習近平ひらた

習 近平ちから 习 近平ちから
2024年ねん7月がつ2日にち、カザフスタン・アスタナにて
中国共産党ちゅうごくきょうさんとう 第だい5代だい 中央ちゅうおう委員いいん会かい総そう書記しょき
任期にんき	2012年ねん11月15日にち – 現職げんしょく
政治せいじ局きょく常務じょうむ委員いいん	李り強つよし 趙ちょう楽らく際さい 王おう滬寧 蔡奇 丁ちょう薛祥 李り希のぞみ
中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく 第だい7代だい 国家こっか主席しゅせき
任期にんき	2013年ねん3月14日にち – 現職げんしょく
国家こっか副ふく主席しゅせき	李り源はじめ潮しお（第だい12期き） 王おう岐山きざん（第だい13期き） 韓かん正ただし（第だい14期き）
首相しゅしょう	李り克かつ強きょう（第だい12・13期き） 李り強つよし（第だい14期き）
中国共産党ちゅうごくきょうさんとう 第だい6代だい 中央ちゅうおう軍事ぐんじ委員いいん会かい主席しゅせき
任期にんき	2012年ねん11月15日にち – 現職げんしょく
副ふく主席しゅせき	范長龍りゅう・許もと其亮（第だい18期き） 許もと其亮・張ちょう又また侠（第だい19期き） 張ちょう又また侠・何なに衛まもる東ひがし（第だい20期き）
中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく 第だい4代だい 中央ちゅうおう軍事ぐんじ委員いいん会かい主席しゅせき
任期にんき	2013年ねん3月14日にち – 現職げんしょく
副ふく主席しゅせき	范長龍りゅう・許もと其亮（第だい12期き） 許もと其亮・張ちょう又また侠（第だい13期き） 張ちょう又また侠・何なに衛まもる東ひがし（第だい14期き）
中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく 第だい11期き 国家こっか副ふく主席しゅせき
任期にんき	2008年ねん3月15日にち – 2013年ねん3月14日にち
国家こっか主席しゅせき	胡錦濤こきんとう
中国共産党ちゅうごくきょうさんとう中央ちゅうおう書記しょき処しょ 第だい17期き 常務じょうむ書記しょき
任期にんき	2007年ねん10月22日にち – 2012年ねん11月15日にち
党とう総そう書記しょき	胡錦濤こきんとう
出生しゅっしょう	(1953-06-15) 1953年ねん6月15日にち（71歳さい） 中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく 北京ぺきん市し
政党せいとう	中国共産党ちゅうごくきょうさんとう （1974年ねん1月がつ - ）
出身しゅっしん校こう	清華せいか大学だいがく（工学こうがく士し・法学ほうがく博士はかせ）
現職げんしょく	党とう中央ちゅうおう委員いいん会かい総そう書記しょき 党とう中央ちゅうおう軍事ぐんじ委員いいん会かい主席しゅせき 国家こっか主席しゅせき 国家こっか軍事ぐんじ委員いいん会かい主席しゅせき 党とう中央ちゅうおう政治せいじ局きょく常務じょうむ委員いいん会かい委員いいん 党とう中央ちゅうおう国家こっか安全あんぜん委員いいん会かい主席しゅせき
配偶はいぐう者しゃ	柯玲玲れい （1979年ねん - 1982年ねん） 彭麗媛ひめ （1987年ねん9月がつ - ）
子女しじょ	習明沢さわ（娘むすめ・1992年ねん6月がつ - ）
親族しんぞく	習仲勲くん（父ちち） 斉ひとし心こころ（母はは） 斉ひとし橋はし橋きょう（姉あね） 斉ひとし安安やすやす（姉あね） 習遠平ひらた（弟おとうと）
宗教しゅうきょう	無む神かみ論ろん
署名しょめい

習 近平ちから
職業しょくぎょう：	政治せいじ家か
籍せき貫ぬき地ち：	中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく 陝西せんせい省しょう渭南市し富平とみひら県けん
各種かくしゅ表記ひょうき
拼音：	Xí Jìnpíng
和名わみょう表記ひょうき：	しゅう きんぺい
発音はつおん転記てんき：	シー・ジンピン シー・チンピン
簡体字かんたいじ：	习 近平ちから

習 近平ちから（しゅう きんぺい、シー・チンピン、シー・ジンピン、簡体字かんたいじ: 习 近平ちから、英語えいご: Xi Jinping、拼音: Xí Jìnpíng、1953年ねん6月15日にち - ）は、中国ちゅうごくの政治せいじ家か。中国共産党ちゅうごくきょうさんとう・中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくの最高さいこう指導しどう者しゃであり、中国共産党ちゅうごくきょうさんとう中央ちゅうおう委員いいん会かい総そう書記しょき、党とう中央ちゅうおう軍事ぐんじ委員いいん会かい主席しゅせき、国家こっか中央ちゅうおう軍事ぐんじ委員いいん会かい主席しゅせき、国家こっか主席しゅせきを務つとめている。

胡錦濤こきんとう引退いんたい後ごの党とう中央ちゅうおう委員いいん会かい総そう書記しょきであり、党とう中央ちゅうおう政治せいじ局きょく常務じょうむ委員いいん、第だい6代だい党とう中央ちゅうおう軍事ぐんじ委員いいん会かい主席しゅせき、第だい7代だい国家こっか主席しゅせき、国家こっか軍事ぐんじ委員いいん会かい主席しゅせきを務つとめている。党とうでの序列じょれつは第だい1位い。第だい17期き党とう中央ちゅうおう書記しょき処しょ常務じょうむ書記しょき、第だい9代だい国家こっか副ふく主席しゅせき、第だい5代だい党とう中央ちゅうおう軍事ぐんじ委員いいん会かい副ふく主席しゅせきを歴任れきにんした。

来歴らいれき

1953年ねん6月がつ15日にち、北京ぺきん市しに生うまれる。1965年ねん、中学校ちゅうがっこうである北京ぺきん市し八はち一いち学校がっこうに入学にゅうがくしたが、1966年ねん5月の文化ぶんか大だい革命かくめいの発生はっせいにより学校がっこうが解散かいさんされた。この事ことにより習の学校がっこう教育きょういくが中断ちゅうだんされた。習は世界せかい最強さいきょうの囲碁いご棋士きしの1人ひとりに数かぞえられる聶衛平ひらたと北京ぺきん25中学ちゅうがくからの友人ゆうじんで、聶によれば中国ちゅうごく人民じんみん解放かいほう軍ぐんの劉りゅう衛まもる平ひら少将しょうしょうとの3人にんで「北京ぺきん25中学ちゅうがくの三平さんぺい」と呼よばれていたとされる。八はち大だい元老げんろうでもあった父ちちの習仲勲くんが迫害はくがいされた文化ぶんか大だい革命かくめいにおいて反動はんどう学生がくせいとして批判ひはんされた。習近平ひら自身じしんも紅衛兵こうえいへいによって十じゅう数すう回かいも批判ひはん闘争とうそう大会たいかいに引ひき出だされ、4度ども監獄かんごくに放ほうり込こまれた。

習近平ひらた在ざい清華せいがの宿舍しゅくしゃ

1969年ねん1月がつから7年間ねんかん陝西せんせい省しょう延のべ安やす市し延川のぶかわ県けんに下放かほうされる中なか、1974年ねん1月がつに中国共産党ちゅうごくきょうさんとうに入党にゅうとうした。下放かほうされた同地どうちで生産せいさん大隊だいたいの党とう支部しぶ書記しょきを務つとめている。1975年ねん、時ときは文化ぶんか大だい革命かくめいの期間きかん中ちゅうで全国ぜんこく普通ふつう高等こうとう学校がっこう招生入学にゅうがく考試こうしが中断ちゅうだんしており、中学ちゅうがく1年ねん以降いこうに正式せいしきな教育きょういくを受うけていない。しかし、「工こう農兵のうへい学がく員いん」という模範もはん的てきな労働ろうどう者しゃ・農民のうみん・兵士へいし（個人こじんの政治せいじ身分みぶん）の推薦すいせん入学にゅうがく制度せいどを経へて、国家こっか重点じゅうてん大学だいがくの清華せいか大学だいがく化学かがく工程こうてい部ぶに無試験むしけんで入学にゅうがくし、有機ゆうき合成ごうせい化学かがくを学まなんだ。1979年ねん4月がつに同どう大学だいがくを卒業そつぎょうした後のち、国務こくむ院いん弁べん公おおやけ庁ちょう及および中央ちゅうおう軍事ぐんじ委員いいん会かい弁べん公おおやけ庁ちょうにおいて、副ふく総理そうり及および中央ちゅうおう軍事ぐんじ委員いいん会かい常務じょうむ委員いいんの耿飈の秘書ひしょをかけ持もちで務つとめた。1985年ねんにアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくを視察しさつで訪問ほうもんし、当時とうじのアイオワ州しゅう知事ちじで後のちに駐ちゅう中国ちゅうごく大使たいしのテリー・ブランスタッドと親交しんこうを結むすんでホームステイをした。1998年ねんから2002年ねんにかけて、清華せいか大学だいがくの人文じんぶん社会しゃかい科学かがく院いん大学院だいがくいん課程かていに在籍ざいせきし、法学ほうがく博士はかせの学位がくいを得えた。しかし、海外かいがいの複数ふくすうメディアから、論文ろんぶんの代筆だいひつの疑惑ぎわくが報ほうじられている。廈門副ふく市長しちょう、福ふく州しゅう市し党とう委員いいん会かい書記しょきを経へて、2000年ねんに福建ふっけん省しょう長ちょうとなった。2002年ねん11月、張ちょう徳江とくえに代かわって49歳さいで浙江せっこう省しょうの党とう委員いいん会かい書記しょきに就任しゅうにんし、この時期じきに浙江せっこう省しょう軍ぐん区く党とう委員いいん会かい第だい一いち書記しょき、南京なんきん軍ぐん区く国防こくぼう動員どういん委員いいん会かい副ふく主任しゅにん、浙江せっこう省しょう国防こくぼう動員どういん委員いいん会かい主任しゅにんを兼任けんにんした。2006年ねん9月、上海しゃんはい市しで大だい規模きぼな汚職おしょく事件じけんが発覚はっかくし、当時とうじの市し党とう委員いいん会かい書記しょきの陳ちん良りょう宇が罷免ひめんされた。翌年よくねんの2007年ねん3月24日にち、書記しょき代理だいりを務つとめていた上海しゃんはいの韓かん正ただし市長しちょうに代かわって上海しゃんはい市し党とう委員いいん会かい書記しょきに就任しゅうにんした。これにより、第だい17期きの党とう中央ちゅうおう政治せいじ局きょく入いりは確実かくじつとみられた。同年どうねん10月がつの第だい17期き党とう中央ちゅうおう委員いいん会かい第だい1回かい全体ぜんたい会議かいぎ（第だい17期き1中ちゅう全会ぜんかい）において、一気いっきに中央ちゅうおう政治せいじ局きょく常務じょうむ委員いいんにまで昇格しょうかくするという「2階かい級きゅう特進とくしん」を果はたし、中央ちゅうおう書記しょき処しょ常務じょうむ書記しょき、中央ちゅうおう党とう校こう校長こうちょうに任命にんめいされた。上海しゃんはい市し党とう委員いいん会かい書記しょきは兪正声ごえが引ひき継ついだ。中央ちゅうおう党とう校こう校長こうちょう時代じだいは「幹部かんぶは歴史れきしを学まねべ。世界せかい四よん大だい文明ぶんめいの中なかで中華ちゅうか文明ぶんめいだけが中断ちゅうだんせずに今日きょうまで続つづいている」と述のべた。後年こうねんにエジプト・イラク・インドなどを集あつめた「世界せかい古代こだい文明ぶんめいフォーラム」の共同きょうどう設立せつりつを唱となえる習の歴史れきし観かんや思想しそう戦略せんりゃくが既すでに形成けいせいされていたとされる。

政治せいじ局きょく常務じょうむ委員いいん・書記しょき処しょ書記しょき

習近平たいらとアメリカの大統領だいとうりょうジョージ・W・ブッシュ（2008年ねん8月がつ10日とおか）

中国共産党ちゅうごくきょうさんとう第だい17期き政治せいじ局きょく常務じょうむ委員いいんには、胡錦濤こきんとう直系ちょっけいである共きょう青あお団だん出身しゅっしんの李り克かつ強きょうも習と同おなじ第だい5世代せだいの中核ちゅうかくとして選出せんしゅつされ、習と李りのいずれかがポスト胡錦濤こきんとうとなると見みられたが、習が李りよりも党内とうない序列じょれつが上うえであり、胡えびす自身じしんも党とう総そう書記しょき就任しゅうにんまでの2期き10年ねんを中央ちゅうおう書記しょき処しょ書記しょきとして経験けいけんを積つんだことを考かんがえると、習がポスト胡錦濤こきんとうに一番いちばん近ちかい存在そんざいであった。習はかつて中央ちゅうおう軍事ぐんじ委員いいん会かい弁べん公おおやけ庁ちょう秘書ひしょや南京なんきん軍ぐん区く国防こくぼう動員どういん委員いいん会かい副ふく主任しゅにんなどを務つとめており、第だい17期き政治せいじ局きょく常務じょうむ委員いいんで唯一ゆいいつ国防こくぼう文官ぶんかんの経歴けいれきを有ゆうする人物じんぶつであった。この事ことは習と軍部ぐんぶとの結むすびつきを強つよめる一因いちいんともなった。

日本にっぽん訪問ほうもん

2008年ねん3月15日にち、第だい11期き全国ぜんこく人民じんみん代表だいひょう大会たいかい第だい1回かい会議かいぎで国家こっか副ふく主席しゅせきに選出せんしゅつされた。2009年ねん12月には国家こっか副ふく主席しゅせきとして日本にっぽんを訪おとずれ、環境かんきょうに優すぐれた先進せんしん技術ぎじゅつ施設しせつとして安川電機やすかわでんきの産業さんぎょう用ようロボット工場こうじょうを視察しさつした際さいに経営けいえい陣じんから伝つたえられた創業そうぎょう者しゃの安川やすかわ敬たかし一郎いちろうと孫まご文ぶんゆかりの逸話いつわに感銘かんめいを受うけて「とても感動かんどうした、我々われわれはこの日にち中ちゅう友好ゆうこうの伝統でんとうを受うけ継ついで発揚はつようするべきだ」と発言はつげんして中国ちゅうごくの公用こうよう車しゃである紅べに旗はたの組立くみたて用ように作つくられたロボットの披露ひろうに拍手はくしゅを送おくった。一方いっぽうで訪日ほうにちの際さいに起おきた天皇てんのう特例とくれい会見かいけんの問題もんだいは鳩山はとやま由紀夫ゆきお内閣ないかく時代じだいの日本にっぽんで論争ろんそうを巻まき起おこした。

軍事ぐんじ委員いいん会かい副ふく主席しゅせき

2010年ねん10月18日にちに習近平たいらは第だい17期き5中ちゅう全会ぜんかいで党とう中央ちゅうおう軍事ぐんじ委員いいん会かい副ふく主席しゅせきに選出せんしゅつされた。党とう中央ちゅうおう軍事ぐんじ委員いいん会かいは共産党きょうさんとうが国家こっかを領りょう導しるべするという中国ちゅうごくの政治せいじ構造こうぞう上じょうとして、事実じじつ上じょうの最高さいこう軍事ぐんじ指導しどう機関きかんである。副ふく主席しゅせきとして党とう中央ちゅうおう軍事ぐんじ委員いいん会かいに入はいったことで、習は胡えびすの後継こうけいになることが事実じじつ上じょう確定かくていした。さらに同月どうげつ28日にち、全国ぜんこく人民じんみん代表だいひょう大会たいかい常務じょうむ委員いいん会かいの決定けっていによって国家こっか中央ちゅうおう軍事ぐんじ委員いいん会かい副ふく主席しゅせきに就任しゅうにんした。しかし、習が党とう中央ちゅうおう軍事ぐんじ委員いいん会かい副ふく主席しゅせきの地位ちいを獲得かくとくするまでには紆余曲折うよきょくせつがあった。2009年ねん9月の第だい17期き4中ちゅう全会ぜんかいで党とう中央ちゅうおう軍事ぐんじ委員いいん会かい副ふく主席しゅせきに選出せんしゅつされるという見方みかたがあったが、結局けっきょく選出せんしゅつされなかった。その理由りゆうとして、背後はいごで胡えびす直系ちょっけいの共きょう青あお団だん出身しゅっしんの李り克かつ強きょうを推おそうとする勢力せいりょくと、江沢民こうたくみん系けいの上海しゃんはい閥ばつ（上海しゃんはい幇）と呼よばれる勢力せいりょくとの間あいだに生しょうじた権力けんりょく闘争とうそうが原因げんいんだとする見方みかたがあった。これによると、習は上海しゃんはい閥ばつの流ながれを汲くむ人物じんぶつであり、共きょう青あお団だん系けいの勢力せいりょくが躍進やくしんしている現在げんざいにおいては党内とうない基盤きばんが弱よわくなっているというものだった。しかし、江沢民こうたくみんだけで無なく、共きょう青あお団だん系けいで最さい長老ちょうろうの1人ひとりである宋そう平ひらたも習の強力きょうりょくな後うしろ盾たてになったとされる。結局けっきょく、2010年ねん10月がつの第だい17期き5中ちゅう全会ぜんかいで習は党とう中央ちゅうおう軍事ぐんじ委員いいん会かい副ふく主席しゅせきに選出せんしゅつされ、胡えびすの後継こうけい者しゃとしての地位ちいを確立かくりつした。これは各かく派閥はばつの妥協だきょうの結果けっかとされ、特定とくていの派閥はばつというよりは軍部ぐんぶの強つよい支持しじを受うけてのものとされる。習を支ささえる陝西せんせい閥ばつ（陝西せんせい幇）、陝軍、之これ江こう新しん軍ぐんなどの習近平ちから派はは後のちに台頭たいとうすることになる。

党とう総そう書記しょき・最高さいこう指導しどう者しゃ

2012年ねん11月の第だい18回かい全国ぜんこく代表だいひょう大会たいかいを以もって胡錦濤こきんとう・温ゆたか家宝かほうら第だい4世代せだいの指導しどう者しゃは引退いんたいし、11月15日にちに開催かいさいされた第だい18期き1中ちゅう全会ぜんかいにおいて習近平たいらは党とう中央ちゅうおう政治せいじ局きょく常務じょうむ委員いいんに再選さいせんされ、党とうの最高さいこう職しょくである中央ちゅうおう委員いいん会かい総そう書記しょきと軍ぐんの統帥とうすい権けんを握にぎる党とう中央ちゅうおう軍事ぐんじ委員いいん会かい主席しゅせきに選出せんしゅつされた。習近平たいらの総そう書記しょき就任しゅうにんには台湾たいわんの馬うま英えい九きゅう総統そうとうが国民党こくみんとう主席しゅせきの名義めいぎで異例いれいの祝電しゅくでんを打うっている。2013年ねん3月がつ14日にち、第だい12期き全人代ぜんじんだい第だい1回かい会議かいぎにおいて国家こっか主席しゅせき・国家こっか中央ちゅうおう軍事ぐんじ委員いいん会かい主席しゅせきに選出せんしゅつされ、党とう・国家こっか・軍ぐんの三権さんけんを正式せいしきに掌握しょうあくした。翌日よくじつ、李り克かつ強きょうを国務こくむ院いん総理そうり（首相しゅしょう）に任命にんめいし、中国共産党ちゅうごくきょうさんとうの第だい5世代せだいである習・李り体制たいせいを本格ほんかく的てきに始動しどうさせた。

2014年ねん1月がつ24日にちに開催かいさいされた党とう中央ちゅうおう政治せいじ局きょく会議かいぎにおいて、中国共産党ちゅうごくきょうさんとう中央ちゅうおう国家こっか安全あんぜん委員いいん会かいの設置せっちと習の同どう委員いいん会かい主席しゅせき就任しゅうにんが決定けっていされた。この組織そしきは国家こっか安全あんぜんに関かんする党とうの政策せいさく決定けっていと調整ちょうせいを行おこない、国内こくないの治安ちあん対策たいさくも掌握しょうあくする。そのため、党とう中央ちゅうおう国家こっか安全あんぜん委員いいん会かいは外交がいこう・安全あんぜん保障ほしょう・警察けいさつ・情報じょうほう部門ぶもんを統合とうごうする巨大きょだい組織そしきとなり、同どう委員いいん会かい主席しゅせきを兼任けんにんした習に権力けんりょくが一層いっそう集中しゅうちゅうすることとなる。一方いっぽう、李り克かつ強きょうが主導しゅどうする中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく国務こくむ院いんの影響えいきょう力りょく低下ていかの指摘してきもある。

2017年ねん10月の第だい19回かい全国ぜんこく代表だいひょう大会たいかいと第だい19期き1中ちゅう全会ぜんかいでは、第だい6世代せだいから政治せいじ局きょく常務じょうむ委員いいんを選えらばず、より自みずからに権力けんりょくが集中しゅうちゅうした2期き目めの習李体制たいせいを発足ほっそくさせ、党とう規約きやく的てきには「習近平たいらによる新しん時代じだいの中国ちゅうごくの特色とくしょくある社会しゃかい主義しゅぎ思想しそう」（習近平ひら思想しそう）を明記めいきさせており、個人こじんの名なを冠かんした思想しそうは毛沢東もうたくとう・鄧小平ひらた以来いらいとされる。習政権けんでは企業きぎょうに共産党きょうさんとう組織そしきを設置せっちする「党とう建けん」を推おし進すすめて企業きぎょうへの統制とうせいを強つよめており、2017年ねん時点じてんで党とう組織そしきは国営こくえい企業きぎょうに9割わりで民営みんえい企業きぎょうでも5割わり超ちょうに達たっし、外国がいこく企業きぎょうの7割わりにも党とう組織そしきが設立せつりつされており、3時じ間あいだ21分ふんに及およんだ第だい19回かい党とう大会たいかいでの演説えんぜつでも「党とう政せい軍民ぐんみん学がく、東西とうざい南北なんぼく中ちゅう、党とうに全すべてを領りょう導みちびけさせる」と述のべてさらなる統制とうせい強化きょうかを示唆しさしている。また、この発言はつげんの「党とう領りょう導しるべ一切いっさい」の他ほか、習が唱となえてきた一帯いったい一路いちろ・中国ちゅうごくの夢ゆめ・人類じんるい運命うんめい共同きょうどう体たい・四よっつの全面ぜんめん・四よっつの意識いしきや「強国きょうこく」・「強つよし軍ぐん」といったフレーズなども党とう規約きやくに盛もり込こまれた。

2018年ねん3月11日にち、全国ぜんこく人民じんみん代表だいひょう大会たいかいは国家こっか主席しゅせきと国家こっか副ふく主席しゅせきの任期にんきを2期き10年ねんとする制限せいげんを撤廃てっぱいし、習近平ひら思想しそうを盛もり込こむ憲法けんぽう改正かいせい案あんを賛成さんせい2958票ひょう・反対はんたい2票ひょうで成立せいりつさせた。この憲法けんぽう改正かいせい案あんをめぐっては中国ちゅうごく国内外こくないがいで波紋はもんを呼よび、中華民国ちゅうかみんこく大だい総統そうとうから中華ちゅうか帝国ていこく皇帝こうていに即位そくいした袁世凱・洪ひろし憲けん（袁世凱の定さだめた元号げんごう）・張ちょう勲いさお復辟ふくへき（張ちょう勲いさおが清きよしの廃帝はいていである愛あい新しん覚さとし羅ら溥儀ふぎを復位ふくいさせた事件じけん）・登のぼり基はじめ（皇帝こうてい即位そくいの意い）・倒たおせ車しゃ（時代じだいへの逆行ぎゃっこうの意い）などといった言葉ことばが中国ちゅうごくではグレート・ファイアウォールで規制きせいされた。17日にち、習近平たいらは国家こっか主席しゅせきに全会ぜんかい一致いっちで再選さいせんされ、定年ていねんで党とう政治せいじ局きょく常務じょうむ委員いいんを退しりぞいていた盟友めいゆうの王おう岐山きざんも反対はんたいは1票ひょうのみで国家こっか副ふく主席しゅせきに選えらばれ、共ともに任期にんきは無制限むせいげんとなった習国家こっか主席しゅせき（総そう書記しょき）による「習近平ひら核心かくしん体制たいせい」（習終身体しんたい制せい）が事実じじつ上じょう確立かくりつしたとする見方みかたもある。

中国ちゅうごく人民じんみん抗日こうにち戦争せんそう・世界せかい反はんファシズム戦争せんそう勝利しょうり70周年しゅうねん記念きねん式典しきてんでの習近平たいら。左ひだりは出席しゅっせきしたロシアの大統領だいとうりょうプーチンと韓国かんこくの大統領だいとうりょう朴ほお槿むくげ恵めぐみ（2015年ねん9月がつ3日にち）

一帯いったい一路いちろ国際こくさい協力きょうりょくサミットフォーラムでの習近平たいら。左ひだりは出席しゅっせきしたプーチンと右みぎはレジェップ・タイイップ・エルドアン（2017年ねん5月がつ14日にち）

ロシアの大統領だいとうりょうプーチン(左ひだり)と北京ぺきんにて（2022年ねん）

2013年ねん3月がつ17日にちの第だい12期き全人代ぜんじんだい第だい1回かい会議かいぎの閉会へいかい式しきにおいて習は国家こっか主席しゅせきとして就任しゅうにん演説えんぜつを行おこない、「中華ちゅうか民族みんぞくは5千せん年ねんを超こえる悠久ゆうきゅうの歴史れきしを持もち、中華ちゅうか文明ぶんめいは人類じんるいに不滅ふめつの貢献こうけんをしてきた」・「中華ちゅうか民族みんぞくの偉大いだいなる復興ふっこうという中国ちゅうごくの夢ゆめを実現じつげんするため引ひき続つづき奮闘ふんとう、努力どりょくしなければならない」と述のべてナショナリズムを鮮明せんめいにし、外交がいこう政策せいさくにおいてはヨーロッパまで及およぶ広大こうだいなシルクロードを勢力せいりょく下かに置おき、鄭てい和かずの艦隊かんたいがアフリカの角かくにまで進出しんしゅつしたかつての中国ちゅうごくの栄光えいこうを取とり戻もどすという意味いみを込こめて巨大きょだいな経済けいざい圏けん構想こうそうである「シルクロード経済けいざいベルトと21世紀せいき海洋かいようシルクロード」（一帯いったい一路いちろ）を打うち出だした。

習は第だい18期きとして初はつの党とう中央ちゅうおう政治せいじ局きょく会議かいぎを主宰しゅさいし、胡錦濤こきんとう前ぜん指導しどう部ぶのスローガンであった「『小康しょうこう社会しゃかい』（いくらかゆとりのある社会しゃかい）の建設けんせつ」を全面ぜんめん的てき推進すいしんを確認かくにんして、前ぜん指導しどう部ぶの路線ろせん継承けいしょうを示しめした。同日どうじつ、中央ちゅうおう軍事ぐんじ委員いいん会かい拡大かくだい会議かいぎに出席しゅっせきした習は、軍ぐんに対たいし「軍事ぐんじ闘争とうそうの準備じゅんびが最もっとも重要じゅうようという立場たちばを堅持けんじし、国家こっか主権しゅけん、安全あんぜん、発展はってんの利益りえきを断固だんこ守まもらなければならない」と強調きょうちょうした。

習が党とう中央ちゅうおう軍事ぐんじ委員いいん会かい副ふく主席しゅせきに就任しゅうにんして以降いこうの中国ちゅうごくは北朝鮮きたちょうせんの核かく開発かいはつを批判ひはんしなくなるなど、中国ちゅうごくの外交がいこうに明あきらかな変化へんかが現あらわれたとされる。例たとえば、胡錦濤こきんとう政権せいけんにおいて国務こくむ院いん総理そうり（首相しゅしょう）を務つとめる温ゆたか家宝かほうは、様々さまざまな外交がいこう問題もんだいで保守ほしゅ派はから「弱腰よわごし」と批判ひはんされたり、政治せいじ改革かいかくの断行だんこうを訴うったえたことなどで党内とうないで温あつしは孤立こりつしてしまっていると言いう。温ゆたか自身じしん、2010年ねん11月中旬ちゅうじゅんにマカオを訪問ほうもんした際さい、任期にんきを半期はんき残のこした段階だんかいで自身じしんの引退いんたいについて述のべており、「権力けんりょく闘争とうそうに敗やぶれ、意気いき消沈しょうちんしていることの現あらわれである」とする香港ほんこん紙しもある。また、習が副ふく主席しゅせきに就任しゅうにんして以降いこうは、北朝鮮きたちょうせんのような独裁どくさい国家こっかを擁護ようごしたり、豊富ほうふな資源しげんを有ゆうする発展はってん途上とじょう国こくと「国益こくえき」と言いう観点かんてんから結むすびつきを強つよめているとされる。副ふく主席しゅせき就任しゅうにん後ごに北朝鮮きたちょうせんを初はつの外遊がいゆう先さきに選えらんで金きむ正日じょんいると会談かいだんするなど習は当時とうじの北朝鮮きたちょうせんの金きむ正日じょんいる政権せいけんとは一定いっていの関係かんけいを築きずいたものの、金きむ正ただし恩おん体制たいせいからは張ちょう成沢なりさわの粛清しゅくせいと党とう総そう書記しょき就任しゅうにん後ごの習の韓国かんこく訪問ほうもんに始はじまり、国連こくれんの対たい北きた経済けいざい制裁せいさい決議けつぎで米べい中ちゅうは一致いっちし、訪中ほうちゅうした崔ちぇ竜りゅう海うみの冷遇れいぐうと対照たいしょう的てきな韓国かんこくの大統領だいとうりょう朴ほお槿むくげ恵めぐみの厚遇こうぐうや訪朝ほうちょうした劉りゅう雲山くもやまの映像えいぞう削除さくじょなど中ちゅう朝ちょう関係かんけいの冷却れいきゃく化かが伝つたえられた一方いっぽうで中ちゅう朝ちょう友好ゆうこう協力きょうりょく相互そうご援助えんじょ条約じょうやくによる軍事ぐんじ同盟どうめいや経済けいざい的てきには北朝鮮きたちょうせんが貿易ぼうえきの9割わり超ちょうも中国ちゅうごくに依存いぞんする関係かんけいを続つづけ、2018年ねん3月がつに最高さいこう指導しどう者しゃ就任しゅうにん後ご初はつの外遊がいゆうで訪中ほうちゅうを「当然とうぜんの崇高すうこうな義務ぎむ」と表明ひょうめいした金きむ正ただし恩おんと初はつ対面たいめんしてからは「きみ」（你）「あなた」（您）と呼よび合あい、同年どうねん6月がつに行おこなわれた史上しじょう初はつの米べい朝ちょう首脳しゅのう会談かいだんの際さいは移動いどう用ように政府せいふ専用せんよう機きを金きむ正ただし恩おんに貸かし、習の誕生たんじょう日びに中ちゅう朝あさの血盟けつめいを強調きょうちょうする祝賀しゅくがをおくった金きむ正ただし恩おんは翌よく2019年ねんの自みずからの誕生たんじょう日びまで4度ども中国ちゅうごくを訪問ほうもんし、同年どうねん6月がつに中国ちゅうごくの指導しどう者しゃとしては14年ねんぶりに訪朝ほうちょうした習に殆ほとんど同行どうこうして習の顔かおを描えがいたマスゲームで歓待かんたいするなど友好ゆうこうぶりをアピールした。

2019年ねん3月がつにこの年としで最初さいしょの外遊がいゆう先さきにイタリアを選えらび、コリエーレ・デラ・セラへの寄稿きこうでロろーマ帝国まていこくとのシルクロードや北京ぺきん（大だい都と）でクビライに謁見えっけんしたマルコ・ポーロなどを引ひき合あいにイタリアとの歴史れきし的てきな繋つながりを強調きょうちょうし、イタリアは先進せんしん7カ国かこく（G7）で初はじめて習の唱となえる「一帯いったい一路いちろ」に協力きょうりょくする覚書おぼえがきを締結ていけつする国くにとなった。

3期き目めの総そう書記しょき

2022年ねん10月がつ22日にち、第だい20回かい全国ぜんこく代表だいひょう大会たいかいにおいて習近平ひらた総そう書記しょきの党とうの核心かくしんとしての地位ちいと、政治せいじ思想しそうの指導しどう的てき地位ちいを固かためる「二ふたつの確立かくりつ」を盛もり込こんだ党とう規約きやくの改正かいせい案あんが承認しょうにんされた。 翌よく23日にちの第だい一いち次じ全体ぜんたい会議かいぎでは、李り克かつ強きょうを退任たいにんさせ自みずからの側近そっきんが大だい多数たすうを占しめる3期き目めの習近平体へいたい制せいを発足ほっそくさせた。 習は共産党きょうさんとう総そう書記しょきに選えらばれ、習を党とうのトップとする新あらたな最高さいこう指導しどう部ぶが発足ほっそく。習政権せいけんの異例いれいの3期き目めが始はじまった。 中国共産党ちゅうごくきょうさんとうの総そう書記しょき（最高さいこう指導しどう者しゃ）に3選せんされた習は、報道陣ほうどうじんに新しん体制たいせいを紹介しょうかいした上うえで、「中国ちゅうごくは世界せかいがなければ発展はってんできず、世界せかいも中国ちゅうごくを必要ひつようとしている」と強調きょうちょうした。 最高さいこう指導しどう部ぶとなる政治せいじ局きょく常務じょうむ委員いいんは、習を含ふくめ7人にん。最高さいこう指導しどう部ぶと、最高さいこう指導しどう部ぶを含ふくむ政治せいじ局きょく委員いいんには、習と関係かんけいの近ちかい顔かおぶれがそろった。2023年ねん3月がつ10日とおか、全会ぜんかい一致いっちで国家こっか主席しゅせきに3選せんされた。

政策せいさく・主張しゅちょう

習近平ひら思想しそうを掲かかげる深ふか圳の大おおきな看板かんばん。「習近平ひらた新しん時代じだいの中国ちゅうごくの特色とくしょくある社会しゃかい主義しゅぎ思想しそうの偉大いだいな旗印はたじるしを高たかく掲かかげ、中国共産党ちゅうごくきょうさんとう第だい19回かい党とう大会たいかいの精神せいしんを徹底てっていする」と書かかれている。

2013年ねんに党とう機関きかん紙しの廈門市しの記者きしゃが、習近平たいらの名前なまえを1文字もじ間違まちがえたという理由りゆうで停職ていしょく処分しょぶんを受うけている。2014年ねん6月がつ18日にちには習近平ひら指導しどう部ぶが「正まさしく世論せろんを導みちびくシステムを整ととのえる」として「記者きしゃの資格しかく制度せいどを厳格げんかくにする」という方針ほうしんを発表はっぴょうするなど、報道ほうどう機関きかんへの圧力あつりょく・言論げんろん弾圧だんあつを強つよめている。海外かいがいメディアに対たいする厳きびしさも強つよくなっており、NHKによれば、取材しゅざいの妨害ぼうがいや記者きしゃの一時いちじ拘束こうそくなどが非常ひじょうに増ふえているという。また、弁護士べんごしの浦志うらし強きょうとウイグル独立どくりつの主張しゅちょうには賛同さんどうしない穏健おんけん派はウイグル人じん学者がくしゃのイリハム・トフティ、ジャーナリストの高こう瑜など理性りせい的てきな方法ほうほうで社会しゃかい改革かいかくを訴うったえてきた者ものたちの逮捕たいほが続出ぞくしゅつしており、無期むき懲役ちょうえきなどの厳きびしい判決はんけつを受うけている。

2014年ねん10月がつ20日はつかの第だい18期き中央ちゅうおう委員いいん会かい第だい4回かい全体ぜんたい会議かいぎにおいては「全面ぜんめん依よ法治国ほうちこく」として法治ほうち主義しゅぎを掲かかげて「法治ほうち」という言葉ことばを58回かいも使つかって中国ちゅうごくを人ひと治ち国家こっかから脱却だっきゃくさせることを訴うったえた。この四中全会よんちゅうぜんかいでは胡錦濤こきんとう前ぜん指導しどう部ぶの掲かかげた徳治とくじ主義しゅぎ的てきな路線ろせんにも配慮はいりょして「法ほうによる国家こっか統治とうちと徳とくによる国家こっか統治とうちを結合けつごうする」と決定けっていした。習近平体へいたい制せいになってから「法治ほうち」は政府せいふの様々さまざまなキャンペーンでの標語ひょうごとなっている。中国ちゅうごく公民こうみんの「非ひ文明ぶんめい行為こうい」（規律きりつや社会しゃかい秩序ちつじょを無視むしする行為こうい）に対たいして胡錦濤こきんとう体制たいせいでは電光でんこう掲示板けいじばんなどで八はち栄さかえ八はち恥はじとしてモラル・マナー意識いしきの向上こうじょうを呼よびかけていたが、習近平体へいたい制せいからは街頭がいとうビジョンなどで個人こじん情報じょうほうの晒さらしまで行おこなうといった法的ほうてきな責任せきにんを負おわせるようになった。

2016年ねん4月がつ28日にち、全国ぜんこく人民じんみん代表だいひょう大会たいかいは、中国ちゅうごく国外こくがいと繋つながるNGOが中国ちゅうごくの体制たいせいを脅おびやかすという習指導しどう部ぶの警戒けいかい感かんを強つよく受うけ、「海外かいがいNGO国内こくない活動かつどう管理かんり法ほう」を成立せいりつさせた。同どう法ほうは習指導しどう部ぶの下したで審議しんぎが始はじめられた。「海外かいがいNGOの活動かつどうに法ほうによる保護ほごを与あたえる」と謳うたう一方いっぽう、海外かいがいNGOが「中国ちゅうごくの国家こっか安全あんぜんや国家こっか利益りえきを損そこなってはならない」と定さだめた海外かいがいNGOの監督かんとくを警察けいさつ当局とうきょくに担になわせると明記めいきし、NGOへの捜査そうさ権限けんげんを与あたえて国家こっか分裂ぶんれつや政権せいけん転覆てんぷくなどを企くわだてたと見みなせば刑事けいじ責任せきにんを追及ついきゅうし、中国ちゅうごくでの活動かつどうを2度どと認みとめないというものである。資金しきんの流ながれや中国人ちゅうごくじんスタッフの管理かんりも厳きびしくする。海外かいがいNGOと交流こうりゅうのある国内こくないNGOにも監視かんしが及およぶため、中国ちゅうごくの大半たいはんのNGOが影響えいきょうを受うけると日本にっぽんの報道ほうどう機関きかんが報ほうじた。

2016年ねん11月7日にち、全国ぜんこく人民じんみん代表だいひょう大会たいかいは「サイバー主権しゅけん」と称しょうする国家こっか主権しゅけんをサイバースペースに確立かくりつするとして「インターネット安全あんぜん法ほう」を成立せいりつさせた。自みずから設立せつりつした「中央ちゅうおうインターネット安全あんぜん情報じょうほう化か指導しどう小しょう組ぐみ」で主任しゅにんを務つとめる習が管轄かんかつしている中国ちゅうごくサイバースペース管理かんり局きょくによる情報じょうほう統制とうせいが正当せいとう化かされる内容ないようから人権じんけん団体だんたいなどから懸念けねんを呼よんだ。2014年ねんからは烏がらす鎮でロシアなどの各国かっこく首脳しゅのうやアリババ・テンセント・ソフトバンク・アマゾン・マイクロソフト・フェイスブック・アップル・グーグルといった国内外こくないがいのIT大手おおて企業きぎょうの経営けいえい者しゃなどや「インターネットの父ちち」の一人ひとりであるロバート・カーンも集あつめて中国ちゅうごくのネット検閲けんえつを正当せいとう化かする世界せかいインターネット大会たいかいを定期ていき開催かいさいしている。

2017年ねん4月がつに習の主導しゅどうする「千せん年ねん大計たいけい」（1千せん年ねんに渡わたる大だい計画けいかく）として河北かほく省しょうに雄ゆう安新あんしん区くを設置せっちした。

2017年ねん6月がつに全国ぜんこく人民じんみん代表だいひょう大会たいかいは、国内外こくないがいの個人こじんと組織そしきの監視かんし調査ちょうさを正当せいとう化かする「国家こっか情報じょうほう法ほう」を成立せいりつさせた。2010年ねんから中国ちゅうごくでは治安ちあん維持いじ費ひが国防こくぼう費ひを上回うわまわる規模きぼで投とうじられており、国家こっか規模きぼでは世界せかいに先駆さきがけて治安ちあん対策たいさくへの人工じんこう知能ちのう（AI）の本格ほんかく的てき利用りようも表明ひょうめいし、AIにネット検閲けんえつや刑務所けいむしょの囚人しゅうじんから横断おうだん歩道ほどうの歩行ほこう者しゃの監視かんしまで行おこなわせ、企業きぎょうや軍ぐんで働はたらく人間にんげんの脳波のうはと感情かんじょうをヘルメットや帽子ぼうしなどのセンサーからAIで監視かんしするシステムを政府せいふは支援しえんし、警察けいさつは顔かお認証にんしょうを行おこなうAIと連動れんどうしたサングラス型かたスマートグラスとロボットで群衆ぐんしゅうを監視かんしするようになり、国営こくえい放送ほうそうの中国ちゅうごく中央ちゅうおう電でん視し台だい（CCTV）では習の功績こうせきとして世界せかい最大さいだいの1億おく台だいを超こえるAI監視かんしカメラで構築こうちくされた天網てんもうが称賛しょうさんされ、社会しゃかい信用しんようシステムと習の思想しそうを学まなぶクイズアプリで中国ちゅうごく国民こくみんをランク付づけし、習政権けんは黒くろ科技かぎと呼よばれるハイテクを駆使くしして国内こくないのより高度こうどな管理かんり社会しゃかい・監視かんし社会しゃかい化かを推おし進すすめた。海外かいがいメディアは「頂いただき層そう設計せっけい」と中国共産党ちゅうごくきょうさんとうで呼よばれているこの習政権けんの政策せいさくを「デジタル権威けんい主義しゅぎ」「デジタル独裁どくさい」「デジタル警察けいさつ国家こっか」「デジタル全体ぜんたい主義しゅぎ」「デジタル・レーニン主義しゅぎ」と評ひょうし、その技術ぎじゅつを世界せかい各国かっこくに輸出ゆしゅつして中国ちゅうごくのように人権じんけん抑圧よくあつに利用りようされる可能かのう性せいも懸念けねんされた。

2019年ねん10月がつの第だい19期き中央ちゅうおう委員いいん会かい第だい4回かい全体ぜんたい会議かいぎで「AIやビッグデータなどで国家こっか統治とうちのシステムと能力のうりょくを現代げんだい化かする」として監視かんし社会しゃかい・管理かんり社会しゃかい化かをより推おし進すすめることを決定けっていした。さらにこの四中全会よんちゅうぜんかいでは「一いち国こくを優先ゆうせんする一いち国こく二に制度せいど」・「愛国あいこく者しゃを主体しゅたいとする港みなと人じん治ち港こう」も明記めいきされた。習政権けんでは粤港澳大湾おおわん区く（大湾おおわん区く）構想こうそうや広こう深ふか港こう高速こうそく鉄道てつどうと港みなと珠たま澳大橋きょうの建設けんせつなど中国ちゅうごく本土ほんどと香港ほんこんの一体化いったいかが強化きょうかされており、2019年ねん逃亡とうぼう犯はん条例じょうれい改正かいせい案あんが提出ていしゅつされた際さいは香港ほんこんで大だい規模きぼな香港ほんこん住民じゅうみんによるテロ（2019年ねん-2020年ねん香港ほんこん民主みんしゅ化かデモ）を引ひき起おこした。

習近平ひら政権せいけんの最初さいしょの5年ねんだけで、184人にんの軍ぐん幹部かんぶが汚職おしょくで取とり調しらべを受うけて起訴きそされ有罪ゆうざい判決はんけつを受うけたといわれる。こうした粛清しゅくせいの後のち、習は自分じぶんに近ちかい陸軍りくぐん軍人ぐんじんを海軍かいぐんトップにすえるなど実績じっせきを何なんら考慮こうりょしない人事じんじを行おこなって軍人ぐんじんたちから顰蹙ひんしゅくを買かっている。軍事ぐんじパレードで左手ひだりてで敬礼けいれいするなどの習の行為こういについても人民じんみん解放かいほう軍ぐんの軍人ぐんじんたちは呆あきれており、表面ひょうめん上じょうは習近平ひら礼賛らいさんを合唱がっしょうしながらも、心中しんちゅうのでは習を軽侮けいぶしているという。軍人ぐんじんたちの不満ふまんから、軍事ぐんじクーデターが起おこる可能かのう性せいも強つよく指摘してきされており、習は暗殺あんさつにおびえているともいわれる。

汚職おしょく対策たいさく

2012年ねん11月15日にちの第だい18期き1中ちゅう全会ぜんかい終了しゅうりょう後ご、党とう総そう書記しょきとして初はつの記者きしゃ会見かいけんに臨のぞんだ習は就任しゅうにんスピーチで、深刻しんこく化かしている党員とういんの汚職おしょく問題もんだいに取とり組くみ、社会しゃかい保障ほしょうの改善かいぜんなど民生みんせいを重じゅうする姿勢しせいをアピールした（中共ちゅうきょう十じゅう八大以来的反腐败工作=反はん腐敗ふはいキャンペーン）。しかし、トランスペアレンシー・インターナショナルが2014年ねん12月3日にちに発表はっぴょうした2014年ねんの腐敗ふはい認識にんしき指数しすうで、中国ちゅうごくは2013年ねんの80位いから100位いに後退こうたいした。トランスペアレンシー・インターナショナルは、腐敗ふはい摘発てきはつが「政敵せいてきの追おい落おとしを目的もくてきにしている」と指摘してきしている。なお、2022年ねんの腐敗ふはい認識にんしき指数しすうは180の国くに・地域ちいき中ちゅう65位い（同位どういはキューバとモンテネグロ、サントメ・プリンシペ）で0.45であり、2014年ねんを境さかいに汚職おしょくの多おおい国くにとして分類ぶんるいされながらも理由りゆうは不明ふめいであるが2013年ねんの0.40から改善かいぜんされている。

2013年ねん1月がつの党とう中央ちゅうおう規律きりつ検査けんさ委員いいん会かい全体ぜんたい会議かいぎ上じょう、習近平たいらは「大だいトラもハエも一緒いっしょに叩はたけ」と反はん腐敗ふはいの号令ごうれいをかけた。党内とうないの腐敗ふはいが中国ちゅうごくという国くにを滅ほろぼすとの強つよい危機きき感かんを訴うったえ、汚職おしょく・腐敗ふはいの撲滅ぼくめつが共産党きょうさんとう政権せいけんの安定あんていと継続けいぞくを保証ほしょうするとの硬かたい決意けついで取とり組くみ始はじめた。2014年ねん3月、かつて軍事ぐんじ委員いいん会かい副ふく主席しゅせきなどの要職ようしょくを歴任れきにんし、制服せいふく組ぐみのトップに君臨くんりんした徐じょ才ざい厚あつが摘発てきはつされ、同年どうねん6月がつ党籍とうせき剥奪はくだつ処分しょぶんを受うけた。徐じょは刑事けいじ裁判さいばんあるいは軍事ぐんじ裁判さいばんにかけられる予定よていだったが、前ぜん制服せいふく組ぐみが規律きりつ違反いはんあるいは汚職おしょくの罪つみで処分しょぶんを受うけるのは前例ぜんれいのないことであった。そして、「刑けいは常つね委いに上のぼらず」（「刑けい不ふ上うえ常つね委い」、礼れい記きの「刑けい不ふ上うえ大夫たいふ」から出でた言葉ことば、政治せいじ局きょく常務じょうむ委員いいん経験けいけん者しゃは刑罰けいばつを受うけないという意味いみ）という鄧小平ひらた以来いらいの慣例かんれいを打うち破やぶり、汚職おしょく・腐敗ふはい摘発てきはつの本命ほんめいでもあった周しゅう永えい康やすし元もと政治せいじ局きょく常務じょうむ委員いいんが、2014年ねん10月がつの政治せいじ局きょく会議かいぎにおいて、規律きりつ違反いはん・機密きみつ漏洩ろうえいなどの罪状ざいじょうで立件りっけんが決定けっていし、同年どうねん12月がつはじめには、党籍とうせき剥奪はくだつの処分しょぶんをうけ、正式せいしきに逮捕たいほ・粛清しゅくせいされた。さらに2014年ねん12月がつ末まつ、胡錦濤こきんとう前ぜん総そう書記しょきの側近そっきんであった前まえ中共ちゅうきょう中央ちゅうおう弁べん公おおやけ庁ちょう主任しゅにんの令れい計画けいかく（全国ぜんこく政治せいじ協商きょうしょう会議かいぎ副ふく主席しゅせき、党とう中央ちゅうおう統一とういつ戦線せんせん工作こうさく部長ぶちょう、中央ちゅうおう委員いいん）が「規律きりつ違反いはん容疑ようぎ」で失脚しっきゃくした。前ぜん党とう総そう書記しょきの秘書ひしょにまで、習近平たいらの「汚職おしょく・腐敗ふはい摘発てきはつ」の対象たいしょうとなったわけである。またさらには、これまで「聖域せいいき」であった軍ぐんにも及およぶ。徐じょ才ざい厚あつに続つづき、軍事ぐんじ委員いいん会かい副ふく主席しゅせき経験けいけん者しゃである郭かく伯はく雄ゆうも摘発てきはつされた。その他たの摘発てきはつされた高官こうかんとして、薄うすき煕ひろし来らい（重慶たーちん市し党とう委員いいん会かい書記しょき）、周しゅう本ほん順じゅん（河北かほく省しょう党とう委員いいん会かい書記しょき）、蘇そ樹林じゅりん（福建ふっけん省しょう長ちょう）らがいる。規律きりつ違反いはんで処分しょぶんした党とう幹部かんぶは、2013年ねんで約やく7700人にん、2014年ねんで約やく2万まん3600人にん、2015年ねんで約やく3万まん4000人にんである。反はん腐敗ふはいを掲かかげてから3年ねん後ごの2016年ねん1月がつごろには、薄うす受刑じゅけい者しゃや周しゅう永ひさし康かん受刑じゅけい者しゃのような政権せいけん中枢ちゅうすうにいた「大だいトラ」退治たいじは一段落いちだんらくしたという見方みかたが党とう関係かんけい者しゃや外交がいこう筋すじには広ひろがっている。習近平たいらは2016年ねんの最初さいしょの視察しさつ先さきに薄うす元もと書記しょきの「独立どくりつ王国おうこく」と呼よばれた重慶たーちんを選えらび、薄うす元もと書記しょきが始はじめた長江ながえの港湾こうわん開発かいはつプロジェクトを高たかく評価ひょうかし、自みずから唱となえる経済けいざい圏けん構想こうそうである一帯いったい一路いちろ構想こうそうに重慶たーちんが貢献こうけんするように励はげますなど、相次あいついだ大物おおもの幹部かんぶの粛清しゅくせいによって自みずからの権力けんりょく基盤きばんが固かたまったことからくる余裕よゆうをみせた。また、中国科学院ちゅうごくかがくいんと中国共産党ちゅうごくきょうさんとう中央ちゅうおう規律きりつ検査けんさ委員いいん会かいは官僚かんりょうを監視かんしして自動的じどうてきに腐敗ふはいを防止ぼうしするAIシステムを開発かいはつして2012年ねんから7年間ねんかんにわたって約やく8721人にんの汚職おしょく官僚かんりょうを処分しょぶんした。

中央ちゅうおう規律きりつ検査けんさ委員いいん会かいでは習の盟友めいゆうの王おう岐山きざんに中央ちゅうおうでの会議かいぎの全権ぜんけんがあり、王おう岐山きざんに次つぐ副ふく書記しょきで習の最さい側近そっきんの一人ひとりで北京ぺきん大学だいがくに14歳さいで入学にゅうがくした経歴けいれきから政府せいふ内ないで神童しんどうの誉ほまれが高たかい李り書しょ磊に汚職おしょく撲滅ぼくめつ運動うんどうを推進すいしんさせており、海外かいがいへの逃亡とうぼう犯はんを追跡ついせきする「国際こくさい追つい逃追臟工作こうさく弁べん公おおやけ室しつ」のトップに任命にんめいしている。2014年ねんには海外かいがいに亡命ぼうめいした汚職おしょく官僚かんりょう100人にんの国際こくさい手配てはいを行おこなってその3分ぶんの1が引ひき渡わたされており、2015年ねんから中央ちゅうおう規律きりつ検査けんさ委員いいん会かいは中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく公安こうあん部ぶなどともに海外かいがいに逃亡とうぼうした汚職おしょく容疑ようぎ者しゃを国際こくさい手配てはいなどを用もちいて取とり締しまる「天網てんもう行動こうどう」と呼よばれる作戦さくせんを行おこなっている。2016年ねんには世界せかい各国かっこくの警察けいさつ機関きかんが加盟かめいする国際こくさい連合れんごうに次つぐ巨大きょだいな国際こくさい組織そしきである国際こくさい刑事けいじ警察けいさつ機構きこう（インターポール、ICPO）が中国ちゅうごく公安こうあん部ぶの孟はじめ宏ひろし偉えらを総裁そうさいに選出せんしゅつしたことによりICPOが習近平体へいたい制せいの汚職おしょく撲滅ぼくめつ運動うんどうに利用りようされることが懸念けねんされ、米国べいこくに事実じじつ上じょう亡命ぼうめいした中国人ちゅうごくじん富豪ふごうの郭かく文ぶん貴とうとの国際こくさい手配てはいの際さいは中国ちゅうごくによる政治せいじ利用りようを指摘してきされている。2017年ねん9月がつに北京ぺきんで開催かいさいされたICPO総会そうかいの開会かいかい式しきで「中国ちゅうごくは世界せかいで最もっとも安全あんぜんな国くに」と述のべて「法治ほうち」の重要じゅうよう性せいを演説えんぜつした習は発展はってん途上とじょう国こくの2万まん人にんの警察官けいさつかんを養成ようせいする「国際こくさい法ほう執行しっこう学院がくいん」と100カ国かこくでの科学かがく捜査そうさ研究所けんきゅうじょの設立せつりつや通信つうしん設備せつびの支援しえんなどICPOへの中国ちゅうごくの影響えいきょう力りょく拡大かくだいを宣言せんげんした。2018年ねんにその孟はじめ宏ひろし偉えらもICPOの照会しょうかいを無視むしして汚職おしょく取締とりしまりの名目めいもくで逮捕たいほした際さいは国際こくさい基準きじゅんよりも国内こくない事情じじょうを優先ゆうせんした中国ちゅうごく当局とうきょくの恣意しい的てきな法ほう執行しっこうが批判ひはんされた。

また、中央ちゅうおう規律きりつ検査けんさ委員いいん会かいと並ならぶ汚職おしょく取締とりしまり機構きこうとして「国家こっか監察かんさつ委員いいん会かい」も設置せっちしている。

脱だつ貧困ひんこんと共同きょうどう富裕ふゆう

2015年ねん11月29日にち付づけの中国共産党ちゅうごくきょうさんとうの機関きかん紙し『人民日報じんみんにっぽう』によると、同月どうげつ27日にちと28日にちの両日りょうじつ、習近平ひらた総そう書記しょきは「脱だつ貧困ひんこん」に向むけた重要じゅうよう会議かいぎを開ひらいた。会議かいぎで習総書記しょきは「貧困ひんこんを解消かいしょうし、庶民しょみんの暮くらしを守まもることは社会しゃかい主義しゅぎの本質ほんしつ的てきな要求ようきゅうであり、我わが党とうの重要じゅうような使命しめいだ」と述のべたと演説えんぜつした。発展はってんが遅おくれ気味ぎみな22の省しょうと市しの幹部かんぶに「脱だつ貧困ひんこんに取とり組くむ責任せきにん書しょ」に署名しょめいをさせた。「責任せきにん書しょ」には、脱だつ貧困ひんこんを最さい優先ゆうせんの課題かだいとすることや、うわべだけを取とり繕つくろって中央ちゅうおうの予算よさん支援しえんを無駄むだにしないことなどを誓ちかわせている。地方ちほう幹部かんぶに政策せいさくの徹底てっていを書面しょめんで署名しょめいさせるのは異例いれいのことである。外交がいこう筋すじは、「反はん腐敗ふはい」に次つぐ政治せいじ的てきキャンペーンになる」と見みる。貧困ひんこんや格差かくさの解消かいしょうは大衆たいしゅうの支持しじを得えやすく、党内とうないで異論いろんを差さし挟はさみにくい点てんで、反はん腐敗ふはいと共通きょうつうする。反はん腐敗ふはいキャンペーンは、習政権けんの基盤きばん固がためにつながった。「脱だつ貧困ひんこん」の推進すいしんは、鄧小平ひらた以来いらいの雄お改革かいかく開放かいほう路線ろせんが曲まがり角かどに来きていることをも示しめしている。鄧小平たいらによる社会しゃかい主義しゅぎの大義たいぎに縛しばられず市場いちば経済けいざいを導入どうにゅうするというこの現実げんじつ的てきな考かんがえ方かたは、「まず一部いちぶの人々ひとびとを豊ゆたかにさせ、その後ご豊ゆたかになった者ものがほかの人々ひとびとを引ひき上あげて共同きょうどう富裕ふゆうを目指めざす」という先さき富とみ論ろんとして知しられた。今回こんかいの習総書記しょきによる「脱だつ貧困ひんこん」政策せいさくは、一部いちぶの人々ひとびとを豊ゆたかにさせるという段階だんかいから、次つぎの「共同きょうどう富裕ふゆう」の段階だんかいに入はいったという認識にんしきであると考かんがえられる。「共同きょうどう富裕ふゆう」を目指めざすことが、発展はってん優先ゆうせんの現実げんじつ路線ろせんから、社会しゃかい主義しゅぎの理念りねんを優先ゆうせんすることに傾かたむくことにつながると考かんがえられるからである。

ウイグル統治とうち

→「en:Xinjiang papers」、「en:China Cables」、および「新疆しんきょうウイグル再さい教育きょういく収容しゅうよう所しょ」も参照さんしょう

ウイグル人じんの住民じゅうみんが漢かん族ぞく住民じゅうみん及および武装ぶそう警察けいさつと衝突しょうとつした事件じけんは、中国ちゅうごく当局とうきょくの発表はっぴょう（2009年ねん7月がつ19日にち現在げんざい）では、死者ししゃ197名めい、負傷ふしょう者しゃ1,721名めいに上のぼる犠牲ぎせい者しゃが出でたとしている。

一方いっぽう、亡命ぼうめいウイグル人じん組織そしきの世界せかいウイグル会議かいぎの発表はっぴょう（2009年ねん7月がつ10日にち現在げんざい）で、中国ちゅうごく当局とうきょくや漢かん族ぞくの攻撃こうげきにより殺ころされたウイグル人じんは最大さいだい3,000人にんと発表はっぴょうしている。しかし、当時とうじの習は解放かいほう軍ぐんの指揮しき権けんを有ゆうする中央ちゅうおう軍事ぐんじ委員いいん会かいにも武装ぶそう警察けいさつの指揮しき権けんを有ゆうする中央ちゅうおう政せい法ほう委員いいん会かいにもポストを持もっておらず、軍事ぐんじ行動こうどうの責任せきにんがとれないことから、一般いっぱん的てきには、江沢民こうたくみん時代じだいから新しん疆を統治とうちしていた当時とうじの自治じち区く党とう委員いいん会かい書記しょき兼けん新しん疆生産せいさん建設けんせつ兵団へいだん第だい一いち政治せいじ委員いいんの王おう楽らく泉いずみが責任せきにん者しゃだとされている。

2013年ねん4月がつには警官けいかんとウイグル人じん住民じゅうみんの衝突しょうとつが発生はっせいし、21人にんが死亡しぼうする事件じけんがあった。世界せかいウイグル会議かいぎのラビア・カーディル主席しゅせきは2013年ねん6月がつ20日はつか、東京とうきょうで会見かいけんを開ひらき、習の最高さいこう指導しどう者しゃ就任しゅうにん後ご、「中国ちゅうごく政府せいふの民族みんぞく政策せいさくは以前いぜんより厳きびしくなった」と批判ひはんした。

2014年ねんに習が初はじめて新しん疆を視察しさつした際さいはウルムチ駅えき爆発ばくはつ事件じけんが起おき、ニューヨーク・タイムズの報ほうじた政府せいふの内部ないぶ文書ぶんしょによれば、これを受うけて習は新しん疆工作こうさく座談ざだん会かいでの秘密ひみつ演説えんぜつで一部いちぶの強硬きょうこう派はが主張しゅちょうするイスラム教いすらむきょうの規制きせいや根絶こんぜつは否定ひていしつつソビエト連邦れんぽうの崩壊ほうかいやアメリカ同時どうじ多発たはつテロ事件じけんも挙あげて経済けいざい発展はってんを優先ゆうせんした胡錦濤こきんとう前ぜん指導しどう部ぶと安全あんぜん保障ほしょうより人権じんけんを優先ゆうせんした欧米おうべいはテロ対策たいさくに失敗しっぱいしたとして「人民じんみん民主みんしゅ独裁どくさいの武器ぶきを躊躇ちゅうちょ無なく行使こうしせよ。情なさけ容赦ようしゃは無用むようだ」と述のべてテクノロジーの活用かつようを指示しじし、「対たいテロ人民じんみん戦争せんそう」「厳いむ打だ暴恐活動かつどう専せん項こう行動こうどう」を掲かかげ、同年どうねん12月がつには新疆しんきょうウイグル自治じち区く人民じんみん政府せいふ主席しゅせきだったヌル・ベクリを国家こっか発展はってん改革かいかく委員いいん会かい副ふく主任しゅにん兼けん国家こっかエネルギー局きょく局長きょくちょうに抜擢ばってきしており、ウイグル族ぞく高官こうかんが中央ちゅうおうの要職ようしょくに就つくのは異例いれいなためにウイグル重視じゅうしの姿勢しせいをアピールする習の狙ねらいがあったとされる。

2016年ねんに習近平たいらは、陳ちん全国ぜんこくを新疆しんきょうウイグル自治じち区くの朱しゅ海うみ侖党とう委員いいん会かい書記しょきを党とう委員いいん会かい副ふく書記しょき兼けん政せい法ほう委員いいん会かい書記しょきにそれぞれ抜擢ばってきして翌よく2017年ねん2月がつに武装ぶそう警察けいさつ・公安こうあん部ぶ・民兵みんぺいを集あつめた決起けっき大会たいかいで朱しゅ海うみ侖が「人民じんみん民主みんしゅ独裁どくさいの強力きょうりょくな拳こぶしで、全すべての分離ぶんり主義しゅぎ者しゃとテロリストは粉砕ふんさいする」と演説えんぜつして以降いこう新疆しんきょうウイグル自治じち区くでは、再さい教育きょういくキャンプへの大だい規模きぼな強制きょうせい収容しゅうようと洗脳せんのうが始はじまった。

国際こくさい調査ちょうさ報道ほうどうジャーナリスト連合れんごう（ICIJ）の入手にゅうしゅした政府せいふの内部ないぶ文書ぶんしょによれば、監視かんしカメラや携帯けいたい電話でんわなどから個人こじん情報じょうほうを収集しゅうしゅうしてアルゴリズム解析かいせきする「一体化いったいか統合とうごう作戦さくせんプラットフォーム」（IJOP）のAIと機械きかい学習がくしゅうに基もとづくプレディクティブ・ポリシングで選別せんべつされたウイグル人じんが2017年ねん6月がつ時点じてんで約やく1万まん5千せん人にんも予防よぼう拘禁こうきんされた。また、数すう十じゅうから数すう百ひゃくメートルごとに便びん民みん警務けいむ站（派出所はしゅつじょ）や武装ぶそう警察けいさつを配置はいちし、ウイグル人じん住民じゅうみんはQRコードで管理かんりされ、自動車じどうしゃの全ぜん車両しゃりょうやメッカへのハッジの際さいには追跡ついせき装置そうちが装着そうちゃくされ、モスクなどに張はり巡めぐらしたAI監視かんしカメラによって人種じんしゅプロファイリングで識別しきべつされ、様々さまざまなハイテクで顔かお認証にんしょう・虹彩こうさい・指紋しもん・DNA・声紋せいもん・歩ふ容よう解析かいせきなど一挙手一投足いっきょしゅいっとうそくを監視かんしされる「世界せかいでも類るいのない警察けいさつ国家こっか」「完全かんぜん監視かんし社会しゃかい」の実験じっけん場じょうとなっている。

ウルムチ郊外こうがいには、8,000人にん以上いじょうもの男性だんせいの髪かみの毛けを剃すり、両りょう手足てあしを鉄鎖てっさで巻まいた状態じょうたいで鉄格子てつごうしの付ついた部屋へやに監禁かんきんする大だい規模きぼな収容しゅうよう施設しせつがあり、ここでは、ひたすら習近平たいらを称賛しょうさんするシナ語ご（漢語かんご）の文言もんごんを音読おんどくさせるなどの肉体にくたい的てき・精神せいしん的てき虐待ぎゃくたいを、国家こっか方針ほうしんにもとづいて実行じっこうしている。女性じょせい用ようの施設しせつでも男性だんせい同様どうように髪かみの毛けをそられ、「何なにかの薬くすりを飲のまされ、生理せいりが止とまらず死亡しぼうした」女性じょせいがいる。習近平たいらによるこうした暴行ぼうこうや殺人さつじん行為こういは、欧おう・米べい・日本にっぽんのメディアや人権じんけん団体だんたいによって批判ひはんされているが、徹底的てっていてきな社会しゃかい統制とうせいは香港ほんこんはじめ他たの中国ちゅうごくの地域ちいきでも行おこなわれるようになってきている。

尖閣諸島せんかくしょとうと南シナ海みなみしなかい

習近平たいらは2016年ねん、中国ちゅうごく人民じんみん解放かいほう軍ぐん幹部かんぶの非公開ひこうかい会議かいぎで、「尖閣諸島せんかくしょとうや南シナ海みなみしなかいの権益けんえき確保かくほは『われわれの世代せだいの歴史れきし的てき重責じゅうせき』だ」と述のべ、習政権けんの最さい重要じゅうよう任務にんむと位置付いちづけていたことが2022年ねん10月がつ、内部ないぶ文献ぶんけん調査ちょうさにより判明はんめいした。会議かいぎでは、南シナ海みなみしなかいの軍事ぐんじ拠点きょてん化かを指示しじする内容ないようの発言はつげんもあった。習発言はつげんの約やく100日にち後ごに中国ちゅうごくの軍艦ぐんかんが初はじめて尖閣諸島せんかくしょとう周辺しゅうへんの排他はいた的てき経済けいざい水域すいいきの接続せつぞく水域すいいきに侵入しんにゅうしており、これ以後いご、軍事ぐんじ的てき圧力あつりょくを強つよめて強硬きょうこう姿勢しせいを明確めいかくにしていることから、習発言はつげんが背景はいけいにあったことが確実視かくじつしされる。

習近平たいらは、バラク・オバマがアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく大統領だいとうりょうの地位ちいにあった2009年ねんから2017年ねんの8年間ねんかん、南シナ海みなみしなかいの領有りょうゆう権けん問題もんだいで対立たいりつするフィリピンやベトナム周辺しゅうへんの7つの岩礁がんしょう島とうの実効じっこう支配しはいを固かため、岩礁がんしょうを埋うめ立たてて人工じんこう島とうをつくり、滑走かっそう路ろや港湾こうわん施設しせつ、レーダー施設しせつなどの建設けんせつを行おこなって、軍事ぐんじ要塞ようさい化かを進すすめてきた。さらに、兵員へいいんのみならず民間みんかん人じんを派遣はけんして常駐じょうちゅうさせ、軍事ぐんじの拠点きょてんとしている。

尖閣諸島せんかくしょとうに対たいしては、2018年ねん10月がつの日にち中ちゅう首脳しゅのう会談かいだんの前後ぜんごにも、中国ちゅうごく海うみ警局の船ふねが排他はいた的てき経済けいざい水域すいいきの接続せつぞく水域すいいきに頻繁ひんぱんに進入しんにゅうし、2019年ねんには領海りょうかい侵犯しんぱんを繰くり返かえすようになった。海うみ警局は、習近平たいらの軍制ぐんせい改革かいかくによって2018年ねん以降いこう、指揮しき系統けいとうが中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく中央ちゅうおう軍事ぐんじ委員いいん会かいに編入へんにゅうされた「第だい二にの海軍かいぐん」で、その任務にんむは従来じゅうらいの漁民ぎょみん保護ほごから領海りょうかい保全ほぜんに変更へんこうされた。

2022年ねん10月がつの中国共産党ちゅうごくきょうさんとう大会たいかいで習近平ひら指導しどう部ぶが異例いれいの長期ちょうき政権せいけんに突入とつにゅうしたことで、新任しんにん期きの5年間ねんかんで具体ぐたい的てきな成果せいかをあげることを目指めざすものとみられ、近ちかい将来しょうらい、尖閣諸島せんかくしょとうに武力ぶりょく侵おかせ行くだりを開始かいしするものとみられる。

対たい台湾たいわん政策せいさく

習近平たいらと馬うま英えい九きゅう（2015年ねん11月7日にち）

首脳しゅのう会談かいだんに抗議こうぎする黄き国こく昌あきらと時代じだい力量りきりょう（2015年ねん11月4日にち）

習指導しどう部ぶは2012年ねんの発足ほっそく以来いらい「中華ちゅうか民族みんぞくの偉大いだいな復興ふっこう」という目標もくひょうを掲かかげた。その最終さいしゅう目標もくひょうといえるのが「陸りく台だい統一とういつ」であり、歴代れきだいの指導しどう者しゃがこれまで切きり開ひらいてきた対話たいわを首脳しゅのうレベルに引ひき上あげ、次つぎの指導しどう者しゃに引ひき継つがせる意味いみを持もたせた。中国ちゅうごくは台湾たいわんに経済けいざい的てき恩恵おんけいを与あたえることで台湾たいわんを懐柔かいじゅうする政策せいさくを採とってきたが、2014年ねん3月がつに台北たいぺいで起おきた「ひまわり学生がくせい運動うんどう」や同年どうねん秋あきの台湾たいわん統一とういつ地方ちほう選挙せんきょにおける与党よとうの中国ちゅうごく国民党こくみんとうの敗北はいぼくは中共ちゅうきょう政府せいふに大おおきな衝撃しょうげきを与あたえた。

2015年ねん11月7日にち、習は中華民国ちゅうかみんこく総統そうとうの馬うま英えい九きゅうと、シンガポールのシャングリ・ラ・ホテル・シンガポールで史上しじょう初はつの中台ちゅうたい首脳しゅのう会談かいだんを行おこない（1945年ねんの蔣介石せき・毛沢東もうたくとうの重慶たーちん会談かいだんは中国ちゅうごく大陸たいりくと台湾たいわんが分断ぶんだんされる前まえに行おこなわれた）、両りょう首脳しゅのうは中国ちゅうごく大陸たいりくと台湾たいわんが共ともに「中国ちゅうごく」に属ぞくするという「一ひとつの中国ちゅうごく」原則げんそくを確認かくにんした「92コンセンサス（九きゅう二に共きょう識）」をもとにホットラインの開設かいせつなど平和へいわ的てきな関係かんけいを築きずく考かんがえで一致いっちした。松田まつだ康博やすひろ（東京大学とうきょうだいがく）は「この首脳しゅのう会談かいだんは2016年ねん1月がつに行おこなわれた中華民国ちゅうかみんこく総統そうとう選挙せんきょ及および第だい9回かい中華民国ちゅうかみんこく立法りっぽう委員いいん選挙せんきょへの中国ちゅうごく側がわによる選挙せんきょ介入かいにゅうであり、台湾たいわんの有権者ゆうけんしゃの反発はんぱつを招まねくのではないか」と述のべた。事実じじつ、これらの選挙せんきょでは馬うま英えい九きゅうが惨敗ざんぱいを喫きっし、「九きゅう二に共きょう識」は存在そんざいしないとする蔡英文えいぶんと民進党みんしんとうが国民こくみんの圧倒的あっとうてきな支持しじを集あつめて大勝たいしょうし、政権せいけん交代こうたいが実現じつげんした。

2022年ねん8月がつ、習近平ひら政権せいけんはナンシー・ペロシの台湾たいわん訪問ほうもんに対抗たいこうして台湾たいわん周辺しゅうへんの海域かいいきと空域くういきで実戦じっせん的てきな軍事ぐんじ演習えんしゅうを行おこなった。その後ごも、習近平たいらは台湾たいわんでの軍事ぐんじ攻勢こうせいを強つよめている。

戦せん狼おおかみ外交がいこうと米べい中ちゅう対立たいりつ

→「米べい中ちゅう冷戦れいせん」、「米べい中ちゅう貿易ぼうえき戦争せんそう」、および「戦せん狼おおかみ外交がいこう」も参照さんしょう

中央ちゅうおう軍民ぐんみん融合ゆうごう発展はってん委員いいん会かいの主任しゅにんに就任しゅうにんして以降いこうの中国ちゅうごくは軍需ぐんじゅ産業さんぎょうを強化きょうかしてアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくに次つぐ世界せかい2位いの規模きぼとなり、第だい一いち列島れっとう線せん重視じゅうし・真珠しんじゅの首飾くびかざり戦略せんりゃくを引ひき継ついで南シナ海みなみしなかいでの人工じんこう島とう建設けんせつなど中国ちゅうごくの海洋かいよう進出しんしゅつを強硬きょうこうに推おし進すすめ、中国ちゅうごくが世界せかい最大さいだいの海軍かいぐんを保有ほゆうしているとアメリカは警戒けいかいを強つよめた。

習近平たいらとアメリカの大統領だいとうりょうドナルド・トランプ（2017年ねん11月8日にち）

購買こうばい力りょく平価へいか（PPP法ほう）によるGDPでは2014年ねんに中国ちゅうごくがアメリカを抜ぬき（ただし発展はってん途上とじょう国こくが高たかく出でるPPP法ほうは信頼しんらい性せいの点てんで疑問ぎもんがあり、従来じゅうらいの為替かわせレート法ほうに取とって代かわれるものではないといわれる）、富裕ふゆう層そうと中産ちゅうさん階級かいきゅうの数かずでアメリカを超こえる一方いっぽう、アメリカに莫大ばくだいな対たい中なか貿易ぼうえき赤字あかじをもたらし、経済けいざい力りょくを高たかめる習政権せいけん下かの中国ちゅうごくはアメリカとの貿易ぼうえき摩擦まさつを引ひき起おこして新しん冷戦れいせん・米べい中ちゅう貿易ぼうえき戦争せんそうとも呼よばれることとなった。とりわけ新型しんがたコロナウイルス感染かんせん症しょうの世界せかい的てき流行りゅうこうが起おきたトランプ政権せいけん後期こうき頃ごろからアメリカ政府せいふが中国ちゅうごくへの批判ひはんを強つよめるようになり、米べい中ちゅう対立たいりつが深ふかまった。

2017年ねん4月がつ7日にち、習はマー・ア・ラゴにおいてアメリカ大統領だいとうりょうのドナルド・トランプと米べい中ちゅう首脳しゅのう会談かいだんを行おこなったが、その会話かいわの内容ないようをトランプが『ウォール・ストリート・ジャーナル』のインタビューで話はなし、習が「朝鮮半島ちょうせんはんとうは中国ちゅうごくの一部いちぶだった」と発言はつげんしたことを明あきらかにし、「習近平ひら主席しゅせきが中国ちゅうごくと朝鮮半島ちょうせんはんとうの歴史れきしについて話はなした。数かず千せん年ねんの歴史れきしと数すう多おおくの戦争せんそうについて。朝鮮ちょうせんは実じつは中国ちゅうごくの一部いちぶだった」・「朝鮮ちょうせんは実際じっさいに中国ちゅうごくの一部いちぶだった（Korea actually used to be a part of China）」・「習主席しゅせきから中国ちゅうごくと韓国かんこくの歴史れきしについて聞きいた。北朝鮮きたちょうせんではなく韓かん半島はんとう全体ぜんたいの話はなしだった。（中国ちゅうごくと韓国かんこくには） 数すう千せん年ねんの歳月さいげつの間あいだ多おおくの戦争せんそうがあった」・「（習主席しゅせきの歴史れきし講義こうぎを）10分間ふんかん聞きいて（北朝鮮きたちょうせん問題もんだいが）容易よういではないことを悟さとった」と語かたった。

2020年ねんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく大統領だいとうりょう選挙せんきょで11月7日にちにバイデンの当選とうせん確実かくじつ報道ほうどうが出でると、各国かっこく首脳しゅのうは続々ぞくぞくとバイデンに祝辞しゅくじを贈おくったが、習近平たいらはしばらく祝辞しゅくじを出ださず、11月25日にちになってようやく出だしている。文面ぶんめんは「双方そうほうが衝突しょうとつせず、対抗たいこうせず、相互そうごに尊重そんちょうし、協力きょうりょくとウィンウィンの精神せいしん」を堅持けんじして「互たがいの不一致ふいっちを管理かんりする」ことを求もとめるというものであり、これは2016年ねんにトランプに贈おくった祝辞しゅくじをほぼ踏襲とうしゅうしたものだったが、米べい中ちゅう関係かんけいの悪化あっかを反映はんえいして文字数もじすうが減へった。

バイデン政権せいけんが2021年ねん1月がつ20日はつかに発足ほっそくしてからも米べい中ちゅう対立たいりつが終おわる気配けはいはなく、バイデンは習を専制せんせい主義しゅぎ者しゃと名指なざしで批判ひはんし、「中国ちゅうごくは世界せかいのリーダーとなり、最もっとも豊ゆたかで強つよい国くにになるという目標もくひょうを持もっている。私わたしが大統領だいとうりょうでいる限かぎり、そうはさせない。」と述のべている。また、貿易ぼうえき政策せいさくでは対たい中ちゅう関税かんぜいを即時そくじ撤廃てっぱいせず、トランプ前ぜん政権せいけんと中国ちゅうごくの習政権けんが結むすんだ米べい中ちゅう経済けいざい貿易ぼうえき協定きょうていについても順守じゅんしゅを求もとめた。

2021年ねん4月がつ20日はつか、習はボアオ・アジア・フォーラムでの演説えんぜつで「新しん冷戦れいせんに反対はんたいする」と述のべてデカップリング（切きり離はなし）に警鐘けいしょうを鳴ならし、サプライチェーンの対たい中ちゅう依存いぞん脱却だっきゃくを図はかるアメリカの政策せいさくを暗あんに批判ひはんした。

個人こじん崇拝すうはい

習近平たいらの肖像しょうぞう画が前まえを行進こうしんする儀仗ぎじょう兵へい（2015年ねん8月がつ22日にち）

→「習近平たいらの個人こじん崇拝すうはい」も参照さんしょう

中国共産党ちゅうごくきょうさんとうは歴代れきだいの最高さいこう指導しどう者しゃを「核心かくしん」と呼よんできたが、胡錦濤こきんとう前ぜん総そう書記しょきの時代じだいは集団しゅうだん指導しどう体制たいせいを唱となえ、この呼よび方かたをやめており、習指導しどう体制たいせいも当初とうしょは、これに倣ならっていた。しかし、2016年ねん1月がつ8日にちの会議かいぎで、習総書記しょきとの関係かんけいが近ちかいとされる天津てんしん市しの代理だいり書記しょきである黄き興国こうこくが「習総書記しょきという核心かくしんを守まもらなければならない」と会議かいぎで発言はつげんした。これに続つづき同月どうげつ11日にちから15日にちにかけて安徽あんき省しょう・湖北こほく省しょう・四川しせん省しょうの各省かくしょう指導しどう者しゃがそれぞれ同様どうようの表現ひょうげんの演説えんぜつを発表はっぴょうした。さらに同月どうげつ27日にちには、習総書記しょきの官房かんぼう長官ちょうかん役やくである栗ぐり戦せん書しょ・党とう中央ちゅうおう弁べん公おおやけ庁ちょう主任しゅにんが「核心かくしん意識いしきを強つよめるべきだ」との表現ひょうげんで、習総書記しょきへの忠誠ちゅうせいを訴うったえた。いずれも習総書記しょきを党とうの「核心かくしん」とすることを強つよく示唆しさし、権力けんりょく集中しゅうちゅうが進すすむ中なかで党とう中央ちゅうおう委員いいん会かい総そう書記しょきの位置付いちづけに微妙びみょうな変化へんかが生しょうじている可能かのう性せいがあると朝日新聞あさひしんぶんは報ほうじている。2016年ねん3月がつ16日にちに閉幕へいまくした同どう年度ねんどの全人代ぜんじんだいでは、習を毛沢東もうたくとうや鄧小平ひらたらと同おなじ党とう中央ちゅうおうの「核心かくしん」と呼よぶい方いかたは現あらわれなかったが、「核心かくしん意識いしき」や「看み斉ひとし意識いしき」（みなが同おなじ方向ほうこうを向むく意識いしき）という言葉ことばが定着ていちゃくしたと、朝日新聞あさひしんぶんは報ほうじている。また、同どう年度ねんどの全人代ぜんじんだいにおいて習総書記しょきの目指めざす国くにづくりに政府せいふや議会ぎかいなどが忠実ちゅうじつに奉仕ほうしするという姿勢しせいが目立めだったとも報ほうじられた。待まち受うける諸しょ課題かだいの解決かいけつに向むけ、団結だんけつを確認かくにんした形かたちだが、習への忠誠ちゅうせいを競きそうような空気くうきを危あやぶむ声こえもある。 ただし、3月24日にち付づけの日本経済新聞にほんけいざいしんぶんによる全人代ぜんじんだいの詳報しょうほうによると、「核心かくしん」および「核心かくしん意識いしき」という言葉ことばは最高さいこう指導しどう部ぶ内ないでもなお十分じゅうぶんな合意ごういを得えられていないとも報ほうじられている。すなわち、共産党きょうさんとう序列じょれつ第だい3位いの張ちょう徳江とくえは閉幕へいまく式しきの際さいの口頭こうとうによる会議かいぎ総括そうかつで、習を念頭ねんとうに「核心かくしん意識いしき」と発言はつげんし、鄧小平時へいじ代だいの「核心かくしん」の言葉ことばを想起そうきさせたが、序列じょれつ4位いで全国ぜんこく政治せいじ協商きょうしょう会議かいぎ主席しゅせきの兪正声ごえは、政せい協きょう閉幕へいまく式しきのあいさつで「核心かくしん」の言葉ことばに触ふれなかった。「核心かくしん」および「核心かくしん意識いしき」という言葉ことばに関かんしては不協和音ふきょうわおんもあるとも報ほうじられている。しかし指導しどう部ぶ内ないで習総書記しょきのみの力ちからが際立きわだつという現状げんじょうは、一方いっぽうで副作用ふくさようを生うんでいる。2016年ねん3月がつには文化ぶんか大だい革命かくめいの時代じだいに毛沢東もうたくとうを賛美さんびするために歌うたわれた「東方とうほう紅べに」の歌詞かしを変かえ、習総書記しょきをたたえる動画どうががネットに流出りゅうしゅつした。最高さいこう指導しどう者しゃを偶像ぐうぞう化かするこうした現象げんしょうは、中国ちゅうごくには久ひさしくなかった現象げんしょうである。中国共産党ちゅうごくきょうさんとうは、毛沢東もうたくとうへの熱狂ねっきょう的てきな追従ついしょうが文化ぶんか大だい革命かくめいの悲劇ひげきを生うんだという反省はんせいから、1982年ねんに指導しどう者しゃの個人こじん崇拝すうはいを禁きんじているからである。同おなじ頃ごろ、党とう最高さいこう指導しどう部ぶで重おもきをなす王おう岐山きざん率ひきいる党とう中央ちゅうおう規律きりつ検査けんさ委員いいん会かいの機関きかん紙しが、「千せん人にんの追従ついしょうは、1人ひとりの忠告ちゅうこくにしかず」とのコラムを掲かかげ、指導しどう者しゃへの異論いろんが封殺ふうさつされる風潮ふうちょうを戒いましめた。また、「核心かくしん」と並ならんで「最高さいこう領袖りょうしゅう」「最高さいこう統帥とうすい」とも官製かんせいメディアで頻繁ひんぱんに呼よばれていることは「偉大いだい領袖りょうしゅう」「偉大いだい統帥とうすい」と呼よばれた毛沢東もうたくとう時代じだいを彷彿ほうふつさせるとする見方みかたもある。また、巨大きょだいな陵墓りょうぼを建たて、書籍しょせきの発刊はっかんや記念きねん切手きっても発行はっこうされるなど父ちち・習仲勲くんへの個人こじん崇拝すうはいも強つよめられているとされる。

習近平ひら政権せいけんは、発足ほっそく当初とうしょこそ「市場いちば原理げんり重視じゅうし」を謳うたっていたが、やがて国有こくゆう企業きぎょう相互そうごを合併がっぺいさせて超ちょう大型おおがた企業きぎょうをつくり、特定とくてい産業さんぎょうを補助ほじょ金きんで支ささえる国家こっか主導しゅどう路線ろせんを採とり、金融きんゆう、食糧しょくりょう、エネルギーなどの自給自足じきゅうじそくも進すすめている。こうした動うごきは米べい中ちゅう摩擦まさつの激化げきかを招来しょうらいし、経済けいざい成長せいちょうを鈍化どんかさせており、若年じゃくねん失業しつぎょう者しゃも増加ぞうかしている。習近平ひら個人こじん崇拝すうはいが進行しんこうするなか、習については「小学校しょうがっこう卒そつの指導しどう者しゃ」という否定ひてい的てき評価ひょうかも広ひろがっている。

ゼロコロナ政策せいさく

2022年ねん11月24日にち、新疆しんきょうウイグル自治じち区くウルムチ市しで10人にんの犠牲ぎせい者しゃを出だした火災かさいが発生はっせいし、火災かさいのあったアパートがコロナ対策たいさくで封鎖ふうさされ消防車しょうぼうしゃが入いれなかったことが被害ひがいを拡大かくだいしたとの見方みかたがSNSを通とおして全ぜん中国ちゅうごくに広ひろまった。11月26日にち、南京なんきん市しの南京なんきん伝でん媒なかだち学院がくいんで数すう百ひゃく人にん規模きぼの抗議こうぎ集会しゅうかいが開ひらかれた。11月27日にち、上海しゃんはい市し内うちでは「ウルムチ」の名なを冠かんした通とおりに多数たすうの人ひとびとが集あつまって習近平たいらの辞任じにんを求もとめ、その動画どうがはネット上じょうに広ひろがった。同日どうじつ、北京ぺきん市しの清華せいか大学だいがくでも数すう百ひゃく人にんを越こえる規模きぼの学生がくせいによる抗議こうぎ集会しゅうかいが開ひらかれ、火災かさいの犠牲ぎせい者しゃの追悼ついとうすらも許ゆるさない中国共産党ちゅうごくきょうさんとうの言論げんろん統制とうせいに対たいして強つよい抗議こうぎの声こえをあげた。人民じんみんの間あいだでゼロコロナ政策せいさくに対たいする疑問ぎもんと不満ふまんが強つよまっており、インターネット上じょうでも「習近平ひらめ、やめろ」「共産党きょうさんとう、やめろ」の声こえが拡ひろがっている。

反はんスパイ法ほう

→詳細しょうさいは「中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく反はん間諜かんちょう法ほう」を参照さんしょう

2014年ねん11月、国内こくないにおける外国がいこく勢力せいりょくのスパイ活動かつどうの取とり締しまりを目的もくてきとして中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく反はん間諜かんちょう法ほう(反はんスパイ法ほう）を制定せいていし、2023年ねん7月がつには同どう法ほうを改正かいせいするなど締しめ付づけを強化きょうかしている。これに関かんしては、色いろの革命かくめいを主導しゅどうするアメリカのNED（全米ぜんべい民主みんしゅ主義しゅぎ基金ききん）の潜伏せんぷく活動かつどうに対抗たいこうするためや中国人ちゅうごくじん女子じょし留学生りゅうがくせいが留学りゅうがく先さきでハニートラップに遭あい17年間ねんかんも情報じょうほう漏洩ろうえいが行おこなわれた事例じれい、などが背景はいけいにあるものとされる。

人物じんぶつ

第だい21回かい気候きこう変動へんどう枠わく組ぐみ条約じょうやく締約ていやく国こく会議かいぎに出席しゅっせきする習近平ひらめ（2015年ねん）

中国共産党ちゅうごくきょうさんとう関係かんけい者しゃの人物じんぶつ評ひょうでは、習は調整ちょうせい型がたで「周囲しゅういの意見いけんを聞ききながら政策せいさくを実行じっこうするタイプ」であるという。中国ちゅうごく国内こくないにおける習はリベラルとみなされることがあり、「党員とういん、官僚かんりょうの腐敗ふはいに対たいしては厳きびしく臨のぞみ、政治せいじ的てきにも経済けいざい的てきにも開放かいほう的てきな姿勢しせいをもった指導しどう者しゃ」と評価ひょうかされることがある。現在げんざいの中国共産党ちゅうごくきょうさんとう幹部かんぶの演説えんぜつや文章ぶんしょうを、「冗漫じょうまん、空虚くうきょ、偽いつわり」で覆おおわれているとし、文章ぶんしょうや演説えんぜつをもっとわかりやすくし、国民こくみんに理解りかいできるよう改革かいかくする必要ひつよう性せいを主張しゅちょうしている。「一般いっぱん大衆たいしゅうは歴史れきしを作つくる原動力げんどうりょくだ。腹はらを割わって話はなさなければ、大衆たいしゅうは理解りかいできない」と述のべた。

派手はでな振ふる舞まいが一般いっぱん的てきに好このまれる中国ちゅうごくで習は地味じみな人柄ひとがらで、高級こうきゅうなホテルやレストランでも粗食そしょくをとるほど質素しっそであるという。「まず人ひとの話はなしをよく聞きく」という評判ひょうばんで、最初さいしょから自分じぶんの意見いけんを言いうのではなく問題もんだいを議題ぎだいとし、周囲しゅういに自由じゆうに議論ぎろんさせることが多おおい。また、子こども時代じだいの習近平たいらはいじめられっ子こだったという。福建ふっけん省しょう時代じだいの習にインタビューを行おこなった日本経済新聞にほんけいざいしんぶんの記者きしゃは「特別とくべつに才気さいきを感かんじさせることはない。切きれ者もので弁べんが立たつ薄うす熙来と違ちがう」と述のべている。習近平たいらの出世しゅっせのスピードは異例いれいの速はやさであるが、それは実力じつりょくではなく「親おやの七光ななひかり」だともいわれている。

2012年ねん9月がつ2日にち、健康けんこう診断しんだんで肝臓かんぞうに「極きわめて小ちいさながん」が見みつかり、手術しゅじゅつで摘出てきしゅつした。

元もと中国ちゅうごく大使たいし丹羽にわ宇一郎ういちろうは、2014年ねん時点じてんでは「父親ちちおやのために下放かほうの経験けいけんがあり若わかい時ときに苦労くろうしている。人間にんげん的てきには弱者じゃくしゃの気持きもちを理解りかいできる人物じんぶつ。また比較的ひかくてき親日しんにち派はでフェアな人物じんぶつ」と評ひょうしており、同おなじく元もと中国ちゅうごく大使たいしの宮本みやもと雄二ゆうじも「饒舌じょうぜつでなく人ひとの意見いけんを聞きく方ほう。胆力たんりょくを感かんじる。江沢民こうたくみんや胡錦濤こきんとうよりも『中国ちゅうごく流りゅうの大人おとな（たいじん）』」の印象いんしょうだったという。

一方いっぽう、毛沢東もうたくとうの元もと秘書ひしょで文化ぶんか大だい革命かくめいの際さいには反はん革命かくめい罪ざいで投獄とうごくされ、天安門てんあんもん事件じけんでは胡耀邦こようほうや趙ちょう紫むらさき陽ひを擁護ようごして学生がくせいの武力ぶりょく鎮圧ちんあつには最後さいごまで反対はんたいしたという李り鋭するどが、浙江せっこう省しょう書記しょき時代じだいの習近平たいらのエピソードとして李り鋭するどが親友しんゆうの息子むすこである習近平たいらの文化ぶんかレベルを「小学生しょうがくせいレベル」だと直言ちょくげんしたことを2018年ねんのインタビューで語かたった。病床びょうしょうにある100歳さいの李りの証言しょうげんは多おおくの視聴しちょう者しゃの胸むねを打うったが、習近平へいが子供こどもっぽく反駁はんばくした経緯けいいを視聴しちょうして、非常ひじょうに傲岸ごうがん不遜ふそんで自信じしん過剰かじょう気味ぎみであり、その心底しんそこには、学歴がくれきコンプレックスと誰だれからも尊敬そんけいされていた優すぐれた父親ちちおやと比較ひかくされることへのコンプレックスを根強ねづよく持もっていると感かんじ、本当ほんとうは自信じしんのない人間にんげんの虚勢きょせいを感かんじたという。

趣味しゅみは囲碁いごとサッカー。習の囲碁いご・サッカー好すきは有名ゆうめいで外交がいこうの場ばでも活用かつようされることがままあり、「ピンポン外交がいこう」に因ちなんでか「囲碁いご外交がいこう」「サッカー外交がいこう」とも言いわれている。サッカー好すきは北京ぺきん八はち一いち中学ちゅうがくの頃ころから、プレイヤーとしてである。官職かんしょくについてからも楽たのしんでいたが、歳としも重かさね仕事しごとが忙いそがしくなり、1980年代ねんだいにはプレーをやめたが、今いまでも観戦かんせんするのは大好だいすきだという。中国ちゅうごく企業きぎょうによる相次あいついだサッカークラブの買収ばいしゅうや中国ちゅうごくサッカー・スーパーリーグによる有名ゆうめい選手せんしゅへの爆ばく買かいは習の影響えいきょうも少すくなくないとされ、習政権けんで高たかまった中国ちゅうごくサッカー市場いちばの過熱かねつに押おされてか国際こくさいサッカー連盟れんめい（FIFA）がサッカーの中国ちゅうごく起源きげん説せつを公認こうにんして物議ぶつぎを醸かもした。

一方いっぽう、嫌きらいなスポーツはゴルフで、駐ちゅう日にち大使たいし時代じだいの王おう毅あつしが日本人にっぽんじんとゴルフをすることで有名ゆうめいなために「ゴルフ大使たいし」と呼よばれていた話はなしを安倍晋三あべしんぞうが習に披露ひろうしたところ、王おうは日本語にほんごで打うち消けしに必死ひっしだったといわれる。

古典こてんを好このみ、とりわけ愛読あいどくしているのは性悪説せいあくせつの提唱ていしょう者しゃとして知しられる荀子、その弟子でしの韓かん非ひとされる。2018年ねん5月がつにフォーブスの世界せかいで最もっとも影響えいきょう力りょくのある人物じんぶつの1位いに選えらばれた。

2019年ねん、習はロシアのプーチン大統領だいとうりょうと「深ふかい個人こじん的てきな友情ゆうじょう」があると述のべている。愛称あいしょうは「クマのプーさん」であるが、中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくではネット検閲けんえつによって「クマのプーさん」が禁止きんしされている。

中国ちゅうごくの人権じんけん状況じょうきょうを問題もんだい視しする西側にしがわ諸国しょこくに対たいし、2009年ねんに習は外遊がいゆう先さきのメキシコにて、「腹はらいっぱいでやる事ことのない欧米おうべい人じんが、中国ちゅうごくの欠点けってんをあげつらっている」と罵ののしり、アメリカなどによる人権じんけん問題もんだい提起ていきを非難ひなんして物議ぶつぎを醸かもした。中国ちゅうごく国内こくないでは愛国あいこく的てき発言はつげんのように受うけ止とめられたが、海外かいがいの報道ほうどう機関きかんは批判ひはん的てきに取とり上あげた。また、中国共産党ちゅうごくきょうさんとう内ないで回覧かいらんされた9号ごう文ぶん件けんは「西洋せいようの自由じゆう民主みんしゅ主義しゅぎ・人権じんけん・市場いちば経済けいざいを嫌きらう習の思想しそうを現あらわしている。」といわれている。

2023年ねん2月がつ8日にちに出版しゅっぱんされた安倍晋三あべしんぞうの著書ちょしょ『安倍晋三あべしんぞう回顧かいこ録ろく』によれば、安倍あべは習近平たいらを「（習主席しゅせきは）ある時とき、『自分じぶんがもし米国べいこくに生うまれていたら、米国べいこくの共産党きょうさんとうには入はいらないだろう。民主党みんしゅとうか共和党きょうわとうに入党にゅうとうする』と言いったのです」「彼かれは思想しそう信条しんじょうではなく、政治せいじ権力けんりょくを掌握しょうあくするために共産党きょうさんとうに入はいったということになります。彼かれは強烈きょうれつなリアリストなのです」と評価ひょうかしていたという。

2023年ねん11月15日にち、バイデン米まい大統領だいとうりょうは習近平たいらとの米べい中ちゅう首脳しゅのう会談かいだん直後ちょくごの記者きしゃ会見かいけんで、習近平たいらを「われわれとはまったく異ことなる政治せいじ形態けいたいに基もとづく共産きょうさん主義しゅぎ国こくを率ひきいる人物じんぶつという意味いみで彼かれは独裁どくさい者しゃだ」と明言めいげんした。同年どうねん6月がつにも「独裁どくさい者しゃ」と発言はつげんして中国ちゅうごく側がわが反発はんぱつした経緯けいいがある中なか、再ふたたび「独裁どくさい者しゃ」と呼よんだ。

家族かぞく

バラク・オバマ、妻つまの彭麗媛ひめと共ともに（2015年ねん）

習近平たいらは駐ちゅうイギリス大使たいしであった柯華の娘むすめである柯玲玲れいと結婚けっこんしたものの、結婚けっこんから3年ねん後ごの1982年ねんに離婚りこんした。

1987年ねん9月には現げん妻つまの彭麗媛ひめと再婚さいこんした。彭は、かつて「中国ちゅうごくの歌姫うたひめ」と呼よばれた元もと軍属ぐんぞく歌手かしゅの国家こっか的てきアイドルで非常ひじょうに気きが強つよく、また、上昇じょうしょう志向しこうの強つよかった女性じょせいで、習の芸能げいのう・映画えいが・文芸ぶんげいなどに対たいする指導しどう強化きょうか政策せいさくは彭の意向いこうがかなり反映はんえいされているという。

彭との間あいだの1人ひとり娘むすめである習明沢さわは1992年ねん6月がつに誕生たんじょうした。浙江せっこう大学だいがく外国がいこく語ご学院がくいんに入学にゅうがく後ご、アメリカのハーバード大学だいがくケネディスクールの留学生りゅうがくせいとなり、普段ふだんは身元みもとを隠かくすために偽名ぎめいを使つかっていたという。娘むすめも気きが強つよいとの評判ひょうばんで、パーソナルコンピュータやインターネットに疎うとい父ちちに代かわり、インターネットを用もちいた世論せろん誘導ゆうどうなどで主導しゅどう的てきな役割やくわりを担になっているという。

習近平たいらは女性じょせいに弱よわく、母ははの言いうことには逆さからえず、一族いちぞくの問題もんだいに関かんしては姉あねの言いいなりだといわれている。

著書ちょしょ

• 『現代げんだい農業のうぎょう理論りろん与あずか実践じっせん（現代げんだい農業のうぎょうの理論りろんと実践じっせん）』福建ふっけん教育きょういく出版しゅっぱん社しゃ，1999年ねん
• 『中国ちゅうごく農村のうそん市場いちば化か建設けんせつ研究けんきゅう（中国ちゅうごく農村のうそん市場いちば化か建設けんせつ研究けんきゅう）』人民じんみん出版しゅっぱん社しゃ，2001年ねん
• 『之これ江こう新語しんご（浙江せっこうにおいて新あたらしい語かたり）』浙江せっこう人民じんみん出版しゅっぱん社しゃ，2007年ねん
• 『習近平ちから談だん治国ちこく理り政せい（習近平ひら 国政こくせい運営うんえいを語かたる）』
• 『習近平ひらた総そう書記しょき系列けいれつ重要じゅうよう講話こうわ読本とくほん（習近平ひらた総そう書記しょき 重要じゅうよう講話こうわ読本とくほんシリーズ）』
• 『論ろん堅持けんじ推動構建人類じんるい命運めいうん共同きょうどう体たい（人類じんるい運命うんめい共同きょうどう体たいの作つくり上あげを堅持けんじするの論ろん）』中央ちゅうおう文献ぶんけん出版しゅっぱん社しゃ，2018年ねん
• 『論ろん堅持けんじ党とう対たい一切いっさい工作こうさく的てき領りょう導しるべ（一切いっさい仕事しごとに対たいする党とうの指導しどうの論ろん）』中央ちゅうおう文献ぶんけん出版しゅっぱん社しゃ，2019年ねん
• 『論ろん党とう的てき宣伝せんでん思想しそう工作こうさく（党とうの宣伝せんでんと思想しそうに関かんする仕事しごとの論ろん）』中央ちゅうおう文献ぶんけん版ばん社しゃ，2020年ねん
• 『堅持けんじ全面ぜんめん依よ法治国ほうちこく（全面ぜんめん的てきに法ほうに依よって国くにを治おさめるの論ろん』中央ちゅうおう文献ぶんけん出版しゅっぱん社しゃ，2020年ねん
• 『論ろん中国共産党ちゅうごくきょうさんとう歴史れきし（中国共産党ちゅうごくきょうさんとうの歴史れきしの論ろん）』中央ちゅうおう文献ぶんけん出版しゅっぱん社しゃ，2021年ねん
• 『堅持けんじ人民じんみん当とう家作かさく主ぬし(人民じんみんは国家こっかの主あるじを堅持けんじするの論ろん）』中央ちゅうおう文献ぶんけん出版しゅっぱん社しゃ，2021年ねん

参考さんこう文献ぶんけん

• 稲垣いながき清きよし『中ちゅう南海なんかい 知しられざる中国ちゅうごくの中枢ちゅうすう』岩波書店いわなみしょてん〈岩波いわなみ新書しんしょ〉、2015年ねん4月がつ。ISBN 978-4004315407。 
• 茅かや沢さわ勤つとむ『習近平たいらの正体しょうたい』小学館しょうがくかん、2010年ねん4月がつ。ISBN 978-4-09-389726-6。 
• 相馬そうま勝まさる『対たい日にち戦争せんそうを仕掛しかける男おとこ 習近平たいらの野望やぼう』幸福こうふくの科学かがく出版しゅっぱん、2012年ねん12月。ISBN 978-4-86395-290-4。 
• 中澤なかざわ克二かつじ『習近平たいらの権力けんりょく闘争とうそう』日本経済新聞にほんけいざいしんぶん出版しゅっぱん社しゃ、2015年ねん9月がつ。ISBN 978-4-532-35656-9。 
• 丹羽にわ宇一郎ういちろう『中国ちゅうごくの大だい問題もんだい』PHP研究所けんきゅうじょ〈PHP新書しんしょ〉、2014年ねん7月がつ。ISBN 978-4-569-81926-6。 
• 福島ふくしま香織かおり『習近平たいらの敗北はいぼく -紅あかい帝国ていこく・中国ちゅうごくの危機きき-』ワニブックス、2019年ねん6月がつ。ISBN 978-4-8470-9815-4。 
• 峯村みねむら健司けんじ『十じゅう三さん億おく分ぶんの一いちの男おとこ 中国ちゅうごく皇帝こうていを巡めぐる人類じんるい最大さいだいの権力けんりょく闘争とうそう』小学館しょうがくかん、2015年ねん3月がつ。ISBN 978-4-09-389754-9。 
• 宮本みやもと雄二ゆうじ『習近平たいらの中国ちゅうごく』小学館しょうがくかん、2015年ねん5月がつ。ISBN 978-4106106194。 
• 矢板やいた明夫あきお『習近平ちから　共産きょうさん中国ちゅうごく最さい弱じゃくの帝王ていおう』文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう、2012年ねん3月がつ。ISBN 978-4-16-374990-7。 

関連かんれん項目こうもく

• 習李体制たいせい
• 李り克かつ強きょう
• 習近平ひら核心かくしん体制たいせい
• 王おう岐山きざん
• 第だい5世代せだい
• 之これ江こう新しん軍ぐん
• 太子たいし党とう
• 旧識きゅうしき
• 南京なんきん系けい
• 閩江旧きゅう部ぶ
• 浦江うらえ旧きゅう部ぶ
• 陝西せんせい幇
• 陝軍
• 習近平ひらた総そう書記しょき系列けいれつ重要じゅうよう講話こうわ読本とくほん
• 習近平たいらによる新しん時代じだいの中国ちゅうごくの特色とくしょくある社会しゃかい主義しゅぎ思想しそう
• 習近平たいらを批判ひはんする横断幕おうだんまく
• 学習がくしゅう強国きょうこく
• 今日きょう祈いのり翠みどり

外部がいぶリンク

• 新華社しんかしゃによる履歴りれき - ウェイバックマシン（2003年ねん4月がつ4日にちアーカイブ分ぶん） （中国ちゅうごく語ご）
• 人民じんみん網もうによる略歴りゃくれき - ウェイバックマシン（2009年ねん7月がつ5日にちアーカイブ分ぶん） （日本語にほんご）
• 習近平ひらめ（既得きとく利益りえき擁護ようご派は）VS李り克かつ強きょう（改革かいかく派は）の図式ずしき - ウェイバックマシン（2007年ねん12月12日にちアーカイブ分ぶん） - 矢吹やぶき晋すすむ
• ポスト胡錦濤こきんとう 習近平たいらの政治せいじ感覚かんかく - 富とみ坂さか聰さとし
• ＮＨＫスペシャル 中国ちゅうごく激動げきどう　怒おこれる民みんをどう収おさめるか～密着みっちゃく　紛争ふんそう仲裁ちゅうさい請負人うけおいにん～ - NHK放送ほうそう史し
• 『習近平ひらた』 - コトバンク

中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく 先代せんだい 胡錦濤こきんとう 中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく最高さいこう指導しどう者しゃ 第だい5代だい：2012年ねん11月15日にち - 次代じだい 現職げんしょく 先代せんだい 胡錦濤こきんとう 中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく主席しゅせき 第だい7代だい：2013年ねん3月がつ14日にち - 次代じだい 現職げんしょく 先代せんだい 胡錦濤こきんとう 国家こっか中央ちゅうおう軍事ぐんじ委員いいん会かい主席しゅせき 第だい4代だい：2013年ねん3月がつ14日にち - 次代じだい 現職げんしょく 先代せんだい 曽慶そげい紅べに 中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく副ふく主席しゅせき 第だい9代だい：2008年ねん3月がつ15日にち – 2013年ねん3月がつ14日にち 次代じだい 李り源はじめ潮しお 先代せんだい 賀が国こく強きょう 福建ふっけん省しょう長ちょう 1999年ねん8月がつ - 2002年ねん10月がつ 次代じだい 盧の展てん工こう
中国共産党ちゅうごくきょうさんとう 先代せんだい 胡錦濤こきんとう 中央ちゅうおう委員いいん会かい総そう書記しょき 第だい5代だい：2012年ねん11月15日にち - 次代じだい 現職げんしょく 先代せんだい 胡錦濤こきんとう 中央ちゅうおう軍事ぐんじ委員いいん会かい主席しゅせき 第だい6代だい：2012年ねん11月15日にち - 次代じだい 現職げんしょく 先代せんだい 設置せっち 中央ちゅうおう国家こっか安全あんぜん委員いいん会かい主席しゅせき 初代しょだい：2014年ねん1月がつ24日にち - 次代じだい 現職げんしょく 先代せんだい 曽慶そげい紅べに 中央ちゅうおう書記しょき処しょ常務じょうむ書記しょき 第だい17代だい：2007年ねん10月がつ22日にち – 2012年ねん11月15日にち 次代じだい 劉りゅう雲山くもやま 先代せんだい 曽慶そげい紅べに 中央ちゅうおう党とう校こう校長こうちょう 2007年ねん11月 - 2013年ねん1月がつ 次代じだい 劉りゅう雲山くもやま 先代せんだい 韓かん正ただし（代理だいり） 上海しゃんはい市し党とう委員いいん会かい書記しょき 2007年ねん3月がつ - 2007年ねん10月がつ 次代じだい 兪正声ごえ 先代せんだい 張ちょう徳江とくえ 浙江せっこう省しょう党とう委員いいん会かい書記しょき 2002年ねん11月 - 2007年ねん3月がつ 次代じだい 趙ちょう洪ひろし祝しゅく
中国ちゅうごく人民じんみん解放かいほう軍ぐん 先代せんだい 設置せっち 統合とうごう作戦さくせん指揮しきセンター総そう指揮しき官かん 初代しょだい：2016年ねん4月がつ21日にち - 次代じだい 現職げんしょく