出生しゅっしょう主義しゅぎ

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出生しゅっしょう主義しゅぎ採用さいようしているくに
  無条件むじょうけん採用さいよう
  条件じょうけんきで採用さいよう
  廃止はいししたくに

出生しゅっしょう主義しゅぎ(しゅっしょうちしゅぎ、ラテン語らてんご: Jus soli)または生地きじ主義しゅぎ(せいちしゅぎ)とは、出生しゅっしょうによる国籍こくせきさだかた生来せいらいてき国籍こくせき取得しゅとく)について、おや国籍こくせきわず出生しゅっしょうした場所ばしょ自国じこくないであれば国籍こくせき付与ふよするという決定けってい方法ほうほう[1][2]

これに対立たいりつする概念がいねんとして、国籍こくせきおやとの血縁けつえんさだめる血統けっとう主義しゅぎ(けっとうしゅぎ、ラテン語らてんご: Jus sanguinis)がある[1]。ただし、いずれのくに一方いっぽう方式ほうしき貫徹かんてつしているわけではなく、原則げんそくをどちらかにしたうえで、 補充ほじゅうてき他方たほう決定けってい方法ほうほうれている[2]

たとえば、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでは憲法けんぽう修正しゅうせいだい14じょう出生しゅっしょう主義しゅぎ採用さいようしているが、国籍こくせきほう補充ほじゅうてき血統けっとう主義しゅぎ採用さいようしており一定いってい重要じゅうよう役割やくわりたしている[1]

概要がいよう[編集へんしゅう]

血統けっとう主義しゅぎ出生しゅっしょう主義しゅぎ生地きじ主義しゅぎ)の対比たいひについては、近代きんだい国民こくみん国家こっか国民こくみんぞうむすけてろんじられたこともあり、ノワリエルやニボワイエによる徴兵ちょうへいのための人員じんいん確保かくほという人口じんこうてき軍事ぐんじてき理解りかい、ブルーベイカーによるイデオロギーてき理解りかい、ヴェイユの社会しゃかいがくてき理解りかいのような差異さいがみられる[3]

国際こくさい私法しほう立場たちばでは、国籍こくせき法的ほうてき地位ちいとみるか、法的ほうてき身分みぶんとみるか、あるいは折衷せっちゅうてきなものかという観点かんてんから、血統けっとう主義しゅぎ出生しゅっしょう主義しゅぎ生地きじ主義しゅぎ)の説明せつめいおこなわれる[3]

生物せいぶつ地理ちりがくものジャレド・ダイアモンドは1850ねん以降いこう出生しゅっしょう主義しゅぎ廃止はいしになっていたとすると、アメリカじんの60%、アルゼンチンじんの80%、イギリスじんとフランスじんの25%が現在げんざい国籍こくせきうしなうことになっていただろうと推計すいけいしている[4]

出生しゅっしょう主義しゅぎ採用さいようじょうきょう[編集へんしゅう]

出生しゅっしょう主義しゅぎ採用さいようしているくにあお

出生しゅっしょう主義しゅぎ世界せかい各国かっこくのうち20%以下いかくに採用さいようされている。先進せんしん主要しゅよう7かこくなかでは、カナダアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく無条件むじょうけん出生しゅっしょう主義しゅぎを、すなわちおや国籍こくせきおよび滞在たいざい資格しかく合法ごうほう非合法ひごうほう永住えいじゅう一時いちじ滞在たいざい)にかかわらず、そのくにまれたには自動的じどうてき国籍こくせきあたえる方式ほうしき採用さいようしている[5]

出生しゅっしょう主義しゅぎ採用さいようしているくにれい[6]

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく[編集へんしゅう]

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでは南北戦争なんぼくせんそう結果けっかけて憲法けんぽう修正しゅうせいだい14じょうで「アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくまれ、あるいは帰化きかしたもの、およびその司法しほう管轄かんかつけんぞくするものはすべてアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく市民しみんであり、その居住きょじゅうするしゅう市民しみんである。」とさだめている[1]。ただし、例外れいがいがあり、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく滞在たいざいする外交がいこうかんどもについては適用てきよう除外じょがいされる[1]。また、国籍こくせきほうでは、血統けっとう主義しゅぎ第一義だいいちぎてき主要しゅよう手段しゅだんではないが、補充ほじゅうてき重要じゅうよう役割やくわりたしている[1]

2018ねん10がつにはアメリカのドナルド・トランプ大統領だいとうりょう出生しゅっしょう主義しゅぎ廃止はいしする意向いこう表明ひょうめいしたが、それには同国どうこく憲法けんぽう修正しゅうせいだい14じょう改正かいせい必要ひつようであり、議会ぎかい内訳うちわけかんがえればすぐ実現じつげんする可能かのうせいひくいともられているが、トランプ自身じしん大統領だいとうりょうれいをもって廃止はいし可能かのう主張しゅちょうしている[7]

日本にっぽん[編集へんしゅう]

日本にっぽんでは、原則げんそくとして血統けっとう主義しゅぎ採用さいようしているが、国籍こくせきほう2じょう1こう3ごうにおいて、「日本にっぽんまれた場合ばあいにおいて、父母ちちははがともにれないとき、また国籍こくせきゆうしないとき」は、その日本にっぽん国民こくみんとすることを規定きていしている[8][9]。これは、純粋じゅんすい血統けっとう主義しゅぎつらぬくと国籍こくせきしょうずる場合ばあいがあるため、それを防止ぼうしするために血統けっとう主義しゅぎ補足ほそくとして出生しゅっしょう主義しゅぎ採用さいようしているものである[8][9]

出生しゅっしょう主義しゅぎ廃止はいしこく[編集へんしゅう]

  • かつて出生しゅっしょう主義しゅぎをとっていたくにで、どちらかのおや国籍こくせき必要ひつよう制度せいどあらためたくにもある。インドバングラデシュからの不法ふほう移民いみん増加ぞうかけて2004ねん12月に変更へんこうした[10]

注釈ちゅうしゃく出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d e f モトムラ・ヒロシ「アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにおける移民いみん国籍こくせき歴史れきしほう,そして家族かぞくについて—われわれは労働ろうどうしゃもとめたが,家族かぞくがやってきた—」『香川かがわ法学ほうがくだい32かんだい2ごう香川かがわ大学だいがくほう学会がっかい、2012ねん9がつ20日はつか、215-222ぺーじ 
  2. ^ a b 岡村おかむら 美保子みほこ. “たんむくい じゅう国籍こくせき くに法制ほうせい各国かっこく動向どうこう”. 国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん(レファレンス 2003.11). 2023ねん12がつ20日はつか閲覧えつらん
  3. ^ a b 館田たてだ 晶子あきこ血統けっとう主義しゅぎ意味いみ試論しろん : -国籍こくせきほう違憲いけん判決はんけつ素材そざいにして-」『跡見学園女子大学あとみがくえんじょしだいがくマネジメント学部がくぶ紀要きようだい9かん香川かがわ大学だいがくほう学会がっかい、2010ねん3がつ、51-64ぺーじ 
  4. ^ w:fr:Droit du sol
  5. ^ Feere, Jon (2010). "Birthright Citizenship in the United States: A Global Comparison". Center for Immigration Studies.
  6. ^ Nations Granting Birthright Citizenship”. NumbersUSA. 2009ねん9がつ6にち閲覧えつらん
  7. ^ “トランプ米国べいこくせきの「出生しゅっしょう主義しゅぎ廃止はいし表明ひょうめい. AFPBB News. フランス通信つうしんしゃ. (2018ねん10がつ31にち). https://www.afpbb.com/articles/-/3195288 2018ねん10がつ31にち閲覧えつらん 
  8. ^ a b 江川えがわ, 山田やまだ & 早田そうだ 1997, p. 70.
  9. ^ a b だな 2021, p. 299.
  10. ^ Sadiq, Kamal (2008). Paper Citizens: How Illegal Immigrants Acquire Citizenship in Developing Countries. Oxford University Press. p. 10. ISBN 9780195371222 

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]