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分布ぶんぷ定数ていすう回路かいろ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

分布ぶんぷ定数ていすう回路かいろ(ぶんぷじょうすうかいろ、ぶんぷていすうかいろ)は電気でんき回路かいろ一種いっしゅで、回路かいろ素子そし有限ゆうげん個数こすう集中しゅうちゅうすることなく無限むげん分布ぶんぷしている回路かいろ、そのようなモデルで表現ひょうげんされる回路かいろである。

ケーブルのように一様いちよう形状けいじょう電気でんき特性とくせい箇所かしょにケーブルのながさよりも十分じゅうぶん波長はちょうみじかくなるような高周波こうしゅうは交流こうりゅう信号しんごうくわえられ、ケーブルの全体ぜんたいにわたって電圧でんあつ電流でんりゅう分布ぶんぷ均一きんいつであるとみなせないような状況じょうきょうしたでのいをあつかう。たい概念がいねん集中しゅうちゅう定数ていすう回路かいろ(しゅうちゅうじょうすうかいろ)である。

特性とくせいあらわすためにSパラメータもちいることがおおい。

概要がいよう

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典型てんけいてきれいとして平行へいこうせん線路せんろ同軸どうじくケーブルをかんがえてみる。 なが方向ほうこう導通どうつう前提ぜんていとしたちいさい抵抗ていこう成分せいぶん誘導ゆうどう成分せいぶんが、なが方向ほうこうのあるてんでは導体どうたいあいだ容量ようりょう成分せいぶん絶縁ぜつえん前提ぜんていとしたおおきい抵抗ていこう成分せいぶん存在そんざいする。

直流ちょくりゅうまたは十分じゅうぶんひく周波数しゅうはすうでは、線路せんろ構成こうせいする導体どうたい全体ぜんたい電圧でんあつ電流でんりゅう分布ぶんぷ一様いちようあつかうことができる。

周波数しゅうはすうたか領域りょういきでは、誘導ゆうどう成分せいぶん容量ようりょう成分せいぶん影響えいきょう顕在けんざいし、印加いんかした信号しんごう線路せんろじょうでの進行しんこうをモデルした電信でんしん方程式ほうていしきあつか必要ひつようがある。

分布ぶんぷ定数ていすう線路せんろ周波数しゅうはすうたか領域りょういきでの電気でんき回路かいろあつかいである。 ここでいう周波数しゅうはすうたかいとは、信号しんごう周波数しゅうはすう回路かいろ寸法すんぽうてきおおきさから相対そうたいてきまるもので、一般いっぱんにはサイズがλらむだ/4程度ていどになる程度ていどから分布ぶんぷ定数ていすう回路かいろてきあつかいの必要ひつようがある。 すなわち、周波数しゅうはすう50Hzへるつ/60Hzへるつ商用しょうよう電源でんげん送電そうでんあみのように、電気でんき回路かいろ一般いっぱんとしてはてい周波しゅうはとしてあつかわれる周波数しゅうはすう電圧でんあつ電流でんりゅうあつか場合ばあいであっても、その線路せんろちょうが㎞単位たんいながさで回路かいろ全体ぜんたいわたって電圧でんあつ電流でんりゅう一定いっていなせない場合ばあいには、分布ぶんぷ定数ていすう回路かいろとしてあつか必要ひつようがある。

てい周波しゅうは回路かいろでは周波数しゅうはすうフィルタをつくるのに個別こべつ素子そしとしての誘導ゆうどう素子そしインダクタンス(=コイル)・容量ようりょう素子そしキャパシタ(=コンデンサ)・抵抗ていこう素子そし抵抗ていこうもちいるが、ちょう高周波こうしゅうは回路かいろでは配線はいせん自体じたい誘導ゆうどうせい容量ようりょうせい抵抗ていこうせい顕在けんざいするため、配線はいせんだけでフィルタ(LPF・BPF・HPF・BEF)を構成こうせいすることができる。

設計せっけいにははじめに、配線はいせん特性とくせい考慮こうりょして、信号しんごう伝播でんぱ位相いそうおくれがしょうじることを念頭ねんとう伝播でんぱ速度そくど反射はんしゃ係数けいすう減衰げんすいりつ周波数しゅうはすう余裕よゆうなどを設定せっていする必要ひつようがある。 配線はいせんあいだ容量ようりょう信号しんごう透過とうかりつ考慮こうりょしなければならないため非常ひじょう高度こうど設計せっけいほう必要ひつようとする。

回路かいろ方程式ほうていしきしょ特性とくせい

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伝送線路の基本の構成要素の略図
伝送でんそう線路せんろ基本きほん構成こうせい要素ようそ略図りゃくず

伝送でんそう線路せんろ回路かいろモデルをしめす。

R:単位たんいながさあたりの抵抗ていこう成分せいぶん

L:単位たんいながさあたりのインダクタンス成分せいぶん

G:単位たんいながさあたりの導体どうたいあいだのコンダクタンス成分せいぶん

C:単位たんいながさあたりの導体どうたいあいだ容量ようりょう成分せいぶん

である。

分布ぶんぷ定数ていすう線路せんろ基本きほん方程式ほうていしき

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しめされる部分ぶぶん電圧でんあつ電流でんりゅう分布ぶんぷについての関係かんけいしめ以下いかの2しき分布ぶんぷ定数ていすう回路かいろにおける基本きほん方程式ほうていしきである。

さらにxへん微分びぶんして

る。これは「電信でんしん方程式ほうていしきTelegrapher's equations, Telegraphers equations)」とばれる。

さらにうえしき なる電源でんげん印加いんかしたときへん微分びぶん方程式ほうていしき定常ていじょうかい特殊とくしゅかい)は伝播でんぱ定数ていすう特性とくせいインピーダンス導入どうにゅうして

となる。境界きょうかい条件じょうけんによってまる定数ていすうである。

伝播でんぱ定数ていすう特性とくせいインピーダンスは、

である。さらに、伝播でんぱ定数ていすうである減衰げんすい定数ていすうおよび、きょである位相いそう定数ていすうは、以下いかのようになる。

そして、特性とくせいインピーダンスきょもとめると以下いかのようになる。

損失そんしつ線路せんろ

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伝送でんそう線路せんろ損失そんしつがない場合ばあいであり、

となる。

ひずみ線路せんろ

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伝送でんそう線路せんろにおいて以下いかひずみ条件じょうけん

つまり、

たすとき、


となる。

反射はんしゃ現象げんしょう

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分布ぶんぷ定数ていすう回路かいろにおいて、伝送でんそう線路せんろ特性とくせいインピーダンス伝送でんそう線路せんろ終端しゅうたんのインピーダンスがことなるなど、「入射にゅうしゃ」にたいする「反射はんしゃ」が存在そんざいするとき、位置いちxにおける反射はんしゃ係数けいすうは、電圧でんあつ場合ばあい入射にゅうしゃ反射はんしゃとすると、

となる。

とくに、伝送でんそう線路せんろ終端しゅうたん)における電圧でんあつ反射はんしゃ係数けいすう

である。

このとき、伝送でんそう終端しゅうたん開放かいほう(open)のとき、すなわち場合ばあいである。(完全かんぜん反射はんしゃ

また、伝送でんそう終端しゅうたん短絡たんらく(short)のとき、すなわち場合ばあいである。(完全かんぜん反射はんしゃ

さらに、伝送でんそう終端しゅうたん終端しゅうたんのとき、すなわち場合ばあいである。(インピーダンス整合せいごう反射はんしゃなみなし)

透過とうか現象げんしょう

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伝送でんそう線路せんろのインピーダンスが変化へんかするてんなどにおいて、反射はんしゃ透過とうか現象げんしょうきる。入射にゅうしゃしてきたなみことなるインピーダンスの伝送でんそう線路せんろ透過とうかするなみを「透過とうか」という。

電圧でんあつ入射にゅうしゃ反射はんしゃ透過とうか電流でんりゅう入射にゅうしゃ反射はんしゃ透過とうかとするとき、以下いか関係かんけいつ。


また、透過とうか入射にゅうしゃを、それぞれ電圧でんあつ透過とうか係数けいすう電流でんりゅう透過とうか係数けいすうという。

電圧でんあつ透過とうか係数けいすう以下いかである。

電流でんりゅう透過とうか係数けいすう以下いかである。

ていざいなみ

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伝送でんそう線路せんろ電源でんげんをおいて奨励しょうれい発生はっせいさせ、伝送でんそうせん路上ろじょう入射にゅうしゃ反射はんしゃ両方りょうほうなみ存在そんざいするとき、2つのなみたがいに干渉かんしょうしあって合成ごうせいき、伝送でんそうせん路上ろじょうには時間じかん関係かんけい位置いち固有こゆうなみができ、これを「ていざいなみ」という。

また、電圧でんあつ振幅しんぷく最大さいだい最小さいしょうを「ていざいなみ」(または「電圧でんあつていざいなみ」)という。ていざいなみ以下いか定義ていぎされる。

lてんにおける反射はんしゃ係数けいすう

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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