無む酸素さんそ運動うんどう

無む酸素さんそ運動うんどう（むさんそうんどう、Anaerobics）とは、有ゆう酸素さんそ運動うんどうでない運動うんどうである。以下いかの2種類しゅるいを含ふくむ。

• 乳酸にゅうさん系けい - 解かい糖とう系けいにより、グリコーゲンを酸素さんそを使つかわずに乳酸にゅうさんに分解ぶんかいし、エネルギーを生成せいせいさせる。陸上りくじょう競技きょうぎのロングスプリントと言いわれる400メートル競走きょうそうや中距離ちゅうきょり走はしは主おもにこれをエネルギー源げんとする。
• 非ひ乳酸にゅうさん系けい - クレアチンリン酸さんの分解ぶんかいによりADPからの無む酸素さんそ的てきなATPの生成せいせいに使つかわれ、ATPをエネルギー源げんとする瞬発しゅんぱつ力りょく。陸上りくじょう競技きょうぎの100メートル競走きょうそうは、主おもにこれをエネルギー源げんとする。

詳細しょうさいは有ゆう酸素さんそ運動うんどうを参照さんしょう。

持続じぞく時間じかん

最大さいだいの運動うんどう強度きょうどで、運動うんどうの持続じぞく時間じかんは非ひ乳酸にゅうさん系けいは8秒びょうくらい、乳酸にゅうさん系けいは33秒びょうくらいである。

ただし、運動うんどう負荷ふかを落おとすと、乳酸にゅうさん系けいは2時じ間あいだ半はんくらい持続じぞくする。無む酸素さんそ運動うんどうと有ゆう酸素さんそ運動うんどうが混まじった運動うんどうになる。そこからさらに負荷ふかを落おとすと有ゆう酸素さんそ運動うんどうのみとなる。

フルマラソンにおいては、トップ選手せんしゅは2時じ間あいだ半はんを切きるので、無む酸素さんそ運動うんどうの比重ひじゅうが大おおきいが、市民しみんランナーの平均へいきんは4時じ間あいだ半はんくらいなので、有ゆう酸素さんそ運動うんどうの比重ひじゅうが大おおきく、トップと市民しみんランナーで運動うんどう形態けいたいが異ことなる。それに対たいして、トライアスロンは、オリンピックディスタンスにおいては、トップが1時じ間あいだ50分ふんくらいで、市民しみんアスリートでも2時じ間あいだ半はんを切きれる人ひとが多数たすう出でるくらいの距離きょり設計せっけいになっていて、トップと市民しみんアスリートで運動うんどう形態けいたいが近ちかくなるように工夫くふうされている。また、トライアスロンのアイアンマンにおいては、トップでも市民しみんアスリートでも有ゆう酸素さんそ運動うんどうが大半たいはんを占しめるように非常ひじょうに長ながい距離きょりとなっている。このほか、50km競歩きょうほや自転車じてんしゃロードレースはトップ選手せんしゅでも競技きょうぎ時間じかんが非常ひじょうに長ながく、有ゆう酸素さんそ運動うんどうの占しめる割合わりあいが多おおい。

運動うんどう強度きょうどと脂肪しぼうとグリコーゲンの燃焼ねんしょう比率ひりつ

解かい糖とう系けいによるATP合成ごうせいはTCA回路かいろによるATP 合成ごうせいの約やく100 倍ばいの速度そくどを持もつ。このため、激はげしい無む酸素さんそ運動うんどうなどでは解かい糖とう系けいによるATP合成ごうせいが活発かっぱつになる。

安静あんせい時じや強度きょうどの低ひくい運動うんどう時じには脂肪しぼうの方ほうが糖とうよりも多おおく使つかわれている。血糖けっとうやグリコーゲンは利用りようしやすいが貯蔵ちょぞう量りょうは多おおくはないので安静あんせい時じなどではあまり多おおくは使つかわれず、強度きょうどの高たかい運動うんどう時じなどに糖とうが優先ゆうせん的てきに使つかわれるようになる。運動うんどう強度きょうどが低ひくい場合ばあいには脂肪しぼうとグリコーゲンの燃焼ねんしょう比率ひりつは1:1であるが、運動うんどう強度きょうどが高たかまるに従したがって脂肪しぼうよりもグリコーゲンの燃焼ねんしょう比率ひりつが高たかまる。

トレーニング方法ほうほう

LTトレーニング

乳酸にゅうさん耐たい性せいを高たかめるためのトレーニングである。 乳酸にゅうさんが急激きゅうげきに増ふえ始はじめる、LT2の負荷ふかにて行おこなう。 心拍しんぱく数すうによる運動うんどう強度きょうどは75%HRRくらいである。 ハーフマラソンくらいのペースである。

陸上りくじょう競技きょうぎの場合ばあいは、1600m～3000mの距離きょりでインターバルトレーニングを行おこない、合計ごうけい9km以下いかで行おこなう。 インターバル間あいだは、運動うんどう時間じかんの25%程度ていどの有ゆう酸素さんそ運動うんどうを行おこなう。

ロングインターバルトレーニング

最大さいだい酸素さんそ摂取せっしゅ量りょう(VO2max)を高たかめるためのトレーニングである。 心拍しんぱく数すうによる運動うんどう強度きょうどは85%HRR以上いじょうで行おこなう。5000メートル競走きょうそうくらいのペースである。

2分ふん～5分ふんくらいのインターバルで、回数かいすうは5回かい前後ぜんこう。 インターバル間あいだは、運動うんどう時間じかんの50%～100%程度ていどの有ゆう酸素さんそ運動うんどうを行おこなう。

ショートインターバルトレーニング

「高こう強度きょうどインターバルトレーニング」も参照さんしょう

30秒びょう～2分ふんくらいのインターバルで行おこなう。水泳すいえいや陸上りくじょう競技きょうぎの中距離ちゅうきょり走はしのトレーニング方法ほうほうとして一般いっぱん的てきである。

例たとえば、陸上りくじょう競技きょうぎの場合ばあい、200m走はし＋200mジョギングを10セット繰くり返かえす。

ジョギングではなく、完全かんぜん休養きゅうようにするのをレペティションという。 しかし、つなぎを有ゆう酸素さんそ運動うんどうにしておく練習れんしゅうの方ほうが陸上りくじょう競技きょうぎでは多おおい。 水泳すいえいでは、レペティションが多おおい。

ショートショートインターバルトレーニング

5秒びょう～15秒びょうくらいのインターバルで行おこなう。ATP-CP系けいによる、瞬発しゅんぱつ力りょくを鍛きたえる。

注意ちゅうい事項じこう

無む酸素さんそ運動うんどうと言いうが、これは本当ほんとうに酸素さんそを取とり入いれない（呼吸こきゅうをしない）でする運動うんどうという意味いみではなく、あくまでも運動うんどうの強度きょうどが高たかいために酸素さんそを使つかうことができず結果けっかとして酸素さんそを必要ひつようとしないでできる運動うんどうのことである。

関連かんれん項目こうもく

• 運動うんどう療法りょうほう
• 心拍しんぱく数すう
• スポーツ