レームス・フォン・ヴォイルシュ

ヴォイルシュ

マルティン・ヴィルヘルム・レームス・フォン・ヴォイルシュ（Martin Wilhelm Remus von Woyrsch、1847年ねん2月がつ4日にち–1920年ねん8月がつ6日にち）は、ドイツの軍人ぐんじん、政治せいじ家か。ドイツ帝国ていこく最後さいごの元帥げんすい。その他たプロイセン王国おうこく貴族きぞく院いん議員ぎいんやヨハネ騎士きし団だん名誉めいよ団長だんちょうを務つとめた。

来歴らいれき

南みなみボヘミア地方ちほうに由来ゆらいし、トロッパウに1500年ねん頃ごろに住すみ着ついた貴族きぞくの家系かけいに、シレジア地方ちほうブラスラウ近郊きんこうのピルスニッツ荘園しょうえんで生うまれた。名前なまえの一部いちぶ「レームス」は代々だいだい受うけ継つがれてきた洗礼せんれい名めいである。父親ちちおやカール・ヴィルヘルムはプロイセン王国おうこく枢密すうみつ顧問こもん官かんで、同国どうこく貴族きぞく院いん議員ぎいんやヨハネ騎士きし団だん員いんでもあった。ヴォイルシュは1873年ねんにプロイセン王国おうこく森林しんりん管理かんり長官ちょうかんの娘むすめと結婚けっこんした。ナチス・ドイツで警察けいさつ大将たいしょうとなったウード・フォン・ヴォイルシュは従兄弟いとこにあたる。

ブレスラウでアビトゥーアに合格ごうかくした後のち、1866年ねん4月がつに第だい1ポツダム近衛このえ擲弾兵へい連隊れんたいに入営にゅうえいした。入営にゅうえいから8週間しゅうかんで普ひろし墺おう戦争せんそうに従軍じゅうぐん。近衛このえ連隊れんたいの士官しかん候補こうほ生せいとして参加さんかしたケーニヒグレーツの戦たたかいで、重傷じゅうしょうを負おって倒たおれていたアントン王子おうじを救助きゅうじょした。ヴォイルシュが王子おうじの切断せつだんされた膝ひざに応急おうきゅう処置しょちのため包帯ほうたいを巻まいているところを二に人にんともオーストリア帝国ていこく軍ぐんの捕虜ほりょとなった。瀕死ひんしの王子おうじが無駄むだな流血りゅうけつを避さけるため抵抗ていこうを拒否きょひしたためであった。この様子ようすはのちに戦勝せんしょう記念きねん塔とう (ベルリン)に銅板どうばんレリーフに表現ひょうげんされている。

普ひろし仏ふつ戦争せんそうではグラヴェロットの戦たたかいで負傷ふしょうし、鉄てつ十じゅう字じ章しょうを受章じゅしょうした。第だい1近衛このえ兵へい連隊れんたいの中隊ちゅうたい長ちょうに任命にんめいされ、のちにドイツ皇帝こうていとなるヴィルヘルム王子おうじの直じき率りつの部下ぶかとなった。陸軍りくぐん大学だいがくで学まなぶこと無なく大だい参謀さんぼう本部ほんぶに配属はいぞくされた。1901年ねんに師団しだん長ちょうに任命にんめいされ、1911年ねんに退役たいえきするまで故郷こきょうの部隊ぶたいに勤務きんむし、第だいVI軍ぐん団長だんちょうが最後さいごの職務しょくむだった。

ヴォイルシュ

ところが1914年ねん8月がつに第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせんが勃発ぼっぱつしたため、歩兵ほへい大将たいしょうとして現役げんえき復帰ふっきした。ヴィスワ川がわまで進撃しんげきしてオーストリア＝ハンガリー軍ぐんの左翼さよくを支ささえ、ロシア軍ぐんからシレジアを防衛ぼうえいした。三さん日間にちかんにわたったタルナウカの戦たたかいでは後備こうび軍団ぐんだんを率ひきいてロシア軍ぐんの攻撃こうげきを支ささえ、オーストリア軍ぐんの退却たいきゃくを援護えんごした。この戦たたかいについてサンクトペテルブルクの新聞しんぶんは「この戦たたかいでのプロイセン軍ぐんの小規模しょうきぼな後備こうび兵へいの活躍かつやくが、オーストリア全ぜん軍ぐんの殲滅せんめつを妨害ぼうがいした」と報ほうじている。ヴォイルシュの軍団ぐんだんはパウル・フォン・ヒンデンブルク率ひきいる第だい9軍ぐんに編入へんにゅうされた。1915年ねん7月がつにはロシア軍ぐんの戦線せんせんを突破とっぱした。また1916年ねんのブルシーロフ攻勢こうせいをよく防ふせいだため、1917年ねん末まつに元帥げんすいに列れっせられた。

第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせん後ごは故郷こきょうピルスニッツの居館きょかんに隠棲いんせいし、1920年ねんに73歳さいで死去しきょした。ピルスニッツはかつてフリードリヒ大王だいおうが1741年ねんのオーストリア継承けいしょう戦争せんそうの際さいに司令しれい部ぶを置おいた地ちでもあった。ブラスラウ市し名誉めいよ市民しみん、ナイセ市し名誉めいよ市民しみん、名誉めいよ哲学てつがく博士はかせ号ごう、黒くろ鷲わし勲章くんしょう、プール・ル・メリット勲章くんしょう（1914年ねん）など受章じゅしょう多数たすう。

文献ぶんけん

• Bruno Clemenz: Generalfeldmarschall von Woyrsch und seine Schlesier - Eigenhändige Auszüge aus seinem Kriegstagebuch. Carl Flemming, Berlin 1919.