長島ながしま藩はん

長島ながしま藩はん（ながしまはん）は、伊勢いせ国こく桑名くわな郡ぐん長島ながしま（現在げんざいの三重みえ県けん桑名くわな市し長島ながしま町まち）に存在そんざいした藩はん。居城きょじょうは長島ながしま城しろ。

藩はん史ふみ

伊勢いせ長島ながしまは戦国せんごく時代じだい、織田おだ信長のぶながの攻撃こうげきを受うけて天正てんしょう2年ねん（1574年ねん）、一向いっこう一揆いっき衆しゅう2万まん人にんが大量たいりょう虐殺ぎゃくさつされたことで有名ゆうめいである。その後ご、領主りょうしゅは滝川たきがわ一益かずます・織田おだ信雄のぶお・豊臣とよとみ秀次しゅうじとめまぐるしく変かわり、慶長けいちょう3年ねん（1598年ねん）に福島ふくしま正則まさのりの弟おとうと・福島ふくしま高だか晴はれが1万まん石せきで入部にゅうぶした。慶長けいちょう5年ねん（1600年ねん）に高こう晴はれは大和やまと宇陀うだ松山まつやま藩はんへ移うつされ、翌年よくねんに徳川とくがわ譜代ふだいの菅沼すがぬま家かが上野うえの阿保あほ藩はんより2万まん石せきで入はいることにより長島ながしま藩はんが立たて藩はんした。第だい2代だい藩主はんしゅとなった菅沼すがぬま定じょう芳かおるは城しろ改修かいしゅう・城下町じょうかまち建設けんせつ・新田にった開発かいはつなどを行おこなって藩政はんせいの基礎きそを固かためたが、元和がんわ7年ねん（1621年ねん）に近江おうみ膳所ぜぜ藩はんへ移うつされ、長島ながしま藩はんは一時いちじ、廃はい藩はんとなった。

慶安けいあん2年ねん（1649年ねん）、久松ひさまつ松平まつへい家かの松平まつだいら康やすし尚なおが下野げや那須なす藩はんより1万まん石せきで入はいることで再ふたたび立たて藩はんする。しかし貞享ていきょう2年ねん（1685年ねん）に康かん尚しょうの跡あとを継ついだ次男つぐお・松平まつだいら忠ただし充たかしが元禄げんろく15年ねん（1702年ねん）に乱心らんしんにより重臣じゅうしんを殺害さつがいしたため、改易かいえきされた。代かわって常陸ひたち下館しもだて藩はんから増山ますやま正弥まさやが2万まん石せきで入はいる。増山ますやま家かは第だい4代だい将軍しょうぐん・徳川とくがわ家綱いえつなの生母せいぼ・宝たから樹いつき院いんの縁者えんじゃであったことから取とり立たてられた大名だいみょう家かである。第だい6代だい藩主はんしゅ・増山ますやま正ただし寧やすしや第だい7代だい藩主はんしゅ・増山ますやま正ただし修おさむはいずれも若年寄わかどしよりを務つとめた。

以後いご、増山ますやま家かが8代だいにわたって支配しはいし、明治めいじ4年ねん（1871年ねん）の廃藩置県はいはんちけんによって長島ながしま藩はんは廃はいされて長島ながしま県けんとなり、その後ご安濃あのう津つ県けんに編入へんにゅうされた。

長島ながしまはデルタ地帯ちたいのために洪水こうずいによる水害すいがいを受うけやすく、田畑たはたを等級とうきゅう化かすることによる災害さいがい対策たいさくが行おこなわれていた。

歴代れきだい藩主はんしゅ

菅沼すがぬま家か

2万まん石せき。譜代ふだい。

1. 定てい仍（さだより）〈従したがえ五ご位い下か 志摩しま守まもる〉
2. 定てい芳かおる（さだよし）〈従したがえ五ご位い下か 織部おりべ正ただし〉

幕府ばくふ領りょう

元和がんわ7年ねん（1621年ねん） - 慶安けいあん2年ねん（1649年ねん）

松平まつだいら（久松ひさまつ）家か

1万まん石せき。譜代ふだい。

1. 康かん尚しょう（やすひさ）〈従したがえ五ご位い下か 佐さ渡守わたしもり〉
2. 忠ちゅう充たかし（ただみつ）〈従したがえ五ご位い下か 佐さ渡守わたしもり〉

増山ますやま家か

2万まん石せき。譜代ふだい。

1. 正弥まさや（まさみつ）〈従したがえ五ご位い下か 兵部ひょうぶ少しょう輔〉
2. 正せい任にん（まさとう）〈従したがえ五ご位い下か 河内かわうち守まもる〉
3. 正武まさたけ（まさたけ）〈従したがえ五ご位い下か 弾正だんじょう少しょう弼〉
4. 正せい贇（まさよし）〈従したがえ五ご位い下か 対馬つしま守もり〉
5. 正せい賢けん（まさかた）〈従したがえ五ご位い下か 河内かわうち守まもる〉
6. 正せい寧やすし（まさやす）〈従したがえ五ご位い下か 弾正だんじょう少しょう弼〉
7. 正せい修おさむ（まさなお）〈従したがえ五ご位い下か 対馬つしま守もり〉
8. 正せい同どう（まさとも）〈従したがえ五ご位い 備中びっちゅう守もり〉

増山ますやま家か長島ながしま藩はんの家臣かしん

• 十じゅう時じ梅うめ厓（儒官じゅかん）
• 十じゅう時じ梅谷うめたに（儒官じゅかん 梅うめ厓の養子ようし）

幕末ばくまつの領地りょうち

• 伊勢いせ国こく
  • 桑名くわな郡ぐんのうち - 57村むら
• 遠江とおとうみ国こく
  • 榛原はいばら郡ぐんのうち - 24村むら（静岡しずおか藩はんに編入へんにゅう）

明治維新めいじいしん後のちに、桑名くわな郡ぐん18村むら（笠松かさまつ代官だいかん所しょ管轄かんかつの旧きゅう幕府ばくふ領りょう）、上総かずさ国こく周しゅう淮郡41村むら（旧きゅう幕府ばくふ領りょう2村むら、旗はた本領ほんりょう1村むら、前橋まえばし藩はん領りょう1村むら、飯野いいの藩はん領りょう2村むら、安房あわ上総かずさ知とも県けん事ごと領りょう36村むら、内訳うちわけは幕府ばくふ領りょう11村むら、旗はた本領ほんりょう24村むら、与力よりき給きゅう地ち2村むら、西端せいたん藩はん領りょう4村むら、寺社じしゃ領りょうのみ2村むら）が加くわわった。なお相あい給きゅうが存在そんざいするため、村むら数すうの合計ごうけいは一致いっちしない。

脚注きゃくちゅう

先代せんだい （伊勢いせ国こく）

行政ぎょうせい区くの変遷へんせん 1649年ねん - 1871年ねん （長島ながしま藩はん→長島ながしま県けん）

次代じだい 安濃あのう津つ県けん