ンゴロンゴロ保全ほぜん地域ちいき

ンゴロンゴロ保全ほぜん地域ちいき （タンザニア）
ンゴロンゴロクレーターにいる動物どうぶつの群むれ
英名えいめい	Ngorongoro Conservation Area
仏ふつ名めい	Zone de conservation de Ngorongoro
面積めんせき	809,440 ha
登録とうろく区分くぶん	複ふく合あい遺産いさん
IUCN分類ぶんるい	VI（資源しげん保護ほご地域ちいき）
登録とうろく基準きじゅん	(4), (7), (8), (9), (10)
登録とうろく年ねん	1979年ねん
拡張かくちょう年ねん	2010年ねん
備考びこう	過去かこに危機きき遺産いさん登録とうろく（1984年ねん - 1989年ねん）
公式こうしきサイト	世界せかい遺産いさんセンター（英語えいご）
地図ちず
使用しよう方法ほうほう・表示ひょうじ

Ngorongoro Conservation Area
IUCNカテゴリVI（資源しげん保護ほご地域ちいき）
地域ちいき	タンザニア北部ほくぶ
最寄もより	アルーシャ
座標ざひょう	南緯なんい3度ど12分ふん32秒びょう 東経とうけい35度ど27分ふん46秒びょう
面積めんせき	8288 km2
創立そうりつ日び	1959年ねん
世界せかい遺産いさん	1979年ねん

ンゴロンゴロ保全ほぜん地域ちいき（ンゴロンゴロほぜんちいき、英えい: Ngorongoro Conservation Area）は、タンザニア北部ほくぶの自然しぜん保護ほご地域ちいきの1つである。ンゴロンゴロ保全ほぜん地域ちいきは主おもにアルーシャ州しゅうに属ぞくしており、州都しゅうとアルーシャからは西にしへ180km程ほどである。なお、北西ほくせいのセレンゲティ国立こくりつ公園こうえんに隣接りんせつし、西にしのマスワ禁猟きんりょう区くと隣接りんせつし、南西なんせい端はしにはエヤシ湖こが有ある。

火山かざん性せい地形ちけい

ここの「ンゴロンゴロ」とは、マサイ語ごで「大おおきな穴あな」を意味いみする。その名なの通とおり、ンゴロンゴロ地域ちいきにはンゴロンゴロ・オルモティ・エンパカーイと呼よばれる3つの火口かこうが並ならび、これら活動かつどうを停止ていしした火口かこうも含ふくめ、9つの火山かざんが分布ぶんぷする。

ンゴロンゴロクレーター

有名ゆうめいな「ンゴロンゴロクレーター」は、隕石いんせき衝突しょうとつによってできたクレーターではなく、300万まん年ねん前まえに出来できた火山かざん噴火ふんか跡あとのカルデラを指さし、その外輪山がいりんざんの大おおきさは南北なんぼく16km、東西とうざい19km程ほどである。なお、ンゴロンゴロクレーターの内部ないぶには、湖みずうみや湿地しっちも存在そんざいする。ンゴロンゴロの外輪山がいりんざんの標高ひょうこうは約やく2400mで、カルデラ内部ないぶの平野へいやの標高ひょうこうは約やく1800m程度ていどである。このようにカルデラのサイズに比ひして、高低こうてい差さが存在そんざいし、外輪山がいりんざんは非常ひじょうに急峻きゅうしゅんである。

このためカルデラ内部ないぶから、外部がいぶへと歩あるいて出でるためには大変たいへんな労力ろうりょくを要ようするので、このカルデラ内ないに生息せいそくする大型おおがた陸上りくじょう動物どうぶつのほとんどは、敢あえてカルデラから外そとへ出でず、周囲しゅういとは隔離かくり度どの高たかい生態せいたい系けいが形成けいせいされた。しかしながら、キリンやインパラ以外いがいの東ひがしアフリカのサバンナに生息せいそくする動物どうぶつは、ほぼカルデラ内ないにも棲息せいそくしている。

ンゴロンゴロ・クレーターのパノラマ写真しゃしん

オルドバイ渓谷けいこく

人類じんるい発祥はっしょうの地ちと目めされるオルドバイ渓谷けいこくは、ンゴロンゴロクレーターの西にしに位置いちする。

ユネスコ世界せかいジオパーク

2018年ねんにオルドイニョ・レンガイ、オルドヴァイ渓谷けいこく、ラエトリ、ンゴロンゴロクレーターなど一帯いったいがユネスコ世界せかいジオパークに指定していされる。

生物せいぶつ圏けん保護ほご区く

セレンゲティ国立こくりつ公園こうえんと合あわせた地域ちいきに150万まん頭とうのヌー、90万まん頭とうのトムソンガゼル、30万まん頭とうのシマウマ、そしてグラントガゼル、アフリカスイギュウ、クロサイなどの有ゆう蹄類とライオン、ヒョウ、チーター、ジャッカル（キンイロジャッカル、ヨコスジジャッカル）、リカオン、アフリカゴールデンキャットなどの捕食ほしょく者しゃが生息せいそくしているため、1981年ねんにセレンゲティ国立こくりつ公園こうえんと共ともに生物せいぶつ圏けん保護ほご区くに登録とうろくされた。

開発かいはつ

ンゴロンゴロ地域ちいきには、18世紀せいき前後ぜんこうに移住いじゅうしてきたマサイ族ぞくが暮くらしており、2000年代ねんだいにおいて約やく4万まん2000人にんが牧畜ぼくちくを営いとなんでいる。このためタンザニア政府せいふは、敢あえてンゴロンゴロ地域ちいきを国立こくりつ公園こうえんには指定していせず、保全ほぜん地域ちいきとして管理かんりしている。

また、ンゴロンゴロ保全ほぜん地域ちいきには幹線かんせん道路どうろが、南東なんとうから北西ほくせいへと抜ぬけている。

世界せかい遺産いさん

ンゴロンゴロ保全ほぜん地域ちいきは、1979年ねんに自然しぜん遺産いさんとして世界せかい遺産いさんリストに登録とうろくされた。しかし、1984年ねんに危機きき遺産いさんとされた。それでも、2010年ねんには複ふく合あい遺産いさんとしての拡大かくだい登録とうろくが認みとめられた。

登録とうろく基準きじゅん

この世界せかい遺産いさんは世界せかい遺産いさん登録とうろく基準きじゅんのうち、以下いかの条件じょうけんを満みたし、登録とうろくされた（以下いかの基準きじゅんは世界せかい遺産いさんセンター公表こうひょうの登録とうろく基準きじゅんからの翻訳ほんやく、引用いんようである）。

• (4) 人類じんるいの歴史れきし上じょう重要じゅうような時代じだいを例証れいしょうする建築けんちく様式ようしき、建築けんちく物ぶつ群ぐん、技術ぎじゅつの集積しゅうせきまたは景観けいかんの優すぐれた例れい。
• (7) ひときわすぐれた自然しぜん美び及および美的びてきな重要じゅうよう性せいをもつ最高さいこうの自然しぜん現象げんしょうまたは地域ちいきを含ふくむもの。
• (8) 地球ちきゅうの歴史れきし上じょうの主要しゅような段階だんかいを示しめす顕著けんちょな見本みほんであるもの。これには生物せいぶつの記録きろく、地形ちけいの発達はったつにおける重要じゅうような地学ちがく的てき進行しんこう過程かてい、重要じゅうような地形ちけい的てき特性とくせい、自然しぜん地理ちり的てき特性とくせいなどが含ふくまれる。
• (9) 陸上りくじょう、淡水たんすい、沿岸えんがんおよび海洋かいよう生態せいたい系けいと動植物どうしょくぶつ群集ぐんしゅうの進化しんかと発達はったつにおいて進行しんこうしつつある重要じゅうような生態せいたい学がく的てき、生物せいぶつ学がく的てきプロセスを示しめす顕著けんちょな見本みほんであるもの。
• (10) 生物せいぶつ多様たよう性せいの本来ほんらい的てき保全ほぜんにとって、もっとも重要じゅうようかつ意義いぎ深ふかい自然しぜん生息せいそく地ちを含ふくんでいるもの。これには科学かがく上じょうまたは保全ほぜん上じょうの観点かんてんから、すぐれて普遍ふへん的てき価値かちを持もつ絶滅ぜつめつの恐おそれのある種しゅの生息せいそく地ちなどが含ふくまれる。