マヌエル・プイグ

マヌエル・プイグ Manuel Puig
1969年ねん
誕生たんじょう	1932年ねん12月28日にち アルゼンチン、ヘネラル・ビジェーガス
死没しぼつ	(1990-07-22) 1990年ねん7月がつ22日にち（57歳さい没ぼつ） メキシコ、クエルナバカ
職業しょくぎょう	小説しょうせつ家か
国籍こくせき	アルゼンチン
ジャンル	ラテンアメリカ文学ぶんがく
代表だいひょう作さく	『リタ・ヘイワースの背信はいしん』 『赤あかい唇くちびる』 『ブエノスアイレス事件じけん』 『蜘蛛くも女おんなのキス』 『このページを読よむ者ものに永遠えいえんの呪まじないあれ』
ウィキポータル 文学ぶんがく

マヌエル・プイグ（Manuel Puig、1932年ねん12月28日にち - 1990年ねん7月がつ22日にち）は、アルゼンチンの作家さっか。主おもな作品さくひんに『リタ・ヘイワースの背信はいしん』『赤あかい唇くちびる』『ブエノスアイレス事件じけん』『蜘蛛くも女おんなのキス』『このページを読よむ者ものに永遠えいえんの呪まじないあれ』など。

経歴けいれき

ブエノスアイレス州しゅうヘネラル・ビジェーガスで生うまれる。5歳さいのころから映画館えいがかん通がよいをする少年しょうねんで、グレタ・ガルボ、リタ・ヘイワースなどのハリウッドスターに憧あこがれる少年しょうねん時代じだいを過すごす。1945年ねん、首都しゅとブエノスアイレスの寄宿きしゅく学校がっこうで学まなび、大学だいがくでは外国がいこく語ご、哲学てつがくの学習がくしゅうに励はげんだ。1956年ねん、奨学しょうがく金きんを得えてイタリアへ留学りゅうがく。ローマのチネチッタで映画えいが監督かんとく・脚本きゃくほん家かをめざし、ヴィットリオ・デ・シーカ、ルネ・クレマンの元もとで助監督じょかんとくを務つとめたが挫折ざせつし、小説しょうせつ家かに転てんじる。

1963年ねん、ブロードウェイミュージカルを学まなぶためにニューヨークに渡わたり、処女しょじょ長篇ちょうへん『リタ・ヘイワースの背信はいしん』を書かきあげる。「ポップアート初はつの文学ぶんがく的てき成果せいか」として、同書どうしょが一躍いちやく脚光きゃっこうを浴あび、帰国きこく後ご発表はっぴょうした『赤あかい唇くちびる』（1969年ねん）『ブエノスアイレス事件じけん』（1973年ねん）がベストセラーとなる。

1973年ねんにフアン・ペロン復権ふっけんによるコーポラティズム体制たいせい化かにより亡命ぼうめいを余儀よぎなくされ、アメリカ、メキシコ、ブラジル等ひとしを転々てんてんとしつつ、『蜘蛛くも女おんなのキス』（1976年ねん）、『天使てんしの恥部ちぶ』（1979年ねん）、『このページを読よむ者ものに永遠えいえんの呪まじないあれ』（1980年ねん）、『南国なんごくに日ひは落おちて』（1988年ねん）などの作品さくひんを次々つぎつぎと発表はっぴょう。1990年ねんに来日らいにち後ご、メキシコのクエルナバカでエイズにより亡なくなる。

巧たくみなストーリーテリングと現代げんだい的てきな主題しゅだいで、ラテンアメリカ圏けんで幅広はばひろい人気にんきを持もつ作家さっかである。登場とうじょう人物じんぶつの対話たいわや独白どくはく、日記にっき、手紙てがみなどのをコラージュする映像えいぞう的てき手法しゅほう、映画えいがや歌謡かよう曲きょくなどのサブカルチャーを洗練せんれんされた形かたちで取とり入いれる手法しゅほうが特徴とくちょうである。

来日らいにち

『蜘蛛くも女おんなのキス』映画えいが化かのころに、来日らいにちして村上むらかみ龍りゅうのインタビューを受うけたこともある。金井かない美恵子みえこの『目白めじろ雑録ざつろく2』の「正月しょうがつ日記にっき」によると、来日らいにちの主しゅたる理由りゆうは、小津おつ安あん二郎じろうと成瀬なるせ巳喜男みきおのビデオを入手にゅうしゅすることであったという。しかし、成瀬なるせのものはほとんど入手にゅうしゅできなかったらしい。

作品さくひん

小説しょうせつ

• 『リタ・ヘイワースの背信はいしん』La traición de Rita Hayworth [1968] （Betrayed by Rita Hayworth）内田うちだ吉彦よしひこ訳わけ 国書刊行会こくしょかんこうかい 〈ラテンアメリカ文学ぶんがく選集せんしゅう〉1980年ねん（新装しんそう版ばん 2012年ねん）
• 『赤あかい唇くちびる』Boquitas Pintadas [1973] （Heartbreak Tango）野谷のや文昭ふみあき訳わけ 集英社しゅうえいしゃギャラリー「世界せかいの文学ぶんがく」 1990年ねん（集英社しゅうえいしゃ文庫ぶんこ ラテンアメリカの文学ぶんがく 1994年ねん）
• 『ブエノスアイレス事件じけん』The Buenos Aires Affair [1973] 鼓つづみ直じき訳わけ　白水しろみず社しゃ、1982年ねん（白水しろみずUブックス 1984年ねん）
• 『蜘蛛くも女おんなのキス』El beso de la mujer araña [1976] （Kiss of the Spiderwoman）野谷のや文昭ふみあき訳やく 集英社しゅうえいしゃ ラテンアメリカの文学ぶんがく 1983年ねん（集英社しゅうえいしゃ文庫ぶんこ 1988年ねん、改訂かいてい新版しんぱん 2011年ねん）
• 『天使てんしの恥部ちぶ』Pubis angelical [1979] 安藤あんどう哲あきら行ぎょう訳わけ　国書刊行会こくしょかんこうかい、1989年ねん（改訂かいてい新版しんぱん、白水しろみずUブックス 2017年ねん）
• 『このページを読よむ者ものに永遠えいえんの呪まじないあれ』Maldición eterna a quien lea estas páginas [1980] （Eternal Curse on the Reader of These Pages）木村きむら栄一えいいち訳わけ 現代げんだい企画きかく室しつ ラテンアメリカ文学ぶんがく選集せんしゅう1990年ねん
• El amor de la sangre correspondida [1982] （Blood of Unrequited Love）
• 『南国なんごくに日ひは落おちて』Cae la noche tropical [1988] （Tropical Night Falling） 野谷のや文昭ふみあき訳やく 集英社しゅうえいしゃ 1996年ねん　
• 『グレタ・ガルボの眼め』Gli occhi di Greta Garbo [1991] 堤つつみ康徳やすのり訳わけ 青土おうづち社しゃ 1999年ねん　

戯曲ぎきょく

• 『星ほしのマントの下したで』Bajo un manto de estrellas [1983] （Under a Mantle of Stars）
• 『蜘蛛くも女おんなのキス』El beso de la mujer araña [1983] （Kiss of the Spiderwoman）
• 『ティファーナの思おもい出で』La cara del villano | Recuerdo de Tijuana [1985]
• 『薔薇ばらの花束はなたばの秘密ひみつ』El misterio del ramo de rosas [1988] （Mystery of the Rose Bouquet）

その他た

• 自宅じたくに膨大ぼうだいな映画えいがのビデオ・コレクションを所有しょゆうしていたことでも知しられる。
• 『ブエノスアイレス事件じけん』は、ウォン・カーウァイ監督かんとくが映画えいが『ブエノスアイレス』を撮とるきっかけとなった。

関連かんれん項目こうもく

• 対話たいわ体たい小説しょうせつ

• "Manuel Puig: Una aproximación biográfica". Una biografía multimedia en formato CD-ROM. Investigación, entrevistas y compilación a cargo de Gerd Tepass. ISBN 978-987-05-4332-9.