潘はん基はじめ文ぶん

韓国かんこくの政治せいじ家か 潘はん基はじめ文ぶん 반기문
潘はん基はじめ文ぶん（2016年ねん2月がつ）
生年月日せいねんがっぴ	(1944-06-13) 1944年ねん6月13日にち（79歳さい）
出生しゅっしょう地ち	日本にっぽん統治とうち下か朝鮮ちょうせん 忠清ただきよ北道ほくどう陰かげ城ぐすく郡ぐん遠とお南面なんめん上じょう唐から里さと杏あんず峙村
出身しゅっしん校こう	ソウル大だい学校がっこう ハーバード大学だいがく
宗教しゅうきょう	非ひ公表こうひょう
サイン
第だい8代だい国際こくさい連合れんごう事務じむ総長そうちょう
在任ざいにん期間きかん	2007年ねん1月がつ1日にち - 2016年ねん12月31日にち
第だい33代だい大韓民国だいかんみんこく外交がいこう通商つうしょう部ぶ長官ちょうかん
在任ざいにん期間きかん	2004年ねん1月がつ17日にち - 2006年ねん11月10日にち
元首げんしゅ	盧武鉉のむひょん

潘はん基はじめ文ぶん
各種かくしゅ表記ひょうき
ハングル：	반기문
漢字かんじ：	潘はん基はじめ文ぶん
発音はつおん：	バン・ギムン
日本語にほんご読よみ：	はん きぶん ばん きぶん
2000年ねん式しき： MR式しき： 英語えいご表記ひょうき：	Ban Gimun Pan Kimun Ban Ki-moon

潘はん 基はじめ文ぶん（バン・ギムン、ばん きぶん、韓国かんこく語ご: 반기문, ラテン文字もじ転写てんしゃ: Ban Gimun、英語えいご: Ban Ki-moon、1944年ねん6月13日にち - ）は、韓国かんこくの政治せいじ家か。第だい33代だい大韓民国だいかんみんこく外交がいこう通商つうしょう部ぶ長官ちょうかん、第だい8代だい国際こくさい連合れんごう事務じむ総長そうちょうなどを歴任れきにん。第だい11回かいソウル平和へいわ賞しょう（2012年ねん）受賞じゅしょう者しゃ。

生おい立たち

忠清ただきよ北道ほくどう陰かげ城ぐすく郡ぐん遠とお南面なんめん杏あんず峙村に生うまれる。本ほん貫ぬきは光州こうしゅう潘はん氏し。その後ご、家族かぞくは忠ただ州しゅう市し近ちかくの町まちに移住いじゅうし、そこで育そだつ。父親ちちおやは大だい問屋とんやで働はたらいていたが、店みせが倒産とうさんし、一家いっかは中流ちゅうりゅう的てきな生活せいかつ水準すいじゅんを失うしなった。

外交がいこう官かん

潘はん基はじめ文ぶんとコンドリーザ・ライス米べい国務こくむ長官ちょうかん（2006年ねん1月がつ当時とうじ）

1970年ねん2月がつにソウル大だい学校がっこう外交がいこう学科がっかを卒業そつぎょうし、同月どうげつ高等こうとう外交がいこう官かん試験しけんに合格ごうかく、3月に外交がいこう部ぶに入部にゅうぶした。1972年ねんの駐ちゅうインド韓国かんこく大使館たいしかん副ふく領事りょうじを初はじめ、1974年ねん同どう二に等とう書記官しょきかんなど主おもに海外かいがい勤務きんむ畑はたけを歩あゆみ、1980年ねんに外交がいこう部ぶ国際こくさい組織そしき条約じょうやく局きょく国連こくれん課長かちょうに就任しゅうにんした。

その後ご外交がいこう部ぶ派遣はけんによりハーバード大学だいがくケネディ行政ぎょうせい大学院だいがくいんに留学りゅうがくし、1985年ねん4月がつに修了しゅうりょう、修士しゅうし号ごうを取得しゅとくした。1985年ねん4月がつに首相しゅしょう外交がいこう儀礼ぎれい担当たんとう秘書ひしょ、1987年ねん7月がつには駐米ちゅうべい大使館たいしかん総領事そうりょうじ、1990年ねん6月がつに外交がいこう部ぶ米州べいしゅう局きょく局長きょくちょう、1992年ねん2月がつに外相がいしょう特別とくべつ補佐ほさ官かん、1992年ねん7月がつに駐米ちゅうべい公使こうし、1995年ねん2月がつの外交がいこう部ぶ副ふく長官ちょうかんを経へて、1996年ねん11月には金きむ泳三よんさむの外交がいこう安全あんぜん保障ほしょう担当たんとう大統領だいとうりょう特別とくべつ秘書ひしょとなった。

その後ご2000年ねん1月がつに外交がいこう通商つうしょう部ぶ副ふく長官ちょうかん、2001年ねん5月に国連こくれん大使たいし、2002年ねん2月がつに無任所むにんしょ大使たいしを経へて、2003年ねん2月がつ、大統領だいとうりょう盧武鉉のむひょん（当時とうじ）の外交がいこう政策せいさく補佐ほさ官かん、2004年ねん1月がつからは外交がいこう通商つうしょう部ぶ長官ちょうかん（外務がいむ大臣だいじん）に任命にんめいされている。

盧武鉉のむひょん政権せいけん下かでは、大統領だいとうりょう府ふ主導しゅどうで政策せいさく決定けっていが行おこなわれていたため、潘はん基はじめ文ぶんは大統領だいとうりょう府ふと外国がいこく政府せいふの板いたばさみになって大おおいに苦労くろうした。太陽たいよう政策せいさく進展しんてんに尽力じんりょくしたが、自みずからの発言はつげんの数日すうじつ後ごにその発言はつげんと反はんする内容ないようの大統領だいとうりょう発言はつげんがあるなどの出来事できごともあった。

国連こくれん事務じむ総長そうちょう

国連こくれん事務じむ総長そうちょうへの立候補りっこうほ

2006年ねん2月がつ、国連こくれん事務じむ総長そうちょう選挙せんきょに立候補りっこうほすることを表明ひょうめいした。他たの有力ゆうりょく候補こうほにはインド人じんの国連こくれん事務じむ次長じちょう（広報こうほう局長きょくちょう）シャシ・タルール、タイ王国おうこくの副ふく首相しゅしょうスラキアット、スリランカの元もと国連こくれん事務じむ次長じちょう（軍縮ぐんしゅく局長きょくちょう）ジャヤンタ・ダナパラの名なが挙あげられたが、7月がつ24日にちに行おこなわれた国際こくさい連合れんごう安全あんぜん保障ほしょう理事りじ会かいの各かく理事りじ国こくによる予備よび投票とうひょうにおいて潘はん基はじめ文ぶんは最もっとも多おおくの票ひょうを獲得かくとくし、有力ゆうりょく候補こうほの一人ひとりとなった。

2006年ねん10月がつ2日にち、国連こくれん安全あんぜん保障ほしょう理事りじ会かいは4度目どめの予備よび投票とうひょうを行おこなった。この結果けっか、拒否きょひ権けんを持もつ常任じょうにん理事りじ国こく5か国こくが一致いっちして潘はんを支持しじし（安保理あんぽり全体ぜんたいでは14か国こくの支持しじ）、当選とうせんが確実かくじつとなった。

潘はん基はじめ文ぶんは厳きびしい日にち韓かん関係かんけいの中なかでも、外務がいむ大臣だいじん麻生あそう太郎たろう（当時とうじ）との会談かいだんで信頼しんらい関係かんけいを醸成じょうせいした点てんなど、“外交がいこうのプロ”と言いわれ、日本にっぽん外交がいこう当局とうきょくの評価ひょうかも高たかかった。国連こくれん大使たいしの大島おおしま賢三けんぞうは「アジアの優すぐれた候補こうほから選出せんしゅつするという目的もくてきに沿そった方向ほうこうで事態じたいは動うごいている。日本にっぽん政府せいふとしての態度たいどを最終さいしゅう決定けっていした上うえで、正式せいしき投票とうひょうに臨のぞむ」と語かたった。

潘はんはアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくと縁えんが深ふかく、アメリカ政府せいふとの関係かんけいも良好りょうこうと見みられる。10月3日にち、潘はんの当選とうせんが確実かくじつとなった予備よび投票とうひょうの結果けっかを受うけて、アメリカの国連こくれん大使たいしジョン・ボルトンは「米国べいこくはこの結果けっかを歓迎かんげいする」と述のべた。

2006年ねん10月がつ20日はつか、ソウルを訪問ほうもんした麻生あそう太郎たろうは、潘はんが次期じき国連こくれん事務じむ総長そうちょうに当選とうせんしたことについて「我々われわれもアジアとしても大変たいへん誇ほこらしい」と祝福しゅくふくした。これに対たいして潘はんは「日本にっぽんは国連こくれんで活動かつどうを活発かっぱつにしている重要じゅうような国くにだ。安保理あんぽり議長ぎちょう国こくとして努力どりょくしていることを評価ひょうかする」「事務じむ総長そうちょうに就任しゅうにんしたら、日本にっぽんと緊密きんみつに連携れんけい、協調きょうちょうしていきたい」と述のべた 。

2006年ねん10月がつ14日にち、国連こくれん事務じむ総長そうちょうに当選とうせんする。2007年ねん1月がつ1日にちから5年間ねんかん、事務じむ総長そうちょう職しょくを務つとめる。

2011年ねんUNの加盟かめい国こく192か国こくの全会ぜんかい一致いっちで2012年ねん1月がつ1日にちから5年間ねんかん、再ふたたび務つとめることになった。

事務じむ総長そうちょうとして

国連こくれん本部ほんぶで潘はん基はじめ文ぶん（右みぎ）と朴ほお槿むくげ恵めぐみ韓国かんこく大統領だいとうりょう（2013年ねん5月がつ）

ジョン・ケリー国務こくむ長官ちょうかん（右みぎ）と潘はん基はじめ文ぶん（2013年ねん2月がつ）

台湾たいわんの国連こくれん加盟かめい問題もんだいについて「台湾たいわんは中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくの一部いちぶ（一ひとつの中国ちゅうごく）」という見解けんかいを示しめしている。2007年ねん7月がつ19日にちに陳ちん水みず扁ひらた中華民国ちゅうかみんこく総統そうとうは「台湾たいわん」としての国連こくれん加盟かめいを求もとめる親書しんしょを潘はん基はじめ文ぶん宛あてに送付そうふした。23日にち、国連こくれん事務じむ総長そうちょう報道ほうどう官かんは中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくの代表だいひょう権けんを認みとめた「アルバニア決議けつぎ」を理由りゆうに、この親書しんしょを返却へんきゃくした。アメリカおよび日本にっぽんは台湾たいわんが国家こっかとしての条件じょうけんを備そなえておらず、国連こくれん加盟かめいには反対はんたいであるとしながらも、アルバニア決議けつぎには台湾たいわん単独たんどくでの国連こくれん加盟かめいを妨さまたげる表現ひょうげんは存在そんざいしないと抗議こうぎしている。

2013年ねん9月がつ3日にち、潘はん基はじめ文ぶんは記者きしゃ会見かいけんの場ばで、「軍事ぐんじ力りょくの行使こうしは国連こくれん憲章けんしょう51条じょうに基もとづく自衛じえいのため、もしくは国連こくれん安全あんぜん保障ほしょう理事りじ会かいが承認しょうにんしたときにのみ合法ごうほう」との立場たちばを明確めいかくに示しめし、シリア内戦ないせんに対たいする軍事ぐんじ的てき介入かいにゅう（人道的じんどうてき介入かいにゅう）を計画けいかくするアメリカを牽制けんせいした。この立場たちばは、2005年ねん10月がつの国連こくれん首脳しゅのう会合かいごう成果せいか文書ぶんしょにおいて確認かくにんされた「保護ほごする責任せきにん」の軍事ぐんじ行動こうどうの正当せいとう化か要件ようけんに合致がっちする。潘はん基はじめ文ぶんはかねてから「保護ほごする責任せきにん国連こくれん事務じむ総長そうちょう特別とくべつ顧問こもん」の新設しんせつを提案ていあんするなど、「保護ほごする責任せきにん」の概念がいねんを擁護ようごしていた。

人事じんじ問題もんだい

元もと国連こくれん大使たいしの崔ちぇ英えい鎮を駐ちゅうコートジボワール国際こくさい連合れんごう事務じむ総長そうちょう特別とくべつ代表だいひょうに任命にんめいするなど、国連こくれんの主要しゅような役職やくしょくに韓国かんこく人じんを起用きようしたことから、縁故えんこ主義しゅぎであるとして潘はんに対たいし国連こくれん内部ないぶから反発はんぱつが生しょうじていることが報ほうじられている。これに対たいして潘はんは、元々もともと国連こくれんへの財政ざいせい負担ふたんの割わりに極端きょくたんに職員しょくいん数すうが少すくなかった韓国かんこく人じん職員しょくいんの数かずが増ふえたに過すぎない、と反論はんろんしている 。ただし、韓国かんこくは国連こくれん分担ぶんたん金きんのうち、10個こ国際こくさい機関きかん分担ぶんたん金きん1100億おくウォン（1億おく1600万まんUSドル）を滞納たいのうしており、2007年ねんに387億おくウォン（4100万まんUSドル）、2008年ねんに713億おくウォン（7500万まんUSドル）を投入とうにゅうして滞納たいのうを皆みな解消かいしょうする計画けいかくを示しめしてはいたが、この発言はつげんの時点じてんでは完済かんさいしていない。2007年ねんには潘はんの娘むすめ婿むこのインド人じんを国際こくさい連合れんごうイラク支援しえんミッション (UNAMI) の官房かんぼう長ちょうに抜擢ばってきして世界せかい各国かっこくに『過去かこ最低さいていの国連こくれん事務じむ総長そうちょう』と叩たたかれた。国連こくれん職員しょくいん組合くみあいは「親類しんるい縁者えんじゃや友人ゆうじんを頼たよった求職きゅうしょく」を批判ひはんする文書ぶんしょを2007年ねん12月に採択さいたくする事態じたいとなっている。

事務じむ総長そうちょうとしての中立ちゅうりつ性せい

国連こくれん事務じむ総長そうちょうは複数ふくすう国家こっかの代表だいひょうとして、職務しょくむの中立ちゅうりつ性せいが求もとめられる。しかし、潘はんは事務じむ総長そうちょう就任しゅうにん以来いらい、上記じょうきの縁故えんこ採用さいよう問題もんだいなどの他ほかに下記かきにあるような事務じむ総長そうちょうとしての中立ちゅうりつ性せいを保たもっていないとされる出来事できごとを起おこしている。

2007年ねん10月がつ24日にちの「国連こくれんの日ひ」においては、毎年まいとしこの日ひに恒例こうれい行事ぎょうじとして国連こくれん本部ほんぶで行おこなわれる事務じむ総長そうちょう主催しゅさいのコンサートが開催かいさいされた。加盟かめい192か国こくの大使たいしや外交がいこう官かんら約やく1600人にんが出席しゅっせきした。この日ひ、潘はんの意向いこうによって母国ぼこくのソウル・フィルハーモニー管弦楽かんげんがく団だんが公演こうえんを行おこない、ソウル市しと韓国かんこく国連こくれん代表だいひょう部ぶがコンサートを後援こうえんした。

このコンサートの場ばにおいて、韓国かんこく国連こくれん代表だいひょうが作成さくせいした「Welcome to KOREA」と題だいされた、日本海にほんかいを「東海とうかい」と表記ひょうきした英文えいぶんのパンフレットが式次第しきしだいとともに配くばられた。事務じむ総長そうちょうが主催しゅさいする国連こくれんコンサートでこうしたパンフレットを配布はいふするのは過去かこに例れいがなく、国連こくれん側がわはその場ばで回収かいしゅうするなどの措置そちも取とらなかった。韓国かんこく側がわは地名ちめいの表記ひょうき方法ほうほうなどについて話はなし合あう国連こくれん地名ちめい標準ひょうじゅん化か会議かいぎで、日本海にほんかいの呼称こしょうを「東海とうかい」と併記へいきするよう求もとめており、加盟かめい国こく大使たいしらが多数たすう出席しゅっせきするコンサートの場ばを利用りようして自みずからの主張しゅちょうの定着ていちゃくを狙ねらったものとみられる。翌日よくじつ、日本にっぽんの国連こくれん代表だいひょう部ぶは国連こくれん事務じむ局きょくと韓国かんこく国連こくれん代表だいひょう部ぶに対たいし、文書ぶんしょなどで抗議こうぎを行おこなった。

2008年ねん7月がつ3日にち、 事務じむ総長そうちょう就任しゅうにん後ご初はじめて訪韓ほうかんした際さいに、訪韓ほうかんの感想かんそうを問とわれて、「韓国かんこく人じんの国連こくれん事務じむ総長そうちょうとして韓国かんこくの国力こくりょく伸張しんちょうに貢献こうけんできるようベストを尽つくす」と述のべた。一方いっぽうで2008年ねんになると、韓国かんこく国内こくないの政治せいじの混乱こんらん、また国際こくさい社会しゃかいにおいて韓国かんこくが自みずから果はたすべき役割やくわりの規模きぼが小ちいさ過すぎるという現状げんじょうに対たいし、メディア等とうで苦言くげんを呈ていする場面ばめんも出でてきている。

2011年ねん11月30日にち、釜山ぷさんにある国連こくれん軍ぐんの兵士へいしなどを埋葬まいそうしたUN記念きねん公園こうえんを事務じむ総長そうちょうとして初はじめて訪問ほうもんした。

2011年ねん、安やす重根しこねが日本にっぽんの元老げんろうである伊藤いとう博文ひろぶみを暗殺あんさつするミュージカルがニューヨークのリンカーン・センターで公演こうえんされると、ニューヨーク滞在たいざいの各国かっこく国連こくれん大使たいしを招待しょうたいした。

2013年ねん8月がつ26日にち、前任ぜんにんの事務じむ総長そうちょうまでの慣習かんしゅうである「歴史れきしを消けし去さることはできない」との言及げんきゅうをやめ、「『日本にっぽん政府せいふや政治せいじ指導しどう者しゃら』は、とても深ふかくみずからを省かえりみて、国際こくさい的てきで未来みらい志向しこうのビジョンを持もつことが必要ひつようだ」と中立ちゅうりつ的てき立場たちばをとらない対たい日にち批判ひはんを行おこなった。なお国連こくれん憲章けんしょう100条じょう1には「事務じむ総長そうちょう及および職員しょくいんは、その任務にんむの遂行すいこうに当あたって、いかなる政府せいふからも又またはこの機関きかん外がいのいかなる他ほかの当局とうきょくからも指示しじを求もとめ、又または受うけてはならない。」との記載きさいがあり、この規定きていに抵触ていしょくする可能かのう性せいが指摘してきされている。中国ちゅうごく外務省がいむしょうはこの発言はつげんに対たいして「『積極せっきょく的てきに』評価ひょうかする」と支持しじ表明ひょうめいし、韓国かんこくとの共闘きょうとうをアピールした。

2015年ねん5月9日にち、ロシアによるクリミアの併合へいごうに抗議こうぎして西側にしがわ諸国しょこくが欠席けっせきする中なかで行おこなわれたロシアのモスクワ対たい独どく戦勝せんしょう記念きねん式典しきてんに出席しゅっせき。同年どうねん9月3日にち、北京ぺきんで行おこなわれた中国ちゅうごくの「抗日こうにち戦争せんそう勝利しょうり70年ねん」記念きねん式典しきてんと軍事ぐんじパレードにも出席しゅっせき。日本にっぽんの菅かん義よし偉えら内閣ないかく官房かんぼう長官ちょうかんが8月がつ31日にちの会見かいけんで「国連こくれんには190か国こく以上いじょうが加盟かめいしており、国連こくれんはあくまでも中立ちゅうりつであるべきだと思おもう」と述のべ、国連こくれん内ないでも出席しゅっせきに疑問ぎもんを持もつ声こえが上あがるなど、中立ちゅうりつ性せいに疑問ぎもんが呈ていされた。2015年ねん9月4日にち、この日本にっぽん側がわの抗議こうぎに対たいし、潘はんは中国ちゅうごく中央ちゅうおうテレビのインタビューにおいて、「国連こくれんは中立ちゅうりつ的てきな機関きかん（neutral body）ではない」と正面しょうめんから反論はんろんした。また、人道じんどうに対たいする罪つみ、戦争せんそう犯罪はんざい、ジェノサイド罪つみの容疑ようぎで国際こくさい刑事けいじ裁判所さいばんしょから訴追そついされているスーダンのオマル・アル＝バシール大統領だいとうりょうが同席どうせきしていたことに自みずから国連こくれん加盟かめい国こくに逮捕たいほ状じょう執行しっこうを呼よびかけていた潘はんが何なんら行動こうどうしなかったことも非難ひなんされた。

評価ひょうか

『ニューズウィーク』は「潘はん基はじめ文ぶん（バン・キムン）事務じむ総長そうちょうの無能むのうぶりは際立きわだっている」と批判ひはんし、潘はんは大おおきな失敗しっぱいを犯おかしたわけではないが、核かく問題もんだいや難民なんみん問題もんだいにも関心かんしんを示しめさず、「世界中せかいじゅうで名誉めいよ学位がくいを収集しゅうしゅうして歩あるき、見事みごとなまでに何なにも記憶きおくに残のこらない声明せいめいを発表はっぴょうし、事務じむ総長そうちょうとして影響えいきょう力りょくを発揮はっきできたかもしれない貴重きちょうな機会きかいを無駄むだにすることに費ついやしている」と批判ひはんした。

潘はん基はじめ文ぶん（2014年ねん2月がつ）

潘はんは2009年ねん7月がつにはアウンサンスーチーとの面会めんかいのためミャンマー入いりしたが、彼女かのじょとの面会めんかいを果はたさぬままミャンマーを去さった。これを受うけてオスロ合意ごうい締結ていけつに尽力じんりょくしたノルウェーのモナ・ユール（当時とうじ次席じせき国連こくれん大使たいし、夫おっとのテリエ・ロード・ラーセンは潘はんの下したでレバノン問題もんだい特使とくしを務つとめていた）は、本国ほんごく政府せいふ宛あての公電こうでんにおいて潘はんのミャンマー訪問ほうもんを「指導しどう力りょくを見みせようともがく事務じむ総長そうちょうを象徴しょうちょうする成果せいかのなさ」と批判ひはんし、スリランカ情勢じょうせいをめぐっても潘はんは「非力ひりきな傍観ぼうかん者しゃ」でしかなかったと批判ひはんした。『ニューズウィーク』はこのユールの公電こうでんについて報道ほうどうし「潘はんは国連こくれん事務じむ総長そうちょうになるべきでなかった」と批判ひはんした。潘はんはノルウェー訪問ほうもん中ちゅうにユールの公電こうでんに対たいし「わたしたちはみな異ことなるバックグラウンドと異ことなるリーダーシップのスタイルを持もっている」と反論はんろんした。

『ヒューマン・ライツ・ウォッチ』は2011年ねん1月がつ24日にちに発表はっぴょうした年次ねんじ報告ほうこく書しょにおいて、潘はんについて「人権じんけん侵害しんがいを繰くり返かえす国々くにぐにに対たいして、国際こくさい的てきな地位ちいがそれほどでもない国々くにぐにに対たいしては、強つよい批判ひはんを口くちにするが、中国ちゅうごくのような大国たいこくに対たいしては何なにもしない」と批判ひはんした。また、2016年ねん6月がつに国連こくれんが公表こうひょうした「子供こどもと武力ぶりょく紛争ふんそう」報告ほうこく書しょで、内戦ないせん状態じょうたいにあるイエメンの項目こうもくにおいて「子供こどもを殺傷さっしょうしたり少年しょうねん兵へいとして徴用ちょうようしたりしている組織そしきや国くに」として指摘してきされた「サウジ主導しゅどうの連合れんごう軍ぐん」の記述きじゅつが、サウジアラビアなどの資金しきん面めんでの圧あつ力りょくによって削除さくじょされたため、ヒューマン・ライツ・ウオッチなど20を超こえる国際こくさい人権じんけん団体だんたいは抗議こうぎ文ぶんを提出ていしゅつした。これについては「あしき先例せんれいを作つくった。これがまかり通とおると、貧困ひんこん国こくしかリストに載のらないことになる」と批判ひはんの声こえが上あがった。

世界せかい連邦れんぽう運動うんどう世界せかい政策せいさく研究所けんきゅうじょのウィリアム・ペイス専務せんむ理事りじによれば、潘はん基はじめ文ぶんは人権じんけんや途上とじょう国こくの開発かいはつ分野ぶんやにおいて優すぐれた功績こうせきを残のこしていると述のべている。一いち例れいとして、2015年ねんから2030年ねんまでの世界せかいの貧困ひんこん削減さくげん目標もくひょうを定さだめた『持続じぞく可能かのうな開発かいはつ目標もくひょう』の採択さいたくにおけるリーダーシップを挙あげ、この採択さいたくは過去かこ20年間ねんかんで最もっとも成功せいこうした国家こっか間あいだ交渉こうしょうの一ひとつだと述のべている。国連こくれんの組織そしき運営うんえいについては、潘はんに最もっとも近ちかしい人ひとたちの話はなしとして、潘はんが国連こくれん組織そしきを適切てきせつに運営うんえいできるようになるまで2年ねん以上いじょうかかったと述のべている。しかしながら国連こくれん人権じんけん高等こうとう弁務べんむ官かんの任命にんめい過程かていは適切てきせつで、また、人事じんじや職務しょくむ上じょうの不正ふせいをしていないことは今日きょうの世界せかいでは特筆とくひつすべきことだと述のべている。スーダンにおけるダルフール危機きき、リビアやシリアにおける内戦ないせん、イスラム国こくの拡大かくだいなどの事態じたいについて、潘はんのリーダーシップの欠如けつじょを批判ひはんする声こえもあるが、事務じむ総長そうちょうはスケープゴートにされているだけで、主しゅたる責任せきにんは安保理あんぽりの常任じょうにん理事りじ国こく5か国こくにあると述のべている。ペイスは潘はん基はじめ文ぶんを総評そうひょうして、「カリスマ性せいは無ないが遺産いさんを残のこしたリーダー」と述のべている。

2016年ねん4月がつ13日にち、アメリカのボブ・コーカー上院じょういん外交がいこう委員いいん長ちょうはPKOの要員よういんらによる性的せいてき暴力ぼうりょくが多発たはつしている問題もんだいに対処たいしょできていないとして潘はん基はじめ文ぶんを「無能むのう」と厳きびしく批判ひはんしている。

2016年ねん5月21日にち、イギリスの『エコノミスト』誌しは改あらためて潘はん基はじめ文ぶんを「失敗しっぱいした事務じむ総長そうちょうであり、歴代れきだい最悪さいあくの事務じむ総長そうちょうの一人ひとり」「行政ぎょうせい能力のうりょくでも統治とうち能力のうりょくでも失敗しっぱいした事務じむ総長そうちょうとみられている」「話はなしが下手へたで手続てつづきに執着しゅうちゃくし、懸案けんあんへの素早すばやい対応たいおう能力のうりょくや業務ぎょうむの深ふかさも不十分ふじゅうぶんだった」「大国たいこくに対抗たいこうすることを嫌きらった最もっとも活気かっきのない、最悪さいあくの総長そうちょうの一人ひとり」と酷評こくひょうした。また『ニューヨーク・タイムズ』も「力ちからのない傍観ぼうかん者しゃ」「どこにいるのか分わからない男おとこ」と潘はん基はじめ文ぶんを非難ひなんしている。

しかし、韓国かんこく国内こくないでは「世界せかい大統領だいとうりょう」と呼よばれるほど人気にんきを博はくしており、大統領だいとうりょう選挙せんきょでは潘はん基はじめ文ぶん待望たいぼう論ろんもあった。

外交がいこう専門せんもん誌し『フォーリン・ポリシー』は、シリアやウクライナの紛争ふんそうで、役割やくわりをまともに果はたせなかった、名なばかりの最高さいこう指導しどう者しゃだったと評ひょうした。また、歴史れきし上じょう、最もっとも親米しんべい的てきな国連こくれん事務じむ総長そうちょうとしている。また、先述せんじゅつの中国ちゅうごくの抗日こうにち式典しきてんへの出席しゅっせきなどから親中しんちゅう的てきとも評ひょうされているが、潘はんが国連こくれん事務じむ次長じちょうに起用きようした中国ちゅうごくの沙祖康しゃそこうとの確執かくしつも報ほうじられていた。沙すなは当初とうしょから「中国ちゅうごくのボルトン」と呼よばれるなどタカ派は的てきな言動げんどうで批判ひはんされており、2012年ねんに潘はんによって同おなじ中国ちゅうごくの呉ご紅くれない波なみと国連こくれん事務じむ次長じちょうを交代こうたいさせられた。

内部ないぶ査察ささつ室しつ事務じむ次長じちょうとの確執かくしつ

国連こくれん内部ないぶ査察ささつ室しつトップのインガ＝ブリット・アレニウス事務じむ次長じちょうは、2010年ねん7月がつの退任たいにん時じに潘はん基はじめ文ぶん事務じむ総長そうちょうに50ページにわたる報告ほうこく書しょを提出ていしゅつし、その中なかで「国連こくれんは活動かつどうの透明とうめい性せいも説明せつめい義務ぎむも果はたしていない」、「事務じむ総局そうきょくは腐敗ふはいしつつあり、戦略せんりゃくなき無責任むせきにんな運営うんえいは、国連こくれんの改革かいかくをもたらさないどころか国連こくれんの弱体じゃくたい化かを招まねいている」と述のべ、「彼かれの行動こうどうは嘆なげかわしいだけでなく厳きびしく非難ひなんされるべきだ」と潘はん基はじめ文ぶんを真まっ向こうから批判ひはんした。同どう報告ほうこく書しょでは、潘はん事務じむ総長そうちょうが会計かいけい監査かんさ報告ほうこくの公開こうかいや犯罪はんざいとみられる行為こういの告発こくはつを拒こばんだり、空席くうせき状態じょうたいが続つづく調査ちょうさ部門ぶもん責任せきにん者しゃの人事じんじを却下きゃっかしたり、業務ぎょうむを阻はばむような行動こうどうを取とっていたと指摘してきしている。この2人ふたりの確執かくしつは以前いぜんから知しられており、調査ちょうさ部門ぶもんの人事じんじをめぐっては、アレニウスが米べい検察官けんさつかんのロバート・アップルトン（Robert Appleton）を2度ど推挙すいきょしたが、潘はんはまともに取とり合あわなかったという。このことに関かんしてアップルトンは、潘はん事務じむ総長そうちょうが本来ほんらい中立ちゅうりつであるべき監察かんさつ室しつの人事じんじに政治せいじ的てきな介入かいにゅうを行おこない、不当ふとうに採用さいようを阻はばまれたとして、国連こくれん不服ふふく審判しんぱん所しょに150万まんドル相当そうとうの損害そんがい賠償ばいしょうなどを求もとめる訴うったえを起おこしている。

退任たいにん

2016年ねん12月31日にちの退任たいにんを前まえにした12月30日にち、潘はんはニューヨークの国連こくれん本部ほんぶでスピーチし、「この10年間ねんかん、声こえなき人ひとの声こえとして、自分じぶんの身みを守まもれない人ひとの擁護ようご者しゃとして働はたらいてきた。皆みなさんが引ひき継ついでほしい」と呼よびかけた。また、国連こくれん本部ほんぶで職員しょくいんらを前まえにした別わかれのあいさつで、「シンデレラのような気分きぶん。あすの夜よる12時じですべてが変かわる」と冗談じょうだんを飛とばした。

退任たいにん後ご

2017年ねん6月がつ、国際こくさいオリンピック委員いいん会かい倫理りんり委員いいん会かいの委員いいん長ちょうに指名しめいされる。

2018年ねん4月がつ、福田ふくだ康夫やすおの後任こうにんでボアオ・アジア・フォーラムの理事りじ長ちょうに就任しゅうにんした。

2019年ねん2月がつ、「より良よい未来みらいのための潘はん基はじめ文ぶん財団ざいだん」を設立せつりつすることが明あきらかになる。

2019年ねん3月がつ、当時とうじ韓国かんこく国内こくないで顕在けんざい化かしていた大気たいき汚染おせん問題もんだいを専せん門もんに取とり扱あつかう新しん組織そしき「粒子りゅうし状じょう物質ぶっしつ解決かいけつのための汎ひろし国家こっか的てき機構きこう」が創設そうせつされることとなり、文ぶん在ざい寅とら大統領だいとうりょうの要請ようせいで潘はんはそのトップである委員いいん長ちょう職しょくを引ひき受うけ、環境かんきょう面めんでの中国ちゅうごくの努力どりょくに対たいして韓国かんこくは取とり組くみが足たりないとして問題もんだいの責任せきにんをめぐって中国ちゅうごくと応酬おうしゅうしていた韓国かんこく国内こくないでの論調ろんちょうを叱責しっせきした。また、文政ぶんせい権けんの北朝鮮きたちょうせんに対たいする宥和ゆうわ政策せいさくについても6か国こく協議きょうぎなど過去かこに非核ひかく化かを反故ほごにされた例れいを挙あげて「2度ど騙だまされたら騙だまされた人間にんげんが愚おろか」と苦言くげんを呈ていした。

2019年ねん4月がつ、中国ちゅうごくを訪おとずれて習近平ひらた国家こっか主席しゅせきと会見かいけんし、潘はんを委員いいん長ちょうとする国家こっか気候きこう環境かんきょう会議かいぎが設立せつりつされた。

韓国かんこく大統領だいとうりょう選せん

2016年ねん5月がつ末まつに韓国かんこくへ一時いちじ帰国きこくした時とき、潘はんは「韓国かんこくの市民しみんとして何なにをしなければならないのか、（今年ことし末まつに任期にんきが終了しゅうりょうする事務じむ総長そうちょう職しょくを辞やめた後のちに）悩なやみ、決心けっしんする」と発言はつげんした。韓国かんこくでは、この発言はつげんが大統領だいとうりょう選出せんしゅつ馬ばの意思いし表示ひょうじとされた。この帰国きこくが、事実じじつ上じょうの選挙せんきょ運動うんどうともされ、事務じむ総長そうちょうの職しょくにあるのに選挙せんきょの準備じゅんびをして良よいのかと批判ひはんされた。

国連こくれんでは、1946年ねんに「国連こくれん事務じむ総長そうちょうは退任たいにん直後ちょくごに政府せいふ職しょくを務つとめてはならない」という決議けつぎが採択さいたくされており、潘はん基はじめ文ぶんが大統領だいとうりょう選せんに出馬しゅつばすることは、この決議けつぎに反はんするのではとの指摘してきがある。しかし、決議けつぎ案あんに法的ほうてき拘束こうそく力りょくは無ないという指摘してきもあり、また決議けつぎが定さだめているのは「政府せいふ職しょく」であり、大統領だいとうりょうのような「選出せんしゅつ職しょく」は該当がいとうしないとの見方みかたもある。なお、ステファン・ドゥジャリク国連こくれん事務じむ総長そうちょう報道ほうどう官かんは記者きしゃからこの決議けつぎに関かんする質問しつもんに対たいし「もちろんだ。彼かれ（潘はん総長そうちょう）はその決議けつぎを知しっている」と回答かいとうしている。

2016年ねん6月がつに行おこなわれた韓国かんこくギャラップの調査ちょうさでは、次期じき大統領だいとうりょう選せんの有力ゆうりょく候補こうほの中なかで、支持しじ率りつ1位いとなった。2016年ねん9月がつ15日にちには、事務じむ総長そうちょうの任期にんきの後のちに韓国かんこくへ戻もどると発言はつげんした。具体ぐたい的てきな帰国きこく時期じきを明あかしたのは大統領だいとうりょう選せんに出馬しゅつばする意思いし表示ひょうじと受うけ止とめる見方みかたがある。

2016年ねん12月がつ20日はつか、潘はんは「私わたしが10年間ねんかん国連こくれん事務じむ総長そうちょうを務つとめながら学まなび、見みて、感かんじたことが韓国かんこくの発展はってんに役立やくだつならば、この身みを燃もやしてでも努力どりょくする用意よういがある」と発言はつげん。事実じじつ上じょう、来年らいねんの韓国かんこく大統領だいとうりょう選せん出馬しゅつばを宣言せんげんしたものと報ほうじられた。

2017年ねん1月がつ12日にち、韓国かんこくに帰国きこくし、仁川にがわ国際こくさい空港くうこうの到着とうちゃくロビーにて会見かいけんを開ひらき、「人ひとをけなして手段しゅだんを選えらばずに権力けんりょくを奪うばい取とろうとするのが権力けんりょく志向しこうなら、私わたしは権力けんりょく志向しこうではない」と語かたり、「ひとえに国民こくみんと国家こっかのために身みを燃もやす意思いしがあるか、その意思いしがあるなら私わたしはいくらでもみなさんと共ともにする」と述のべた。

潘はん基はじめ文ぶんが大統領だいとうりょう選せんに出馬しゅつばするにあたり、「10年間ねんかん海外かいがいにいた」という点てんが韓国かんこくの公職こうしょく選挙せんきょ法ほうに違反いはんしているのではとの指摘してきがある。また、「国連こくれん事務じむ総長そうちょうが退任たいにん後ごに政務せいむ職しょくへ就つくのは国連こくれん決議けつぎ違反いはん」という問題もんだいも指摘してきされている。これらの問題もんだいについて、 2017年ねん1月がつ13日にち、韓国かんこくの選挙せんきょ管理かんり委員いいん会かいは「出生しゅっしょう後ご5年ねん以上いじょう居住きょじゅうしてさえいれば資格しかくがある」「ここでいう政府せいふ職しょくとは、政府せいふの業務ぎょうむを担当たんとうする任命にんめい職しょくをいうと通常つうじょうは解釈かいしゃくしており、選出せんしゅつ職しょくは該当がいとうしないというのが一般いっぱん論ろん」として、潘はんの出馬しゅつばに問題もんだいないと表明ひょうめいした。

財閥ざいばつ改革かいかくなどを訴うったえ、安全あんぜん保障ほしょうについては朴ほお槿むくげ恵めぐみ政権せいけんのTHAADミサイル配備はいびと韓米かんべい同盟どうめい重視じゅうしを支持しじするとしている。

次期じき大統領だいとうりょうの最さい有力ゆうりょく候補こうほと目めされていたが、朴ほお槿むくげ恵めぐみ大統領だいとうりょうの親友しんゆうらによる国政こくせい介入かいにゅう疑惑ぎわく（崔ちぇ順じゅん実じつゲート事件じけん）の発覚はっかくを受うけ、支持しじ率りつが急落きゅうらくした。国連こくれん総会そうかい出席しゅっせきなどのためニューヨークを訪問ほうもんした朴ほお槿むくげ恵めぐみを潘はんが毎回まいかい手厚てあつくもてなしていたことがよく知しられており、朴ほお槿むくげ恵めぐみに近ちかい後継こうけい候補こうほとのイメージを持もたれたことが影響えいきょうしたと思おもわれる。

2017年ねん2月がつ1日にち、国会こっかい内うちで記者きしゃ会見かいけんを開ひらき、次期じき大統領だいとうりょう選せんへの立候補りっこうほを断念だんねんする考かんがえを明あきらかにした。

その後ごの動向どうこう

2019年ねん10月がつ、世界せかい平和へいわ統一とういつ家庭かてい連合れんごう（旧きゅう：世界せかい基督教きりすときょう統一とういつ神霊しんれい協会きょうかい〈統一教会とういつきょうかい〉）から鮮鶴平和へいわ賞しょう中なかの創設そうせつ者しゃ特別とくべつ賞しょう(賞金しょうきん50万まんドル)を受賞じゅしょう、その後ご、2021年ねん5月がつに世界せかい平和へいわ統一とういつ家庭かてい連合れんごうのフロント組織そしきである「天てん宙ちゅう平和へいわ連合れんごう」(UPF)の主催しゅさいする「第だい6回かい希望きぼう前進ぜんしん大会たいかい」にメッセージを寄よせ、2022年ねん2月がつやはりUPFの主催しゅさいする「ワールドサミット2022・韓かん半島はんとう（朝鮮半島ちょうせんはんとう）平和へいわサミット」に共同きょうどう組織そしき委員いいん長ちょうとしてフン・センカンボジア首相しゅしょうと名なを連つらねるなど、世界せかい平和へいわ統一とういつ家庭かてい連合れんごうと関かかわりを持もつようになっている。

2020年ねん9月がつには日本にっぽんの鳩山はとやま由紀夫ゆきおや田中たなか眞紀子まきこやスペインのハビエル・ソラナらとともに核兵器かくへいき禁止きんし条約じょうやく支持しじと22カ国かこくの現役げんえきの政治せいじ指導しどう者しゃに条約じょうやくへの参加さんかを求もとめる公開こうかい書簡しょかんを出だした。

日本にっぽんとの関連かんれん

潘はん基はじめ文ぶん（オーストリア・ウィーン、2012年ねん2月がつ）

潘はんは外交がいこう通商つうしょう部ぶ長官ちょうかん就任しゅうにん後ご、マスコミとの会見かいけんにおいては、小泉こいずみ純一郎じゅんいちろう首相しゅしょうの靖国神社やすくにじんじゃの参拝さんぱい強行きょうこう、日本にっぽん政府せいふの「歴史れきし歪曲わいきょく」や竹島たけしまに対たいする領有りょうゆう権けん主張しゅちょうなどによって日にち韓かん関係かんけいが冷ひえ込こんでいると主張しゅちょう、日にち韓かん関係かんけい改善かいぜんには日本にっぽんが歴史れきし問題もんだいを正ただしく認識にんしきすべきであると主張しゅちょうした。

一方いっぽうで、潘はんは小泉こいずみの首相しゅしょう時代じだいの靖国神社やすくにじんじゃへの参拝さんぱいで日にち韓かん関係かんけいが冷ひえ切きった中なかでも関係かんけい改善かいぜんに努力どりょくしていた点てんから、日本にっぽんの外務省がいむしょうにもいい印象いんしょうを与あたえている。北朝鮮きたちょうせんの核かく問題もんだいなどをめぐる交渉こうしょうで知己ちきを得えた、アジア大洋たいよう州しゅう局長きょくちょうの佐々ささ江こう賢一郎けんいちろうは「バランスが取とれ、よく考かんがえる人ひとだ。何なにより日本にっぽんへの偏見へんけんがないのがいい」と評価ひょうかする。

2006年ねん10月がつ20日はつかにソウルを訪問ほうもんした麻生あそう太郎たろうとの会談かいだんで、潘はんは北朝鮮きたちょうせんによる日本人にっぽんじん拉致らち問題もんだいに触ふれ、「拉致らち問題もんだいでは国連こくれん事務じむ総長そうちょうとして特別とくべつの関心かんしんを払はらいたい。協力きょうりょくしていきたい」と述のべた。潘はんは11月6日にちに訪日ほうにちし、再ふたたび麻生あそうと会談かいだん、日本人にっぽんじん拉致らち事件じけんについて「拉致らち問題もんだいに関かんする日本にっぽんの関心かんしんは誰だれよりも承知しょうちしている。事務じむ総長そうちょうとしてできる協力きょうりょくをしたい。役やくに立たつことがあるのではないか」と述のべた。

一方いっぽうで、慰安いあん婦ふ問題もんだいに対たいしては米国べいこく下院かいんの決議けつぎ案あんを支持しじする姿勢しせいを堅持けんじしたり、自身じしん主催しゅさいの国連こくれん本部ほんぶ開催かいさいでのコンサート上じょうで日本海にほんかいを「東海とうかい」に変更へんこうすべきだというパンフレットを来場らいじょう者しゃに配布はいふしたりと、現在げんざいの日本にっぽん政府せいふの立場たちばとは相容あいいれない部分ぶぶんもある。2015年ねん12月28日にちに結むすばれた慰安いあん婦ふ合意ごういでは、「朴ほお槿むくげ恵めぐみ大統領だいとうりょうがビジョンを持もって正ただしい勇断ゆうだんをしたことを歴史れきしが高たかく評価ひょうかするだろう」と支持しじする姿勢しせいを示しめした。

以上いじょうの日本にっぽんへの対応たいおうから、一部いちぶでは「潘はんが事務じむ総長そうちょうである間あいだは日本にっぽんの常任じょうにん理事りじ国こく入いりは叶かなわない」ともされている。ただし潘はん自身じしんは、国連こくれん安保理あんぽりの拡大かくだいの必要ひつよう性せいを認みとめている。

2010年ねん8月がつ6日にち、広島ひろしまで開催かいさいされた広島ひろしま平和へいわ記念きねん式典しきてんに国連こくれん事務じむ総長そうちょうとして初はじめて出席しゅっせきした。また、それに先立さきだつ8月がつ5日にちには長崎ながさきを訪問ほうもんし、被爆ひばく者しゃとの面会めんかいや爆ばく心地ごこち公園こうえんでの演説えんぜつを行おこなった。長崎ながさきへの訪問ほうもんも歴代れきだい国連こくれん事務じむ総長そうちょうでは初はじめてである。

2015年ねん8月がつ12日にち、安倍あべ談話だんわに対たいして中立ちゅうりつ性せいに欠かける韓国かんこく擁護ようご発言はつげんをしたとされる 。

2016年ねん11月28日にち、南みなみスーダンPKO任務にんむにて、自衛隊じえいたいの南みなみスーダンへの派遣はけんを「深ふかく感謝かんしゃしている」と述のべ、PKO協力きょうりょく法ほう改正かいせいで可能かのうとなった「駆かけ付つけ警護けいご」を念頭ねんとうに「より大おおきな貢献こうけんをしようとしていることについて完全かんぜんに支持しじする」と強調きょうちょうした。

韓国かんこくで行おこなわれた統一教会とういつきょうかい主導しゅどうの安倍晋三あべしんぞうの韓国かんこく葬そうにおいて主催しゅさい者しゃに名なを連つらねた。

人物じんぶつ

国際こくさい連合れんごう事務じむ総長そうちょうでは唯一ゆいいつ、自分じぶんの信仰しんこうしている宗教しゅうきょうの有無うむを明言めいげんしていない。

2015年ねん12月14日にち、ニューヨークで開ひらかれた国連こくれん報道ほうどう協会きょうかいの忘年会ぼうねんかいで、自分じぶんがいかに過酷かこくな勤務きんむを行おこなっているかを説明せつめいするPVを発表はっぴょうした。一いち日にちの睡眠すいみん時間じかんは2時じ間あいだ未満みまん、食事しょくじやトイレの最中さいちゅうも事務じむを行おこない、スーツのまま就寝しゅうしんするという内容ないようだった。

家族かぞく

2017年ねん1月がつ10日とおか、マンハッタンのアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく連邦れんぽう裁判所さいばんしょは潘はん基はじめ文ぶんの弟おとうととその息子むすこ（潘はんの甥おい）を中東ちゅうとうの当局とうきょく者しゃに賄賂わいろを贈おくろうとした罪つみで起訴きそした。ただ、仲介ちゅうかい人じんとなるはずだったアメリカ人じんの男おとこが着服ちゃくふくしたため、実際じっさいに賄賂わいろが支払しはらわれることはなかったという。アメリカ在住ざいじゅうの甥おいは逮捕たいほされたが韓国かんこく在住ざいじゅうの弟おとうとは所在しょざいが不明ふめいのため、現在げんざいアメリカ政府せいふが韓国かんこく側がわに対たいし逮捕たいほを要請ようせいしている。

発言はつげん

「（日本にっぽんに）金かねを返かえしてやらねばならない」

大統領だいとうりょうである朴ほお槿むくげ恵めぐみによる「崔ちぇ順じゅん実じつゲート」疑惑ぎわくによって大統領だいとうりょう選せんの前倒まえだおしが指摘してきされる中なか、潘はんは有力ゆうりょくな大統領だいとうりょう候補こうほとして名なが挙あがるようになった。その後ご、2016年ねん12月30日にちに釜山ぷさんの日本にっぽん総領事館そうりょうじかんにおいて慰安いあん婦ふ像ぞうの設置せっち問題もんだいが発生はっせいし、日にち韓かん両国りょうこくの関係かんけいが緊迫きんぱく化か。2017年ねん1月がつ12日にちには民団みんだんからも像ぞうの撤去てっきょを求もとめる声こえが上あがった。こういった中なか、国連こくれん事務じむ総長そうちょう時代じだいは慰安いあん婦ふ問題もんだい日にち韓かん合意ごういを歓迎かんげいしていた潘はんは同日どうじつ、韓国かんこくに移動いどうする飛行機ひこうき内ないで中央日報ちゅうおうにっぽう記者きしゃに対たいして、次つぎのような強気つよきな発言はつげんを行おこなった。

「10億おく円えんが少女しょうじょ像ぞうの撤去てっきょと関連かんれんしたものなら、（合意ごういは）間違まちがったものだ。それならいっそ金かねは返かえしてやらねば。話はなしにならない」:

なお日本にっぽん政府せいふ側がわは、官房かんぼう長官ちょうかんの菅かん義よし偉えらが、日にち韓かんの合意ごういが最終さいしゅう的てきかつ不ふ可逆かぎゃくな合意ごういであったことを前提ぜんていに合意ごういの着実ちゃくじつな実施じっしを求もとめ、釜山ぷさんの慰安いあん婦ふ像ぞうがウィーン条約じょうやくに違反いはんするとの立場たちばを表明ひょうめいした。

参考さんこう文献ぶんけん

• 辛からし雄ゆう鎭 著ちょ、足立あだち康やすし、辛からし美び鎭 訳やく編へん 編へん『努力どりょくの証あかし―第だい八はち代だい国連こくれん事務じむ総長そうちょう 潘はん基はじめ文物ぶんぶつ語ご』ダイヤモンド社だいやもんどしゃ、2008年ねん。ISBN 978-4-478-00686-3。 

外部がいぶリンク

• 国連こくれん事務じむ総長そうちょう 潘はん基はじめ文ぶん（日本語にほんご）

外交がいこう職しょく
先代せんだい コフィー・アナン ()	国際こくさい連合れんごう事務じむ総長そうちょう 第だい8代だい：2007年ねん - 2016年ねん	次代じだい アントニオ・グテーレス ()
先代せんだい 李り承うけたまわ坤ひつじさる	在ざいオーストリア大韓民国だいかんみんこく大使たいし （在ざいスロベニア、コソボ大韓民国だいかんみんこく大使たいし兼任けんにん） 兼けん在ざいウィーン国際こくさい機関きかん大韓民国だいかんみんこく代表だいひょう部ぶ代表だいひょう 第だい11代だい：1998年ねん - 2000年ねん	次代じだい 崔ちぇ尚徳なおのり
公職こうしょく
先代せんだい 尹いん永えい寬ひろし	大韓民国だいかんみんこく外交がいこう通商つうしょう部ぶ長官ちょうかん 第だい33代だい：2004年ねん - 2006年ねん	次代じだい 宋そう旻みん淳あつし