明石あかし藩はん

明石あかし藩はん（あかしはん）は、播磨はりま国こく明石あかし郡ぐん、播磨はりま国こく美嚢みのう郡ぐん（兵庫ひょうご県けん明石あかし市し、神戸こうべ市し西にし区く、神戸こうべ市し垂水たるみ区く、兵庫ひょうご県けん三木みき市し）を領りょうした藩はん。藩はん庁ちょうは明石あかし城しろに置おかれた。

藩はん史ふみ

譜代ふだいと御ご家門かもんの大名だいみょうが頻繁ひんぱんに入いれ替かわった。

譜代ふだい大名だいみょう家か時代じだい

江戸えど時代じだい初頭しょとうは播磨はりま一いち国こくを支配しはいする姫路ひめじ藩はん池田いけだ家かの所領しょりょうであった。元和がんわ3年ねん（1617年ねん）、池田いけだ光政みつまさが鳥取とっとり藩はんに転てん封ふうとなると、播磨はりまの所領しょりょうは、松平まつだいら信康のぶやすの娘むすめ・峯みね高だか院いんが嫁とついだ小笠原おがさわら秀政ひでまさの明石あかし藩はん10万まん石せきと、同おなじく妙みょう高だか院いんが嫁とついだ本多ほんだ忠政ただまさの姫路ひめじ藩はん15万まん石せきおよびその部屋住へやずみ料りょう10万まん石せき、忠政ただまさの次男じなん本多ほんだ政朝まさともの龍野たつの藩はん5万まん石せき、徳川とくがわ家康いえやすの娘むすめ・良よ正院しょういんの遺のこ領りょうを分配ぶんぱいした赤穂あこう藩はん3.5万まん石せき、平福ひらふく藩はん2.5万まん石せき、山崎やまざき藩はん3.8万まん石せきとその池田いけだ家か一族いちぞくの鵤いかる藩はん1万まん石せき、林田はやしだ藩はん1万まん石せきの中小ちゅうしょう藩はんに分割ぶんかつされた。そのうちの一ひとつが明石あかし藩はんである。

立たて藩はんは池田いけだ家かが転うたて封ふうとなった元和がんわ3年ねんである。信濃しなの国こく松本まつもと藩はんより秀政ひでまさの嫡男ちゃくなん・小笠原おがさわら忠真ただざねが10万まん石せきで入にゅう封ふうしたことに始はじまる。忠真ただざねはそれまでこの地方ちほうの拠点きょてんであった、三木みき城しろ、船上せんじょう城じょう（ふなげじょう）を廃はいし、明石あかし城じょうを建設けんせつした。この城しろの持もつ性格せいかくは、海上かいじょう交通こうつうの監視かんし、西国さいごく大名だいみょうへの押おさえの拠点きょてん城郭じょうかくの一ひとつとなったことである。寛永かんえい9年ねん（1632年ねん）、忠真ただざねは豊前ぶぜん国こく小倉こくら藩はんに転てん封ふうとなった。

寛永かんえい10年ねん（1633年ねん）、信濃しなの国松くにまつ本ほん藩はんより松平まつだいら（戸田とだ）庸いさお直ただしが7万まん石せきで入にゅう封ふうした。翌年よくねん18歳さいで死去しきょしたため、兄あに・忠光ただみつの子こ・光重みつしげが継まましいだが、寛永かんえい16年ねん（1639年ねん）に美濃みの国こく加納かのう藩はんへ転てん封ふうとなった。同地どうちより交代こうたいで大久保おおくぼ忠ただし職しょくが7万まん石せきで入にゅう封ふうしたが、慶安けいあん4年ねん（1649年ねん）に肥前ひぜん国こく唐津からつ藩はんへ転てん封ふうとなった。同年どうねん、丹波たんば国こく篠山しのやま藩はんより松平まつだいら（藤井ふじい）忠国ただくにが7万まん石せきで入にゅう封ふうする。嗣子しし・信之のぶゆきの時代じだいに弟おとうと・信重のぶしげに5千せん石せきを分ぶん知ちしたため、6万まん5千せん石せきとなった。延のべ宝たから7年ねん（1679年ねん）、信之のぶゆきは大和やまと国こく郡山こおりやま藩はんに転てん封ふうとなった。なお、信之のぶゆきは名君めいくんの誉ほまれ高たかく、新田にった開発かいはつを進すすめた。郡山こおりやま転てん封ふう後ごは老中ろうじゅうとなっている。同地どうちより交代こうたいで、本多ほんだ政利まさとしが6万まん石せきで入にゅう封ふうする。過酷かこくな政策せいさくを強しいた罪つみにより、天和てんわ2年ねん（1682年ねん）に陸奥みちのく国こく岩瀬いわせ藩はん1万まん石せきに減げん封ふうの上うえ、転うたて封ふうとなった。

明石あかし松平まつへい家か時代じだい

天和てんわ2年ねん（1682年ねん）、越前えちぜん国こく大野おおの藩はんより松平まつだいら直明なおあきが6万まん石せきにて入にゅう封ふうし、越前えちぜん松平まつへい家かの支配しはいが廃藩置県はいはんちけんまで続つづいた。8代だい・斉ひとし宣せんは11代だい将軍しょうぐん・家斉いえなりの二に十じゅう五ご男なんで、この時とき2万まん石せきの加増かぞうを受うけ、8万まん石せき（10万まん石せき格かく）となった。

しかし、将軍家しょうぐんけの子息しそくを迎むかえることで莫大ばくだいな費用ひようを要ようし、財政難ざいせいなんに一層いっそうの拍車はくしゃがかかった。幕末ばくまつには御ご家門かもんの立場たちば上じょう佐幕さばく派はとなり、鳥羽とば・伏見ふしみの戦たたかいでも幕府ばくふ方かたとして参戦さんせんした。その後ご、明治めいじ政府せいふ方かたに帰順きじゅんした。明治めいじ4年ねん（1871年ねん）、廃藩置県はいはんちけんにより明石あかし県けんとなり、姫路ひめじ県けん・飾磨しかま県けんを経へて兵庫ひょうご県けんに編入へんにゅうされている。越前えちぜん松平まつへい家かは明治めいじ17年ねん（1884年ねん）、華族かぞく令れいにより子爵ししゃくとなった。

歴代れきだい藩主はんしゅ

小笠原おがさわら家か

譜代ふだい 10万まん石せき（1617年ねん - 1632年ねん）

忠真ただざね

戸田とだ松平まつへい家か

譜代ふだい 7万まん石せき（1633年ねん - 1639年ねん）

大久保おおくぼ家か

譜代ふだい 7万まん石せき（1639年ねん - 1649年ねん）

忠ちゅう職しょく

藤井ふじい松平まつへい家か

譜代ふだい 7万まん石せき→6万まん5千せん石せき（1649年ねん - 1679年ねん）

忠国ただくに
信之のぶゆき分ぶん知ちにより6万まん5千せん石せき

本多ほんだ家か

譜代ふだい 6万まん石せき（1679年ねん - 1682年ねん）

政利まさとし

明石あかし松平まつへい家か

親藩しんぱん 6万まん石せき→8万まん石せき（10万まん石せき格かく）（1682年ねん - 1871年ねん）

幕末ばくまつの領地りょうち

播磨はりま国こく
- 美嚢みのう郡ぐんのうち - 81村むら
- 明石あかし郡ぐんのうち - 145村むら（残部ざんぶは寺社じしゃ領りょうでありほぼ全域ぜんいき）
美作みさく国こく
- 吉野よしの郡ぐんのうち - 44村むら

参考さんこう文献ぶんけん

児玉こだま幸みゆき多た・北島きたじま正ただし元もと監修かんしゅう『藩はん史し総覧そうらん』新人物往来社しんじんぶつおうらいしゃ、1977年ねん
『別冊べっさつ歴史れきし読本とくほん24 江戸えど三さん百ひゃく藩はん藩主はんしゅ総覧そうらん歴代れきだい藩主はんしゅでたどる藩政はんせい史し』新人物往来社しんじんぶつおうらいしゃ、1997年ねん ISBN 978-4404025241
黒田くろだ義隆よしたか編著へんちょ『明石あかし藩はん略りゃく史し』明石あかし葵まもる会かい、1981年ねん
『大名だいみょうの日本にっぽん地図ちず』中嶋なかじま繁雄しげお著ちょ文春ぶんしゅん新書しんしょ 2003年ねん ISBN 978-4166603527

外部がいぶリンク

明石あかし（松平まつだいら恒吉つねきち直ちょく周しゅう） | 大名だいみょう家か情報じょうほう - 武鑑ぶかん全集ぜんしゅう

先代せんだい（播磨はりま国こく）	行政ぎょうせい区くの変遷へんせん 1617年ねん - 1871年ねん（明石あかし藩はん→明石あかし県けん）	次代じだい姫路ひめじ県けん

表ひょう話はなし編へん歴れき大政奉還たいせいほうかんから廃藩置県はいはんちけんまでの間あいだに存在そんざいした藩はん慶応けいおう3年ねん（1867年ねん）旧暦きゅうれき10月がつ - 明治めいじ4年ねん（1871年ねん）旧暦きゅうれき7月がつ
北海道ほっかいどう地方ちほう	松前まさき藩はん（館かん藩はん）
東北とうほく地方ちほう	黒石くろいし藩はん弘前ひろさき藩はん八戸はちのへ藩はん ●○盛岡もりおか藩はん（白石しらいし藩はん → 盛岡もりおか藩はん）盛岡もりおか新田にった藩はん（七なな戸こ藩はん）一関いちのせき藩はん久保田くぼた藩はん（秋田あきた藩はん）秋田あきた新田にった藩はん（岩崎いわさき藩はん）亀田かめだ藩はん本荘ほんじょう藩はん ★矢島やじま藩はん出羽でわ松山まつやま藩はん（松嶺まつみね藩はん）仙台せんだい藩はん鶴岡つるおか藩はん（大泉おおいずみ藩はん）新庄しんじょう藩はん ○長瀞ながとろ藩はん（大網おおあみ藩はん → 龍ヶ崎りゅうがさき藩はん）天童てんどう藩はん ○山形やまがた藩はん（朝日山あさひやま藩はん）上山うえやま藩はん米沢よねざわ藩はん ▲米沢よねざわ新田しんでん藩はん（米沢よねざわ藩はん） ○福島ふくしま藩はん（重原しげはら藩はん）下手渡しもてど藩はん二本松にほんまつ藩はん ○会津あいづ藩はん（斗と南みなみ藩はん）中村なかむら藩はん三春みはる藩はん ○守山もりやま藩はん（松川まつかわ藩はん）磐城いわき平ひら藩はん湯ゆ長谷ながたに藩はん泉いずみ藩はん ○白河しらかわ藩はん（棚倉たなぐら藩はん）
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中部ちゅうぶ地方ちほう	○沼津ぬまづ藩はん（菊間きくま藩はん） ○小島こじま藩はん（桜井さくらい藩はん） ★駿河するが府中ふちゅう藩はん（静岡しずおか藩はん） ○田中たなか藩はん（長尾ちょうび藩はん） ○相良さがら藩はん（小久保こくぼ藩はん） ○掛川かけがわ藩はん（柴山しばやま藩はん → 松尾まつお藩はん） ○横須賀よこすか藩はん（花房はなぶさ藩はん） ○浜松はままつ藩はん（鶴舞つるまい藩はん） ★堀江ほりえ藩はん三河みかわ吉田よしだ藩はん（豊橋とよはし藩はん）田原たはら藩はん岡崎おかざき藩はん西にし大平おおひら藩はん挙母ころも藩はん刈谷かりや藩はん西端せいたん藩はん西尾にしお藩はん ★犬山いぬやま藩はん尾張おわり藩はん（名古屋なごや藩はん）苗木なえぎ藩はん岩村いわむら藩はん郡上ぐじょう藩はん高富たかとみ藩はん加納かのう藩はん大垣おおがき藩はん大垣おおがき新田にった藩はん（野村のむら藩はん） ★今尾いまお藩はん ●高須たかす藩はん（名古屋なごや藩はん）
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中国ちゅうごく地方ちほう	鳥取とっとり藩はん ▲鹿しか奴やつ藩はん（鳥取とっとり藩はん） ▲若わか桜さくら藩はん（鳥取とっとり藩はん）松江まつえ藩はん広瀬ひろせ藩はん母里もり藩はん ●津和野つわの藩はん岡山おかやま藩はん津山つやま藩はん勝山かつやま藩はん（真島ましま藩はん）鶴田つるた藩はん浅尾あさお藩はん庭瀬にわせ藩はん岡田おかだ藩はん足守あしもり藩はん新見にいみ藩はん備中びっちゅう松山まつやま藩はん（高梁たかはし藩はん） ★成羽なりわ藩はん岡山おかやま新田にった藩はん（鴨方かもがた藩はん）岡山おかやま新田にった藩はん（生坂いくさか藩はん）福山ふくやま藩はん広島ひろしま藩はん ▲広島ひろしま新田にった藩はん（広島ひろしま藩はん）長州ちょうしゅう藩はん ★岩国いわくに藩はん ●徳山とくやま藩はん（山口やまぐち藩はん）清末きよすえ藩はん長門ながと府中ふちゅう藩はん（豊浦とようら藩はん）
四国しこく地方ちほう	高松たかまつ藩はん ●丸亀まるがめ藩はん ●多度津たどつ藩はん徳島とくしま藩はん土佐とさ藩はん（高知こうち藩はん） ▲土佐とさ新田にった藩はん（高知こうち藩はん）西条さいじょう藩はん小松こまつ藩はん今治いまばり藩はん伊予いよ松山まつやま藩はん新谷しんたに藩はん大洲おおす藩はん伊予いよ吉田よしだ藩はん宇和島うわじま藩はん
九州きゅうしゅう地方ちほう	○小倉こくら藩はん（香春かわら藩はん → 豊津とよつ藩はん）小倉おぐら新田しんでん藩はん（千束せんそく藩はん）中津なかつ藩はん杵築きつき藩はん日出にっしゅつ藩はん森もり藩はん府内ふない藩はん臼杵きゅうしょ藩はん佐伯さえき藩はん岡おか藩はん延岡のべおか藩はん高鍋たかなべ藩はん佐土原さどわら藩はん飫肥おび藩はん福岡ふくおか藩はん秋月しゅうげつ藩はん久留くる米べい藩はん柳河やなかわ藩はん三池みいけ藩はん蓮池はすいけ藩はん佐賀さが藩はん小城おぎ藩はん唐津からつ藩はん平戸ひらど藩はん ▲平戸ひらど新田にった藩はん（平戸ひらど藩はん）鹿島かしま藩はん大村おおむら藩はん島原しまばら藩はん福江ふくえ藩はん ▲富江とみえ藩はん（福江ふくえ藩はん）対馬つしま府中ふちゅう藩はん（厳原ごんばら藩はん） ○▲肥後ひご新田しんでん藩はん（高瀬たかせ藩はん → 熊本くまもと藩はん）熊本くまもと藩はん ▲宇土うと藩はん（熊本くまもと藩はん）人吉ひとよし藩はん薩摩さつま藩はん（鹿児島かごしま藩はん）
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藩はん庁ちょうの置おかれた地域ちいきを基準きじゅんに分類ぶんるいしているが、他たの地方ちほうに移転いてんしている藩はんもある。順番じゅんばんは『三さん百ひゃく藩はん戊辰戦争ぼしんせんそう事典じてん』による。明治めいじ期きの変更へんこう: ★＝新設しんせつ、●＝廃止はいし、○＝移転いてん・改称かいしょう、▲＝任にん知ち藩はん事前じぜんに本ほん藩はんに併合へいごう。（）内ないは移転いてん・改称かいしょう・併合へいごう後ごの藩はん名めい。（）のないものは県けんに編入へんにゅう。