笠間かさま藩はん

笠間かさま城しろ

笠間かさま藩はん（かさまはん）は、江戸えど時代じだいに常陸ひたち国こく茨城いばらき郡ぐん笠間かさま（現在げんざいの茨城いばらき県けん笠間かさま市し）に存在そんざいした藩はん。藩はん庁ちょうは笠間かさま城しろに置おいた。

概要がいよう

笠間かさまは笠間かさま氏しが鎌倉かまくら時代ときよ初期しょきから有ゆうしていた地ちであった。しかし豊臣とよとみ秀吉ひでよしの小田原おだわら征伐せいばつで後こう北条ほうじょう氏しに味方みかたしたため滅ほろぼされる。その後ごは宇都宮うつのみや国綱くにつなが笠間かさま城しろ代だいとなったが、継嗣けいし問題もんだいで改易かいえきされる。1598年ねん、蒲生がもう秀行ひでゆきが宇都うと宮城みやぎ主おもとなった際さいに、笠間かさまの地ちも秀行ひでゆきの領有りょうゆうとされた。

1600年ねんの関ヶ原せきがはらの戦たたかい後ご、1601年ねんに松平まつだいら康かん重しげるが武蔵むさし騎西きさい藩はんから3万まん石せきで入にゅう封ふうして立たて藩はんした。1608年ねんに康かん重しげるが丹波たんば篠山しのやま藩はんへ移うつり封ふうされると、小笠原おがさわら吉次よしじが下総しもうさ佐倉さくら藩はんから入にゅう封ふうした。しかし吉次よしじは、与力よりきの給料きゅうりょうの横領おうりょう・与力よりきの家臣かしん化かを企くわだてたとして改易かいえきされた。

その後ご一旦いったん、笠間かさま藩はんは幕府ばくふ領りょうとなり、1612年ねんに松平まつだいら康長やすながが下総しもうさ古河ふるかわ藩はんより入にゅう封ふうする。1616年ねんに康長やすながが上野うえの高崎たかさき藩はんへ移うつり封ふうされると、永井ながい直ただし勝かちが入にゅう封ふうする。1622年ねん、直ちょく勝かちは古河ふるかわ藩はんへ移うつり封ふうとなり、常陸ひたち真壁まかべ藩はん主おもであった浅野あさの長重ながしげが真壁まかべ領りょうを合あわせて入にゅう封ふうした。1645年ねん、次代じだいの長ちょう直ただしの時とき、播磨はりま赤穂あこう藩はんへと移うつり封ふうした。

浅野あさの家かの後のちは、井上いのうえ正利まさとしが遠江とおとうみ横須賀よこすか藩はんから入にゅう封ふうした。1692年ねん、次代じだいの正せい任にんの時とき、美濃みの郡上ぐじょう（八幡やはた）藩はんへ移うつり封ふうとなり、本庄ほんじょう宗はじめ資しが下野げや足利あしかが藩はんより入にゅう封ふうした。1702年ねん、次代じだいの資し俊しゅんの時ときに遠江とおとうみ浜松はままつ藩はんへ移うつり封ふうした。井上いのうえ正ただし岑が常陸ひたち下館しもだて藩はんより入はいる。1747年ねん、3代目だいめの井上いのうえ正ただし経けいの時ときに陸奥みちのく磐城いわき平ひら藩はんへと移うつり封ふうした。日向ひなた延岡のべおか藩はんより牧野まきの貞通さだみちが入はいる。以後いご笠かさ間あいだ藩はんは、越後えちご長岡ながおか藩はんの支ささえ藩はんとして牧野まきの家かの領有りょうゆうで固定こていされ、明治維新めいじいしんを迎むかえることとなる。

産業さんぎょう面めんでは、藩主はんしゅ・牧野まきの貞さだ喜きの陶すえ業者ぎょうしゃ保護ほご政策せいさくにより、笠間かさま焼しょう発展はってんの礎石そせきが築きずかれたとされる。

藩主はんしゅが代々だいだい剣術けんじゅつを奨励しょうれいし、唯心ゆいしん一刀いっとう流りゅうと示現じげん流りゅうを主おもに二に大だい流派りゅうはとした。その結果けっか、小しょう藩はんながら剣術けんじゅつが隆盛りゅうせいを極きわめ、「剣けんは西にしの柳河やなかわ（筑後ちくご柳河やなかわ藩はん）、東ひがしの笠かさ間あいだ」としてその剛勇ごうゆうが知しられるようになった。

• 「あえて水戸みとにひけはとらず」という常套句じょうとうくがあって、隣となりの水戸みと藩はんをライバル視ししていた。
• 幕末ばくまつになると「水戸みとの勇いさむ剛つよしをもってしても笠かさ間あいだを撃破げきはすることは困難こんなん」と言いわれ、諸しょ藩はんの遊ゆう暦れき剣客けんかくも一いち度どは笠かさ間あいだの地ちを踏ふんだという。

幕まく閣かく要職ようしょくに就任しゅうにんすることが多おおかった牧野ぼくや家かはゆえに、慢性まんせい的てきな財政難ざいせいなんに苦くるしんだ。これは表高おもてだか8万まん石せきに対たいして実み高だかが伴ともなっていなかったことが根幹こんかんにある。江戸えど時代じだい後期こうきには、新田にった開発かいはつや肥料ひりょうの改善かいぜんなどによって、諸しょ藩はんでは表高おもてだかを大おおきく上回うわまわる収穫しゅうかくがあった中なかで、笠間かさま藩はんは厳きびしい状況じょうきょうに置おかれた。

戊辰戦争ぼしんせんそうでは、官軍かんぐんに属ぞくして陸奥みちのく会津あいづ藩はん攻撃こうげきに加くわわったことで賞しょう典てん禄ろくを受うけ、本ほん藩はんの越後えちご長岡ながおか藩はんとは違ちがった動うごきを見みせた。

歴代れきだい藩主はんしゅ

松平まつだいら（松井まつい）家か

譜代ふだい 3万まん石せき。慶長けいちょう6年ねん（1601年ねん）2月がつ-慶長けいちょう13年ねん（1608年ねん）8月がつ

1. 松平まつだいら康かん重しげる

小笠原おがさわら家か

譜代ふだい 3万まん石せき。慶長けいちょう13年ねん12月24日にち-慶長けいちょう14年ねん（1609年ねん）3月がつ26日にち

1. 小笠原おがさわら吉次よしじ

松平まつだいら（戸田とだ）家か

譜代ふだい 3万まん石せき。慶長けいちょう17年ねん（1612年ねん）7月がつ-元和げんな2年ねん（1616年ねん）

1. 松平まつだいら康長やすなが

永井ながい家か

譜代ふだい 3万まん2,000石せき→5万まん2,000石せき。元和がんわ3年ねん（1617年ねん）10月がつ15日にち-元和げんな8年ねん（1622年ねん）12月7日にち

1. 永井ながい直ただし勝かち

浅野あさの家か

外様とざま 5万まん3,500石せき。元和がんわ8年ねん-正保しょうほう2年ねん（1645年ねん）6月がつ22日にち

1. 浅野あさの長重ながしげ
2. 浅野あさの長ちょう直ただし

井上いのうえ家か

譜代ふだい 5万まん石せき。正保しょうほう2年ねん6月がつ27日にち-元禄げんろく5年ねん（1692年ねん）11月12日にち

1. 井上いのうえ正利まさとし
2. 井上いのうえ正ただし任にん

本庄ほんじょう家か

譜代ふだい 4万まん石せき→5万まん石せき。元禄げんろく5年ねん11月11日にち-元禄げんろく15年ねん（1702年ねん）9月がつ12日にち

1. 本庄ほんじょう宗はじめ資し
2. 本庄ほんじょう資し俊しゅん

井上いのうえ家か

譜代ふだい 5万まん石せき→6万まん石せき。元禄げんろく15年ねん9月がつ28日にち-延のべ享とおる4年ねん（1747年ねん）3月がつ19日にち

1. 井上いのうえ正ただし岑
2. 井上いのうえ正之まさゆき
3. 井上いのうえ正ただし経けい

牧野まきの家か

譜代ふだい 8万まん石せき。延のべ享とおる4年ねん3月がつ19日にち-明治めいじ4年ねん（1871年ねん）7月がつ14日にち

1. 牧野まきの貞通さだみち
2. 牧野まきの貞さだ長ちょう
3. 牧野まきの貞さだ喜き
4. 牧野まきの貞さだ幹みき
5. 牧野まきの貞一さだいち
6. 牧野まきの貞勝さだかつ
7. 牧野まきの貞久さだひさ
8. 牧野まきの貞さだ直ただし
9. 牧野まきの貞さだ寧やすし

笠間かさま牧野ぼくや家か系図けいず

凡例はんれい　太線ふとせんは実子じっし、細線さいせんは養子ようしを示しめす。また、太字ふとじは笠間かさま藩主はんしゅ歴代れきだい・数字すうじは襲かさね封ふう順じゅんを表あらわす。

 　　　　　　　　　　  （牧野ぼくや）　　　　　　　　　
　　　　　          　　　　成なり勝しょう（民みん部ぶ丞すすむ・牛久保うしくぼ城しろ主おも）
        　              　   ｜
 　 　                      貞さだ成なり（民みん部ぶ丞すすむ・右みぎ馬うま允まこと）
                             ｜
　　　　　　　　　　　　　　成なり定じょう（右みぎ馬うま允まこと）
　　　　　　　　　　 　　　　┃
　　　　　　　　　　　　　　康成やすなり（右みぎ馬うま允まこと・大胡おおご藩はん主おも） 
　　  　　　　　　　　　　　 ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　      忠ちゅう成なり（右みぎ馬うま允まこと・長岡ながおか藩はん主しゅ初代しょだい）　         儀ぎ成なり
　　 　　　　　　　　　　　　┣━━┳━━━━━┳━━┓　　　　　┃
                            光成みつなり  康成やすなり（内膳ないぜん正せい）定てい成なり 忠清ただきよ        成なり貞さだ
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                            忠ちゅう成なり　康かん道みち　　　　　　　忠ちゅう貴とうと　成なり時じ　成なり春はる 1貞通さだみち（笠間かさま藩主はんしゅ）
　　　　　　　　             ┃　　┣――┐　　　　　｜　　　　　┃　　┣━━┳━━┳━━┳━━┓
                            忠ちゅう辰たつ　康かん澄きよし  康かん重しげる　　　　忠ちゅう列れつ　　　　成なり央ひさし  忠敬ちゅうけい　貞さだ隆たかし 2貞さだ長ちょう　忠利ただとし　忠寛ただひろ
　　　  　 　　　　　　　　　｜　　　　　┃　　　　　┃　　　　　　　　　　　┏━━┫　                    
                            忠ちゅう寿ことぶき　　　  康かん周あまね　　　　忠ちゅう知ち                   3貞さだ喜き　忠ちゅう善ぜん
　　　　　　　 　　        　┃　　　　　┣━━┓　　┃　　　　　　　　┏━━╋━━┓
　　　　　　　　　          忠ちゅう周しゅう　　　  康かん満みつる　道みち堅けん　忠義ちゅうぎ　　　　　　　貞さだ為ため 4貞さだ幹みき　重正しげまさ
　　　　　　　　　　　       ｜　　　　　┃　　　　　┃　　　　　┏━━┳━━┫　　┃
                 　（貞通さだみち子こ）忠敬ちゅうけい　　　　康かん陛　　　　忠ちゅう救すくい　　　 5貞一さだいち　康哉こうさい 6貞勝さだかつ 8貞さだ直ただし
　　　　　　　　　　　   　　｜　　　　　┃　　　　　｜　　　　　┃　　　　　　　　┃
　　　　　　　　 　（貞通さだみち子こ）忠利ただとし　　　  康かん儔　　　　忠ちゅう衛まもる　　　 7貞久さだひさ　　　　　   9貞さだ寧やすし
　　　　　　　　　　　     　｜　　　　　┣━━┓　　｜
　　　　　　　　 （貞通さだみち子こ）忠寛ただひろ　　　  康長やすなが  康明やすあき  忠直ただなお
　　　　　　　　　　 　┏━━┫　　　　　　　　｜　　｜
　　　　　　　　　　　忠ちゅう精せい　氏し保ほ　 　　　　　 康かん命いのち  忠興ただおき
　　 ┏━━┳━━┳━━┫　　　　　　　　　　　｜　　｜
　　忠ちゅう鎮　総そう親おや　忠ちゅう雅みやび　康かん命いのち   　 　　　　　　　康哉こうさい　忠ちゅう泰やすし（三根みつね山さん藩主はんしゅ）
　　　　　　　　 ｜　　　　　　　　　　　┏━━┫
　　　　　　　　忠ちゅう恭きょう　　　　　　　　　  康かん済わたる　忠直ただなお
　 　┌――┳━━┫
　　忠ちゅう訓くん　忠ちゅう毅あつし　忠篤ただあつ

笠間かさま牧野ぼくや家かについて

牧野まきの家かは、徳川とくがわ綱吉つなよしの上野うえの館林たてばやし藩はん主しゅ時代じだいの家老がろう、のち将軍しょうぐん就任しゅうにん後ごにその側用人そばようにんとなった牧野まきの成しげる貞さだの後裔こうえいである。

笠間かさま以前いぜん

200俵ひょうから8万まん石せきに栄進えいしん

成なり貞さだは、初代しょだい越後えちご長岡ながおか藩はん主おも・牧野まきの忠ただし成なりの甥おいで、上野うえの大胡おおご藩はん主おも・牧野まきの康成やすなりの孫まごに当あたる。成なり貞さだは越後えちご長岡ながおか藩はんの領地りょうちと家臣かしん団だんを分与ぶんよされて立たて藩はんしたのではなく、成なり貞さだの父ちちである成なり儀ぎが新しん恩おんをもって旗本はたもとの召めし出だしを受うけたものである。しかも成なり貞さだは、成なり儀ぎの総領そうりょうではなかった（旗本はたもとであった成なり儀ぎの総領そうりょう家かは、後のちに罪つみにより改易かいえきとなっている）。笠間かさま牧野ぼくや家かの家いえ祖そとなる成なり儀ぎの庶子しょしであった成なり貞さだは、はじめ成なり儀ぎ家かにおいて捨すて扶持ふちを与あたえられていた。4代だい将軍しょうぐん・徳川とくがわ家綱いえつなの弟おとうとであった綱吉つなよしの部屋住へやずみ時代じだいに成なり貞さだが分家ぶんけして、その屋敷やしき・神田かんだ館かんに側がわ衆しゅとして出仕しゅっしすることになったのが、笠間かさま牧野ぼくや家かの起源きげんである。

牧野まきの成しげる貞さだの家系かけいが笠間かさま藩主はんしゅとして定着ていちゃくする前まえの下総しもうさ関宿せきやど藩はん主おも・三河みかわ吉田よしだ藩はん主しゅ時代じだいには、当家とうけが越後えちご長岡ながおか藩はんの支ささえ藩はんに当あたるか否ひかについては議論ぎろんがあった。また、成なり儀ぎの総領そうりょう家かが改易かいえきとなったため、当家とうけが成なり儀ぎ家かの総領そうりょう家かの名跡みょうせきを持もつか否ひかも明確めいかくではなかった。

当家とうけは分家ぶんけしてから明治維新めいじいしんまで、信濃しなの小諸こもろ藩はん主おもや越後えちご三根みつね山さん藩はん主おもの牧野ぼくや家かのように、越後えちご長岡ながおか藩はんから政事せいじ上じょうの指導しどうや重臣じゅうしん人事じんじの内諾ないだくは受うけていなかった。この越後えちご長岡ながおか藩はんと常陸ひたち笠間かさま藩はんが本ほん・支ささえ藩はん関係かんけいになるか否ひかについては、牧野まきの忠敬ちゅうけい#忠敬ちゅうけい養子ようし入いりにみる笠間かさま牧野ぼくや家かとの関係かんけいにも解説かいせつがある。

成なり貞さだは綱吉つなよしの寵ちょうを受うけ、館林たてばやし藩はんの立だて藩はん後ごに御ご奏者そうしゃなどを経へて家老がろう（3000石せき）となる。やがて、4代だい将軍しょうぐん徳川とくがわ家綱いえつなに男子だんしがなかったため綱吉つなよしが将軍しょうぐんの世継よつぎとして江戸城えどじょうに呼よび戻もどされると、成なり貞さだには側がわ衆しゅとして常陸ひたち国内こくないに1万まん1000石せきの点在てんざいした領地りょうちが与あたえられた。

1680年ねんに下総しもふさ関宿せきやど藩主はんしゅとして城主じょうしゅとなる。1681年ねん以降いこう、成なり貞さだは将軍しょうぐん綱吉つなよしの側用人そばようにんとして14年間ねんかんにわたって大おおきな権勢けんせいを得えた。その間あいだもしきりに加増かぞうされて、牧野まきの宗家そうけの越後えちご長岡ながおか藩はんの表高おもてだか7万まん4000石せきを意識いしきしたためか、綱吉つなよしは成なり貞さだの表高おもてだかを7万まん3000石せきとした。

成なり貞さだの隠居いんきょ後ご、家督かとくを相続そうぞくした成なり春はるが、まもなく加増かぞうを受うけて三河みかわ吉田よしだ藩はん（8万まん石せき）に転てん封ふうとなった。これを根拠こんきょに、成なり貞さだは柳沢やなぎさわ吉保よしやすに蹴落けおとされて失脚しっきゃくしたのではなく勇退ゆうたいしたという意見いけんもある。

1709年ねんに綱吉つなよしが死去しきょすると、3年ねん後ごの1712年ねんには成なり貞さだも没ぼっし、同年どうねんには幼少ようしょうの藩主はんしゅ、成なり央ひさしに対たいして、幕府ばくふは日向ひなた延岡のべおか藩はんに移うつり封ふうを命めいじた。表高おもてだかは同おなじであるが遠国おんごくへの左遷させんであった。

笠間かさま藩主はんしゅ

1719年ねん、13歳さいで家督かとくを相続そうぞくした日向ひなた延岡のべおか藩主はんしゅ・牧野まきの貞通さだみちは、奏者そうしゃ番ばん・寺社じしゃ奉行ぶぎょう・京都きょうと所司代しょしだいを歴任れきにんして、1740年ねんに常陸ひたち笠間かさま藩はんに移うつり封ふうをみた。領地りょうちの内高うちだかは表高おもてだかを数すう千せん石せき程度ていど下回したまわることが多おおかった。幕末ばくまつ期きの収穫しゅうかく高だかを内高うちだかベースで比較ひかくした場合ばあい、長岡ながおか藩はんの内高うちだかは表高おもてだかの2倍ばい近ちかくある一方いっぽうで、笠間かさま藩はんは宗家そうけの長岡ながおか藩はんの約やく6割わりしかなかったが、表高おもてだかは長岡ながおか藩はんを約やく6000石せき上回うわまわっていた。

辺境へんきょうの延岡のべおかから江戸えどに比較的ひかくてき近ちかい笠かさ間あいだ藩はんに移うつり封ふうを成功せいこうさせた貞通さだみちは、男子だんし2人にん（忠敬ちゅうけい、忠利ただとし）を長岡ながおか藩はんに養子ようしとして出だした。次代じだいの貞さだ長ちょうは、実じつは牧野まきの忠ただし周しゅうの忠敬ちゅうけい嫡子ちゃくし認定にんてい後ごに出生しゅっしょうした実子じっしであり、当初とうしょは牧野まきの姓せいを許ゆるされず、牧野まきの忠寛ただひろを幕府ばくふへ実弟じっていとして届とどけ出でた上うえで長岡ながおか藩主はんしゅとした（長岡ながおか市立しりつ中央ちゅうおう図書館としょかん蔵ぞう『御ご附録ふろく』）。

長岡ながおか牧野ぼくや家かと笠間かさま牧野ぼくや家か

貞通さだみちは、自みずからの嫡子ちゃくし忠敬ちゅうけいを長岡ながおか牧野ぼくや家かの養子ようしとした。一族いちぞくではあるが当時とうじ、血縁けつえんとしては疎遠そえんとなっていた長岡ながおか牧野ぼくや家かに、自みずからの家系かけいが傍系ぼうけいであることを認みとめた上うえで嫡子ちゃくしを養嗣子ようししとしたのである。それまでは、家いえ祖その成なり儀ぎは新しん恩おんをもって旗本はたもとに召めし出だされたのであり、長岡ながおか家かから家臣かしんと領地りょうちの分与ぶんよを受うけていないこと、また成なり貞さだが分家ぶんけをした後のちに諸侯しょこうに取とり立たてられていたことを盾たてに、笠間かさま家かは長岡ながおか家かの支ささえ藩はんか否ひかを明確めいかくにしていなかった。

しかしその後ごも、両りょう藩はんの実力じつりょくが伯仲はくちゅうして競争きょうそうしていたため、不仲ふなかを伝つたえる逸話いつわや文献ぶんけんが残のこっている。長岡ながおか牧野ぼくや家かの家臣かしん・河井かわい継之助つぐのすけが、1865年ねんに長岡ながおか藩はん江戸えど藩邸はんていで、長岡ながおか藩主はんしゅ・牧野まきの忠ただし恭きょうと笠間かさま藩主はんしゅ・牧野まきの貞さだ直ただしの会談かいだんに着座ちゃくざし、貞さだ直じかに不敬ふけいになる出過ですぎた発言はつげんをしたため、謹慎きんしん処分しょぶんを受うけて在所ざいしょに帰きされている。

笠間かさま牧野ぼくや家かのその後ご

旧きゅう笠かさ間あいだ藩主はんしゅ家かは華族かぞくに列れつして子爵ししゃくとなった。

幕末ばくまつの領地りょうち

• 常陸ひたち国こく
  • 茨城いばらき郡ぐんのうち - 84村むら
  • 真壁まかべ郡ぐんのうち - 28村むら
• 陸奥みちのく国こく（磐城いわき国こく）
  • 石川いしかわ郡ぐんのうち - 5村むら（うち3村むらは白河しらかわ県けんに編入へんにゅう）
  • 田村たむら郡ぐんのうち - 14村むら
  • 磐いわ前ぜん郡ぐんのうち - 12村むら
  • 磐城いわき郡ぐんのうち - 30村むら

参考さんこう文献ぶんけん

• 『新しん訂てい 寛政かんせい重じゅう修おさむ諸家しょか譜ふ 第だい六ろく』（続ぞく群ぐん書しょ類従るいじゅう完成かんせい会かい、1984年ねん）
• 『港みなと区く三田みた済海寺さいかいじ 長岡ながおか藩主はんしゅ牧野ぼくや家か墓所はかしょ発掘はっくつ調査ちょうさ報告ほうこく書しょ』（東京とうきょう都と港みなと区く教育きょういく委員いいん会かい、1986年ねん）
• 小しょう田崎たさき紀男のりお『笠間かさま藩はんの武術ぶじゅつ』（2012年ねん）

関連かんれん項目こうもく

• 唯心ゆいしん一刀いっとう流りゅう
• 示現じげん流りゅう
• 笠間かさま焼しょう
• 年数ねんすう帳ちょう - 笠間かさま藩主はんしゅ牧野ぼくや家か家臣かしんの系譜けいふ集しゅう

外部がいぶリンク

• 笠間かさま（牧野まきの備後びんご守もり貞さだ長ちょう） | 大名だいみょう家か情報じょうほう - 武鑑ぶかん全集ぜんしゅう

先代せんだい （常陸ひたち国こく）

行政ぎょうせい区くの変遷へんせん 1601年ねん - 1871年ねん （笠間かさま藩はん→笠間かさま県けん）

次代じだい 茨城いばらき県けん