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ホームステイ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

ホームステイえい: homestay)は、留学りゅうがくなまなどが、そのくに一般いっぱん家庭かてい寄宿きしゅく生活せいかつ体験たいけんをすることである。または、その制度せいどれる家庭かていのことをホスト、その家族かぞくホストファミリーぶ。農家のうか寄宿きしゅくし、農場のうじょう体験たいけんをするのは、ファームステイ(farmstay)という。

概要がいよう

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協会きょうかいボランティアとして無料むりょうれてくれる家庭かていもあるが、近年きんねんはビジネス目的もくてきで、家賃やちん請求せいきゅうするホストがおおい。ホテルや下宿げしゅくではないので、すべてのホストファミリーで参加さんかしゃのぞむような対応たいおうをしてくれるわけではない。そのため近年きんねんは、提示ていじした条件じょうけんったホストファミリーをさがし、紹介しょうかいする留学りゅうがくエージェントもある。

夏休なつやすなどの長期ちょうき休養きゅうよう期間きかん利用りようして、普段ふだんくことのむずかしい学生がくせいなども気軽きがる体験たいけん出来できるものもある。

歴史れきし

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「ホームステイ」の起源きげん

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現在げんざいの「ホームステイ」は、1932ねんアメリカドナルド・ワット博士はかせ提案ていあんした「国際こくさい生活せいかつ体験たいけん」がその起源きげんといわれている。

ワットは幼少ようしょうから世界せかい様々さまざまくに機会きかいめぐまれていた。ペンシルベニアしゅうランカスターでデパートを経営けいえいするちちが、商用しょうようイギリスフランスドイツなどに機会きかい利用りよう諸国しょこく風俗ふうぞく習慣しゅうかんせっする機会きかいをもてたのである。アメリカじん典型てんけいであるような開拓かいたく精神せいしんちたかれは、だいいち世界せかい大戦たいせんなかYMCA使節しせつだん一員いちいんとしてインドイランはたらいた。そこでたりにした、インド・イラン・イギリスぐんあいだられる人種じんしゅてき階級かいきゅうてき差別さべつに、ワットは強烈きょうれつ嫌悪けんおじょうをいだいたのだった。大戦たいせん使節しせつだんとしての義務ぎむわり、ペルシャ、インド、中国ちゅうごく日本にっぽん帰国きこく、そのペンシルベニアイェールハーバードかく大学だいがくで、心理しんりがく研究けんきゅう専念せんねんすることとなる。

1921ねんくなった父親ちちおやから、ワットは50まんドルもの遺産いさんり、いかにしてその遺産いさん社会しゃかいのために還元かんげんできるかということをかんがえるようになった。当時とうじ発足ほっそくしたばかりの国際こくさい連盟れんめい中心ちゅうしんとなってスイス開催かいさいされた国際こくさい青少年せいしょうねん代表だいひょうキャンプに、ワットはアメリカ代表だいひょうとして参加さんかすることとなった。しかし、自国じこくへのプライドばかりでたがいにかたをいからせる青年せいねんたちをていたく失望しつぼうする。また、毎日まいにちつづ討論とうろんかい講演こうえん嫌気いやけがさし、もっとちがった方法ほうほう国際こくさい理解りかい効果こうかてきふかめるみちはないかとさぐっていきたどりついたのが、外国がいこくでの「家庭かてい生活せいかつ体験たいけん」というこころみであった。

こうして、1930ねんに12にんのアメリカの少年しょうねんたちをヨーロッパにれてき、ドイツやフランスの少年しょうねんたちと交流こうりゅうさせるプログラムを実施じっしした。少年しょうねんたちは、たがいに相手あいてこく言語げんご習慣しゅうかん理解りかいにつとめ、スポーツやハイキングなどの活動かつどうをともにすることで親善しんぜんきずなつくげた。そのなかで、キャンプよりもホームステイを、しかも3ヶ国かこくではなく1ヶ国かこく体験たいけんすることのほうがみのりがおおいのではないかとかんがえ、翌年よくねんはホームステイのグループをおくだい成功せいこうおさめた。さらにイギリス、フランス、ドイツでのホームステイにも成功せいこうしたワットは、1932ねん正式せいしきに「The Experiment in International Living」("Experiment in International Living" in English)を発足ほっそくさせ、世界せかい各国かっこく旧知きゅうちたより、また巨額きょがく私財しざいとうじてこの組織そしき発展はってん努力どりょくした。

もともとアメリカではホストファミリーはボランティアでれる形式けいしきのホームステイが発展はってんした。一方いっぽう、イギリスでは金銭きんせん支払しはらってれる形式けいしきのホストファミリーに滞在たいざいするホームステイが発展はってんした。オーストラリア、ニュージーランド、カナダなどほとんどの英語えいごけんでも、イギリスの形式けいしきでホームステイが発展はってんしていった。近年きんねん、アメリカでもこの有償ゆうしょうでのホストファミリー形式けいしきえてきている。

日本にっぽんはつのホームステイ

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アメリカからはじめてホームステイグループが来日らいにちしたのは1940ねんのことであった。当時とうじはもちろん「ホームステイ」などという言葉ことば概念がいねんもなく、このことをげた新聞しんぶん現在げんざい東京とうきょう新聞しんぶん)の記事きじには「交換こうかん息子むすこ」という文字もじしるされている。記事きじによると、「来年度らいねんど日本にっぽんからも派遣はけんする予定よていで、日米にちべいあいだ国際こくさい感情かんじょう悪化あっかしているなか両国りょうこく若者わかもの自然体しぜんたい生活せいかつともにするこの“集団しゅうだん交換こうかん息子むすこむすめ”の成果せいかおおいに期待きたいされている」という内容ないようかれている。皮肉ひにくにも翌年よくねん1941ねん12月には日米にちべい開戦かいせんとなり、「平和へいわ」をねがった交流こうりゅうそだつのは、終戦しゅうせんたなければならなかった。

1955ねん日本にっぽん東京大学とうきょうだいがく婦人ふじんかい日米にちべい教育きょういく委員いいんかい(フルブライト委員いいんかい)にかかわりのあった真木まき雪子ゆきこあてにアメリカのEIL本部ほんぶから日本にっぽんでのホームステイ実施じっしについて依頼いらいがあった。受入うけいれとして白羽しらはったのは、現在げんざいでもしょう京都きょうととしてられている「金沢かなざわ」。真木まき出身しゅっしんでもあり、戦後せんごまもないこと、反米はんべい感情かんじょうつよくないこと、戦災せんさい占領せんりょう影響えいきょうおおきくないこと、また、文化ぶんかてき土壌どじょうゆたかで「アメリカ文化ぶんかセンター」もあったことなどから、金沢かなざわ受入うけいれ地区ちくとなったわけである。翌年よくねん、4がつ初旬しょじゅんから1ヶ月かげつあいだ、ワット博士はかせ夫妻ふさいひきいるいちぎょう6めい日本にっぽん最初さいしょの「ホームステイ」を金沢かなざわ体験たいけんした。

基本きほんてきなルール

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ホストファミリーがボランティアか有償ゆうしょうかで、また、年齢ねんれい(おも高校生こうこうせい以下いかか、大学生だいがくせい以上いじょうか)によってちがいはてくる。有償ゆうしょう場合ばあい、ホームステイとはいえ、家族かぞく一員いちいんというより、実質じっしつてきりょう下宿げしゅくのような形態けいたいのものも存在そんざいする。

  • 寄宿きしゅくするあいだ家族かぞく一員いちいんとなること基本きほんであり、その家庭かていのルールで生活せいかつしなければならない。これはホームステイをするさい最初さいしょにあげられる基本きほんてきルールである。家族かぞく一員いちいんであるため遠慮えんりょせず、自分じぶん意見いけんをきちんとつたえるためにも、コミュニケーションはとっておく。
  • 出来できるだけホストファミリーと一緒いっしょごす。家族かぞく団欒だんらんなかはいることものぞましい。また、他人たにんだからといってお客様きゃくさま気分きぶんにならず、手伝てつだいは積極せっきょくてきにするようこころがける。
  • いえ食事しょくじらない場合ばあいは、ホストに事前じぜんつたえる。
  • 帰宅きたくおくれるとき、もしくは外泊がいはくする場合ばあいは、連絡れんらくして用件ようけんつたえる。なお、帰宅きたくおそくなると予見よけんできる場合ばあい事前じぜん外出がいしゅつさき連絡れんらくしておくと便利べんりである。
  • ホームステイを終了しゅうりょうするときは、自分じぶん荷物にもつすべてまとめ、部屋へや整頓せいとんする。
  • 通学つうがくふくすべての交通こうつう電話でんわ通話つうわ料金りょうきん自分じぶん支払しはらう。国際こくさい電話でんわようプリペイドカードコレクトコール利用りようする。
  • 外出がいしゅつ公共こうきょう交通こうつう機関きかん利用りようし、ホストさきくるまでの送迎そうげい緊急きんきゅうのぞきできるだけ依頼いらいしないこと。
  • 私的してき行事ぎょうじまたは用事ようじでホストファミリーとかけるさい費用ひよう自分じぶんす(だが費用ひようしてくれるファミリーもいるため、そのさい遠慮えんりょせずにる)。ただし経費けいひふくまれている行事ぎょうじ場合ばあいは、ファミリーがわ費用ひよう支払しはら義務ぎむしょうずるため、本人ほんにん必要ひつようはない。
  • 衣服いふく洗濯せんたくかんしては、事前じぜんたずねる。基本きほんてきには自分じぶんふく自分じぶん洗濯せんたくする。
  • 文化ぶんかちがいなどから、トラブルがきることもあるが、ホストファミリーから不当ふとう要求ようきゅうをされた場合ばあいにはかならことわること。日本人にっぽんじんことわりにくい傾向けいこうにあるが、そのような場合ばあいにはことわ必要ひつようがある。あまりに頻発ひんぱつするのであれば、エージェントへの相談そうだんや、しも考慮こうりょしたほうい。
  • 文化ぶんかコミュニケーションちがいによることもあるが、ホストファミリーからセクハラ性的せいてき虐待ぎゃくたいけたという事例じれいがある。勘違かんちがいをまないためにも、過剰かじょうスキンシップ不快ふかいかんじた場合ばあいは、拒否きょひすることが大切たいせつである。
    • たとえばホストファミリーから金銭きんせん貸借たいしゃくもとめられたときには絶対ぜったいさないこと。いくらホストファミリーだからとって、おかね義務ぎむまったくない。

外部がいぶリンク

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