定いっていとなる[1]。 すなわち、温度おんど同一どういつふたつの状態じょうたい1、2について

つ。

理想りそう気体きたいたいしてはすべての圧力あつりょく領域りょういきぎゃく比例ひれい関係かんけいつが、実在じつざい気体きたいでは圧力あつりょくたか領域りょういきではこの関係かんけいからはずれる。 しかし、充分じゅうぶん圧力あつりょくひく領域りょういきにおいて近似きんじてきつ。これは極限きょくげんもちいて

あらわされる。

理想りそう気体きたいではその分子ぶんし自身じしんおおきさや分子ぶんしあいだりょくがないものとしてかんがえているが、実在じつざい気体きたいではそれらの影響えいきょう完全かんぜんには無視むしできないからである。またボイルの法則ほうそくでは、気体きたい温度おんど一定いってい圧力あつりょくげればいくらでも体積たいせきちいさくなることをしめしているが、実際じっさいにはそのようなことはありえない。実際じっさい気体きたいではある程度ていど圧力あつりょくえると気体きたい凝縮ぎょうしゅくあるいはしこりはなすることで、液体えきたい固体こたいになってしまい、もはや気体きたい性質せいしつたないからである。

ボイル温度おんど

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実在じつざい気体きたいにおけるボイルの法則ほうそくからのずれを圧力あつりょく pべき級数きゅうすう

いたとき、いち補正ほせいこうB(TB) = 0 となる温度おんど TBボイル温度おんどばれる。

このべき級数きゅうすう圧縮あっしゅく因子いんし

とあらわされる。ボイル温度おんどでは B(TB) = 0 だから

であり、圧力あつりょくが0にちかづくとき、圧縮あっしゅく因子いんし温度おんどよりはやく1にちかづく。そのため、ボイル温度おんどにおいては、よりたか圧力あつりょく領域りょういきまでボイルの法則ほうそくによる近似きんじ適用てきようできる。 気体きたいのいくつかの物理ぶつりてき性質せいしつ圧縮あっしゅく因子いんしいちかい微分びぶん依存いぞんする。そのため一般いっぱん温度おんどでは圧力あつりょくを0にちかづけても、気体きたい性質せいしつ完全かんぜんには理想りそう気体きたいのものとは一致いっちしない。ボイル温度おんどでは、圧力あつりょくが0にちかいときのいちかい微分びぶん係数けいすう理想りそう気体きたいのものとおなじ1になり、実在じつざい気体きたい性質せいしつ理想りそう気体きたい完全かんぜん一致いっちする。

ボイル温度おんど[3]
気体きたい TB/K
ヘリウム 22.64
アルゴン 411.5
クリプトン 575.0
水素すいそ 110.0
窒素ちっそ 327.2
酸素さんそ 405.9

脚注きゃくちゅう

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参考さんこう文献ぶんけん

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  • P.W. Atkins『物理ぶつり化学かがくじょう千原ちはら秀昭ひであき中村なかむらわたるおとこやくだい6はん)、東京とうきょう化学かがく同人どうじん、2001ねんISBN 4-8079-0529-5 
  • P.W. Atkins, J.Paula『物理ぶつり化学かがくじょうちゅう野元のもとひろし上田うえだ貴洋たかひろ奥村おくむら光隆みつたか北河きたがわ康隆やすたか やくだい10はん)、東京とうきょう化学かがく同人どうじん、2017ねんISBN 978-4-8079-0908-7 
  • Boyle, Robert、1662、『New Experiments Physico-Mechanical, Touching the Air: Whereunto is Added A Defence of the Authors Explication of the Experiments, Against the Obiections of Franciscus Linus and Thomas Hobbes』オックスフォード、H. Hall for T. Robinson、OCLC 7490728
  • Power, Henry、1663、『Experimental Philosophy, in three Books: containing New Experiments, Microsopical, Mercurial, Magnetical. With some Deductions, and Probable Hypotheses, raised from them, in Avouchment and Illustration of the now famous Atomical Hypothesis』ロンドン、New Hall near Hallifax、刻字こくじ1661ねん8がつ1日刊にっかんじつ刊行かんこう1663ねん、1664年刊ねんかんNCID BA14200941 NCID BB1113613X

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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