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よん連装れんそう砲塔ほうとう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
リシュリューきゅうの38cm(45口径こうけい)4連装れんそうほう写真しゃしん

よん連装れんそう砲塔ほうとう(よんれんそうほうとう)は砲塔ほうとうへの大砲たいほう装備そうび方法ほうほうひとつで、連装れんそう方式ほうしきのうち、1砲塔ほうとうに4もんほう装備そうびした形式けいしきす。一般いっぱんにはどう口径こうけいほう4もん水平すいへいならべたものがおおい。

艦船かんせん

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戦艦せんかんではフランス海軍かいぐん超弩級ちょうどきゅう戦艦せんかんノルマンディーきゅう」(未成みせい)、「ダンケルクきゅう」「リシュリューきゅう」、イギリス海軍かいぐんの「キングジョージ5せいきゅう」のみが採用さいようしている。アメリカ海軍かいぐんノースカロライナきゅうでも14インチ4連装れんそう砲塔ほうとう搭載とうさい予定よていであったが、これは当初とうしょから16インチ3連装れんそうほうへのかわそう考慮こうりょしており、結果けっかとして建造けんぞう途中とちゅうかわそうしたために4連装れんそう砲塔ほうとう搭載とうさいしていない。

4連装れんそう砲塔ほうとう利点りてんは、同数どうすうほうそなえたほか砲塔ほうとうよりかるいことである。たとえば4連装れんそう砲塔ほうとう2(8もん)の重量じゅうりょうどう口径こうけい連装れんそう砲塔ほうとう3ぶん(6もん)と同等どうとうとされ、装備そうびもんすうを8もんとすると、4連装れんそうにしたほうが連装れんそう砲塔ほうとう1ぶんかるいことになる。また、バーベットすくなくなるぶんヴァイタル・パート短縮たんしゅくでき、かんたいそのものの重量じゅうりょう軽減けいげんにもつながる。

れいとして、リシュリュー(1935ねん起工きこう)とビスマルクどう1936ねん)は、ともに38cmほう8もんかん公称こうしょう基準きじゅん排水はいすいりょう35,000トン、速度そくどどう程度ていどだが、リシュリューが排水はいすいりょうわくにほぼおさまっているのにたいし、ビスマルクは5,000トンあまりも超過ちょうかしながら装甲そうこうあつはむしろ水平すいへい防御ぼうぎょ砲塔ほうとうまわりでおとっており、連装れんそう砲塔ほうとうたいするよん連装れんそう砲塔ほうとう縮減しゅくげん効果こうかあらわれているとえる。

日本にっぽん海軍かいぐんでもよん連装れんそう砲塔ほうとう評価ひょうか研究けんきゅうおこなわれており、平賀ひらがゆずる大正たいしょう8ねん(1919ねん)の時点じてんで、船体せんたいちょう重量じゅうりょうめん有利ゆうり多連装たれんそう評価ひょうかしながら、3連装れんそう砲塔ほうとう奇数きすうもん非対称ひたいしょう構成こうせいのためあげだんシステム配置はいち独自どくじ工夫くふう必要ひつようになることや、交互こうご射撃しゃげきができない問題もんだい指摘してきし、4連装れんそう砲塔ほうとうなら既存きそん連装れんそうほうからの拡張かくちょう実現じつげんしうるとして推進すいしんする見解けんかいしめしている。[1]

しかし、砲塔ほうとうすう連装れんそう、3連装れんそうくらべてすくなくなるため砲塔ほうとう1破壊はかいされたとき戦力せんりょく減少げんしょうはげしい、砲塔ほうとうささえるターレットみちおおきくなるので工作こうさく困難こんなんになる、速力そくりょく低下ていか一因いちいんとなるかんたい全幅ぜんぷく増大ぞうだいにつながるひとしさまざまな弊害へいがいる。砲塔ほうとうはばおおきいため、ノースカロライナきゅうれいのように一段いちだんだい口径こうけいの3連装れんそう砲塔ほうとう競争きょうそう相手あいてにもなりうる。多分たぶん主砲しゅほう口径こうけい排水はいすいりょう制約せいやくつよ条約じょうやくがた戦艦せんかんりの発想はっそうであり、での採用さいようはわずかである。船体せんたい細長ほそなが巡洋艦じゅんようかん駆逐くちくかんにおいても、かんがた短縮たんしゅくのメリットがうすはばおおきいデメリットが目立めだち、採用さいよう事例じれいい。

また構造こうぞうじょう砲座ほうざ重量じゅうりょうおおきく、あげだん機構きこう複雑ふくざつするため、工作こうさく設計せっけい困難こんなん技術ぎじゅつてき問題もんだいおおいとわれる。しかしながら、フランス未成みせいかんノルマンディーの主砲しゅほう設計せっけい流用りゅうようしたダンケルクきゅう戦艦せんかんの4連装れんそう砲塔ほうとうでは、最初さいしょ半年はんとしあいだこそ故障こしょう対処たいしょわれたが、たんなる初期しょき故障こしょう範囲はんいおさまり、以後いご除籍じょせきまでおおきなトラブルは発生はっせいしなかったとう。つづく2ばんかんストラスブールでもこまかい故障こしょうたものの、1ヶ月かげつ解決かいけつした。これは技術ぎじゅつてき冒険ぼうけんけるためと砲塔ほうとう内部ないぶのレイアウトの問題もんだいおおいに関係かんけいしている。フランスしき4連装れんそう砲塔ほうとう中央ちゅうおう装甲そうこう隔壁かくへきほうしつ左右さゆう分断ぶんだんしており、内実ないじつは2連装れんそうほう並列へいれつ配置はいちされた2×2連装れんそう砲塔ほうとうとなっている。この方式ほうしきは、砲塔ほうとう損傷そんしょうしても被害ひがい装甲そうこう隔壁かくへきこうがわやバーベットまでおよばない程度ていどなら半分はんぶんの2もん戦闘せんとうりょくうしなわない利点りてんがあった。ダンケルクきゅう2せき実戦じっせん経験けいけんメルセルケビール海戦かいせんのみであるが、平時へいじ砲術ほうじゅつ演習えんしゅうでも不具合ふぐあいなくおこなえたこと見逃みのがしてはならない。さらに、後続こうぞくの「リシュリューきゅう」2せき主砲しゅほうとう基本きほんてきどう構造こうぞうでありこれら4せき戦闘せんとう実績じっせき考慮こうりょすれば運用うんよう経験けいけん充分じゅうぶんである。実戦じっせんじょうきょうじょうでも、「リシュリュー」では砲弾ほうだん製造せいぞう不良ふりょうから戦闘せんとう爆発ばくはつ事故じここし4もんちゅう2もん使用しよう不能ふのうとなったが、前述ぜんじゅつ装甲そうこう隔壁かくへきにより反対はんたいがわの2もん射撃しゃげき続行ぞっこう可能かのうであった。また、かくじょうの40.6cmほう戦艦せんかんたたかった「ジャン・バール」では船体せんたい自体じたい未完成みかんせいであったため、砲塔ほうとう駆動くどうさせるための電路でんろ切断せつだんされ砲戦ほうせん敗北はいぼくしたが、後日ごじつ電路でんろ修復しゅうふくし、「ジャン・バール」が戦闘せんとう不能ふのう勘違かんちがいしたべいじゅう巡洋艦じゅんようかんたい砲撃ほうげきおこな撤退てったいさせたことからもフランスせい4連装れんそう砲塔ほうとう自体じたい信頼しんらいせいたかいとえる。

キング・ジョージ5せいきゅう「アンソン」の写真しゃしん。イギリスはつよん連装れんそう砲塔ほうとうであったために故障こしょうえなかった。

対照たいしょうてきなのはイギリスしき4連装れんそう砲塔ほうとうで、こちらは純粋じゅんすいな4連装れんそうほう形式けいしきとなっており、狭義きょうぎてき意味合いみあいではこれをただしい4連装れんそう砲塔ほうとう説明せつめいする資料しりょうもあるが、反面はんめん設計せっけい段階だんかいでの設計せっけい不具合ふぐあいがあったため、竣工しゅんこう当時とうじから故障こしょう続出ぞくしゅつし、最初さいしょすう年間ねんかん故障こしょう対処たいしょわれ、実戦じっせんどころではなかったとう。ただし、それらの問題もんだい解決かいけつしたのちのイギリスしき4連装れんそう砲塔ほうとう信頼しんらいせいは、実戦じっせんにより証明しょうめいされている。

対空たいくうほう

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べい海軍かいぐん28mm対空たいくう機銃きじゅう

小型こがた軽量けいりょう対空たいくう機関きかんほうないし対空たいくう機銃きじゅうでは、重量じゅうりょうとうかんする技術ぎじゅつてき問題もんだいちいさく、もっと重要じゅうよう時間じかんたりの投射とうしゃだんすうすため、ばや多連装たれんそうするれいおおられる。

しかしちゅう口径こうけい以上いじょう高角こうかくほう高射こうしゃほう)になると、もうひとつの重要じゅうようてんである、せん高速こうそくだか機動きどう航空機こうくうき追随ついずいさせるまわしのめんで、重量じゅうりょう問題もんだいになる。ダンケルクきゅうふくほう対空たいくう兼用けんようの4連装れんそう13cm両用りょうようほうとしたこころみをのぞくと、機関きかんほう以上いじょう高角こうかくほう高射こうしゃほうに3連装れんそう以上いじょう採用さいようれい皆無かいむちかい。

脚注きゃくちゅう

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参考さんこう図書としょ

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  • 世界せかい艦船かんせん増刊ぞうかんだい22しゅう 近代きんだい戦艦せんかん」(海人あましゃ)
  • 世界せかい艦船かんせん増刊ぞうかんだい30しゅう イギリス戦艦せんかん」(海人あましゃ)
  • 世界せかい艦船かんせん増刊ぞうかんだい38しゅう フランス戦艦せんかん」(海人あましゃ)
  • 世界せかい艦船かんせん増刊ぞうかんだい38しゅう だい2大戦たいせんのイギリス戦艦せんかん」(海人あましゃ)
  • 世界せかい艦船かんせん増刊ぞうかんだい22しゅう 近代きんだい戦艦せんかん 2008ねん10がつごう(海人あましゃ)
  • 世界せかい艦船かんせん 列強れっきょう最後さいご戦艦せんかん比較ひかくする 2006ねん2がつごう」(海人あましゃ)