信濃しなの飯田いいだ藩はん

飯田いいだ藩はん（いいだはん、信濃しなの飯田いいだ藩はん）は、信濃しなの国こく伊那いな郡ぐん南部なんぶ（現在げんざいの長野ながの県けん飯田いいだ市し追手おうて町まち）に存在そんざいした藩はん。藩はん庁ちょうは飯田いいだ城じょうに置おかれた。

概要がいよう

飯田いいだは戦国せんごく時代じだい、武田たけだ家かの家臣かしん・秋山あきやま虎とら繁しげる、徳川とくがわ家かの家臣かしん・菅沼すがぬま定じょう利り、毛利もうり秀頼ひでより（斯波しば氏しの一族いちぞく）が治おさめていた。文ぶん禄ろく2年ねん（1593年ねん）に秀頼ひでよりが死去しきょすると、その娘むすめ婿むこであった京極きょうごく高知こうちが跡あとを継ついだ。慶長けいちょう5年ねん（1600年ねん）の関ヶ原せきがはらの戦たたかいで高知こうちは東ひがし軍ぐんに与くみして本戦ほんせんで戦功せんこうを挙あげたことにより、丹後たんご宮津みやづ藩はんへ加増かぞう移うつり封ふうされた。代かわって慶長けいちょう6年ねん（1601年ねん）、下総しもうさ古河ふるかわ藩はんから小笠原おがさわら秀政ひでまさが5万まん石せきで入はいるが、慶長けいちょう18年ねん（1613年ねん）に信濃しなの松本まつもと藩はんへ移うつり封ふうされ、飯田いいだ藩はんは廃はい藩はんとなり、幕府ばくふ領りょうとされた。

元和がんわ3年ねん（1617年ねん）、伊い予よ大洲おおす藩はんより脇坂わきさか安元やすもと（脇坂わきさか安治やすじの子こ）が5万まん5000石せきで入はいる。安元やすもとの跡あとは脇坂わきさか安政あんせいが継まましいだが、叔父おじの脇坂わきさか安あん総そうに2000石せき分ぶん知ちし、寛文ひろふみ12年ねん（1672年ねん）に播磨はりま龍野たつの藩はんへ移うつり封ふうされ、代かわって堀ほり親ちかし昌あきらが下野げや烏山からすやま藩はんから2万まん石せきで入部にゅうぶした。しかし堀ほり氏しの藩政はんせいは財政ざいせい窮乏きゅうぼうにより早はやくから不安定ふあんていであり、藩はん財政ざいせいは御用達ごようたしから借かり上あげることによって賄まかなわれるという「御ご定じょう借か」体制たいせいであった。このため、宝たから暦れき12年ねん（1762年ねん）には藩政はんせい改革かいかく反対はんたい一揆いっき、文化ぶんか6年ねん（1809年ねん）にも同様どうようの騒動そうどうが起おきている。

第だい10代藩主はんしゅ・堀ほり親ちかし寚は水野みずの忠邦ただくにの天保てんぽうの改革かいかくで幕まく閣かくの一人ひとりとなり、奏者そうしゃ番ばん・寺社じしゃ奉行ぶぎょう・若年寄わかどしより・老中ろうじゅうなどを歴任れきにんして7000石せきを加増かぞうされたが、水野みずの失脚しっきゃくに伴ともない7000石せきは収おさむ公おおやけの上うえ、本ほん高だか3000石せきも減げん封ふうされ、その分ぶんは陸奥みちのく白河しらかわ藩はん領りょうに加くわえられた。

また幕末ばくまつ期きには、常陸ひたち水戸みと藩はんの武田たけだ耕雲斎こううんさいの天狗てんぐ党とうに対たいして何なんの対処たいしょもとらず、清内路せいないじ関所せきしょの通行つうこう阻止そしも懈怠けたいしたため、幕府ばくふから2000石せきを減げん封ふうされ、その分ぶんは旗本はたもと・千村ちむら平ひら右みぎ衛門えもんの預あずか地ちに加くわえられた。第だい11代だい藩主はんしゅ・親義ちかよしは、京都きょうと見みる廻まわり役やくをつとめている。戊辰戦争ぼしんせんそうでは新しん政府せいふに恭順きょうじゅんした。

明治めいじ4年ねん7月がつ、廃藩置県はいはんちけんにより廃はい藩はんとなって飯田いいだ県けん、同年どうねん11月がつには筑摩つかま県けん、明治めいじ9年ねん（1876年ねん）8月がつには長野ながの県けんに編入へんにゅうされた。

歴代れきだい藩主はんしゅ

小笠原おがさわら家か

5万まん石せき 譜代ふだい （1601年ねん - 1613年ねん）

1. 小笠原おがさわら秀政ひでまさ（ひでまさ） 従したがえ五ご位い下か 兵部ひょうぶ大輔だいすけ （小笠原おがさわら貞慶じょうけいの長男ちょうなん）

幕府ばくふ領りょう

（1613年ねん - 1617年ねん）

脇坂わきさか家か

5万まん5000石せき→5万まん3000石せき 外様とざま→譜代ふだい （1617年ねん - 1672年ねん）

1. 脇坂わきさか安元やすもと（やすもと） 従したがえ五ご位い下か 淡路あわじ守もり （脇坂わきさか安治やすじの次男じなん）
2. 脇坂わきさか安政あんせい（やすまさ） 従したがえ五ご位い下か 中務なかつかさ少しょう輔 （武蔵むさし川越かわごえ藩はん主あるじ堀田ほった正ただし盛もりの次男じなん）

堀家ほりいえ

2万まん石せき→2万まん7000石せき→1万まん7000石せき→1万まん5000石せき 外様とざま→譜代ふだい （1672年ねん - 1871年ねん）

1. 堀ほり親ちかし昌あきら（ちかまさ） 従したがえ五ご位い下か 美作みさく守まもる （堀ほり親ちかし良りょうの長男ちょうなん）
2. 堀ほり親ちかし貞さだ（ちかさだ） 従したがえ五ご位い下か 周防すおう守まもる （堀ほり親ちかし昌あきらの長男ちょうなん）
3. 堀ほり親ちかし常つね（ちかつね） 従したがえ五ご位い下か 周防すおう守まもる （近藤こんどう重信しげのぶの長男ちょうなん）
4. 堀ほり親ちかし賢けん（ちかかた） 従したがえ五ご位い下か 大和やまと守もり （堀ほり親ちかし昌あきらの弟おとうと・堀ほり親ちかし智さとしの孫まご）
5. 堀ほり親ちかし庸いさお（ちかのぶ） 従したがえ五ご位い下か 若狭わかさ守まもる （堀ほり親ちかし賢けんの長男ちょうなん）
6. 堀ほり親ちかし蔵ぞう（ちかただ） 従したがえ五ご位い下か 大和やまと守もり （堀ほり親ちかし賢けんの次男じなん）
7. 堀ほり親ちかし長ちょう（ちかなが） 従したがえ五ご位い下か 大和やまと守もり （堀ほり親ちかし蔵ぞうの長男ちょうなん）
8. 堀ほり親忠ちかただ（ちかただ） 従したがえ五ご位い下か 山城やましろ守まもる （堀ほり親ちかし長ちょうの長男ちょうなん）
9. 堀ほり親ちかし民みん（ちかたみ） 従したがえ五ご位い下か 大和やまと守もり （堀ほり親ちかし長ちょうの四よん男なん）
10. 堀ほり親ちかし寚（ちかしげ） 従したがえ四よん位い下か 大和やまと守もり 侍従じじゅう （堀ほり親ちかし長ちょうの五ご男なん）（寚はウ冠うかんむり＋王おう＋缶かん）
11. 堀ほり親義ちかよし（ちかよし） 従したがえ五ご位い下か 石見いわみ守まもる （堀ほり親ちかし寚の次男じなん）
12. 堀ほり親ちかし広ひろ（ちかひろ） 従したがえ五ご位い下か 美濃みの守まもる （堀ほり親ちかし良りょうの三男さんなん・堀ほり親ちかし泰やすしの曾孫そうそん・堀ほり親ちかし因いんの子こ）

幕末ばくまつの領地りょうち

• 信濃しなの国こく
  • 伊那いな郡ぐんのうち - 25村むら

関連かんれん書籍しょせき

• 鈴川すずかわ博ひろし『消けされた飯田いいだ藩はんと江戸えど幕府ばくふ』南みなみ信州しんしゅう新聞しんぶん社しゃ

外部がいぶリンク

• 飯田いいだ（堀ほり幸みゆき之これ進しん親おや幸こう） | 大名だいみょう家か情報じょうほう - 武鑑ぶかん全集ぜんしゅう

先代せんだい （信濃しなの国こく）

行政ぎょうせい区くの変遷へんせん 1617年ねん - 1871年ねん （飯田いいだ藩はん→飯田いいだ県けん）

次代じだい 筑摩つかま県けん