内藤ないとう元もと珍ちん

凡例はんれい 内藤ないとう元もと珍ちん
時代じだい	安土あづち桃山ももやま時代じだい - 江戸えど時代じだい初期しょき
生誕せいたん	天正てんしょう10年ねん（1582年ねん）
死没しぼつ	元和がんわ元年がんねん10月19日にち（1615年ねん12月9日にち） 周防すおう国こく佐波さば郡ぐん富海とどみの龍谷寺たつこくじ
改名かいめい	内藤ないとう宮みや松丸まつまる（幼名ようみょう）→内藤ないとう元もと珍ちん
別名べつめい	通称つうしょう：孫まご兵衛ひょうえ尉じょう
戒名かいみょう	玉江たまえ院いん殿どの松月しょうげつ久安ひさやす居士こじ
墓所はかしょ	瑞みず松庵しょうあん（山口やまぐち県けん宇部うべ市し）
主君しゅくん	毛利もうり輝元てるもと→秀しゅう就
藩はん	長州ちょうしゅう藩はん
氏族しぞく	自称じしょう藤原ふじわら氏し秀しゅう郷きょう流りゅう・道みち長流ちょうりゅう内藤ないとう氏し
父母ちちはは	父ちち：内藤ないとう元もと盛もり 母はは：綾木あやぎ大方おおがた（内藤ないとう隆春たかはるの娘むすめ）
兄弟きょうだい	元もと珍ちん、粟屋あわや元もと豊ゆたか、女おんな（福原ふくはら元もと房ぼう室しつ）、 女おんな（小川おがわ玄げん広ひろ室しつ）
妻つま	志こころざし道元どうげん勝かちの娘むすめ（椙杜元もと縁えんの養女ようじょ）
子こ	志こころざし道どう元もと宣せん、志こころざし道どう元義もとよし、 女おんな（作間さくま政之まさゆき室しつ）、女おんな（神村かみむら就為室しつ）、 女おんな（佐々部ささべ就茂室しつ）

内藤ないとう 元もと珍ちん（ないとう もとよし）は、安土あづち桃山ももやま時代じだいから江戸えど時代じだいにかけての武将ぶしょう。毛利もうり氏しの家臣かしん。内藤ないとう元もと盛もりの長男ちょうなんで、母ははは内藤ないとう隆春たかはるの娘むすめ・綾木あやぎ大方おおがた。粟屋あわや元もと豊ゆたかの兄あに。子こに志こころざし道どう元もと宣せん、志こころざし道どう元義もとよし。通称つうしょうは孫まご兵衛ひょうえ尉じょう。

生涯しょうがい

毛利もうり氏しの家臣かしんである内藤ないとう元もと盛もり（佐野さの道みち可か）の長男ちょうなんとして生うまれたが、父ちち・元もと盛もりとは不仲ふなかであったと伝つたえられている。

父ちち・内藤ないとう元もと盛もり（佐野さの道みち可か）が大坂おおさかの陣じんにて独断どくだんで豊臣とよとみ方かたについて大坂おおさか城じょうに入城にゅうじょうしたが（主家しゅかの意向いこうを受うけたとも言いわれるが、諸説しょせつあり）、落城らくじょうして逃走とうそう中ちゅうに捕とらえられて切腹せっぷくさせられた佐野さの道みち可か事件じけんで、徳川とくがわ氏しにより京都きょうとに呼よび出だされた際さい、特とくに弁明べんめいできなかったが、大坂おおさか城じょうに入城にゅうじょうしなかったため許ゆるされて帰国きこくした。

しかし、帰国きこくして早々はやばや、吉川よしかわ広ひろ家かや福原ふくはら広ひろ俊しゅんらの進言しんげんを受うけた毛利もうり輝元てるもとに切腹せっぷくを命めいじられ、元和がんわ元年がんねん（1615年ねん）10月19日にちに富海とどみの龍谷寺たつこくじで自害じがいした。享年きょうねん34。なお、当時とうじ大目おおめ付づけであった柳生やぎゅう宗矩むねのりが、元もと珍ちんの切腹せっぷくを悼いたむ旨むねの書状しょじょうを元もと珍ちんの伯父おじ・宍戸ししど元もと続つづけや都と野の惣右衛門そうえもんらに送おくっている。戒名かいみょうは玉江たまえ院いん殿どの松月しょうげつ久安ひさやす居士こじで、山口やまぐち県けん宇部うべ市しの瑞みず松庵しょうあんに墓所はかしょがある。

この事件じけん後ご、元もと珍ちんの長男ちょうなん・元もと宣せんは母方ははかたの志こころざし道どう姓せいを称しょうし、隠忍いんにんの日々ひびを過すごすが、孫まごの隆昌りゅうしょうの代だいに内藤ないとう姓せいに復ふくし、毛利もうり氏しの家臣かしんとして明治維新めいじいしんまで存続そんぞくした。

内藤ないとう久太郎きゅうたろう

内藤ないとう元もと珍ちんは、同おなじく毛利もうり氏しの家臣かしんである「内藤ないとう久太郎きゅうたろう」という人物じんぶつと同どう一人物いちじんぶつである可能かのう性せいが指摘してきされている。

内藤ないとう久太郎きゅうたろうは、天正てんしょう17年ねん（1589年ねん）頃ごろの毛利もうり氏しの惣そう国こく検地けんちに基もとづいて作成さくせいされた「八はち箇国かこく時代じだい分限ぶげん帳ちょう」にも名前なまえが確認かくにんされ、慶長けいちょう5年ねん（1600年ねん）8月がつの安濃あのう津つ城じょうの戦たたかいにも参加さんかした。また、慶長けいちょう10年ねん（1605年ねん）に熊谷くまがい元もと直じきや天野あまの元信もとのぶらが誅殺ちゅうさつされた五郎太ごろた石せき事件じけんの後のちに書かかれた家中いえじゅう連署れんしょ起請文きしょうもんに「内藤ないとう久太郎きゅうたろう」と署名しょめいしている。

以上いじょうの内藤ないとう久太郎きゅうたろうの経歴けいれきが元もと珍ちんのものとすると、慶長けいちょう10年ねん時点じてんで24歳さいなのにいまだ官かん渡わたり授与じゅよが行おこなわれていないこととなる。これは長門ながと国こくの名門めいもんである内藤ないとう氏しの当主とうしゅに対たいする処遇しょぐうとしては不自然ふしぜんであるため、元もと珍ちんが正式せいしきに内藤ないとう氏しの家督かとくを継つぐのはこれ以後いごということになる。また、天正てんしょう17年ねん頃ごろに不行跡ふぎょうせきを理由りゆうとして毛利もうり氏しを追放ついほうされたとも言いわれる元もと盛もりが、この時点じてんでも毛利もうり氏し家か中ちゅうにいた証左しょうさとされる。

参考さんこう文献ぶんけん

• 光成みつなり準じゅん治ち『ミネルヴァ日本にっぽん評伝ひょうでん選せん 毛利もうり輝元てるもと ―西国さいこくの儀ぎ任まかせ置おかるの由よし候こう―』ミネルみねるヴァ書房ぁしょぼう、2016年ねん。 346-352頁ぺーじ
• 岡部おかべ忠夫ただお『萩はぎ藩はん諸家しょか系譜けいふ』マツノ書店しょてん、1999年ねん1月がつ。 
• 『萩はぎ藩閥はんばつ閲録』巻まき28「内藤ないとう孫まご左衛門さえもん」