ラミーヌ・ディアック

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ラミーヌ・ディアック
Lamine Diack
2012ねん撮影さつえい
生誕せいたん (1933-06-07) 1933ねん6月7にち
セネガル ダカール
死没しぼつ (2021-12-03) 2021ねん12月3にち(88さいぼつ
国籍こくせき セネガルの旗 セネガル
肩書かたが 国際こくさい陸上りくじょう競技きょうぎ連盟れんめい (IAAF)会長かいちょう
任期にんき 1999-2015
前任ぜんにんしゃ プリモ・ネビオロ
後任こうにんしゃ セバスチャン・コー
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2011ねんおこなわれたIAAF世界せかい最優秀さいゆうしゅう選手せんしゅしょう表彰ひょうしょうしきにて。ひだりからディアック、ウサイン・ボルトサリー・ピアソンアルベール2せい

ラミーヌ・ディアック(Lamine Diack、1933ねん6月7にち - 2021ねん12月3にち)は、セネガルもと陸上りくじょう競技きょうぎ選手せんしゅ。セネガルの首都しゅとダカール出身しゅっしん国際こくさい陸上りくじょう競技きょうぎ連盟れんめいげんワールドアスレティックスだい5だい会長かいちょうもと国際こくさいオリンピック委員いいんかい(IOC)委員いいんラミン・ディアックラミーヌ・ディアクなどとも表記ひょうきされる。

人物じんぶつ[編集へんしゅう]

フランス語ふらんすごけんであるセネガルの首都しゅとダカール出身しゅっしん。ディアックは1950年代ねんだい後半こうはん走幅跳はしりはばとび選手せんしゅとして活躍かつやくした。1958ねんフランス選手権せんしゅけん優勝ゆうしょう、1957ねんから1960ねんまでフランス記録きろく西にしアフリカ記録きろく保持ほじしていた。

1973ねんから2003ねんまでアフリカ陸上りくじょう競技きょうぎ連盟れんめい会長かいちょう、1978ねんから1980ねんまでダカール市長しちょう、1983ねんから1993ねんまでセネガル議会ぎかい下院かいんだいいちふく議長ぎちょう、1995ねんから2001ねんまでセネガル水道すいどう公社こうしゃ (Société Nationale des Eaux du Senegal, "SONES") CEOをつとめた。1999ねん11月から2015ねん8がつまで国際こくさい陸連りくれん(IAAF)会長かいちょうつとめる。

ディアックは経営けいえい破綻はたんしたスポーツマーケティング企業きぎょうISLしゃからの収賄しゅうわい疑惑ぎわくかんして、IOC倫理りんり委員いいんかいから1年間ねんかん調査ちょうさけた[2]調査ちょうさ結果けっか、1993ねんに3かいにわたって合計ごうけい3まんUSドルと3まんスイス・フランっていたことが判明はんめい。IOCはディアックが「利益りえき相反あいはん状況じょうきょうにあった」とひょうした[3]。ディアックは自宅じたく全焼ぜんしょうしたのち支持しじしゃからかねっただけだと主張しゅちょうした[3]収賄しゅうわい当時とうじいま国際こくさいオリンピック委員いいんかい(IOC)委員いいんではなかったディアックは2011ねんにIOCから警告けいこく処分しょぶんけた[3]

2015ねん8がつ、IAAF会長かいちょう辞職じしょく同年どうねん11がつ焦点しょうてんとなっているケニアロシアドーピング問題もんだいで、ロシアの問題もんだいかかわる収賄しゅうわいマネーローンダリング容疑ようぎにより、フランスの司法しほう当局とうきょく国家こっか金融きんゆう検察庁けんさつちょう, fr)より、捜査そうさおこなわれていることが発表はっぴょうされ[4]、IOC委員いいん辞職じしょく

五輪ごりん招致しょうちめぐ汚職おしょく[編集へんしゅう]

もとJOC職員しょくいん春日かすが良一りょういちによれば、IOCトーマス・バッハ会長かいちょうは、五輪ごりん改革かいかくかかげ、招致しょうち活動かつどうにおける利害りがい関係かんけいしゃによる贈収賄ぞうしゅうわい厳禁げんきんとするなど不正ふせい根絶こんぜつにこだわっていた。とくにラミーヌ・ディアックと電通でんつう高橋たかはし治之はるゆき汚職おしょく体質たいしつけ、日本にっぽんオリンピック委員いいんかい(JOC)にたいしては高橋たかはしを2020東京とうきょう五輪ごりん組織そしき理事りじからはずすよう提言ていげんしていたとされ、ディアックにたいしては2015ねん11月にIOCからすで事実じじつじょう追放ついほうしていた[5]。2019ねん3がつには、フランス金融きんゆう検察庁けんさつちょうより、ディアックらにたいする東京とうきょう五輪ごりん招致しょうちめぐ贈賄ぞうわい容疑ようぎ捜査そうさをうけていた竹田たけだ恆和つねかずがIOC委員いいん辞職じしょくした(ないし追放ついほうされた)。

竹田たけだ恆和つねかず理事りじちょうつとめていた2020ねん東京とうきょうオリパラ招致しょうち委員いいんかいは、2013ねん7がつ・10月、電通でんつうから紹介しょうかいされた、ディアックの息子むすこ関係かんけいするシンガポールのコンサルタント会社かいしゃブラック・タイディングス(BT)しゃに、けい2800まんシンガポールドル(やく2おく2000まんえん<あるいは2おく4800まんえんとも>、やく200まんあめりかドル)の「コンサルタントりょう」を送金そうきんしたことが発覚はっかくした[6]

これに先立さきだ2016ねんリオ五輪ごりんパラ大会たいかい招致しょうちめぐり、当時とうじのリオ大会たいかい組織そしき会長かいちょうカルロス・ヌズマンは、200まんあめりかドルでディアックにリオへの投票とうひょう依頼いらいした贈賄ぞうわい容疑ようぎで2021ねん、ブラジル連邦れんぽう裁判所さいばんしょ禁錮きんこ30ねん11かげつ有罪ゆうざい判決はんけつをうけた。また、リオしゅうもと知事ちじ買収ばいしゅう資金しきん提供ていきょうしたつみ有罪ゆうざい判決はんけつをうけた。東京とうきょう大会たいかい招致しょうち支払しはらった「コンサルタントりょう」と、このリオ大会たいかいのディアック買収ばいしゅうがくがおよそ200まんドルとほぼ同額どうがくである。
竹田たけだ恆和つねかずはBTしゃとの契約けいやくかんしてみずからのかかわりを否定ひていし、ディアックといがあった高橋たかはし治之はるゆきは、金銭きんせん授受じゅじゅについてとく言及げんきゅうしていない[6]

2019ねん5がつ、フランス金融きんゆう検察庁けんさつちょうにより起訴きそされる。多額たがく賄賂わいろえにロシアの組織そしきてきなドーピングを隠蔽いんぺいしたとして、2020ねんにフランスの裁判所さいばんしょ禁錮きんこ4ねん(うち2ねん執行しっこう猶予ゆうよ)、罰金ばっきん50まんユーロの有罪ゆうざい判決はんけつをいいわたされた[7]。2021ねん12月3にち死去しきょ[7]

親族しんぞく[編集へんしゅう]

息子むすこに、東京とうきょう五輪ごりん汚職おしょく問題もんだいかおをだす国際こくさい陸連りくれんげん世界せかい陸連りくれん)コンサルタントだったパパマッサタ・ディアック(Papa Massata Diack)がいる[8][9]

日本にっぽんとの関係かんけい[編集へんしゅう]

  • ディアック国際こくさい陸上りくじょう競技きょうぎ連盟れんめい(IAAF)会長かいちょうとして、IAAFと株式会社かぶしきがいしゃ東京放送とうきょうほうそうホールディングス(Tokyo Broadcasting System Holdings, Inc.)のパートナーシップ契約けいやく延長えんちょうしている[10]
  • 電通でんつうは、世界せかい陸上りくじょうふく国際こくさい陸上りくじょう競技きょうぎ連盟れんめい(IAAF)主催しゅさい大会たいかいの2010ねん〜2019ねんまでのぜん世界せかい独占どくせんマーケティングけんおよ放送ほうそうけん取得しゅとく[11]
  • 電通でんつう本社ほんしゃ東京とうきょうみなと社長しゃちょう石井いしいただし)は上述じょうじゅつのように、国際こくさい陸上りくじょう競技きょうぎ連盟れんめい(IAAF)が2010ねんから2019ねんまでに主催しゅさいする大会たいかいぜん世界せかいにおけるマーケティングけんおよびインターネットをふく放送ほうそうけん欧州おうしゅう放送ほうそう連合れんごう地域ちいきにおける放送ほうそうけんのぞく)をすでに取得しゅとくしているが、2020ねんから2029ねんまでのどう権利けんりについても、継続けいぞくして取得しゅとくすることでIAAFと合意ごうい。これにより電通でんつうは、2001ねんからIAAF主催しゅさい大会たいかいのマーケティングけんおよび放送ほうそうけんを29年間ねんかんにわたって取得しゅとくしたことになる[12]

脚注きゃくちゅう出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ ふつ司法しほう当局とうきょく竹田たけだJOC会長かいちょう本格ほんかく捜査そうさ贈賄ぞうわい容疑ようぎ 現地げんち報道ほうどう. 産経新聞さんけいしんぶん. (2019ねん1がつ11にち). https://www.sankei.com/article/20190111-IEBIPRRE2NNN3C2UXZ53NVA7NE/?outputType=theme_tokyo2020 2019ねん1がつ11にち閲覧えつらん 
  2. ^ IAAF president Lamine Diack laughs off bribery investigation The Guardian (2011-11-11). 2013ねん11月2にち閲覧えつらん
  3. ^ a b c Hayatou, Diack escape serious punishment over ISL payments Reuters (2011-12-08). 2013ねん11月2にち閲覧えつらん
  4. ^ 国際こくさい陸連りくれんぜん会長かいちょう捜査そうさ、ドーピングがらみで収賄しゅうわい AFP
  5. ^ 春日かすが良一りょういち (2022ねん9がつ7にち). “特別とくべつ寄稿きこう】IOCバッハ会長かいちょうは8ねんまえ高橋たかはし治之はるゆきもと理事りじの“追放ついほう”を組織そしきもとめていた”. 日刊にっかんゲンダイDIGITAL. 2022ねん9がつ7にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2022ねん9がつ22にち閲覧えつらん
  6. ^ a b 後藤ごとう逸郎いつお (2022ねん8がつ30にち). “賄賂わいろやリベートがたりまえ世界せかい逮捕たいほしゃまでまれた「五輪ごりんビジネス」に、なぜ血税けつぜい投入とうにゅうされるのか権益けんえきシステムの透明とうめいまで、札幌さっぽろ五輪ごりん招致しょうちはやめるべき”. PRESIDENT Online. p. 4. 2022ねん10がつ30にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2022ねん10がつ29にち閲覧えつらん
  7. ^ a b 世界せかい陸連りくれんぜん会長かいちょう、ディアック死去しきょ 88さい. AFP通信つうしん. (2023ねん2がつ15にち). https://www.afpbb.com/articles/amp/3379150 2023ねん2がつ18にち閲覧えつらん 
  8. ^ 国際こくさい陸連りくれん内部ないぶ腐敗ふはいにメス 波紋はもんひろがるロシア薬物やくぶつ問題もんだい 日本経済新聞にほんけいざいしんぶん
  9. ^ 東京とうきょうオリンピックのコンサルティング会社かいしゃがIOC委員いいん息子むすこに370,000ドルを支払しはら ARAB NEWS JAPAN
  10. ^ IAAF AND TOKYO BROADCASTING SYSTEM EXTEND PARTNERSHIP
  11. ^ [1] 電通でんつう
  12. ^ [2][3][4]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

先代せんだい
プリモ・ネビオロ
国際こくさい陸上りくじょう競技きょうぎ連盟れんめい会長かいちょう
1999ねん - 2015
次代じだい
セバスチャン・コー