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売上うりあげだか

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売上うりあげから転送てんそう

売上うりあげだか(うりあげだか、えい: net salesあるいはamount of sales、大抵たいていりゃくしてsales)とは、商品しょうひんサービス販売はんばいすることにより金額きんがくかね総計そうけいがく[1]会計かいけい用語ようごとしては、あくまで本業ほんぎょうによる収益しゅうえきのこと。(それにたいして、恒常こうじょうてき発生はっせいしないもの、つまり本業ほんぎょうではない活動かつどうられた収益しゅうえき、については営業えいぎょうがい収益しゅうえきび、売上うりあげだかとは区別くべつする[2])。

日常にちじょう生活せいかつでは、しばしばあまり厳密げんみつかんがえず、りゃくして売上うりあげ(うりあげ、えい: sales)ともいう。だが、厳密げんみつ会計かいけい用語ようご簿記ぼき用語ようご)としては「売上うりあげだか」と「売上うりあげ」はしっかり区別くべつされているので、ほんこうでは両者りょうしゃについて解説かいせつをする。

概説がいせつ[編集へんしゅう]

売上うりあげえい:sales)(あるいは「売上うりあげだか」とも)とは、企業きぎょう会計かいけいもちいられる用語ようご概念がいねんで、収益しゅうえき分類ぶんるいのひとつで、当該とうがい企業きぎょう本業ほんぎょうによって収益しゅうえきのことである。たとえば、本業ほんぎょう商品しょうひんサービスによる収益しゅうえきのこと。[3]売上うりあげ」は「営業えいぎょうがい収益しゅうえき」と区別くべつ対置たいちされうる。

なお経理けいり業務ぎょうむ用語ようご簿記ぼき用語ようごとしては、日々ひび記録きろくする簿記ぼき勘定かんじょう科目かもくとしては「売上うりあげ」をもちい、年度ねんどまつ作成さくせいする決算けっさんしょでは「売上うりあげだか」という用語ようごもちい、比較的ひかくてきしっかりと区別くべつしていることもおおい。「売上うりあげだか」は、損益そんえき計算けいさんしょうえ営業えいぎょう収益しゅうえき分類ぶんるいされ計上けいじょうされる。

その意味いみでは「売上うりあげこう」(えい:net sales)のほうは、ある一定いってい期間きかんにおける売上うりあげ総額そうがくである。たとえば、いち会計かいけい年度ねんど(や四半期しはんき)に計上けいじょうされた、個々ここ売上うりあげすべわせた金額きんがくである。

ただし、「売上うりあげ」と「売上うりあげだか」は、経理けいり簿記ぼき領域りょういきでは厳密げんみつえば上述じょうじゅつのように区別くべつされていることもあるものの、もともと両者りょうしゃ近接きんせつする概念がいねんであるので、それ以外いがい分野ぶんやでは、また日常にちじょうてきには、しばしば両者りょうしゃはあまり区別くべつされずにもちいられることもおおい。「売上うりあげ」という表現ひょうげん総額そうがくしている場合ばあいもあれば、また「売上うりあげだか」という表現ひょうげん個々ここ売上うりあげの「金額きんがく」をしていること(金額きんがく意識いしきけているつもりの用法ようほう)もおおい。 なお、業種ぎょうしゅによっては「売上うりあげ」のわりに特有とくゆう科目かもく勘定かんじょう科目かもくめい)をもちいる場合ばあいもある(建設けんせつぎょうの「完成かんせい工事こうじだか」など)[4]

なお、「売上うりあげ売上うりあげだか)」の概念がいねんはしばしば業種ぎょうしゅごとにことなっている[4]。どのような状態じょうたいで「売上うりあげ」として計上けいじょうするか、どのような状態じょうたい売上うりあげなして帳簿ちょうぼるい各種かくしゅ文書ぶんしょ掲載けいさいするかということが、業界ぎょうかいによってことなる傾向けいこうがあるのである。おおくの業界ぎょうかいでは《実現じつげん主義しゅぎ》が採用さいようされていて、「収益しゅうえき」がしょうじたとなせるようになった段階だんかい売上うりあげ計上けいじょうしている(してしまっている)。 (個々ここ売上うりあげ基本きほんてきには、個々ここの「販売はんばい行為こうい成立せいりつしたとなした時点じてんで(あるいは売買ばいばい契約けいやく成立せいりつしたとなした時点じてんで)計上けいじょうしている。だが、この方式ほうしきでは容易ようい粉飾ふんしょく決算けっさんおこなうことができてしまうし、また将来しょうらい 様々さまざま危険きけんしょうじうる[4]。(たとえば、「売上うりあげ計上けいじょう」し帳簿ちょうぼじょう数字すうじ表示ひょうじされ関係かんけいしゃ安心あんしんかん期待きたいいだかせるものの、実際じっさいにはその取引とりひきさき倒産とうさんするなどして、その数字すうじがくがまったく現金げんきんとしてはいってこず、「売上うりあげ計上けいじょう」がかえって関係かんけいしゃ混乱こんらんおちいらせるということがきうる。) 「実現じつげん主義しゅぎ」のそうしたまけ側面そくめん配慮はいりょし、《現金げんきん主義しゅぎ》、つまり現金げんきんわたしがきてはじめて収益しゅうえき売上うりあげ)となすという方式ほうしき採用さいようしている業界ぎょうかいもある[4]

#計上けいじょう基準きじゅん参照さんしょう

なお、経営けいえい健全けんぜんせい不健全ふけんぜんせい判定はんていするじょう若干じゃっかん注意ちゅういようすることは、売上うりあげだか売上うりあげ総額そうがく表面ひょうめんてき数字すうじ)がかならずしも判断はんだん材料ざいりょうとはならない、ということである[4]

ある企業きぎょう売上うりあげ総額そうがくが、あるとしちいさくなっていても、利益りえきりつひく商品しょうひんあつかうのをめて、売上うりあげだかってもかえって利益りえきがくえる方法ほうほう採用さいようしている場合ばあいもあるのである[4]

また、ひろ採用さいようされている「実現じつげん主義しゅぎ」では、実際じっさい代金だいきん支払しはらわれるまえに、「売上うりあげ」はしょうじたこととして帳簿ちょうぼ記録きろくされる。たとえば「ある商品しょうひん(サービス)の売上うりあげ計上けいじょうしたが、実際じっさいにその代金だいきん支払しはらわれたのは4かげつであった。」などということは企業きぎょう企業きぎょう取引とりひきではごく一般いっぱんてきである(場合ばあいによっては「半年はんとし」や「すうねん」などということも)。(簿記ぼきてきには、「売上うりあげ」という勘定かんじょう科目かもくにその金額きんがく記録きろくすると同時どうじに、同額どうがくを「売掛金うりかけきん」という勘定かんじょう科目かもくにも記録きろくすることになる。)売上うりあげだか十分じゅうぶんにあっても、現金げんきんはいらず倒産とうさんしてしまう(黒字くろじ倒産とうさん)ということはきうる。その意味いみでも「売上うりあげだか」は、そのままで経営けいえい状態じょうたい判断はんだん材料ざいりょうとなりはしない。「売上うりあげだか」は判断はんだん材料ざいりょうのごくごく一部いちぶぎず、むしろ様々さまざま経営けいえい指標しひょうやキャッシュフローなどを総合そうごうてき判断はんだんすべきなのである。

なお個々ここ売上うりあげ金額きんがくは、個々ここ販売はんばい(あるいは売買ばいばい契約けいやく成立せいりつ)によってまった、ざいまたは役務えきむについての価格かかくである。[注釈ちゅうしゃく 1]

赤字あかじではないという前提ぜんていであれば、利益りえきだかたか会社かいしゃよりもある一定いってい売上うりあげ規模きぼっている会社かいしゃのほうが資金しきん調達ちょうたつりょくつよいため、利益りえきだかよりも売上うりあげだかほう重要じゅうよう指標しひょうである。

商品しょうひん売買ばいばい記帳きちょう方法ほうほう[編集へんしゅう]

商品しょうひん売買ばいばい記帳きちょう方法ほうほうには、ぶん記法きほう総記そうきほう分割ぶんかつほうの3つがある。

ぶん記法きほう
商品しょうひん仕入しいれ商品しょうひん勘定かんじょう借方かりかた仕入しいれ原価げんか記入きにゅうし、商品しょうひん販売はんばい商品しょうひん勘定かんじょう貸方かしかたげた商品しょうひん仕入しいれ原価げんかを、売価ばいか仕入しいれ原価げんか差額さがく商品しょうひん販売はんばいえき勘定かんじょう貸方かしかた記入きにゅうする方法ほうほうぶん記法きほうによる場合ばあい決算けっさん整理せいり仕訳しわけおこな必要ひつようがない。
そう記法きほう
商品しょうひん仕入しいれ販売はんばい商品しょうひん勘定かんじょうだけで記入きにゅうする方法ほうほう。(決算けっさんにのみ、商品しょうひん販売はんばいえき勘定かんじょう使用しようする) 商品しょうひん仕入しいれたときは、商品しょうひん勘定かんじょう借方かりかた仕入しいれ原価げんか記入きにゅうし、商品しょうひん販売はんばいしたときは、商品しょうひん勘定かんじょう貸方かしかた売価ばいか記述きじゅつする方法ほうほう
決算けっさん整理せいりまでは商品しょうひん売買ばいばいかえすごとに商品しょうひん勘定かんじょう貸方かしかたがふくらんでいくのが特徴とくちょう総記そうきほう総記そうきとは売上うりあげ原価げんか売上うりあげそう利益りえき商品しょうひん勘定かんじょうなか総記そうきするということである。
決算けっさん商品しょうひん勘定かんじょう貸方かしかた合計ごうけいから売上うりあげそう利益りえきだけを商品しょうひん販売はんばいえきえる。
(借方かりかた)商品しょうひんxx(貸方かしかた)商品しょうひん売買ばいばいえきxx ・・売上うりあげそう利益りえき
この一本いっぽん仕訳しわけをすることで利益りえき確定かくていし、それと同時どうじ商品しょうひん勘定かんじょう残高ざんだか借方かりかた逆転ぎゃくてんするかゼロになり、どんな場合ばあいでも貸方かしかた残高ざんだかとなることはない。商品しょうひん売買ばいばいえき勘定かんじょう出現しゅつげんにより売上うりあげそう利益りえき確定かくていし、それと同時どうじにこの商品しょうひん勘定かんじょう借方かりかた残高ざんだか期末きまつ商品しょうひん棚卸たなおろしだか一致いっちする。
分割ぶんかつほう
分割ぶんかつほうには以下いかの4つがある。
  1. さんふんほうさん分割ぶんかつほう
    商品しょうひん取引とりひき仕入しいれ勘定かんじょう費用ひよう)、売上うりあげ勘定かんじょう収益しゅうえき)、繰越くりこし商品しょうひん勘定かんじょう資産しさん)の3つの勘定かんじょうけて記入きにゅうする方法ほうほう
  2. ふんほう
    さんふんほうの3勘定かんじょうくわえて「仕入しいれ値引ねびきもどし」勘定かんじょうと「売上うりあげ値引ねびきもどり」勘定かんじょうもちいて記述きじゅつする方法ほうほう
  3. ななふんほう
    ふんほうの「仕入しいれ値引ねびきもどし」勘定かんじょう仕入しいれ値引ねびき割戻わりもどし勘定かんじょう仕入しいれもど勘定かんじょうに、「売上うりあげ値引ねびきもどり」勘定かんじょう売上うりあげ値引ねびき割戻わりもどし勘定かんじょう売上うりあげもど勘定かんじょう分割ぶんかつして記述きじゅつする方法ほうほう。(「仕入しいれ」「売上うりあげ」「繰越くりこし商品しょうひん」「仕入しいれもどし」「仕入しいれ値引ねびき割戻わりもどし」「売上うりあげもどり」「売上うりあげ値引ねびき割戻わりもどし勘定かんじょう使用しようする)
  4. 九分くぶほう
    ななふんほうの「仕入しいれ値引ねびき割戻わりもどし勘定かんじょう仕入しいれ値引ねびき勘定かんじょう仕入しいれ割戻わりもどし勘定かんじょうに、「売上うりあげ値引ねびき割戻わりもどし勘定かんじょう売上うりあげ値引ねびき勘定かんじょう売上うりあげ割戻わりもどし勘定かんじょうとに分割ぶんかつして記述きじゅつする方法ほうほう。(「仕入しいれ」「売上うりあげ」「繰越くりこし商品しょうひん」「仕入しいれもどし」「仕入しいれ値引ねびき」「仕入しいれ割戻わりもどし」「売上うりあげもどり」「売上うりあげ値引ねびき」「売上うりあげ割戻わりもどし勘定かんじょう使用しようする)
したがって、売上うりあげ勘定かんじょう使用しようするのは分割ぶんかつほうのみである。

計上けいじょう基準きじゅん[編集へんしゅう]

商品しょうひん販売はんばい基準きじゅん売上うりあげ計上けいじょうする。販売はんばい基準きじゅんには出荷しゅっか基準きじゅんと引渡基準きじゅん検収けんしゅう基準きじゅんがある。2021年度ねんど4がつよりしん収益しゅうえき認識にんしき基準きじゅん適用てきようされ、全国ぜんこく統一とういつされた。

  • 出荷しゅっか基準きじゅん
    商品しょうひん倉庫そうこからしたとき、トラックなどにんだときに計上けいじょうする方法ほうほう

計上けいじょう基準きじゅんくらもっと早期そうき売上うりあげ認識にんしきすることになり、IFRSではみとめられていない。

  • 引渡基準きじゅん
    得意とくいさき指定していする場所ばしょ搬入はんにゅうしたときなどに計上けいじょうする方法ほうほう
  • 検収けんしゅう基準きじゅん
    得意とくいさき検収けんしゅうした計上けいじょうする方法ほうほう
    その検針けんしん基準きじゅん取付とりつけ完了かんりょう基準きじゅんなどがある。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 経営けいえい分析ぶんせきてきには、「売上うりあげ」のがく分析ぶんせきしたときに、原価げんかうえ妥当だとうぶんっている状態じょうたいになっていることがのぞましい(理想りそうてき)ではあるが、現実げんじつには、競合きょうごう他社たしゃ極端きょくたん安売やすうりをしている業界ぎょうかいなどだと、個々ここの「売上うりあげ」のがくふくまれていなければならない相当そうとう部分ぶぶん極端きょくたんうすかったり、あるいは すらまったくがい「原価げんか同等どうとう」であったり、さらにひどい場合ばあい原価げんかよりもひくい「原価げんかれ」の状態じょうたいになっている場合ばあいもある。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ 大辞泉だいじせん売上うりあげだか
  2. ^ 会計かいけい用語ようごキーワード辞典じてん売上うりあげだか
  3. ^ 東京商工とうきょうしょうこうリサーチ「売上うりあげ
  4. ^ a b c d e f 東京商工とうきょうしょうこうリサーチ 『用語ようご辞典じてん』「売上うりあげ

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]