鳥羽とば藩はん

鳥羽とば藩はん（とばはん）は、志摩しま国こく答志とうし郡ぐん（現在げんざいの三重みえ県けん鳥羽とっぱ市し鳥羽とば）に存在そんざいした藩はん。藩はん庁ちょうは鳥羽とば城しろに置おかれた。

藩はん史ふみ

織田おだ信長のぶながに仕つかえ、当時とうじ最強さいきょうと言いわれた毛利もうり水軍すいぐんをわずか数すう隻せきの鉄てつ甲かぶと船せんで打うち破やぶったことで有名ゆうめいな織田おだ水軍すいぐんの将しょう・九鬼くき嘉隆よしたかを藩はん祖そとする。慶長けいちょう5年ねん（1600年ねん）嘉隆よしたかは西にし軍ぐんに、子この九鬼くき守まもる隆たかしは東ひがし軍ぐんに与くみして関ヶ原せきがはらの戦たたかいを戦たたかった。これは、父子ふし対立たいりつというよりはどちらが勝利しょうりしても九鬼くき家かが存続そんぞくできるように嘉隆よしたかが図はかったものと言いわれている。しかし守まもり隆たかしは戦後せんご、父ちちの助命じょめいを徳川とくがわ家康いえやすに嘆願たんがんして認みとめられていたが、それを報しらせる前まえに嘉隆よしたかは自害じがいした。

守まもり隆たかしは戦後せんごに2万まん石せきを加増かぞうされ、大坂おおさかの陣じんでも戦功せんこうにより1,000石せきを加増かぞうされて5万まん6,000石せきの大名だいみょうとなった。寛永かんえい9年ねん（1632年ねん）に守まもり隆たかしが死去しきょすると家督かとく争あらそいが起おこり、幕府ばくふの介入かいにゅうの結果けっか、家督かとくは守まもり隆たかしの五ご男なんの九鬼くき久隆ひさたかが継まましいで摂津せっつ三田みた藩はんへ移うつり封ふう、三男さんなんの九鬼くき隆たかし季きが丹後たんご綾部あやべ藩はんに2万まん石せきで移うつり封ふうとなり、九鬼くき氏しは分裂ぶんれつさせられた上うえ、基盤きばんとなる水軍すいぐんをも失うしなった。

翌年よくねん、常陸ひたち国こく内うちで2万まん石せきを領りょうしていた内藤ないとう忠重ただしげが3万まん5,000石せきで入はいる。この内藤ないとう氏しは内藤ないとう清きよし長ちょうの一族いちぞくで、その分家ぶんけ筋すじである。忠重ただしげの後のち、内藤ないとう忠政ただまさ、そして内藤ないとう忠勝ただかつと継つがれたが、延のべ宝たから8年ねん（1680年ねん）に忠勝ただかつは芝しば増上寺ぞうじょうじにおいて第だい4代だい将軍しょうぐん徳川とくがわ家綱いえつなの法会ほうえの席上せきじょうで、私情しじょうから永井ながい尚しょう長ちょうを殺害さつがいしたために切腹せっぷく・改易かいえきとなり、鳥羽とば藩はんはその後ご8か月げつは幕府ばくふ直轄ちょっかつ地ちとなった。ちなみに忠勝ただかつは、後のちに松まつの廊下ろうか刃傷にんじょう事件じけんを起おこした播磨はりま赤穂あこう藩はん主あるじ浅野あさの長矩ながのりの叔父おじに当あたる。

翌よく天和てんわ元年がんねん（1681年ねん）、下総しもうさ古河ふるかわ藩はんから土井どい利益りえきが7万まん石せきで入はいる。しかし元禄げんろく4年ねん（1691年ねん）、肥前ひぜん唐津からつ藩はんへ移うつり封ふうとなる。入いれ替かわりで松平まつだいら乗じょう邑が6万まん石せきで入はいるが、これも宝永ほうえい7年ねん（1710年ねん）に伊勢いせ亀山かめやま藩はんへ移うつり封ふうとなる。入いれ替かわりで板倉いたくら重治しげはるが5万まん石せきで入はいるが、これも享とおる保ほ2年ねん（1717年ねん）、再ふたたび亀山かめやまへ移うつり封ふうとなる。代かわって山城やましろ国こく淀よどみ藩はんから松平まつだいら光ひかり慈が7万まん石せきで入はいるが、これも享とおる保ほ10年ねん（1725年ねん）に信濃しなの松本まつもと藩はんへ、というように藩主はんしゅ家かが安定あんていしなかった。

稲垣いながき昭あきら賢けんが下野げや烏山からすやま藩はんから3万まん石せきで入はいり、ようやく藩主はんしゅ家かが定着ていちゃくした。その後ご稲垣いながき氏しは8代だいにわたって鳥羽とばを支配しはいした。

幕末ばくまつには幕府ばくふから黒船くろふね来航らいこうへの対策たいさくとして津つ藩はんとともに伊勢神宮いせじんぐうと伊い雑ざつ宮みやの防衛ぼうえいを命めいじられ、志摩しま地方ちほうの沿岸えんがん部ぶには次々つぎつぎと台場だいばが築きずかれ大砲たいほうが設置せっちされた。安乗崎あのりざきの日和山ひよりやま台場だいばに設置せっちされていた鉄製てつせい砲身ほうしん（全長ぜんちょう171cm、胴回どうまわりの最大さいだい部ぶ118cm）には、藩主はんしゅ稲垣いながき家かの家紋かもんである抱だき茗荷みょうがの浮彫うきぼりが入いれられており、安乗あのり神社じんじゃに保存ほぞんされ志摩しま市し指定してい有形ゆうけい文化財ぶんかざいになっている。

鳥羽とば・伏見ふしみの戦たたかいの際さいには藩はん兵へいが戦闘せんとうに参加さんかし、藩主はんしゅの稲垣いながき長行おさゆきも江戸えど滞在たいざい中ちゅうであったため新しん政府せいふ軍ぐんによる討伐とうばつの可能かのう性せいが浮上ふじょうするが、長行おさゆきの謹慎きんしんと部隊ぶたい長ちょうらの永えい禁錮きんこ、軍資金ぐんしきん1万まん5,000両りょうなどを引換ひきかえに宥免ゆうめんされた。明治めいじ4年ねん（1871年ねん）の廃藩置県はいはんちけんで鳥羽とっぱ藩はんは廃はい藩はんとなって鳥羽とっぱ県けん、さらに度会わたらい県けんを経へて三重みえ県けんに編入へんにゅうされた。

歴代れきだい藩主はんしゅ

九鬼くき家か

3万まん5000石せき→5万まん5000石せき→5万まん6000石せき 外様とざま

1. 九鬼くき守まもる隆たかし（もりたか） 従したがえ五ご位い下か 長門ながと守まもる
2. 九鬼くき久隆ひさたか（ひさたか） 従したがえ五ご位い下か 大和やまと守もり：相続そうぞくと同時どうじに摂津せっつ国こく三田みた藩はんへと転うたて封ふう

内藤ないとう家か

3万まん5000石せき 譜代ふだい

1. 内藤ないとう忠重ただしげ（ただしげ） 従したがえ五ご位い下か 志摩しま守まもる
2. 内藤ないとう忠政ただまさ（ただまさ） 従したがえ五ご位い下か 飛騨ひだ守もり
3. 内藤ないとう忠勝ただかつ（ただかつ） 従したがえ五ご位い下か 和泉いずみ守まもる：延のべ宝たから8年ねん（1680年ねん）に改易かいえき

幕まく領りょう

一時いちじ的てきに幕府ばくふが管理かんり。

土井どい家か

7万まん石せき 譜代ふだい

1. 土井どい利益りえき（とします） 従したがえ五ご位い下か 周防すおう守まもる：下総しもうさ国こく古河ふるかわ藩はんより入にゅう封ふう・肥前ひぜん国こく唐津からつ藩はんへ転てん封ふう

松平まつだいら（大給おぎゅう）家か

6万まん石せき 譜代ふだい

1. 松平まつだいら乗じょう邑（のりさと） 従したがえ四よん位い下か 和泉いずみ守まもる、侍従じじゅう：肥前ひぜん国こく唐津からつ藩はんより入にゅう封ふう・伊勢いせ国こく亀山かめやま藩はんへ転てん封ふう

板倉いたくら家か

5万まん石せき 譜代ふだい

1. 板倉いたくら重治しげはる（しげはる） 従したがえ四よん位い下か 近江おうみ守まもる：伊勢いせ国こく亀山かめやま藩はんより入にゅう封ふう・同どう藩はんへ転てん封ふう

松平まつだいら（戸田とだ）家か

7万まん石せき 譜代ふだい

1. 松平まつだいら光ひかり慈（みつちか） 従したがえ五ご位い下か 丹波たんば守まもる：山城やましろ国こく淀よどみ藩はんより入にゅう封ふう・信濃しなの国こく松本まつもと藩はんへ転てん封ふう

稲垣いながき家か

3万まん石せき 譜代ふだい

1. 稲垣いながき昭あきら賢けん（てるかた） 従したがえ五ご位い下か 信濃しなの守まもる：下野げや国こく烏山からすやま藩はんより入にゅう封ふう
2. 稲垣いながき昭あきら央ひさし（てるなか） 従したがえ五ご位い下か 対馬つしま守もり
3. 稲垣いながき長ちょう以（ながもち） 従したがえ五ご位い下か 摂津せっつ守もり
4. 稲垣いながき長ちょう続つづけ（ながつぐ） 従したがえ五ご位い下か 対馬つしま守もり
5. 稲垣いながき長ちょう剛つよし（ながかた） 従したがえ五ご位い下か 対馬つしま守もり
6. 稲垣いながき長明ちょうめい（ながあき） 従したがえ五ご位い下か 摂津せっつ守もり
7. 稲垣いながき長行おさゆき（ながゆき） 従したがえ五ご位い下か 摂津せっつ守もり
8. 稲垣いながき長ちょう敬たかし（ながひろ） 従したがえ五ご位い下か 対馬つしま守もり

幕末ばくまつの領地りょうち

• 伊勢いせ国こく
  • 飯野いいの郡ぐんのうち - 8村むら
  • 多気たき郡ぐんのうち - 4村むら
  • 度会わたらい郡ぐんのうち - 5村むら
• 志摩しま国こく一いち円えん
  • 答志とうし郡ぐん - 37村むら
  • 英えい虞おそれ郡ぐん - 19村むら

関連かんれん項目こうもく

• 池上いけがみ町まち (鳥羽とっぱ市し) - 藩はんの刑場けいじょうがあった。

外部がいぶリンク

• 鳥羽とば（稲垣いながき摂津せっつ守もり長ちょう以） | 大名だいみょう家か情報じょうほう - 武鑑ぶかん全集ぜんしゅう

先代せんだい （志摩しま国こく）

行政ぎょうせい区くの変遷へんせん 1681年ねん - 1871年ねん （鳥羽とっぱ藩はん→鳥羽とっぱ県けん）

次代じだい 度会わたらい県けん