出版しゅっぱん法ほう

出版しゅっぱん法ほう（1893年ねん）
	; 日本にっぽんの法令ほうれい
通称つうしょう・略称りゃくしょう	なし
法令ほうれい番号ばんごう	明治めいじ26年ねん4月がつ14日にち法律ほうりつ第だい15号ごう
種類しゅるい	行政ぎょうせい手続てつづき法ほう
効力こうりょく	廃止はいし
成立せいりつ	1893年ねん2月がつ24日にち
公布こうふ	1893年ねん4月がつ14日にち
主おもな内容ないよう	議論ぎろんや機密きみつの漏洩ろうえい、秩序ちつじょや風俗ふうぞくの壊乱かいらんを防ふせぐために出版しゅっぱんを許可きょか制せいとし、差さし止とめを含ふくめ公的こうてき権力けんりょくによる取とり締しまりを認みとめる
関連かんれん法令ほうれい	讒謗ざんぼう律りつ、出版しゅっぱん条例じょうれい、新聞紙しんぶんし条例じょうれい、新聞紙しんぶんし法ほう、言論げんろん、出版しゅっぱん、集会しゅうかい、結社けっしゃ等とう臨時りんじ取締とりしまり法ほう、不穏ふおん文書ぶんしょ臨時りんじ取締とりしまり法ほう、国家こっか総動員そうどういん法ほう、新聞しんぶん事業じぎょう令れい
条文じょうぶんリンク	法令ほうれい全書ぜんしょ官報かんぽう
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出版しゅっぱん法ほう（しゅっぱんほう）は、明治めいじ時代じだいに出版しゅっぱん物ぶつの取締とりしまりを目的もくてきとして制定せいていされた法律ほうりつ。検閲けんえつなどを政府せいふが行おこなえることを定さだめ、大日本帝国だいにっぽんていこく憲法けんぽう下したで政府せいふによる言論げんろん統制とうせいを推おし進すすめる根拠こんきょの一ひとつとなった。

概要がいよう[編集へんしゅう]

1893年ねん、出版しゅっぱん条例じょうれいを継承けいしょうするものとして制定せいてい。治安ちあん警察けいさつ法ほう・行政ぎょうせい執行しっこう法ほう・著作ちょさく権けん法ほうの立案りつあん・草案そうあん作成さくせいにあたった有松ありまつ英えい義よしの起草きそうによる。廃止はいしまでには全ぜん36条じょうとなっていた。

終戦しゅうせん後ご、ダグラス・マッカーサー率ひきいる連合れんごう国軍こくぐん最高さいこう司令しれい官かん総そう司令しれい部ぶ(GHQ)が、日本にっぽん政府せいふによる言論げんろん統制とうせいを禁きんじ、代かわってGHQが言論げんろん統制とうせいを行おこなうようになったこと(プレスコードを参照さんしょう)、日本国にっぽんこく憲法けんぽう第だい21条じょうにおいて表現ひょうげんの自由じゆうと検閲けんえつの禁止きんしが定さだめられたことに伴ともない、本法ほんぽうは有名ゆうめい無実むじつとなり、1949年ねんに出版しゅっぱん法ほう及および新聞紙しんぶんし法ほうを廃止はいしする法律ほうりつ（昭和しょうわ24年ねん5月がつ24日にち法律ほうりつ第だい95号ごう）により廃止はいしされた。

なお、稀まれに情報じょうほう公開こうかい制度せいどを取とり扱あつかう文脈ぶんみゃくで出版しゅっぱん法ほうが出でてくることがあるが、これは上記じょうきの出版しゅっぱん法ほうではなく1800年代ねんだいにスウェーデンで世界せかいで初はじめて制定せいていされた情報じょうほう公開こうかい制度せいど、出版しゅっぱんの自由じゆう法ほうについてである。

出版しゅっぱん法ほうが問とわれた事件じけん・出版しゅっぱん物ぶつ等とう[編集へんしゅう]

カール・マルクス、フリードリヒ・エンゲルス著しる幸徳こうとく秋水しゅうすい・堺さかい利彦としひこ訳わけ『共産党きょうさんとう宣言せんげん』発禁はっきん処分しょぶん（1904年ねん）
幸徳こうとく秋水しゅうすい『社会しゃかい民主党みんしゅとう建設けんせつ者しゃラサール』発禁はっきん処分しょぶん（1909年ねん）
堺さかい利彦としひこ『婦人ふじん問題もんだい』発禁はっきん処分しょぶん（1909年ねん）
片山かたやま潜せん『万国ばんこく社会党しゃかいとう』発禁はっきん処分しょぶん（1909年ねん）
堺さかい利彦としひこ、森近もりちか運平うんぺい『社会しゃかい主義しゅぎ綱要こうよう』発禁はっきん処分しょぶん（1910年ねん）
大川おおかわ周明しゅうめい『印度いんどに於おける国民こくみん的てき運動うんどうの現状げんじょう及其の由来ゆらい』発禁はっきん処分しょぶん（1916年ねん）
北原きたはら白秋はくしゅう作詞さくし、松井まつい須磨子すまこ歌うた『今度こんど生うまれたら』発禁はっきん処分しょぶん（1917年ねん）
北きた一輝いっき『日本にっぽん改造かいぞう法案ほうあん大綱たいこう』 - 元もととなった『国家こっか改造かいぞう案あん原理げんり大綱たいこう』は1919年ねん発禁はっきん処分しょぶん、検閲けんえつ・一部いちぶ削除さくじょされ行くだり数すうのみ示しめして公刊こうかんされた。（1923年ねん）
ボッカチオ著しる梅原うめはら北明ほくめい訳わけ『デカメロン下巻げかん』発禁はっきん処分しょぶん（1925年ねん）
羽仁はに五郎ごろう『幕末ばくまつに於おける政治せいじ的てき支配しはい形態けいたい』等とう、発禁はっきん処分しょぶん（1933年ねん）
滝川たきがわ事件じけん（1933年ねん）
瀧川たきがわ幸辰ゆきとし著ちょ『刑法けいほう講義こうぎ』『刑法けいほう読本とくほん』が発禁はっきん処分しょぶんとなった。
天皇てんのう機関きかん説せつ事件じけん（1935年ねん）
美濃部みのべ達吉たつきち著ちょ『憲法けんぽう撮要さつよう』『逐条ちくじょう憲法けんぽう精義せいぎ』『日本国にっぽんこく憲法けんぽうノ基本きほん主義しゅぎ』が発禁はっきん処分しょぶんとなった。
東郷とうごう青児せいじ『手袋てぶくろ』発禁はっきん処分しょぶん（1936年ねん）
河合かわい栄治郎えいじろう事件じけん（1938年ねん）
河合かわい栄治郎えいじろう著ちょ『ファッシズム批判ひはん』『時局じきょくと自由じゆう主義しゅぎ』『社会しゃかい政策せいさく原理げんり』『第だい二に学生がくせい生活せいかつ』が発禁はっきん処分しょぶんとなった。
石坂いしざか洋次郎ようじろう『若わかい人ひと』 - 右翼うよく団体だんたいがその一部いちぶをとらえ、不敬ふけいの文言もんごんがあるとして出版しゅっぱん法ほう違反いはんで告訴こくそ。心こころある官僚かんりょうのアドバイスで問題もんだい箇所かしょを書かき改あらため不ふ起訴きそとなった。（1938年ねん）
最上もがみ洋ひろし作詞さくし、渡辺わたなべはま子こ歌うた『忘わすれちやいやヨ』発禁はっきん処分しょぶん（1938年ねん） - 渡辺わたなべはま子こ#「ネエ小唄こうた」騒動そうどう参照さんしょう
津田つだ事件じけん（1940年ねん）
津田つだ左右吉そうきち著ちょ『古事記こじき及および日本書紀にほんしょきの研究けんきゅう』『神代かみよ史しの研究けんきゅう』『日本にっぽん上代じょうだい史し研究けんきゅう』『上代うえだい日本にっぽんの社会しゃかい及思想しそう』が発禁はっきん処分しょぶんとなり、津田つだとともに岩波いわなみ茂雄しげおも取とり調しらべを受うけた。

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

出版しゅっぱん法ほう（明治めいじ26年ねん4月がつ14日にち法律ほうりつ第だい15号ごう）（法令ほうれい全書ぜんしょ）
出版しゅっぱん法ほう（明治めいじ26年ねん4月がつ14日にち法律ほうりつ第だい15号ごう）（官報かんぽう）
出版しゅっぱん法ほう中ちゅう改正かいせい（昭和しょうわ9年ねん5月がつ2日にち法律ほうりつ第だい47号ごう）（官報かんぽう）
出版しゅっぱん法ほう及および新聞紙しんぶんし法ほうを廃止はいしする法律ほうりつ（昭和しょうわ24年ねん5月がつ24日にち法律ほうりつ第だい95号ごう）（官報かんぽう）

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概要がいよう[編集へんしゅう]

出版しゅっぱん法ほうが問とわれた事件じけん・出版しゅっぱん物ぶつ等とう[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]