出典 しゅってん : フリー百科 ひゃっか 事典 じてん 『ウィキペディア(Wikipedia)』
乳酸 にゅうさん 性 せい 閾値 (にゅうさんせいいきち、英 えい : lactate threshold, LT )もしくは無 む 酸 さん 素性 すじょう 作業 さぎょう 閾値 (AT )[1] もしくは lactate inflection point(LIP)とは、乳酸 にゅうさん が血液 けつえき 中 なか に急激 きゅうげき に貯 た まり始 はじ める運動 うんどう 強度 きょうど のこと。
運動 うんどう 強度 きょうど を上 あ げると血液 けつえき が酸性 さんせい 化 か するには2つ理由 りゆう がある。高 たか いATP 加水 かすい 分解 ぶんかい レートが筋肉 きんにく 中 なか に水素 すいそ イオン を放出 ほうしゅつ し、モノカルボン酸 さん 輸送 ゆそう 体 たい と共 とも に筋肉 きんにく から血液 けつえき に放出 ほうしゅつ され、また、炭酸 たんさん 水素 すいそ 塩 しお が血液 けつえき 中 ちゅう に蓄積 ちくせき されるからである。コリ回路 かいろ を参照 さんしょう 。この現象 げんしょう は乳酸 にゅうさん が代謝 たいしゃ されるよりも速 はや い速度 そくど で生成 せいせい されるときに生 しょう じる。運動 うんどう 強度 きょうど がLT以下 いか の場合 ばあい 、筋肉 きんにく で作 つく られた乳酸 にゅうさん は蓄積 ちくせき されることなく除去 じょきょ される。
運動 うんどう 強度 きょうど を上 あ げると、血液 けつえき 中 ちゅう の乳酸 にゅうさん 濃度 のうど は無 む 酸 さん 素性 すじょう 作業 さぎょう 閾値(AT)もしくは血 ち 中 ちゅう 乳酸 にゅうさん 蓄積 ちくせき 開始 かいし 点 てん (OBLA )に到達 とうたつ する。また、血 ち 中 ちゅう 乳酸 にゅうさん 蓄積 ちくせき 開始 かいし 点 てん は血 ち 中 ちゅう 乳酸 にゅうさん 濃度 のうど が4mmol/Lに達 たっ した点 てん のことである。
乳酸 にゅうさん 性 せい 閾値は持久 じきゅう 力 りょく 競技 きょうぎ (長距離 ちょうきょり 走 はし 、自転車 じてんしゃ 、水泳 すいえい 、クロスカントリースキーなど)の運動 うんどう 強度 きょうど を決 き めるのに便利 べんり な指標 しひょう である。しかし、個人 こじん 個人 こじん に差 さ があるうえ、トレーニングにより変化 へんか する。インターバルトレーニング により、一時 いちじ 的 てき に乳酸 にゅうさん 性 せい 閾値を超 こ え、回復 かいふく 時 じ に乳酸 にゅうさん 性 せい 閾値以下 いか に下 さ げることができる。
乳酸 にゅうさん 性 せい 閾値の運動 うんどう 強度 きょうど は、最大 さいだい 酸素 さんそ 摂取 せっしゅ 量 りょう の計測 けいそく (クーパーテスト の12分間 ふんかん 走 はし など)で行 おこな われる最大 さいだい 心拍 しんぱく 数 すう 近 ちか くの運動 うんどう 強度 きょうど よりも軽 かる い。ジャック・ダニエルズによると50〜60分間 ふんかん 走 はし にあたる[2] 。
乳酸 にゅうさん 性 せい 閾値の計測 けいそく [ 編集 へんしゅう ]
正確 せいかく に乳酸 にゅうさん 値 ち を計測 けいそく するには徐々 じょじょ に運動 うんどう 強度 きょうど を上 あ げながら血液 けつえき を採取 さいしゅ する必要 ひつよう がある。吸気 きゅうき ガスを計測 けいそく することにより非 ひ 侵 おかせ 襲 かさね 的 てき に計測 けいそく することもできる。これは換気 かんき 性 せい 作業 さぎょう 閾値 (VT)と呼 よ ばれる。
乳酸 にゅうさん 性 せい 閾値は乳酸 にゅうさん 値 ち の蓄積 ちくせき が開始 かいし される点 てん として定義 ていぎ されているものの、乳酸 にゅうさん 値 ち が 4mmol/ℓ に到達 とうたつ する点 てん を乳酸 にゅうさん 性 せい 閾値の値 ね として利用 りよう する計測 けいそく 者 しゃ もいる。安静 あんせい 時 じ は約 やく 1mmol/ℓである。
有 ゆう 酸 さん 素性 すじょう 作業 さぎょう 閾値[ 編集 へんしゅう ]
有 ゆう 酸 さん 素性 すじょう 作業 さぎょう 閾値 (AeT )とは、無 む 酸 さん 素性 すじょう エネルギー経路 けいろ が動 うご き始 はじ め、乳酸 にゅうさん 値 ち が 2mmol/ℓ に到達 とうたつ する運動 うんどう 強度 きょうど のこと。無 む 酸 さん 素性 すじょう 作業 さぎょう 閾値よりも心拍 しんぱく 数 すう は20〜40低 ひく く、最大 さいだい 心拍 しんぱく 数 すう の65%程度 ていど 。名前 なまえ から推測 すいそく されるように、無 む 酸 さん 素性 すじょう エネルギー系 けい は ATP を作 つく るのに酸素 さんそ を利用 りよう せずに、グリコーゲン やグルコース を使用 しよう する。乳酸 にゅうさん は筋肉 きんにく を動 うご かすのに必要 ひつよう な ATP を作 つく る際 さい の嫌気 いやけ 性 せい 代謝 たいしゃ の副産物 ふくさんぶつ である。
^ Naimark A., Wasserman K., McIlroy Mb. Continuous measurement of ventilatory exchange ratio exercise. J Appl Physiol 1964; 19: 644-652.
^ Daniels' Running Formula ISBN 978-1450431835