郡上ぐじょう藩はん

郡上ぐじょう藩はん（ぐじょうはん）は、江戸えど時代じだいに美濃みの国こく（現在げんざいの岐阜ぎふ県けん郡上こおりかみ市し八幡やはた町まち）に存在そんざいし郡上こおりかみ郡ぐんの大半たいはんと越前えちぜん国こくの一部いちぶを統治とうちした藩はん。藩はん庁ちょうは八幡やはた城じょう。八幡やはた藩はん（はちまんはん）とも。

藩はん史ふみ

遠藤えんどう氏し

郡上ぐじょうは戦国せんごく時代じだい、織田おだ信長のぶながや豊臣とよとみ氏しの家臣かしんであった遠藤えんどう氏し、次ついで稲葉いなば氏しの支配しはい下かにあった。関ヶ原せきがはらの戦たたかいで稲葉いなば貞通さだみちが豊後ぶんご臼杵うすきに移うつされた後のち、遠藤えんどう慶けい隆たかしも関ヶ原せきがはらの戦たたかいで東ひがし軍ぐんに与くみして戦功せんこうを挙あげたことから、慶けい隆たかしは2万まん7000石せきを与あたえられて旧領きゅうりょう復帰ふっきを許ゆるされ、郡上こおりかみ藩はんが立たて藩はんした。

第だい3代だい藩主はんしゅ・遠藤えんどう常友つねともは弟おとうとの常つね昭あきらに2000石せき(乙原おちばら遠藤えんどう家か)、同おなじく常つね紀きに1000石せきを分与ぶんよ(和かず良りょう遠藤えんどう家か)し旗本はたもととしたため、郡上こおりかみ藩はんは2万まん4000石せきとなった。寛文ひろふみ7年ねん（1667年ねん）に城しろを大だい改修かいしゅうし、遠藤えんどう氏しは「城主じょうしゅ格かく」から正式せいしきな「城主じょうしゅ」として遇ぐうされることとなった。

第だい4代だい藩主はんしゅ・遠藤えんどう常春とこはるの代だいである延のべ宝たから5年ねん（1677年ねん）から百姓ひゃくしょう一揆いっきと家中いえじゅう騒動そうどうが勃発ぼっぱつする。常春とこはるはこれを天和てんわ3年ねん（1683年ねん）に一応いちおう鎮しずめたが、元禄げんろく2年ねん（1689年ねん）3月がつ24日にちに死去しきょした。

常春とこはるの跡あとを継ついだ常久つねひさはしかし元禄げんろく5年ねん（1692年ねん）3月がつ29日にちに7歳さいで死亡しぼう。嗣子ししもおらず、本来ほんらいであれば改易かいえきとなるところだったが、藩はん祖そ・慶けい隆たかしの功績こうせきを賞しょうして存続そんぞくが許ゆるされ、将軍しょうぐん側室そくしつ・お伝でんの方ほうの甥おいの遠藤えんどう胤たね親おやが遠藤えんどう家かの家督かとくを継つぎ、同年どうねん5月がつに常陸ひたち・下野げや両りょう国内こくないで1万まん石せきを与あたえられて移うつり封ふうとなった。分家ぶんけしていた乙原おちばらと和良わらの両りょう遠藤えんどう家かは、そのまま郡上こおりかみ郡ぐん内ないの知行ちぎょう所しょを保たもち明治めいじの版籍はんせき奉還ほうかんに至いたった。

井上いのうえ氏し

同年どうねん11月がつ、井上いのうえ正ただし任にんが常陸ひたち笠間かさま藩はんから5万まん石せきで入はいった。しかし第だい2代だい藩主はんしゅ・井上いのうえ正ただし岑の代だいである元禄げんろく10年ねん（1697年ねん）6月がつ、丹波たんば亀山かめやま藩はんに移うつり封ふうされた。

金森かなもり氏し

その後ごに出羽でわ上山うえやま藩はんから金森かなもり頼よりゆき旹が入はいった。ところが第だい2代だい藩主はんしゅ・金森かなもり頼よりゆき錦にしきの代だいである宝たから暦れき4年ねん（1754年ねん）から4年ねんの長ながきにわたって年貢ねんぐ増徴ぞうちょうに反対はんたいする百姓ひゃくしょう一揆いっきが起おこる（いわゆる郡上ぐじょう一揆いっき）。さらには石徹白いとしろ騒動そうどう（白山しろやま中居なかい神社じんじゃの指導しどう権けんをめぐっての神主かんぬし派は・神かみ頭あたま職しょく派はの争あらそい）と続つづき、頼よりゆき錦にしきは宝たから暦れき8年ねん（1758年ねん）12月に所領しょりょうを没収ぼっしゅうされて改易かいえきとなり、盛岡もりおか藩はんへ身柄みがらを預あづけられた。

青山あおやま氏し

その後ご、丹後たんご宮津みやづ藩はんから青山あおやま幸みゆき道どうが4万まん8000石せきで入はいる。幕末ばくまつ期きの藩主はんしゅ・青山あおやま幸みゆき哉は日本にっぽんで最初さいしょにメめートル法とるほうを紹介しょうかいしたとされている『西洋せいよう度量どりょう考こう』の編者へんしゃとして知しられている。最後さいごの藩主はんしゅ・青山あおやま幸みゆき宜よろしは戊辰戦争ぼしんせんそうで新しん政府せいふ側がわに与くみしたが、家老がろうの朝比奈あさひな藤ふじ兵衛ひょうえの子この茂吉しげよしは凌しのげ霜しも隊たいを組織そしきして旧きゅう幕府ばくふ側がわに味方みかたするなど、藩はんは2つに分わかれて混乱こんらんした。

明治めいじ4年ねん（1871年ねん）の廃藩置県はいはんちけんで郡上こおりかみ藩はんは廃はいされて郡上こおりかみ県けんとなり、旧きゅう郡上ぐじょう藩はん領りょうは同年どうねん11月がつに岐阜ぎふ県けんと福井ふくい県けんに分割ぶんかつされ編入へんにゅうされた。

歴代れきだい藩主はんしゅ

遠藤えんどう家か

2万まん7000石せき→2万まん4000石せき 外様とざま

1. 慶けい隆たかし
2. 慶けい利り
3. 常友つねとも
4. 常春とこはる
5. 常久つねひさ

井上いのうえ家か

5万まん石せき 譜代ふだい

1. 正せい任にん
2. 正せい岑

金森かなもり家か

3万まん8000石せき 外様とざま

1. 頼よりゆき旹
2. 頼よりゆき錦にしき

青山あおやま家か

4万まん8000石せき 譜代ふだい

1. 幸さいわい道みち
2. 幸さいわい完かん
3. 幸孝ゆきたか
4. 幸さいわい寛ひろし
5. 幸さいわい礼あや
6. 幸こう哉
7. 幸こう宜よろし

幕末ばくまつの領地りょうち

• 美濃みの国こく
  • 郡上こおりかみ郡ぐんのうち - 125村むら

木尾きお村むら、繁しげる在ざい村むら、根ね村むら、下田しもだ村むら、高原たかはる村むら、粥かゆ川村かわむら、赤池あかいけ村むら、杉原すぎはら村むら、鬮くじ本村ほんそん、門もん福手ふぐて村むら、那比なび村むら、寺本てらもと村むら、亀尾かめお島村しまむら、鈴原すずはら村むら、腰細こしぼそ村むら、勝原かつはら村むら、大矢おおや村むら、福野ふくの村むら、野尻のじり村むら、新しん羽根はね村むら、下した刈安かりやす村むら、上うえ刈安かりやす村むら、三日市みっかいち村むら、相戸あいど村むら、深ふか戸村とむら、梅原うめはら村むら、名めい津つ佐さ村むら、東ひがし乙原おちばら村むら、千せん虎とら村むら、穀こく見みる村むら、中野なかの村むら、勝かち更さら村むら、島方しまかた村むら、赤谷あかたに村むら、田尻たじり村むら、川かわ佐さ村むら、市島いちじま村むら、在原ありはら村むら、歩ふ岐村、小しょう久ひさ須見すみ村むら、大久おおひさ須見すみ村むら、二間手ふたまて村むら、畑佐はたさ村むら、小川おがわ村むら、坂本さかもと村むら、鎌かま辺べ村むら、漆原うるしはら村むら、口くち長尾ながお村むら、奥おく長尾ながお村むら、東ひがし気良けら村むら、西にし気良けら村むら、寒水かのみず村むら、神谷かみや村むら、下津原しもつはら村むら、吉田よしだ村むら、石原いしはら村むら、符ふ路ろ村むら、鶴つる佐たすく村むら、小野村おのむら、五町ごちょう村むら、坪つぼ佐さ村むら、場皿ばっさら村むら[1]、小瀬こせ子こ村むら、大瀬子おおせこ村むら、口くち神路かんじ村むら、中ちゅう神路かんじ村むら、上うえ神路かんじ村むら、河辺かべ村むら、万場まんば村むら、今こん万場まんば村むら、名皿部なさらべ村むら、落部おちべ村むら、島しま馬場うまば村むら、内うちヶ谷村たにむら、越佐こつさ村むら、向小駄良むかいこだら村むら、二日ふつか町村ちょうそん、長滝ながたき村むら、歩岐島ほきじま村むら、前谷まえたに村むら、鮎あゆ走はし村むら、正せいヶ洞ほら村むら、中切なかぎり村むら（現げん・郡上こおりかみ市し高鷲たかす町まち大鷲おおわし）、穴あな洞ほら村むら、西洞さいと村むら（現げん・郡上こおりかみ市し高鷲たかす町まち西洞さいと）、鷲見わしみ村むら、向こう鷲見わしみ村むら、切立きったて村むら、阿多岐あたぎ村むら、折おり村むら、高久たかく村むら、藤林ふじばやし村むら、畑はたけヶ谷村たにむら、栃とち洞ほら村むら、橋詰はしづめ村むら、野添のぞえ村むら、中西なかにし村むら、陰地おんじ村むら、那留なる村むら、白鳥しらとり村むら、為真ためざに村むら、大島おおしま村むら、中津屋なかつや村むら、剣つるぎ村むら、徳永とくなが村むら、牧村まきむら、大間見おおまみ村むら、小間見こまみ村むら、西俣にしまた村むら、母袋もたい村むら、東俣ひがしまた村むら、戒仏村むら、坪谷つぼたに村むら、為安ためやす村むら、鳩ばと畑村はたむら、深ふか皿さら村むら、原村はらむら、中切なかぎり村むら（現げん・郡上こおりかみ市し八幡やはた町まち初音はつね）、是ぜ本村ほんそん、中坪なかつぼ村むら、上之うえの洞ほら村むら、安久田あくだ村むら、印しるし雀すずめ村むら、西洞さいと村むら（現げん・郡上こおりかみ市し八幡やはた町まち初音はつね）、鬼おに谷村たにむら、八幡やはた町まち

• 越前えちぜん国こく
  • 南条なんじょう郡ぐんのうち - 5村むら　千福せんぷく村むらに 千福せんぷく陣屋じんやを置おいていた。

千福せんぷく村むら・妙法寺みょうほうじ村むら・上野うえの村むら・金粕かなかす村むら・中津原なかつはら村むら（小浜おばま藩はんと相そう給きゅう）

• • 丹生にゅう郡ぐんのうち - 13村むら（うち1村むらを本保ほんぼ県けんに編入へんにゅう）

石生谷いしょうだに村むら・上野うえの村むら・野村のむら・寺村てらむら・蝉口せみくち村むら・下した大倉おおくら村むら・吉田よしだ村むら・田村たむら・二に町まち掛かけ村むら・冬島ふゆしま村むら・和田わだ村むら・余田はぐり村むら（幕府ばくふ領りょうと割わり郷きょう）・朝日あさひ村むら（幸さいわい若わか領りょうと相そう給きゅう）

• • 大野おおの郡ぐんのうち - 66村むら　郡上こおりかみ藩はんは井上いのうえ家か以来いらい、若猪野わかいの村むらに若猪野わかいの陣屋じんやを置おき、常時じょうじ代官だいかんを二に人にんずつ配置はいちして年貢ねんぐ収納しゅうのうを初はじめ民政みんせい一般いっぱんを担当たんとうさせた。

若猪野わかいの村むら、上高島かみたかしま村むら、北市きたいち村むら、細野ほその村むら、上野うえの村むら、野尻のじり村むら、朝日あさひ村むら、栃とち神谷かみや村むら、河合かわい村むら、木根きね橋村きょうそん、小原おはら村むら、朝日前坂あさひまえさか村むら、角野前坂かくのまえさか村むら、後野うしろの村むら、伊月いつき村むら、川合かわい村むら、貝皿かいざら村むら、板倉いたくら村むら、新河原しんかわら村むら、川島かわじま村むら、西勝原にしかどはら村むら、仏原ぶつばる村むら、上打波かみうちなみ村むら、吉村よしむら、土布子つちふご村むら、北山きたやま村むら、下打波しもうちなみ村むら、東勝原ひがしかどはら村むら、東山ひがしやま村むら、下高島しもたかしま村むら、米べい俵たわら村むら、薬師くすし神谷かみや村むら、伊勢いせ村むら、松田まつだ村むら、田名部たなぶ村むら、巣す原村はらむら、温見ぬくみ村むら、木本もくほん地頭じとう村むら、森山もりやま村むら、大矢おおや谷村たにむら、岩いわヶ野村のむら、発はつ坂村さかむら、別所べっしょ村むら、寺尾てらお村むら、暮くれ見みる村むら、大渡おおど村むら、野津のつ又村またむら（現げん・勝山かちやま市し）、長野ながの村むら、鷲わし村むら、角野かくの村むら、下大納しもおおの村むら、下山村しもやまむら、石谷いしがい村むら、松丸まつまる村むら、下麻生しもあさお島村しまむら、横倉よこくら村むら、御給ごきゅう村むら、市し布ぬの村むら（現げん・大野おおの市し）、上うえ半原はばら村むら、下半原しもはんばら村むら、荷に暮くれ村むら、井ノ口いのくち村むら、森政領家もりまさりょうけ村むら、平沢ひらさわ地頭じとう村むら、平沢ひらさわ領家りょうけ村むら、久沢くざわ村むら

外部がいぶリンク

• 郡上ぐじょう（青山あおやま大膳だいぜん亮あきら幸さいわい完かん） | 大名だいみょう家か情報じょうほう - 武鑑ぶかん全集ぜんしゅう

先代せんだい （美濃みの国こく）

行政ぎょうせい区くの変遷へんせん 1600年ねん - 1871年ねん （郡上こおりかみ藩はん→郡上こおりかみ県けん）

次代じだい 岐阜ぎふ県けん