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先住民せんじゅうみんぞく権利けんりかんする国際こくさい連合れんごう宣言せんげん

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国際こくさい連合れんごう総会そうかい
決議けつぎ61/295
日付ひづけ 2007ねん12月13にち
形式けいしき 総会そうかい決議けつぎ
コード: A/RES/61/295
文書ぶんしょ 英語えいご

投票とうひょう 賛成さんせい: 143 反対はんたい: 4 棄権きけん: 11
投票とうひょう結果けっか 成立せいりつ

先住民せんじゅうみんぞく権利けんりかんする国際こくさい連合れんごう宣言せんげん(せんじゅうみんぞくのけんりにかんするこくさいれんごうせんげん、えい: Declaration on the Rights of Indigenous Peoples, 略称りゃくしょう:UNDRIP)は、2007ねんニューヨーク国連こくれん本部ほんぶおこなわれていただい61国際こくさい連合れんごう総会そうかいにおいて採択さいたくされた国際こくさい連合れんごう総会そうかい決議けつぎ[1]

総会そうかい決議けつぎには国際こくさいほううえ法的ほうてき拘束こうそくりょくはないが、国連こくれん広報こうほうかんは「どう宣言せんげん国際こくさいてき法律ほうりつ基準きじゅんのダイナミックな発展はってん意味いみし、また国際こくさい連合れんごう加盟かめいこく関心かんしん関与かんよ一定いってい方向ほうこううごいたことをしめした」としている。どう宣言せんげんは、「世界せかい先住民せんじゅうみんぞく待遇たいぐう整備せいびする重要じゅうよう基準きじゅんであり、これはこの惑星わくせいの3おく7000まんにん先住民せんじゅうみんぞくたいしての人権じんけん侵害しんがいくし、かれらが差別さべつマージナライゼーション周辺しゅうへん)とたたかうのを援助えんじょするためのうたが余地よちのない重要じゅうようなツールである」とひょうした[2]

目的もくてき

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宣言せんげんは、「文化ぶんか、アイデンティティ、言語げんご労働ろうどう健康けんこう教育きょういく、その問題もんだい」にたいするかれらの国際こくさいほう承認しょうにんされた人権じんけん享受きょうじゅ権利けんり同様どうように、個人こじん共同きょうどう先住民せんじゅうみんぞく権利けんりじゅん説明せつめいする。宣言せんげんは、自身じしん慣習かんしゅう文化ぶんか伝統でんとうまもり、強化きょうかし、かれ自身じしん必要ひつようせい目標もくひょうわせてかれらの発展はってん続行ぞっこうするために、先住民せんじゅうみんぞく権利けんり強調きょうちょうする。[2] どう宣言せんげんは、先住民せんじゅうみんぞくたいする差別さべつ禁止きんしし、それはかれらを心配しんぱいさせるすべての問題もんだいへのかれらの完全かんぜん有効ゆうこう参加さんか促進そくしんし、そしてまた、かれらの権利けんり明確めいかく保持ほじし、かれ自身じしん目指めざ経済けいざい社会しゃかいてき開発かいはつ継続けいぞく促進そくしんする。[2][3]

交渉こうしょう批准ひじゅん

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宣言せんげん採択さいたくまでに起草きそうから22ねん以上いじょう経過けいかした。1982ねん経済けいざい社会しゃかい理事りじかい (ECOSOC) はホセ・マルチネス・コーボ特別とくべつ報告ほうこくしゃ先住民せんじゅうみんへの差別さべつ問題もんだいかんする調査ちょうさ報告ほうこくしょけ、国際こくさい連合れんごう先住民せんじゅうみん作業さぎょう部会ぶかい (WGIP) をげた。先住民せんじゅうみん保護ほごのための人権じんけん基準きじゅん開発かいはつすることを任務にんむとし、1985ねんに、作業さぎょう部会ぶかい先住民せんじゅうみんぞく権利けんり宣言せんげん草案そうあん策定さくていはじめた。草案そうあん1993ねん仕上しあがり、少数しょうすうしゃ差別さべつ防止ぼうしおよび保護ほごかんする国連こくれん人権じんけんしょう委員いいんかい提出ていしゅつされ、翌年よくねん承認しょうにんされた。

宣言せんげん草案そうあん人権じんけん委員いいんかいはかられ、べつ作業さぎょう部会ぶかいもうけられた。翌年よくねんにかけ、作業さぎょう部会ぶかいは、宣言せんげん草案そうあん概念がいねん条項じょうこう調査ちょうさし、ほろ調整ちょうせいするために11かい会合かいごうった。宣言せんげんのいくつかの基本きほん条項じょうこうたとえば先住民せんじゅうみんぞく自決じけつけん先住民せんじゅうみんぞく伝統でんとうてき土地とち存在そんざいする天然てんねん資源しげん管理かんり)にかんして、特定とくてい国家こっか懸念けねんしたため、進捗しんちょくおくれた[4]

宣言せんげん最終さいしゅうばんは、2006ねん6月29にち国際こくさい連合れんごう人権じんけん理事りじかい人権じんけん委員いいんかいへの後継こうけい組織そしき)の47理事りじこくのうち賛成さんせい30、反対はんたい2で採択さいたくされ、棄権きけん12と欠席けっせき3があった[5]

宣言せんげんはそれから総会そうかいはかられ、だい61会期かいきちゅうの2007ねん9がつ13にち提案ていあん採用さいようについて採決さいけつした。投票とうひょう結果けっかは143ヶ国かこく賛成さんせい、4ヶ国かこく反対はんたい、11ヶ国かこく棄権きけんであった[6]反対はんたいオーストラリアカナダニュージーランドアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくのいずれもかなりの先住民せんじゅうみんぞく人口じんこうつ(かつ、当該とうがい民族みんぞくたいするジェノサイドおこなってきた)こくだった。アゼルバイジャンバングラデシュブータンブルンジコロンビアグルジアケニアナイジェリアロシア連邦れんぽうサモアウクライナ棄権きけんした。の34ヶ国かこく欠席けっせきした[7]

反応はんのう

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国連こくれん支持しじこく

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はんはじめぶん国際こくさい連合れんごう事務じむ総長そうちょうは「国連こくれん加盟かめいこく先住民せんじゅうみんぞくいたましい歴史れきしかさね、人権じんけん正義せいぎすべての人々ひとびとのための開発かいはつへのみちともすす解決かいけつはか歴史れきしてき瞬間しゅんかんだ」とべ、反対はんたいこくであるカナダ出身しゅっしんルイーズ・アルブール人権じんけん高等こうとう弁務べんむかんも、それまでの激務げきむ忍耐にんたいが「これまでの先住民せんじゅうみんぞく権利けんり宣言せんげんなかでももっと包括ほうかつてきなものとしてみのった」ことに満足まんぞくしめした[3]

採択さいたくのぞんだボリビアデビッド・チョケワンカ外相がいしょうは、反対はんたいおよ棄権きけんした加盟かめいこくかれ世界せかい人権じんけん宣言せんげんひとしく重要じゅうよう評価ひょうかするこの宣言せんげん拒絶きょぜつしたことを再考さいこうすることをのぞんだ[8]宣言せんげん採択さいたくのニュースはアフリカでも歓迎かんげいされた[9]

一方いっぽう宣言せんげん支持しじしゃおおくが、ほとんど先住民せんじゅうみん市民しみんのいないヨーロッパ諸国しょこくたとえばデンマークとドイツ)や先住民せんじゅうみんぞく権利けんり尊重そんちょうしてきた記録きろくとぼしいラテンアメリカ諸国しょこくであることに注意ちゅういすべきとする意見いけんもある[10]

反対はんたい4カ国かこく

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反対はんたいした4ヶ国かこくは、いずれも共通きょうつう文化ぶんかてき基盤きばん英語えいごけんきゅうイギリス植民しょくみんであり、コモン・ローにより一定いってい先住せんじゅうけんみとめられている[11]

この4カ国かこく政権せいけん交代こうたいとう宣言せんげんへの支持しじあるいは支持しじ前向まえむきな意志いし表明ひょうめい。ただし、自由じゆう事前じぜんインフォームドコンセント、FPIC(FREE,Prior and Informed Consent)にもとづく先住民せんじゅうみんぞく拒否きょひけんについてはみとめていない[12]

オーストラリア

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オーストラリアのマル・ブラフ家族かぞくコミュニティサービス先住民せんじゅうみんぞく問題もんだい担当たんとうしょう先住民せんじゅうみんぞく慣習かんしゅうてき法体ほうたいけい維持いじする条項じょうこうについて「ぜんオーストラリアでの立法りっぽう処置しょち必要ひつようとするものであり、現代げんだい世界せかい法律ほうりつ実務じつむではれられないものをまつれない」とべた[6]

ニュージーランド

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政権せいけん交代こうたいの2010ねん4がつにはオーストラリア同様どうよう宣言せんげんへの支持しじ表明ひょうめい

カナダは議決ぎけつ先立さきだってインディアン・北部ほくぶ開発かいはつしょう外相がいしょう共同きょうどう声明せいめい発表はっぴょう、「カナダの憲法けんぽうシステムとまった両立りょうりつしない条項じょうこうふくんでおり、根本こんぽんてき欠陥けっかんがある」とべ、決議けつぎ批判ひはんした。さらに「当該とうがい決議けつぎは、土地とち資源しげんかんしての権利けんりについて、先住民せんじゅうみんぞくとそのほかの人々ひとびととの調和ちょうわはからなければいけないカナダの立場たちば理解りかいしていない」ともべた[13]国連こくれん大使たいしもオーストラリアと同様どうよう宣言せんげん条項じょうこう現行げんこう国際こくさいほうになじまないむね指摘してきした[14]

しかし、2015ねん政権せいけん奪還だっかんしたカナダ自由党じゆうとうのもとでカナダは方針ほうしん転換てんかんし、2021ねん宣言せんげん遵守じゅんしゅ法案ほうあん(C-15)が可決かけつされている[15][16][17]

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく

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アメリカ国連こくれん大使たいし当初とうしょ反対はんたいした国々くにぐに同様どうよう理由りゆうくわえ、「先住民せんじゅうみんぞく」の定義ていぎ宣言せんげんまれなかったことから反対はんたいした[18]

2010ねん12月16にちにはオバマ大統領だいとうりょう宣言せんげん調印ちょういんする用意よういがあると発表はっぴょうし、先住民せんじゅうみんぞく首長しゅちょうたいして合衆国がっしゅうこく政府せいふ当該とうがい民族みんぞくとのあいだ関係かんけい改善かいぜんはかり、やぶられてきた約束やくそく回復かいふくさせるとつたえた。現存げんそんするアメリカ国内こくない先住民せんじゅうみんぞくは560以上いじょうかぞ[19]、そのおおくがオバマ大統領だいとうりょう発表はっぴょう歓迎かんげいしたが[20]、2022ねん現在げんざい採択さいたくにはいたっていない。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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出典しゅってん

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  1. ^ 国連こくれん先住民せんじゅうみんぞく権利けんり宣言せんげん”. 時事じじドットコム (2020ねん7がつ11にち). 2020ねん10がつ14にち閲覧えつらん
  2. ^ a b c Frequently Asked Questions: Declaration on the Rights of Indigenous Peoples United Nations Permanent Forum on Indigenous Issues.
  3. ^ a b United Nations adopts Declaration on Rights of Indigenous Peoples United Nations News Centre, 13 September 2007.
  4. ^ Declaration on the Rights of Indigenous Peoples: Adopted by the Human Rights Council on 29 June 2006 United Nations Permanent Forum on Indigenous Issues.
  5. ^ UN Human Rights Council adopts documents on disappearances and indigenous peoples United Nations News Centre, 29 June 2006.
  6. ^ a b Indigenous rights outlined by UN BBC News, 13 September 2007.
  7. ^ UN adopts Declaration on Rights of Indigenous Peoples United Nations News Centre, 13 September 2007.
  8. ^ Aprueba ONU declaración de derechos indígenas El Universal, 13 September 2007.
  9. ^ Africa: Jubilation as UN Approves Indigenous Peoples Declaration AllAfrica.com, 13 September 2007.
  10. ^ Tories defend 'no' in native rights vote The Gazette, Montreal 2007.
  11. ^ 先住せんじゅうけん権原けんげん” (PDF). 公益こうえき財団ざいだん法人ほうじんアイヌ民族みんぞく文化ぶんか財団ざいだん. 2022ねん4がつ8にち閲覧えつらん
  12. ^ 小坂田おさかだ裕子ゆうこ先住民せんじゅうみんぞく事前じぜん自由じゆうなインフォームド・コンセントを義務ぎむ」『世界せかいほう年報ねんぽうだい33かん世界せかいほう学会がっかい、2014ねん、94-122ぺーじdoi:10.11388/yearbookofworldlaw.33.0_94ISSN 09170421 
  13. ^ Statement by Canada's New Government regarding the United Nations Declaration on the Rights of Indigenous Peoples - Indian and Northern Affairs Canada
  14. ^ Statement by Ambassador McNee to the General Assembly on the Declaration on the Rights of Indigenous Peoples
  15. ^ Aiello, Rachel (2021ねん6がつ16にち). “Bill to align Canadian law with UN Indigenous rights declaration passes to become law” (英語えいご). CTVNews. 2022ねん4がつ8にち閲覧えつらん
  16. ^ Branch, Legislative Services (2021ねん6がつ21にち). “Consolidated federal laws of canada, United Nations Declaration on the Rights of Indigenous Peoples Act”. laws-lois.justice.gc.ca. 2022ねん4がつ8にち閲覧えつらん
  17. ^ カナダ上院じょういん先住民せんじゅうみんぞく権利けんりかんする国連こくれん宣言せんげん順守じゅんしゅする法案ほうあんC-15を可決かけつしたことにかんするラメティ法相ほうしょうとベネット先住民せんじゅうみん関係かんけいしょう共同きょうどう声明せいめい”. response.jp (2021ねん6がつ17にち). 2022ねん4がつ8にち閲覧えつらん
  18. ^ Explanation of vote on the Declaration on the Rights of Indigenous Peoples[リンク] United States Mission to the United Nations press release, 13 September 2007.
  19. ^ List of tribes in the United States
  20. ^ “U.S. will sign U.N. declaration on rights of native people, Obama tells tribes”. The Washington Post. (16 December 2010). http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/12/16/AR2010121603136.html 16 December 2010閲覧えつらん 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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