仙台せんだい味噌みそ

仙台せんだい味噌みそ（せんだいみそ）は、仙台せんだい藩はん初代しょだい藩主はんしゅ伊達だて政まさし宗むねが仙台せんだい城下じょうかに設置せっちした御ご塩しお噌蔵（おえんそぐら）と呼よばれる味噌みそ醸造じょうぞう所しょで作つくらせた味噌みそにならって製造せいぞうされている味噌みそのこと。米べい麹こうじと大豆だいずでつくられており、辛口からくちの赤味噌あかみそである。風味ふうみ高たかく、そのまま食たべる事こともできるため「なめみそ」とも呼よばれる。

材料ざいりょうや製法せいほうに対たいする名称めいしょうであるため、仙台せんだい城下町じょうかまち（現在げんざいの仙台せんだい市し都心としん部ぶ）以外いがいで作つくられたものも仙台せんだい味噌みそと呼よぶ。2022年ねん現在げんざいは、仙台せんだい市しを中心ちゅうしんに宮城みやぎ県けんで主おもに生産せいさんされている。

現代げんだいでは宮城みやぎ県けん味噌みそ醤油じょうゆ工業こうぎょう協同きょうどう組合くみあいに加盟かめいし宮城みやぎ県内けんないで基準きじゅんに沿そって製造せいぞうされた味噌みそのみが「仙台せんだい味噌みそ」として販売はんばいできる。組合くみあいでは昭和しょうわ27年ねんから仙台せんだい味噌みそと醤油じょうゆの品質ひんしつ向上こうじょうを目的もくてきとして「本場ほんば仙台せんだい味噌みそ・醤油じょうゆ鑑かん評ひょう会かい」を開催かいさいしている。

歴史れきし

仙台せんだい味噌みその由来ゆらいとして「伊達だて政まさし宗むねが文ぶん禄ろく2年ねん（1593年ねん）の朝鮮ちょうせん出兵しゅっぺいの際さいに持参じさんした味噌みそが、夏場なつばでも腐敗ふはいしなかったため、他たの武将ぶしょうに乞こわれて分わけ与あたえたことから仙台せんだい味噌みそが有名ゆうめいとなった」という説せつがあるが、当時とうじの伊達だて政まさし宗むねの居城きょじょうは岩出いわで山城やましろであることと、仙台せんだいという地名ちめいが慶長けいちょう5年ねん（1600年ねん）に伊達だて政まさし宗むねが名なづけたものであるため、これは誤あやまりであるとされる。

仙台せんだい味噌みその呼称こしょうに関かんして言いえば、仙台せんだい藩はんの味噌みそ御用ごようを勤つとめていた真壁まかべ屋や市兵衛いちべえが寛永かんえい3年ねん（1626年ねん）3月がつ、国分こくぶ町まちにて「仙台せんだい味噌みそ」の招牌を掲かかげたのが元祖がんそとされている。その後ご、伊達だて政まさし宗むねの指示しじにより城下じょうかに御ご塩しお噌蔵が設もうけられ、真壁まかべ屋やがその醸造じょうぞう・運営うんえいに当あたった。真壁まかべ屋やは100石いしの扶持ふちを与あたえられ、武士ぶしとして古木ふるき氏しをも名乗なのった。

第だい2代だい藩主はんしゅ忠ちゅう宗むねの頃ころより江戸えど・大井おおいの仙台せんだい藩はん下屋敷しもやしきにおいて、江戸えど勤番きんばんの士卒しそつに配給はいきゅうするために御ご塩しお噌蔵と同様どうようの原料げんりょう・醸造じょうぞう方法ほうほうにより製造せいぞうされていた味噌みその剰余じょうよ分ぶんが、江戸えどの味噌みそ問屋とんやへ払はらい下さげられるようになったことから、江戸えど市し中ちゅうに「仙台せんだい味噌みそ」の名なが知しられるようになった。このことから、大井おおいの仙台せんだい藩はん下屋敷しもやしきは「味噌みそ屋敷やしき」とも呼よばれるようになった。

明治めいじ期きにおいては、1872年ねん（明治めいじ5年ねん）11月に仙台せんだい藩はん下屋敷しもやしきの味噌みそ醸造じょうぞう所しょの経営けいえいを引ひき継ついだ佐藤さとう素もと拙つたなによって、仙台せんだい味噌みその醸造じょうぞう・販売はんばいが積極せっきょく的てきに行おこなわれ、またその製法せいほうが東京とうきょう府ふ内うちの味噌みそ醸造じょうぞう業者ぎょうしゃに広ひろまり、「仙台せんだい味噌みそ」の名なが東京とうきょう市場いちばを風靡ふうびしたと伝つたえられている。

さらに明治めいじ時代じだい末期まっき、日本にっぽん陸軍りくぐん糧秣りょうまつ廠しょうに勤つとめていた河村かわむら五郎ごろう（日出ひので味噌みそ創業そうぎょう者しゃ）が、麹こうじの働はたらきを温度おんど管理かんりで調節ちょうせつする味噌みそ速そく醸法を考案こうあん。醸造じょうぞう時間じかんを年とし単位たんいから数すうヶ月かげつに短縮たんしゅくすることが可能かのうとなった。この醸造じょうぞう法ほうは、後のちに特許とっきょが開放かいほうされ、仙台せんだい味噌みその醸造じょうぞう法ほうとセットで全国ぜんこくに普及ふきゅうしたことから他た地域ちいきにも普及ふきゅうした。また、第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん中なかには、東京とうきょうで主流しゅりゅうだった江戸えど甘味噌あまみそは米べい糀こうじを大量たいりょうに使つかうことから贅沢ぜいたく品ひんとして禁止きんしされ、仙台せんだい味噌みそが配給はいきゅう味噌みその基準きじゅん製法せいほうとなったこともあり、関東かんとうから東北とうほくにかけて圧倒的あっとうてきなシェアを有ゆうするに至いたった。しかし、戦中せんちゅうから戦後せんごにかけてマルマンがさらなる速はや醸法（中田なかた式しき速そく醸法）を開発かいはつし、それが信州しんしゅう味噌みその製造せいぞう法ほうとともに関東かんとう地方ちほうに普及ふきゅうしたため、戦前せんぜんのような市場いちば占有せんゆう率りつを維持いじできなくなった。

現在げんざいの日出にっしゅつ味噌みそは江戸えど甘味噌あまみその他ほかに仙台せんだい味噌みその基準きじゅんを満みたす辛口からくちの赤味噌あかみそを製造せいぞうしているが、東京とうきょうのメーカーであるため仙台せんだい味噌みそとは表記ひょうきしていない。2007年ねん3月がつ16日にちに地域ちいき団体だんたい商標しょうひょうに登録とうろくされた。

主おもな製造せいぞう会社かいしゃ

商品しょうひん名めいとしては、旧きゅう字体じたいの「仙臺せんだい」が用もちいられる場合ばあいもある。前述ぜんじゅつの通とおり、全すべて宮城みやぎ県けん味噌みそ醤油じょうゆ工業こうぎょう協同きょうどう組合くみあい加盟かめい社しゃである。

• 株式会社かぶしきがいしゃ阿部あべ幸みゆき商店しょうてん（仙台せんだい市し、ブランド名めい「タニカゼ」）
• 合資ごうし会社かいしゃ亀かめ兵へい商店しょうてん（仙台せんだい市し、ブランド名めい「マルヒロ」）
• 仙台せんだい味噌みそ醤油じょうゆ株式会社かぶしきがいしゃ（仙台せんだい市し、ブランド名めい「ジョウセン」）
• 株式会社かぶしきがいしゃ佐々ささ重しげる（仙台せんだい市し）
• 株式会社かぶしきがいしゃ佐藤さとう麹こうじ味噌みそ醤油じょうゆ店てん（仙台せんだい市し、ブランド名めい「ヤマシゲ」）
• 鈴すず憲けん味噌みそ醤油じょうゆ醸造じょうぞう株式会社かぶしきがいしゃ（仙台せんだい市し）
• 高砂たかさご長寿ちょうじゅ味噌みそ本舗ほんぽ（石巻いしのまき市し）
• ヤマカノ醸造じょうぞう株式会社かぶしきがいしゃ（登米とよね市し）
• 株式会社かぶしきがいしゃ山田やまだ屋や（亘理わたり町まち、ブランド名めい「マルジン」）
• 永田ながた醸造じょうぞう株式会社かぶしきがいしゃ（亘理わたり町まち、ブランド名めい「老松おいまつ」）
• 川かわ敬けい醸造じょうぞう株式会社かぶしきがいしゃ（涌谷わくや町まち)
• 鎌田かまた醤油じょうゆ株式会社かぶしきがいしゃ（美里みさと町まち、ブランド名めい「キッコートキワ」)

参考さんこう文献ぶんけん

• 全国ぜんこく味噌みそ工業こうぎょう協会きょうかい編へん 『味噌みそ沿革えんかく史し』 全国ぜんこく味噌みそ工業こうぎょう協会きょうかい 1958年ねん
• 岩本いわもと由ゆかり輝てる 『東北とうほく地域ちいき産業さんぎょう史し』 刀かたな水すい書房しょぼう、2002年ねん3月がつ ISBN 9784887082922
• 山田やまだ揆一「仙台せんだい物産ぶっさん沿革えんかく」、『仙台せんだい叢書そうしょ』別べつ集しゅう第だい2巻かん、仙台せんだい叢書そうしょ刊行かんこう会かい、1925年ねん。成立せいりつは1917年ねん。復刻ふっこく版ばんは宝たから文ぶん堂どうより1977年ねん発行はっこう。

関連かんれん項目こうもく

• ミヤギシロメ - 大豆だいずの品種ひんしゅ。宮城みやぎ県けんの奨励しょうれい品種ひんしゅ。

外部がいぶリンク

• 宮城みやぎ県けん味噌みそ醤油じょうゆ工業こうぎょう協同きょうどう組合くみあい青年せいねん部ぶ
• 仙台せんだい味噌みそ醤油じょうゆ株式会社かぶしきがいしゃ公式こうしきサイト