大塚おおつか啓あきら三郎さぶろう

大塚おおつか 啓あきら三郎さぶろう（おおつか けいさぶろう、1828年ねん7月がつ26日にち（文政ぶんせい11年ねん6月がつ15日にち）- 1876年ねん（明治めいじ9年ねん）5月6日にち）は、江戸えど時代じだい末期まっき：幕末ばくまつから明治めいじの、下野げや国こく（栃木とちぎ県けん）益子ましこの陶工とうこう。

現在げんざいの栃木とちぎ県けん芳賀はが郡ぐん益子ましこ町まちにある「根古屋ねごや製せい陶すえ：根古屋ねごや窯かま」の初代しょだい当主とうしゅであり、益子ましこ焼しょうの「陶とう祖そ」として知しられている。

生涯しょうがい

生おい立たち

文政ぶんせい11年ねん6月がつ15日にち（1828年ねん7月がつ26日にち）、杉山すぎやま次郎じろう平たいらの二男じなんとして下野げや国こく（栃木とちぎ県けん）福手ふぐて村むら（現在げんざいの茂木もぎ町まち）に生うまれた。

常陸ひたち国こくの笠間かさま・箱田はこだにある鳳おおとり台たい院いん慈眼寺じがんじの寺子屋てらこやに住すみ込こみで学まなんだ。そして焼やき物もの好すきであった鳳おおとり台たい院いん二に十じゅう一いち世せい（第だい21代目だいめ）住職じゅうしょく・雄山おやま大周たいしゅうが資金しきんを入いれ経営けいえいに関かかわっていた近隣きんりんにあった久野くの窯かま（現在げんざいの久野くの陶すえ園えん）に随伴ずいはんし通かよううちに焼やき物ものに興味きょうみを持もち、製せい陶すえのやり方かたを見聞みききしながら覚おぼえていったという。

益子ましこ焼しょうの始はじまり

啓けい三さん郎ろうは益子ましこの農民のうみん・大塚おおつか平たいら兵衛ひょうえの婿養子むこようしとなり大塚おおつか姓せいとなる。まずは家業かぎょうである農業のうぎょうに従事じゅうじするがそれだけでは物足ものたりなくなり、かねてよりやりたかった窯業ようぎょうを興おこそうとして土どを探さがしたら、たまたま益子ましこ・大津おおつ沢さわに製せい陶すえに適てきした土どが見付みつかった。嘉よしみ永ひさし6年ねん（1853年ねん）11月、当時とうじ、笠間かさま藩はんと同おなじように窯業ようぎょうを奨励しょうれいし、益子ましこを所領しょりょうしていた黒羽くろは藩はんの藩主はんしゅ・大関おおぜき氏しから、益子ましこ陣屋じんやの裏山うらやまの麓ふもとにあった根古屋ねごやの土地とちを与あたえられ築ちく窯かまし製せい陶すえを始はじめた。 そして笠かさ間あいだの陶工とうこうであり、啓けい三さん郎ろうが笠かさ間あいだにいた頃ころからの顔見知かおみしりであった田中たなか長平ちょうへいの手助てだすけを借かりながら、笠間かさま焼しょうに倣ならい、土瓶どびんや擂すり鉢ばち、壺つぼ、片口かたくち、徳利とっくり、行平ゆきひら、土鍋どなべ、土釜どがまなどの日ひ用品ようひんを製作せいさくしていった。　

安政あんせい2年ねん（1855年ねん）に黒羽くろばね藩はんから赴任ふにんした群ぐん奉行ぶぎょう・三田みた称しょう平ひらたは、啓けい三さん郎ろうが始はじめた益子ましこの窯業ようぎょうに将来しょうらい性せいを見みい出だし、藩はんから窯元かまもとに対たいして資金しきんの貸付かしつけを行おこない、貸付かしつけをされた窯元かまもとは厳密げんみつかつ公正こうせいな決きまりを設もうけて黒羽くろばね藩はんの御用ごよう窯かま扱あつかいとなった。

製せい陶すえを始はじめてから数すう年ねん後ごの安政あんせい5年ねん（1858年ねん）には江戸えどでの販売はんばいを願ねがい出でた商人しょうにんもいた。

そして明治めいじ2年ねん（1864年ねん）には、益子ましこの窯元かまもとが外部がいぶから招まねいた熟練じゅくれんの陶工とうこうへの待遇たいぐうを良よくするための高額こうがくな貸付かしつけ金きんを願ねがい出でたり、黒羽くろは藩はんは窯業ようぎょう実施じっし規則きそくとなる「瀬戸焼せとやき仕法しほう」を交付こうふし益子ましこの窯元かまもとを保護ほご管理かんり下かに置おくようになり、益子ましこの窯業ようぎょうは順調じゅんちょうに産業さんぎょうとして成長せいちょうしていった。

これが現在げんざいに続つづく「益子ましこ焼しょう」の始はじまりであり、大塚おおつか啓三けいぞう郎ろうは「益子ましこ焼しょうの陶すえ祖そ」とされている。

その後ご、啓けい三さん郎ろうは慶応けいおう2年ねん（1886年ねん）には黒羽くろは藩はん藩主はんしゅより益子ましこ村むらの村長そんちょうに命めいぜられた。

明治維新めいじいしんとなり明治めいじ2年ねん（1864年ねん）に版籍はんせき奉還ほうかんにより黒羽くろは藩はん領りょうは解消かいしょうし藩はん役所やくしょも廃止はいしとなる。そして1875年ねん（明治めいじ8年ねん）に栃木とちぎ県けん御用ごよう掛がかりを拝命はいめいし、1876年ねん（明治めいじ9年ねん）には戸長こちょうとなった啓けい三さん郎ろうであったが、同年どうねん4月がつ6日にち、病やまいを得えて死去しきょした。享年きょうねん48。

参考さんこう文献ぶんけん

• 芸術げいじゅつ新潮しんちょう編集へんしゅう部ぶ 著ちょ、芸術げいじゅつ新潮しんちょう編集へんしゅう部ぶ 編へん『日本にっぽんやきもの紀行きこう』株式会社かぶしきがいしゃ新潮社しんちょうしゃ〈とんぼの本ほん〉、1985年ねん7月がつ25日にち、116頁ぺーじ。ISBN 9784106019241。 ：益子ましこ焼しょうと笠間かさま焼しょうの情報じょうほうが混在こんざいしているので注意ちゅうい。
• 青木あおき宏ひろし『日本にっぽんのやきもの　◆窯かま別べつガイド◆　益子ましこ・笠間かさま』株式会社かぶしきがいしゃ淡あわ交社、2003年ねん12月6日にち、127頁ぺーじ。ISBN 4473019411。 

外部がいぶリンク

• 益子ましこ焼しょう 《大塚おおつか啓あきら三郎さぶろう》 — Google Arts & Culture