ヨハン・クリストフ・フリードリヒ・バッハ

ヨハン・クリストフ・フリードリヒ・バッハ

ヨハン・クリストフ・フリードリヒ・バッハ（Johann Christoph Friedrich Bach, 1732年ねん6月21日にち ライプツィヒ - 1795年ねん1月がつ26日にち ビュッケブルク）は、ドイツ前ぜん古典こてん派は音楽おんがくの作曲さっきょく家か。ヨハン・ゼバスティアン・バッハとアンナ・マクダレーナの第だい9子しで、下したから数かぞえて2番目ばんめの息子むすこにあたる。活動かつどう地ちに言及げんきゅうして「ビュッケブルクのバッハ」とも呼よばれる。

生涯しょうがい

父親ちちおやから音楽おんがくを学まなび、ライプツィヒ聖ひじりトーマス教会きょうかいの附属ふぞく学校がっこうに学まなぶ。ライプツィヒ大学だいがくで法学ほうがくを学まなんだと信しんじられているが、その証拠しょうこは存在そんざいしない。父親ちちおやの死しに先立さきだつ1750年ねん1月がつに、ヴィルヘルム・フォン・シャウムブルク＝リッペ伯爵はくしゃくのビュッケブルクの宮廷きゅうていに、チェンバロ奏者そうしゃとして雇やとわれ、経済けいざい的てきに自立じりつ。1759年ねんにはコンサートマスターの地位ちいに昇のぼった。同地どうちではヨハン・ゴットフリート・ヘルダーと親交しんこうを結むすび、その歌詞かしによってカンタータを作曲さっきょくした。

息子むすこヴィルヘルム・フリードリヒ・エルンスト・バッハは、後のちに作曲さっきょく家かとして、バッハ一族いちぞくの音楽おんがく伝統でんとうの掉尾ちょうびを飾かざることとなった。なおピーター・シックリーの冗談じょうだん音楽おんがくシリーズP. D. Q. バッハは、ヨハン・クリストフ・フリードリヒの「今いまでは忘わすれられた息子むすこ」という設定せっていになっているが、このような息子むすこが実在じつざいしたわけではない。

作品さくひんと評価ひょうか

才能さいのうの突出とっしゅつしたバッハの息子むすこたちの中なかにあって、ヨハン・クリストフ・フリードリヒ・バッハは、同どう時代じだいから積極せっきょく的てきな評価ひょうかはなされていなかった。1793年ねんのカール・フリードリヒ・クラーマー(Carl Friedrich Cramer)の証言しょうげんによると「大だいバッハには息子むすこが3人にんいる。クリスティアン、カール・フィリップ・エマヌエル、そしてフリーデマンだ。（ビュッケブルクに4人にん目めがいるが私わたしはその中なかに数かぞえたくない。はっきり言いうと「バッハ的てきなるもの」がないのだから。）」

ヨハン・クリストフ・フリードリヒ・バッハの作品さくひんは、必かならずしも他たの兄弟きょうだいと同おなじような歴史れきし的てき意義いぎが認みとめられるわけではない。しかしながら職人しょくにん気質きしつの作曲さっきょく家かとして精励せいれい勤勉きんべんなだけでなく、外的がいてき環境かんきょうや時代じだいの趣味しゅみに対応たいおうしてゆける柔軟じゅうなんさや器用きようさも備そなえていた。

初期しょきには父ちちバッハの構築こうちく的てきな作風さくふうの、中期ちゅうきには次兄じけいカール・フィリップ・エマヌエルの衝動しょうどう的てきで多感たかんな作風さくふうの影響えいきょうが見みられるが、また同時どうじにヴィルヘルム伯爵はくしゃくのイタリア音楽おんがくびいきのために、宮廷きゅうていで出逢であったさまざまなイタリア人じん音楽家おんがくかについて、同どう時代じだいのイタリア音楽おんがくの趣味しゅみを学まなんでいる。1778年ねんに息子むすこヴィルヘルム・フリードリヒ・エルンストを連つれて弟おとうとヨハン・クリスティアンをロンドンに訪たずねてからは、弟おとうとと、弟おとうとから教おしえられたモーツァルトの影響えいきょうが表あらわれるようになった。後年こうねんの作風さくふうはハイドンに近ちかい。

残のこされた作品さくひんには、14の交響曲こうきょうきょくや8曲きょくのピアノ協奏曲きょうそうきょく、室内楽しつないがく曲きょくのほか、鍵盤けんばん楽器がっきのためのソナタ、オラトリオやモテットなどの宗教しゅうきょう曲きょく、歌曲かきょく、舞台ぶたい音楽おんがくなどがある。

主おもな作品さくひん

交響曲こうきょうきょく

• 交響こうきょう曲きょく第だい1番ばん ヘ長調ちょうちょう　Sinfonia No.1
• 交響こうきょう曲きょく第だい2番ばん 変へんロ長調ちょうちょう　Sinfonia No.2
• 交響こうきょう曲きょく第だい3番ばん ニ短調たんちょう　Sinfonia No.3
• 交響こうきょう曲きょく第だい4番ばん ホ長調ちょうちょう　Sinfonia No.4
• 交響こうきょう曲きょく第だい6番ばん ハ長調ちょうちょう　Sinfonia No.6
• 交響こうきょう曲きょく第だい10番ばん 変へんホ長調ちょうちょう　Sinfonia No.10
• 交響こうきょう曲きょく第だい20番ばん 変へんロ長調ちょうちょう　Sinfonia No.20

室内楽しつないがく曲きょく

• 六ろく重奏じゅうそう曲きょく ハ長調ちょうちょう　Sextett
• 6つの四重奏しじゅうそう曲きょく　6 Quartetti （1768年ねん、ハンブルクで出版しゅっぱん）
• 三重奏さんじゅうそう曲きょく ハ長調ちょうちょう　Trio
• 6つのソナタ　6 Sonaten（1777年ねん・リガで出版しゅっぱん）

クラヴィア曲きょく

• 4手てのためのソナタ イ長調いちょうちょう　Sonate für Cembalo zu 4 Hände（2楽章がくしょう）
• 4手てのためのソナタ ハ長調ちょうちょう　Sonate für Cembalo zu 4 Hände（3楽章がくしょう）
• 6つの易やさしいソナタ　6 Leichte Sonaten（1785年ねん、ライプツィヒで出版しゅっぱん）
• 3つの易やさしいソナタ　3 Leichte Sonaten（1789年ねん、リンテルンで出版しゅっぱん）
• 「ああ、お母かあさん聞きいてください（きらきら星ほし）」による変奏曲へんそうきょく Variationen über "Ah, vous dirai-je, mamam"
• 前奏ぜんそう曲きょく ホ短調たんちょう　Präludium　
• フゲッタ ハ長調ちょうちょう　Fughette über H.C.F.B.(Hans Christoph Friedrich Bückeburg) B-A-C-H
• ポロネーズ　Polonaise
• アダージョ　Adagio
• メヌエットとアレグロ　Minuetto e allegro

オラトリオ

• ラザロの復活ふっかつ　Die Auferweckung Lazarus　（J.G.ヘルダーの詞し、1773年ねん）
• イエスの少年しょうねん時代じだい　Die Kindheit Jesu　（J.G.ヘルダーの詞し）

モテット

• 我がは臥ふして眠ねむる　Ich liege und schlafe
• 目覚めざめよ、と呼よぶ声こえあり　Wachet auf! ruft uns Stimme

独唱どくしょうカンタータ

• アメリカの女おんなたち　Die Amerikanerin　（1776年ねん、リガで出版しゅっぱん）

外部がいぶリンク

• ヨハン・クリストフ・フリードリヒ・バッハの楽譜がくふ - 国際こくさい楽譜がくふライブラリープロジェクト