卯辰山うたつやま山麓さんろく寺院じいん群ぐん

卯辰山うたつやま山麓さんろく寺院じいん群ぐん（うだつやまさんろくじいんぐん）は、石川いしかわ県けん金沢かなざわ市し東山ひがしやまにある寺院じいん群ぐん。平成へいせい23年ねん（2011年ねん）重要じゅうよう伝統でんとう的てき建造けんぞう物ぶつ群ぐん保存ほぞん地区ちくとして選定せんていされた。金沢かなざわ城じょうの南東なんとうにある小立野こだちの寺院じいん群ぐん、南西なんせいにある寺町てらまち寺院じいん群ぐんとならぶ金沢かなざわ三さん寺院じいん群ぐんの一ひとつ。

概要がいよう[編集へんしゅう]

金沢かなざわにある3か所しょの寺町てらまち（卯辰うたつ山麓さんろく、小立野こだちの、寺町てらまち）は、いずれも台地だいち丘陵きゅうりょう上じょうに位置いちし、加賀かが藩はん3代だい藩主はんしゅ前田まえだ利常としつねが、元和げんなから寛永かんえい年間ねんかん（1615 - 1644年ねん）にかけて整備せいびしたものである。当時とうじ強大きょうだいな勢力せいりょくを有ゆうしていた一向いっこう宗そう（浄土真宗じょうどしんしゅう）への監視かんしのため、一向いっこう宗そう以外いがいの寺院じいんを特定とくていの地域ちいきに集中しゅうちゅうさせ、寺町てらまちを形成けいせいしたものであった。^[1]

浅野川あさのがわの北きた、北国きたぐに街道かいどうの東ひがしに位置いちする卯辰山うたつやま山麓さんろくの寺町てらまちは享とおる保ほ21年ねん（1736年ねん）と宝たから暦れき9年ねん（1759年ねん）に火災かさいに遭あい、現存げんそんする建物たてものはその後ごの再建さいけんであるが、延のべ宝たから年間ねんかん（1673 - 1681年ねん）の「金沢かなざわ城下じょうか図ず」に描えがかれる町まちの構成こうせいは現代げんだいまで伝つたえられている。文政ぶんせい3年ねん（1820年ねん）、卯辰山うたつやま南西なんせいの地区ちくの町まち割わりが変更へんこうされ、当該とうがい地区ちくはひがし茶屋ちゃや街がいとして発達はったつした。^[2]

2011年ねん9月がつ29日にち付づけで金沢かなざわ市し鶯うぐいす町まち、子来こらい町まち（こらいまち）、東山ひがしやま一いち丁目ちょうめ、東山ひがしやま二に丁目ちょうめおよび山やまの上うえ町まちの各かく一部いちぶ、22.1ヘクタールが「金沢かなざわ市し卯辰うたつ山麓さんろく伝統でんとう的てき建造けんぞう物ぶつ群ぐん保存ほぞん地区ちく」の名称めいしょうで、国くにの重要じゅうよう伝統でんとう的てき建造けんぞう物ぶつ群ぐん保存ほぞん地区ちくとして選定せんていされた^[3]。地区ちく内ないには37の寺院じいんと2つの神社じんじゃが存在そんざいする。なお、当とう地区ちくのうち、上述じょうじゅつのひがし茶屋ちゃや街がいは「金沢かなざわ市し東山ひがしやまひがし伝統でんとう的てき建造けんぞう物ぶつ群ぐん保存ほぞん地区ちく」の名称めいしょうで別個べっこに重要じゅうよう伝統でんとう的てき建造けんぞう物ぶつ群ぐん保存ほぞん地区ちくとして選定せんていされている。^[2]

当とう地区ちく内ないの寺社じしゃには芭蕉ばしょうの句碑くひのほか金沢かなざわの歴史れきしや文化ぶんかに足跡あしあとを残のこす人物じんぶつの墓はかも多おおく残のこる。卯辰山うたつやまは金沢かなざわ城じょうの北東ほくとう（鬼門きもん）の方角ほうがくにあるため、藩はんがこの付近ふきんに寺社じしゃを集あつめ鬼門除きもんよけを行おこなったという。慶長けいちょう4年ねん（1599年ねん）前田まえだ利家としいえを祀まつる宇多うた須神社しゃ、慶長けいちょう6年ねん（1601年ねん）には豊臣とよとみ秀吉ひでよしを祀まつる豊国とよくに神社じんじゃ（卯辰うたつ山王さんのう社しゃ）を建立こんりゅう、歴代れきだい藩主はんしゅが崇敬すうけいした。

主おもな寺社じしゃ[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

^ （石浦いしうら、2011）、pp.34 - 35
^ ^a ^b （文化庁ぶんかちょう、2011）、pp.38 - 39
^ 平成へいせい23年ねん9月がつ29日にち文部もんぶ科学かがく省しょう告示こくじ第だい162号ごう

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

石浦いしうら裕治ゆうじ「金沢かなざわ市し卯辰うたつ山麓さんろくの町並まちなみ保存ほぞんとまちづくり」『月刊げっかん文化財ぶんかざい』579、2011、pp.34 - 35
文化庁ぶんかちょう文化財ぶんかざい部ぶ「新しん選定せんていの文化財ぶんかざい」『月刊げっかん文化財ぶんかざい』579、2011、pp.38 - 42