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滑走かっそう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
滑走かっそうグレート・バリア・リーフ空港くうこう英語えいごばん

滑走かっそう(かっそうろ、えい: runway)は、飛行機ひこうき滑走かっそうし、離陸りりく着陸ちゃくりくおこなうための直線ちょくせんじょうみちのこと。空港くうこう飛行場ひこうじょう空母くうぼなどに設置せっちされた施設しせつで、空港くうこうにおけるさい重要じゅうよう設備せつびである。

概要がいよう

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滑走かっそう着陸ちゃくりくする飛行機ひこうきクロアチアスプリト空港くうこう英語えいごばん

外見がいけんはただの長大ちょうだい道路どうろだが、飛行機ひこうき離着陸りちゃくりくするときの衝撃しょうげきえられるよう通常つうじょう道路どうろなどにくら丈夫じょうぶにできている特殊とくしゅ設備せつびである。

また、時速じそく240 - 300 km/hにたっする離着陸りちゃくりく高速こうそく走行そうこうにおいても機体きたいれがすくなくなるように、滑走かっそう表面ひょうめん凹凸おうとつきわめてすくない(高速こうそく道路どうろなど離着陸りちゃくりく想定そうていしていない道路どうろとう不時着ふじちゃくした場合ばあい乗員じょういん猛烈もうれつ振動しんどうさらされることになる)。

滑走かっそう周囲しゅういにはたいらで植生しょくせいされた土地とちがあり、ここには旋回せんかいとう進入しんにゅうかく指示しじとう滑走かっそう距離きょりとうなどの航空こうくう灯火ともしび設置せっちされており、滑走かっそうにこの周囲しゅういふくめた矩形くけい部分ぶぶん全体ぜんたい着陸ちゃくりくたい[1]

離着陸りちゃくりくとりとの衝突しょうとつバードストライク)は重大じゅうだい事故じこつながるため、滑走かっそう周辺しゅうへんには鳥追とりおいまたは鳥威とりおどしの設備せつび設置せっちすることがおおい。可燃かねんせいガスとうもちいて定期ていきてきばく発音はつおん発生はっせいさせ、とりはら爆音ばくおん主流しゅりゅうだが、2008ねんごろからはそうした設備せつびにさえれてこわがらないとりあらわれてきたため、バードスイーパーが滑走かっそう周辺しゅうへん巡回じゅんかいし、猟銃りょうじゅう空砲くうほうはら方法ほうほうや、花火はなびなどの閃光せんこうともなった方法ほうほうがとられる。

滑走かっそう命名めいめいほう

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滑走かっそう番号ばんごう方位ほういかく

滑走かっそう以下いか規則きそくしたがって命名めいめいされる。

航空こうくう交通こうつう管制かんせいうえ滑走かっそう滑走かっそう番号ばんごう指示しじ標識ひょうしき)とばれる磁北からの方位ほういかく時計とけいまわり、単位たんい)を1/10した数値すうち識別しきべつされる[2]滑走かっそう番号ばんごうは、飛行機ひこうき進入しんにゅう方向ほうこうから方位ほういを、きたから時計とけいまわりにはかった角度かくどした1けたてた01から36までの数字すうじあらわされる[注釈ちゅうしゃく 1]。たとえば、磁北 (360°[注釈ちゅうしゃく 2]) を滑走かっそうは「滑走かっそう36 (Runway Three Six) 」である。そのぎゃくきの滑走かっそうは磁方で180°であり「滑走かっそう18 (Runway One Eight) 」となる。それぞれの滑走かっそう番号ばんごう滑走かっそうはし表示ひょうじされている(上記じょうきれい滑走かっそうでは、南端なんたんに「36」、北端ほくたんに「18」と表記ひょうきされている)。このように、滑走かっそう番号ばんごう0136数字すうじのいずれかになる[注釈ちゅうしゃく 3]通常つうじょう一本いっぽん滑走かっそうには方位ほういもとづく2つの番号ばんごうてられており、一本いっぽん滑走かっそう命名めいめいは2つの磁方わせてあらわされる。上記じょうきの「滑走かっそう36」と「滑走かっそう18」のれいでは、「18/36」と表記ひょうきされる[注釈ちゅうしゃく 4][注釈ちゅうしゃく 5]

滑走かっそう並行へいこうする場合ばあい

滑走かっそう並行へいこうする場合ばあい命名めいめいは、滑走かっそう番号ばんごうのあとにL(ひだり; Left)・C(中央ちゅうおう; Center)・R(みぎ; Right)をすことでおこなわれる(後述こうじゅつ参照さんしょう)。たとえば、磁方360°をいた滑走かっそうが3ほん平行へいこうならんでいる場合ばあいみなみから滑走かっそう進入しんにゅうする飛行機ひこうき位置いちからて、左側ひだりがわ滑走かっそうから「滑走かっそう36L (Three Six Left) 」、「滑走かっそう36C (Three Six Center) 」、「滑走かっそう36R (Three Six Right) 」となる[2]並行へいこう滑走かっそうが2ほんしかない場合ばあいは、C (中央ちゅうおう)を使用しようせず、L(ひだり)とR(みぎ)のみを使つかう。したがって、南北なんぼく方向ほうこうに2ほん滑走かっそう並行へいこうしている場合ばあい(18/36の場合ばあい)、西側にしがわ滑走かっそうを「18R/36L」、東側ひがしがわ滑走かっそうを「18L/36R」とぶ。

滑走かっそうが4ほん並行へいこうする場合ばあいは、2ほん滑走かっそう番号ばんごうを10ずらして表記ひょうきする。たとえば、磁方360°をいた滑走かっそうが4ほん平行へいこうならんでいる場合ばあいは、それぞれ「01L/19R」「01R/19L」「18L/36R」「18R/36L」と[注釈ちゅうしゃく 6]。このほか、数字すうじのあとに「LC」「RC」を付与ふよすることもあり、平行へいこう滑走かっそう4ほん場合ばあいは、ひだりからL、LC、RC、R、となり、5ほん場合ばあいひだりからL、LC、C、RC、R、となる[2][注釈ちゅうしゃく 7]

表面ひょうめんみず滑走かっそう水上すいじょう使用しようする)はシーレーンとばれる。並行へいこうするほか滑走かっそう存在そんざいする場合ばあいは、シーレーンの滑走かっそう番号ばんごうにはWみず; Water)がけられる[注釈ちゅうしゃく 8]きた水上すいじょう滑走かっそうはシーレーン36W (Sealane Three Six Water)である。

また、このような正式せいしき表記ひょうきほうのほかに空港くうこう独自どくじ滑走かっそうめい存在そんざいする。とくにこの独自どくじ命名めいめいほうにルールはないが、「A滑走かっそう・B滑走かっそう……」や「だい1滑走かっそうだい2滑走かっそう……」などアルファベットや番号ばんごうてることがおお[注釈ちゅうしゃく 9]

滑走かっそうなが

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日本にっぽん最長さいちょうとなる4,000m滑走かっそうち、完全かんぜん24あいだ運用うんよう可能かのう関西国際空港かんさいこくさいくうこう

飛行機ひこうき運航うんこう必要ひつよう滑走かっそうながさは、ただたんに「車輪しゃりん接地せっちしているあいだ走行そうこうする距離きょり」だけではりない。必要ひつようとされる滑走かっそうながさとは、通常つうじょう離陸りりく滑走かっそうはじめたてんから浮上ふじょうして高度こうど50フィート(大型おおがたでは高度こうど35フィート)にたっした瞬間しゅんかん直下ちょっかてんまでである。

この離陸りりく滑走かっそうちょうにさらに15%の余裕よゆうくわえた距離きょり、また多発たはつにおいては、離陸りりく決心けっしん速度そくど(V1) で離陸りりく中止ちゅうしした場合ばあい必要ひつよう停止ていし距離きょり、V1てんでエンジン1突然とつぜん作動さどうとなった場合ばあい離陸りりく継続けいぞくして高度こうど35フィートにたっするまでの距離きょり以上いじょう3つのなか一番いちばんなが距離きょり必要ひつよう離陸りりく滑走かっそうちょうとしている。

また、着陸ちゃくりくにおいては滑走かっそうはし高度こうど50フィート(やく15.2 m)で通過つうかして接地せっち減速げんそく停止ていしするまでを飛行機ひこうき着陸ちゃくりく距離きょりとしている。着陸ちゃくりく使用しようするにはこの着陸ちゃくりく距離きょりの 1.67 ばい距離きょり必要ひつよう着陸ちゃくりく滑走かっそうちょうとされている。

以上いじょう必要ひつよう離陸りりく滑走かっそうちょう必要ひつよう着陸ちゃくりく滑走かっそうちょうのうちながほうが、航空機こうくうき安全あんぜん確保かくほ必要ひつよう滑走かっそうながさである[注釈ちゅうしゃく 10]現実げんじつには、その運航うんこう時点じてんでの天候てんこう滑走かっそう状態じょうたい滑走かっそう標高ひょうこう飛行機ひこうきそう重量じゅうりょうなどにより、必要ひつよう滑走かっそうちょうがその都度つど変化へんかするのであり、必要ひつよう滑走かっそうちょうがその空港くうこう滑走かっそうちょう逸脱いつだつしないように、搭載とうさい貨物かもつりょうなどをめることになる。

目安めやす[3]として、本格ほんかくてきプロペラ離陸りりくに1000 m、ジェット機じぇっとき発着はっちゃく最低さいてい1500 m、ワイドボディ離陸りりく最低さいてい2000 m、ボーイング747離陸りりく最低さいてい2500 mが必要ひつようである。おなじ747でも燃料ねんりょう旅客りょかく貨物かもつおお長距離ちょうきょり便びん飛行ひこう距離きょりが1まんkmをえるもの)で利用りようするには3,000 m以上いじょう必要ひつようである。だい規模きぼ国際こくさい空港くうこうでは、ボーイング747やエアバスA380クラスのちょう大型おおがた旅客機りょかくき離着陸りちゃくりく余裕よゆうをもたせるため、3,000 - 4,000 mを確保かくほするのが標準ひょうじゅんてきである。スペースシャトル予定よてい軌道きどう到達とうたつするまえ中断ちゅうだん天候てんこう不良ふりょう予定よていした着陸ちゃくりくじょう使つかえない事態じたいそなえ、3000mきゅう滑走かっそうゆうする世界せかい各地かくち飛行場ひこうじょう緊急きんきゅう着陸ちゃくりくじょう英語えいごばんとして指定していしていた。なかでもNASAシャトル着陸ちゃくりく施設しせつながさ4572m、はば91m、オーバーラン地帯ちたいとしてりょうはしに305mの滑走かっそうゆうしている。

世界せかいもっとなが滑走かっそうエリア51の9,656 m(べつせつあり)であるが、軍事ぐんじ基地きちであるがゆえ商業しょうぎょううことはない。商業しょうぎょう利用りよう民間みんかん発着はっちゃくできる最長さいちょう滑走かっそう中国ちゅうごくチャムド・バンダ空港くうこうであり、5,500 mのながさをゆうする。この空港くうこう標高ひょうこうが4,334 mとたか場所ばしょにある空港くうこうであるため空気くうき密度みつどひくく、エンジン推力すいりょく機体きたい揚力ようりょくともに減少げんしょうし、滑走かっそうはじめてから離陸りりくするまでになが距離きょり必要ひつようなためである。平地ひらち空港くうこうとしてはアール・マクトゥーム国際こくさい空港くうこう標高ひょうこう52m)が4,900 mのながさをゆうする。

世界せかいもっとはばひろ舗装ほそう滑走かっそうがあるのはロシアウリヤノフスク・ヴォストーチヌイ空港くうこうであり、105mのはばがある。

ICAO飛行場ひこうじょう参照さんしょうコード

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国際こくさい民間みんかん航空こうくう機関きかん(ICAO)が発行はっこうするだい14付属ふぞくしょ(ICAO Annex 14)により、滑走かっそうちょうつばさちょうにより着陸ちゃくりくたいとう等級とうきゅうさだめたコード (ICAO Aerodrome Reference Code) がけられている[4]日本にっぽんでは、航空こうくうほう施行しこう規則きそくだい75じょうにてさだめられている。

コード 滑走かっそうちょう 利用りよう可能かのう機種きしゅ
1 800m未満みまん DHC-6PA-31英語えいごばん
2 800m以上いじょう 1,200m未満みまん ATR-42Q300
3 1,200m以上いじょう 1,800m未満みまん サーブ 340CRJ-200
4 1,800m以上いじょう ボーイング737エアバスA320
コード つばさちょう 外側そとがわぬしあし車輪しゃりん間隔かんかく 利用りよう可能かのう機種きしゅ
A 15m未満みまん 4.5m未満みまん PA-31、セスナ 404英語えいごばん
B 15m以上いじょう 24m未満みまん 4.5m以上いじょう 6m未満みまん CRJ-200、DHC-6
C 24m以上いじょう 36m未満みまん 6m以上いじょう 9m未満みまん ボーイング737、エアバスA320、E-190
D 36m以上いじょう 52m未満みまん 9m以上いじょう 14m未満みまん ボーイング767エアバスA310
E 52m以上いじょう 65m未満みまん 9m以上いじょう 14m未満みまん ボーイング777787エアバスA330
F 65m以上いじょう 80m未満みまん 14m以上いじょう 16m未満みまん ボーイング747-8エアバスA380

滑走かっそう表面ひょうめん舗装ほそう

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成田なりた国際こくさい空港くうこうA滑走かっそう断面だんめん(「成田空港なりたくうこう そら大地だいち歴史れきしかん展示てんじ
芝生しばふ滑走かっそうワコンダビーチしゅう飛行場ひこうじょう英語えいごばん - アメリカ オレゴンしゅう

1930年代ねんだい後半こうはん大型おおがた単葉たんよう登場とうじょうするまで、600m未満みまん芝生しばふうえ離着陸りちゃくりく可能かのうであった。ダグラス DC-3のような大型おおがた登場とうじょうともに900m以上いじょう滑走かっそう舗装ほそう必要ひつようとなった[5]

近代きんだいされた空港くうこうでは滑走かっそう路面ろめん舗装ほそうしてある。舗装ほそうのためにもちいられるアスファルト一般いっぱん道路どうろもちいられるものよりもはるかにこう強度きょうどであり、重量じゅうりょう巨大きょだい航空機こうくうき離着陸りちゃくりく十分じゅうぶんえられるよう改良かいりょうされたものがもちいられている。また、大型おおがたでは離陸りりく速度そくど時速じそく300 kmにもたっするため、振動しんどうおさえるためにきわめて平坦へいたん舗装ほそうほどこされる。排水はいすいせいたかめるために、センターラインから滑走かっそうはしにかけてごくわずかに傾斜けいしゃし、やまなりになっている。

通常つうじょうはアスファルトによる舗装ほそうとなるが、戦闘せんとうアフターバーナーによる影響えいきょうおおきい場合ばあいには、ねつつよコンクリート舗装ほそうとする。NASAシャトル着陸ちゃくりく施設しせつ高速こうそくでの着陸ちゃくりく想定そうていし、圧縮あっしゅくした土砂どしゃうえあつさ40.6cmのコンクリートを舗装ほそうしている。

郊外こうがい僻地へきちちいさな飛行場ひこうじょうおおきな空港くうこうでもけい飛行機ひこうきようみじか滑走かっそうでは、芝生しばふなどの舗装ほそうされていない滑走かっそうもある。

ブレーキ性能せいのう向上こうじょうのため、滑走かっそう全面ぜんめんにわたって、滑走かっそう長手ながて方向ほうこう直角ちょっかくほそみぞりをほどこす。これをグルービングという。グルービングは降雨こううにタイヤと路面ろめんあいだ排水はいすいたすける役割やくわりももつ。グルービングのみぞは、はばふかさが6ミリメートル、みぞ間隔かんかくが32ミリメートルとなるよう[6]に、ダイヤモンドカッターけず作業さぎょうおこなわれる。

かずcm程度ていど物体ぶったいであっても、航空機こうくうき車輪しゃりんきあげて機体きたいたるなどして損傷そんしょうけたり、エンジンにんで故障こしょう不具合ふぐあいまねいたりするおそれがある。実際じっさい滑走かっそう路上ろじょう異物いぶつ原因げんいん墜落ついらく事故じこ発生はっせいしているため、とく大型おおがたのように異物いぶつみやすいジェットエンジンを利用りようする航空機こうくうき利用りようする滑走かっそうでは、つね異物いぶつ監視かんし清掃せいそうがされている。

複数ふくすう滑走かっそう配置はいち

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1つの空港くうこうに2ほん以上いじょう滑走かっそう設置せっちする場合ばあい、3種類しゅるい配置はいち方式ほうしきがある。

オープンパラレル方式ほうしき

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成田なりた国際こくさい空港くうこう滑走かっそう配置はいち

オープンパラレル方式ほうしき(open parallel)とは、2ほん滑走かっそう平行へいこうして配置はいちされており、かつ、りょう滑走かっそうあいだ十分じゅうぶん距離きょりがとっている配置はいち方法ほうほうである。りょう滑走かっそうあいだ距離きょりは1,310 m以上いじょうはなれていなければならない[7]離着陸りちゃくりくともに完全かんぜん分離ぶんりしておこなえる[7]ため、運用うんよう効率こうりつたかまり、運航うんこう回数かいすうもっとおお出来でき利点りてんがある。

日本にっぽん国内こくないにおいては成田なりた国際こくさい空港くうこう東京とうきょう国際こくさい空港くうこう羽田空港はねだくうこう)、関西国際空港かんさいこくさいくうこうしん千歳空港ちとせくうこう千歳基地ちとせきちふくんだ場合ばあい)、那覇空港なはくうこうなどがこの方式ほうしき採用さいようしている。このうち、成田なりた国際こくさい空港くうこうはかつてB滑走かっそうが2,180 mしかなく、長短ちょうたん2ほん滑走かっそう平行へいこうしている状態じょうたいであった。このため、みじか滑走かっそういているにもかかわらず、大型おおがた航空機こうくうき着陸ちゃくりく出来できない、という状況じょうきょうしょうじることがあった。

セミオープンパラレル方式ほうしき

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セミオープンパラレル方式ほうしきとは、2ほん滑走かっそう平行へいこうして配置はいちされており、かつ、りょう滑走かっそうあいだ比較的ひかくてき距離きょりをとっている配置はいち方式ほうしきである。りょう滑走かっそうあいだは760 m以上いじょうはなれているか、前後ぜんごにずれていなければならない[7]。この方式ほうしき採用さいようした場合ばあいりょう滑走かっそう同時どうじ着陸ちゃくりくはできないが同時どうじ離陸りりく可能かのうとなる[7]ため、クロースパラレル方式ほうしきよりはたか運用うんよう効率こうりつとなり、オープンパラレル方式ほうしきより敷地しきち面積めんせきすくなくてすむという利点りてんがある。

日本にっぽんでは中部ちゅうぶ国際こくさい空港くうこうが2040年代ねんだいにセミオープンパラレル方式ほうしきでの供用きょうよう開始かいし目指めざしており、そのぜん段階だんかいとなる中部ちゅうぶ国際こくさい空港くうこうおき公有こうゆう水面すいめん埋立うめたて事業じぎょう護岸ごがん本体ほんたい工事こうじが2023ねんよりはじまった。この事業じぎょう自体じたい着工ちゃっこう開始かいしから15ねんけて空港くうこうとう西側にしがわ海面かいめんはば480m、ながさ4270mにわたって名古屋なごやこう浚渫しゅんせつ土砂どしゃてるもので、土砂どしゃ処分しょぶん完了かんりょう埋立うめたて現在げんざいのA滑走かっそう移設いせつし2ほん滑走かっそうを760mの間隔かんかく配置はいちしようとするもの。

クロースパラレル方式ほうしき

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大阪国際空港おおさかこくさいくうこう空中くうちゅう写真しゃしん

クロースパラレル方式ほうしき(close parallel;closeは形容詞けいようしであり"ちかくの"のである)とは、2ほん滑走かっそう平行へいこうして配置はいちされているがりょう滑走かっそうあいだ距離きょりを760 m以上いじょうとれていない配置はいち方式ほうしきである。この方式ほうしき採用さいようした場合ばあいりょう滑走かっそうあいだ至近しきんであるため、安全あんぜんじょう理由りゆうからりょう滑走かっそう同時どうじ離着陸りちゃくりくはできない[7]ため、運用うんよう効率こうりつちるが、敷地しきち面積めんせきせまくとも2ほん滑走かっそうもうけることが可能かのうという利点りてんがある。

日本にっぽん国内こくないにおいてはしん千歳空港ちとせくうこう大阪国際空港おおさかこくさいくうこう伊丹空港いたみくうこう)、福岡空港ふくおかくうこうが、日本にっぽん国外こくがいにおいてはフランクフルト空港くうこうローガン国際こくさい空港くうこうなどがこの方式ほうしき採用さいようしている。同時どうじ離着陸りちゃくりく出来できないが、一方いっぽう滑走かっそう着陸ちゃくりくおこなうと同時どうじに、もう一方いっぽう滑走かっそう離陸りりくそなえて待機たいきするといった運用うんよう可能かのうであり、とく伊丹空港いたみくうこう、ローガン国際こくさい空港くうこうでは長短ちょうたん2つの滑走かっそう平行へいこうして配置はいちされており、航空機こうくうき状態じょうたい性能せいのうにより使用しよう滑走かっそう制限せいげんけるものの、空港くうこう地上ちじょう交通こうつう離着陸りちゃくりく調整ちょうせいおこなうことで運用うんよう効率こうりつげている。

横風おうふうよう滑走かっそう

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東京とうきょう国際こくさい空港くうこう滑走かっそう配置はいち

運航うんこう回数かいすうとくおお空港くうこうでは、横風おうふうでの離着陸りちゃくりく安定あんていするため、主要しゅよう滑走かっそうとはべつきをえた滑走かっそうもうけている。このような滑走かっそうのことを横風おうふうよう滑走かっそうという。主要しゅよう滑走かっそうよりみじかいものである場合ばあいがほとんどといってよい[よう出典しゅってん]世界せかいだい規模きぼ空港くうこう着陸ちゃくりくよう離陸りりくよう並行へいこう滑走かっそうくわえ、横風おうふうようの3ほん滑走かっそうをもつものがおお[よう出典しゅってん]。D滑走かっそう建設けんせつ以前いぜん東京とうきょう国際こくさい空港くうこういちれいとすると、通常つうじょう使つか滑走かっそうが A 滑走かっそう (16R/34L, 3,000 m) と C 滑走かっそう (16L/34R, 3,000m) であり、 B 滑走かっそう (04/22, 2,500 m) は横風おうふうよう滑走かっそうである。

路面ろめん標示ひょうじ

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空港くうこう使つかわれる標識ひょうしきとして、飛行場ひこうじょうめい標識ひょうしき滑走かっそう標識ひょうしきはしおび標識ひょうしき誘導ゆうどう標識ひょうしき、エプロン標識ひょうしきがある[8]

  • 滑走かっそう方位ほうい区別くべつ表示ひょうじ
    滑走かっそうしるされている番号ばんごう "09" は、滑走かっそう方位ほういを 36 等分とうぶんしたときの(磁方の)きたから時計とけいまわりに 9 つめ、つまりひがしいているという意味いみ時計とけいまわりに10ずつ回転かいてんさせ、いちくらいの0を省略しょうりゃくしてあらわす。ただしきたは0ではなく36となる)。"R" は、平行へいこう滑走かっそう右側みぎがわであることをしめしている(英語えいごみぎあらわすRightのりゃく)。反対はんたいがわ表示ひょうじは27Lとなる(180ぎゃく方向ほうこうになるので1以上いじょう18以下いか数字すうじに18をしてあらわす。右側みぎがわぎゃくきだと左側ひだりがわになる)。さんほん滑走かっそう平行へいこうする場合ばあいは、一番いちばん右側みぎがわはR、一番いちばん左側ひだりがわはL(Leftのりゃく)、それらにはさまれる滑走かっそうはC(Centerのりゃく)とあらわされる。なお滑走かっそう1ほんのみで運用うんようされている、またはどういち角度かくど滑走かっそう存在そんざいしない場合ばあい、L・Rは省略しょうりゃくされる。
路面ろめん標示ひょうじ説明せつめい
  • ブラストパッド (Blast pad)
    通常つうじょう大型おおがた航空機こうくうき運行うんこうされている滑走かっそうりょうはしもうけられる。着陸ちゃくりくのオーバーラン、離陸りりく滑走かっそうめによるオーバーランなど非常時ひじょうじのみ進入しんにゅう可能かのう。また離陸りりくのためのタキシングや、ターニングパッドのない滑走かっそうでの転回てんかいにこの部分ぶぶんもちいることもある。大型おおがたから排出はいしゅつされる排気はいきねつ(ジェットブラスト)から滑走かっそう路面ろめん保護ほごする役割やくわりねる。滑走かっそうくら路面ろめんかたくなく、この位置いちでの離着陸りちゃくりくはできない。黄色おうしょく山形やまがた模様もよう表示ひょうじされる。
ブラストパッド
  • ディスプレイスド スレッシュホールド (Displaced threshold)
    離陸りりくのためのタキシング、離陸りりく着陸ちゃくりく滑走かっそうのための進入しんにゅう使用しようすることはできるが、この位置いちへの着陸ちゃくりく禁止きんしされている。滑走かっそう開始かいし位置いち付近ふきん障害しょうがいぶつなどが存在そんざい有効ゆうこう滑走かっそうちょうがとれない[注釈ちゅうしゃく 11]場所ばしょや、騒音そうおん軽減けいげん目的もくてきなどでの設置せっちがされている。また、この箇所かしょ有効ゆうこう利用りようすることにより最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょうでの離陸りりく最大さいだい着陸ちゃくりく重量じゅうりょうでの着陸ちゃくりくなどが可能かのうとなる。白色はくしょく矢印やじるし表示ひょうじされる。
ディスプレイスド スレッシュホールド

滑走かっそうには標示ひょうじがあり、この滑走かっそう標示ひょうじかれていることはほとんどの空港くうこう共通きょうつうである。滑走かっそう標示ひょうじ以下いかのようなものがかれている。

  • 中央ちゅうおう区間くかんせん
  • 固定こてい距離きょりせん
  • 滑走かっそう終了しゅうりょうせん
  • 滑走かっそう番号ばんごう

滑走かっそう表示ひょうじはほとんどの空港くうこうでは白色はくしょくかれているが、積雪せきせつおお地域ちいきでは、積雪せきせつ視認しにんせいげるために黄色おうしょくかれることもある。日本にっぽんでは北海道ほっかいどう東北とうほく地方ちほう北陸ほくりく地方ちほう長野ながのけん空港くうこうおおられる。

Threshold-はし
09-滑走かっそう方向ほうこう角度かくど
Touch Down Zone-着陸ちゃくりく地点ちてん
Fixed Distance Marks-固定こてい距離きょりせん
Center line-中央ちゅうおう区間くかんせん

飛行ひこう援助えんじょ施設しせつ

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コクピットから滑走かっそう

滑走かっそう周辺しゅうへんには、安全あんぜん離着陸りちゃくりくができるように飛行ひこう援助えんじょ施設しせつ設置せっちされている。

所有しょゆう

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滑走かっそう所有しょゆうというのは、おおきな空港くうこうであれば空港くうこう管理かんりする団体だんたいのものであるが、アメリカ国内こくないにおいては個人こじん所有しょゆう空港くうこうめずらしいことではなく、小型こがた専用せんよう自家用じかよう空港くうこうものおおい。なお、アメリカはつ個人こじん所有しょゆう滑走かっそうは、デルコ創業そうぎょうしゃであり NCR 会長かいちょうとなったエドワード・A・ディーズオハイオしゅうケタリングの自宅じたくつくったものである。また、飛行機ひこうきマニアとしてられる米国べいこくじん俳優はいゆうジョン・トラボルタは、自身じしん所有しょゆうするボーイング707使用しようするため、自宅じたく敷地しきちない専用せんよう大型おおがた滑走かっそうゆうしている。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ きたからの角度かくどから156場合ばあい、「15」となる[2]
  2. ^ 磁方表記ひょうきでは、磁北を表記ひょうきせず360°あらわ[2]
  3. ^ テレビドラマ「Gメン'75」のオープニングには「75」と表記ひょうきされた滑走かっそう出演しゅつえんしゃあるくシーンが登場とうじょうするが、番号ばんごうは36が最大さいだいであり、「75」と表記ひょうきされる滑走かっそう存在そんざいしない。750°、つまり円周えんしゅう2しゅう+30°になってしまう
  4. ^ 滑走かっそう表記ひょうきでは通例つうれいちいさい数字すうじまえるため、「36/18」ではなく「18/36」とあらわす。
  5. ^ 例外れいがいとして、フランクフルト空港くうこう滑走かっそう18がげられる。この滑走かっそう18の反対はんたいがわには、もし表記ひょうきされるとすれば「36」としるされるはずである。しかし、この滑走かっそうきたきに使用しようすることはなく、滑走かっそう番号ばんごう「36」は存在そんざいしない。
  6. ^ このような4ほんならんだ滑走かっそうれいしん千歳空港ちとせくうこう千歳ちとせ飛行場ひこうじょうシャルルドゴール空港くうこうロサンゼルス空港くうこうでみられる。
  7. ^ ただし、上記じょうきとお平行へいこう滑走かっそうが4ほんある場合ばあい同様どうよう並行へいこう滑走かっそうが5ほんある場合ばあいは、L、R、Cののちに4ほんから10ずらして表記ひょうきされる(れい:並行へいこう滑走かっそうが5ほん存在そんざいするシカゴ・オヘア国際こくさい空港くうこうダラス・フォートワース国際こくさい空港くうこう)のが一般いっぱんてきであるため、LC、RCを使つか空港くうこう現状げんじょう存在そんざいしない。
  8. ^ れいホノルル国際こくさい空港くうこうフッド湖水こすいじょう飛行場ひこうじょうなど
  9. ^ れいとして、東京とうきょう国際こくさい空港くうこうでは、16R/34LがA滑走かっそう、04/22がB滑走かっそう、16L/34RがC滑走かっそう、05/23がD滑走かっそうである。
  10. ^ 空港くうこう出発しゅっぱつする便びんであっても、離陸りりくにトラブルなどでかえして着陸ちゃくりくする場合ばあいがある。そのため、必要ひつよう離陸りりく滑走かっそうちょう必要ひつよう着陸ちゃくりく滑走かっそうちょうよりみじか場合ばあいでも、必要ひつよう着陸ちゃくりく滑走かっそうちょう確保かくほしなくてはならない。
  11. ^ 滑走かっそう建設けんせつするじょうで、航空こうくうほうにより滑走かっそうまつはしから障害しょうがいぶつまでの距離きょりさだめられているため。具体ぐたいれいとして、2012ねんまで成田空港なりたくうこうでは空港くうこう反対はんたい構築こうちくした障害しょうがいぶつによりA滑走かっそうへの南側みなみがわ進入しんにゅうに3250メートルぶんしか使つかえなかった[9]

出典しゅってん

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  1. ^ 空港くうこうのおしごと紹介しょうかい だい4かい 着陸ちゃくりくたい除草じょそう空港くうこう公園こうえん除草じょそう 島根しまねけん、2022ねん9がつ1にち閲覧えつらん
  2. ^ a b c d e ロム・インターナショナル(へん)『道路どうろ地図ちず びっくり!博学はくがく知識ちしき河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ〈KAWADEゆめ文庫ぶんこ〉、2005ねん2がつ1にち、35-36ぺーじISBN 4-309-49566-4 
  3. ^ 谷川たにがわ一巳かずみ監修かんしゅう)『THE(検定けんてい 航空こうくう検定けんてい河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ、2008ねんISBN 978-4-309-61603-2 [ようページ番号ばんごう]
  4. ^ ICAO Aerodrome Reference Code - Skybrary
  5. ^ Airport - Site Selection” (英語えいご). www.britannica.com. 2024ねん2がつ5にち閲覧えつらん
  6. ^ 空港くうこう舗装ほそう設計せっけい要領ようりょう” (PDF). 国土こくど交通省こうつうしょう交通こうつうきょく (2017ねん4がつ). 2017ねん10がつ20日はつか閲覧えつらん
  7. ^ a b c d e 羽田はた成田空港なりたくうこう機能きのう強化きょうかについて(施設しせつめん検討けんとう” (PDF). 国土こくど交通省こうつうしょう航空こうくうきょく (2014ねん1がつ). 2019ねん9がつ23にち閲覧えつらん
  8. ^ 陸上りくじょう空港くうこう施設しせつ設置せっち基準きじゅん解説かいせつ 平成へいせい31ねん3がつ 国土こくど交通省こうつうしょう航空局こうくうきょく
  9. ^ 成田空港なりたくうこうの4000メートル滑走かっそうはつ全面ぜんめん運用うんよう”. 日本経済新聞にほんけいざいしんぶん 電子でんしばん (2012ねん12月13にち). 2019ねん9がつ16にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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事故じこ