和協わきょう信条しんじょう

和協わきょう信条しんじょう（わきょうしんじょう、ドイツ語ご:Konkordienformel; ラテン語らてんご:Formula concordiae）は、宗教しゅうきょう改革かいかく当時とうじのルター派は教会きょうかいの主要しゅよう信条しんじょうの内うちで、最後さいごに出だされたものである。一致いっち信条しんじょうとも言いう。

1577年ねんに作成さくせいされて、アウクスブルク信仰しんこう告白こくはく50周年しゅうねん目めに当あたる1580年ねんに刊行かんこうされた、ルター派は教理きょうり集大成しゅうたいせい『和協わきょう信条しんじょう書しょ』（一致いっち信条しんじょう書しょ）の中なかに他たの文書ぶんしょと共ともに収おさめられた。その時ときに和協わきょう信条しんじょうの題名だいめいが付つけられたので今日きょうもそのように呼よばれている。トルガウ信条しんじょうと呼よばれるものの要約ようやくと、ベルゲン信条しんじょう書しょとよばれる文書ぶんしょとをあわせたもので、前者ぜんしゃが梗概こうがいという見出みだしで、後者こうしゃは根本こんぽん宣言せんげんという題だいになっている。

歴史れきし

マルティン・ルターの死後しご、福音ふくいん主義しゅぎ陣営じんえいはフィリップ派はと純正じゅんせいルター派はと呼よばれる2つの陣営じんえいに分わかれて神学しんがく論争ろんそうに明あけ暮くれた。

1560年ねん頃ごろから、福音ふくいん主義しゅぎ教会きょうかいの教義きょうぎ的てきまた実際じっさい的てきな一致いっちに向むけての気運きうんが高たかまった。アンドレーエ、ケムニツ、ゼルネッカー、ヒュトラーウスといった若わかい世代せだいの神学しんがく者しゃたちが第だい3のグループになり、積極せっきょく的てきに論争ろんそう解決かいけつのために尽力じんりょくした。

1576年ねん5月がつにザクセン選せん帝みかど侯こうアウグストの指示しじにより、トルガウに集あつめられたアンドレーエらルター派はの神学しんがく者しゃ達たちが、これまでの約やく30年間ねんかんのルター派は内部ないぶの神学しんがく論争ろんそうに決着けっちゃくとつけるためにトルガウ信条しんじょう書しょを作成さくせいした。信条しんじょう書しょはルター派は諸しょ地方ちほうに回覧かいらんされて、反応はんのうを見みて、さらに討議とうぎをするために、1577年ねんにマクデブルク郊外こうがいのベルゲン修道院しゅうどういんで会合かいごうを持もった。その結果けっか、トルガウ信条しんじょう書しょの改訂かいてい版ばんのベルゲン信条しんじょう書しょが出来上できあがり、同時どうじにアンドレーエによってトルガウ信条しんじょう書しょの要約ようやくが準備じゅんびされた。

それから3年ねん後ごに、トルガウ信条しんじょうの要約ようやくとベルケン信条しんじょうを合あわせて、ルター派はの教会きょうかいの一致いっちをもたらすものとして、和協わきょう信条しんじょうという名前なまえで公おおやけにされた。8000人にんのルター派は諸侯しょこう、都市とし代表だいひょう者しゃ、神学しんがく者しゃが署名しょめいした。

この信条しんじょうによって、ルター宗教しゅうきょう改革かいかくの後継こうけい者しゃは分裂ぶんれつの危機ききから救すくわれた。しかし、ルターの宗教しゅうきょう改革かいかくのダイナミックな精神せいしんが、特定とくていの教義きょうぎを真理しんりとみなすことが信仰しんこうであるということにすりかえられた。これが、死しせる正統せいとう主義しゅぎとも言いわれた、ルター派は正統せいとう主義しゅぎを生うみ出だしていく原因げんいんになった。

内容ないよう

• それまでの神学しんがく論争ろんそうの問題もんだい点てんを明示めいじしながら、原罪げんざい、自由じゆう意志いし、義よし認みとめ、善行ぜんこう、律りつ法ほうと福音ふくいん、聖餐せいさん、キリストの位い格かく、予知よちと選えらび、異端いたんなどの各項かくこうについて正統せいとう的てきルター派はの立場たちばから解とき明あかしている。
• カトリック、カルヴァン派は、フィリップ派はなどの主張しゅちょうを批判ひはんしている。

参考さんこう文献ぶんけん

• 角川かどかわ周次郎しゅうじろう「和協わきょう信条しんじょう」『新しんキリスト教きりすときょう辞典じてん』いのちのことば社しゃ、1991年ねん

外部がいぶリンク

• 『和協わきょう信条しんじょう』 - コトバンク