三上みかみ藩はん

三上みかみ藩はん（みかみはん）は、現在げんざいの滋賀しが県けん野洲やす市し三さん上じょうに存在そんざいした藩はん。藩はん庁ちょうは三上みかみ陣屋じんや（城主じょうしゅ格かく）^[1]。

藩はん史ふみ

藩主はんしゅ家かは遠藤えんどう家かである。遠藤えんどう家かは美濃みの郡上ぐじょう藩はん2万まん4000石せきを領りょうしていたが、元禄げんろく2年ねん（1689年ねん）に第だい4代だい藩主はんしゅ遠藤えんどう常春とこはるが謎なぞの死しを遂とげると、これが家臣かしん団だんを二分にぶんする家督かとく騒動そうどうに発展はってんした。跡目あとめを相続そうぞくした遠藤えんどう常久つねひさも元禄げんろく6年ねん（1693年ねん）、7歳さいで夭逝ようせいするに及および、郡上ぐじょう藩はん遠藤えんどう家かは無む嗣改易かいえきとなった。しかし藩はん祖そ・遠藤えんどう慶けい隆たかしの功績こうせきが特とくに考慮こうりょされた結果けっか、時ときの将軍しょうぐん・徳川とくがわ綱吉つなよしは側室そくしつ・お伝でんの方ほうの妹いもうとと旗本はたもと・白須しらす正ただし休きゅうの間あいだの長男ちょうなんを、いったん遠藤えんどう家かの姻戚いんせきにあたる美濃みの大垣おおがき新田にった藩はん主おも・戸田とだ氏し成なりの養子ようしとしたうえで、これを改あらためて遠藤えんどう家かに入いれて遠藤えんどう胤たね親おやと名乗なのらせ、この胤たね親おやに常陸ひたち・下野げやで都合つごう1万まん石せきを与あたえた。こうして旧きゅう郡上こおりかみ藩はん遠藤えんどう家かとはまったく無縁むえんながらも胤たね親おやが大名だいみょうに取とり立たてられたことで、遠藤えんどう家かは形かたちながらも家名かめい存続そんぞくを果はたした。この胤たね親おやが元禄げんろく11年ねん（1698年ねん）に近江おうみ四よん郡ぐんに移うつり封ふうとなり、三上みかみ藩はんが立たて藩はんした。

若年寄わかどしよりとなった第だい5代だい藩主はんしゅ・遠藤えんどう胤たね統みつるは、嘉よしみ永ひさし5年ねん12月（1853年ねん2月がつ）、江戸城えどじょう西にしの丸まる造営ぞうえいの功績こうせきを賞しょうされて2000石せきの加増かぞうを受うけた。幕末ばくまつの万延まんえん元年がんねん（1860年ねん）には城主じょうしゅ格かくに格上かくあげされている。胤たね統みつるは文久ぶんきゅう3年ねん（1863年ねん）に隠居いんきょし、跡あとを孫まごの遠藤えんどう胤たね城じょうが継ついだ。胤たね城じょうは講こう武たけ所しょ奉行ぶぎょうに任にんじられ、長州ちょうしゅう征伐せいばつなどに活躍かつやくした。徳川とくがわ慶喜よしのぶの代だいには奏者そうしゃ番ばんに任にんじられて将軍しょうぐん側近そっきんとなり、佐幕さばく派はとしての立場たちばを貫つらぬいた。このため、慶応けいおう4年ねん（1868年ねん）1月がつに新しん政府せいふから朝敵ちょうてきと見みなされて領地りょうちを召めし上あげられた。しかし同年どうねん5月がつには罪つみを許ゆるされて領地りょうちを戻もどされ、翌年よくねん6月がつに三上みかみ藩はん知事ちじに任にんじられた。胤たね城じょうはその後ご明治めいじ3年ねん4月がつ14日にち（1870年ねん 7月がつ31日にち）^[2]に藩はん庁ちょうを和泉いずみ国こく吉見よしみに移うつしたため、以後いごは吉見よしみ藩はんと呼よばれることとなった。

現存げんそん建物たてもの

伝つて裏門うらもん - 三上みかみの集落しゅうらく内ないの個人こじん宅たくに移築いちく
永原ながはら御殿ごてん - 草津くさつ市しの芦浦あしうら観音寺かんおんじ書院しょいんに移築いちくされている。（重要じゅうよう文化財ぶんかざい）貞享ていきょう3年ねん（1686年ねん）幕府ばくふの命いのちにより廃はい城じょう。将軍しょうぐん上洛じょうらく御殿ごてんの一ひとつ。この他ほか、近江おうみに柏原かしわばら御殿ごてん・伊庭いば御殿ごてん・水口みずぐち城しろ御殿ごてんがある。
伝つて門もん - 野洲やす市しの浄きよし専せん寺てらに移築いちくされている。

歴代れきだい藩主はんしゅ

遠藤えんどう家か

譜代ふだい格かく。1万まん石せき→1万まん2000石せき。

遠藤えんどう胤たね親おや（たねちか）【元禄げんろく11年ねん（1698年ねん）3月がつ7日にち藩主はんしゅ就任しゅうにん - 享とおる保ほ18年ねん（1733年ねん）9月がつ25日にち隠居いんきょ】
遠藤えんどう胤たね将しょう（たねのぶ）【享とおる保ほ18年ねん9月がつ25日にち藩主はんしゅ就任しゅうにん - 明和めいわ8年ねん（1771年ねん）4月がつ12日にち死去しきょ】
遠藤えんどう胤たね忠ただし（たねただ）【明和めいわ8年ねん6月がつ4日にち藩主はんしゅ就任しゅうにん - 寛政かんせい2年ねん（1790年ねん）2月がつ20日はつか隠居いんきょ】
遠藤えんどう胤たね富とみ（たねとみ）【寛政かんせい2年ねん2月がつ20日はつか藩主はんしゅ就任しゅうにん - 文化ぶんか8年ねん（1811年ねん）6月がつ23日にち隠居いんきょ】
遠藤えんどう胤たね統みつる（たねのり）【文化ぶんか8年ねん6月がつ23日にち藩主はんしゅ就任しゅうにん - 文久ぶんきゅう3年ねん（1863年ねん）9月がつ25日にち隠居いんきょ】
遠藤えんどう胤たね城じょう（たねき）【文久ぶんきゅう3年ねん9月がつ25日にち藩主はんしゅ就任しゅうにん - 明治めいじ3年ねん（1870年ねん）4月がつ14日にち移うつり封ふう】

幕末ばくまつの領地りょうち

近江おうみ国こく、和泉いずみ国こくの領地りょうちは吉見よしみ藩はんに引ひき継つがれたが、安房あわ国こく平たいら郡ぐん5村むら、安房あわ郡ぐん9村むらは長尾ちょうび藩はんに編入へんにゅうされた。

脚注きゃくちゅう

^ 二木ふたき謙一けんいち監修かんしゅう・工藤くどう寛ひろし正編せいへん「国くに別べつ藩はんと城下町じょうかまちの事典じてん」東京とうきょう堂どう出版しゅっぱん、2004年ねん9月がつ20日はつか発行はっこう(394ページ)
^ 竹内たけうち理り三さん編へん「角川かどかわ日本にっぽん地名ちめい大だい辞典じてん 25 滋賀しが県けん」 1184ページ藩はん府県ふけん沿革えんかく表ひょう

先代せんだい（近江おうみ国こく）	行政ぎょうせい区くの変遷へんせん 1690年ねん - 1870年ねん	次代じだい吉見よしみ藩はん

[1] 二木ふたき謙一けんいち監修かんしゅう・工藤くどう寛ひろし正編せいへん「国くに別べつ藩はんと城下町じょうかまちの事典じてん」東京とうきょう堂どう出版しゅっぱん、2004年ねん9月がつ20日はつか発行はっこう(394ページ)

[2] 竹内たけうち理り三さん編へん「角川かどかわ日本にっぽん地名ちめい大だい辞典じてん 25 滋賀しが県けん」 1184ページ藩はん府県ふけん沿革えんかく表ひょう

[1]

[2]

表ひょう話はなし編へん歴れき大政奉還たいせいほうかんから廃藩置県はいはんちけんまでの間あいだに存在そんざいした藩はん慶応けいおう3年ねん（1867年ねん）旧暦きゅうれき10月がつ - 明治めいじ4年ねん（1871年ねん）旧暦きゅうれき7月がつ
北海道ほっかいどう地方ちほう	松前まさき藩はん（館かん藩はん）
東北とうほく地方ちほう	黒石くろいし藩はん弘前ひろさき藩はん八戸はちのへ藩はん ●○盛岡もりおか藩はん（白石しらいし藩はん → 盛岡もりおか藩はん）盛岡もりおか新田にった藩はん（七なな戸こ藩はん）一関いちのせき藩はん久保田くぼた藩はん（秋田あきた藩はん）秋田あきた新田にった藩はん（岩崎いわさき藩はん）亀田かめだ藩はん本荘ほんじょう藩はん ★矢島やじま藩はん出羽でわ松山まつやま藩はん（松嶺まつみね藩はん）仙台せんだい藩はん鶴岡つるおか藩はん（大泉おおいずみ藩はん）新庄しんじょう藩はん ○長瀞ながとろ藩はん（大網おおあみ藩はん → 龍ヶ崎りゅうがさき藩はん）天童てんどう藩はん ○山形やまがた藩はん（朝日山あさひやま藩はん）上山うえやま藩はん米沢よねざわ藩はん ▲米沢よねざわ新田しんでん藩はん（米沢よねざわ藩はん） ○福島ふくしま藩はん（重原しげはら藩はん）下手渡しもてど藩はん二本松にほんまつ藩はん ○会津あいづ藩はん（斗と南みなみ藩はん）中村なかむら藩はん三春みはる藩はん ○守山もりやま藩はん（松川まつかわ藩はん）磐城いわき平ひら藩はん湯ゆ長谷ながたに藩はん泉いずみ藩はん ○白河しらかわ藩はん（棚倉たなぐら藩はん）
関東かんとう地方ちほう	沼田ぬまた藩はん館林たてばやし藩はん伊勢崎いせざき藩はん前橋まえばし藩はん高崎たかさき藩はん安中あんなか藩はん ●吉井よしい藩はん七なな日にち市し藩はん小幡おばた藩はん大田原おおたわら藩はん黒羽くろは藩はん ○高徳こうとく藩はん（曾我そが野の藩はん） ●喜連川きつれがわ藩はん烏山からすやま藩はん宇都宮うつのみや藩はん壬生みぶ藩はん吹上ふきあげ藩はん佐野さの藩はん足利あしかが藩はん水戸みと藩はん宍戸ししど藩はん笠間かさま藩はん ★松岡まつおか藩はん下館しもだて藩はん下妻しもづま藩はん常陸ひたち府中ふちゅう藩はん（石岡いしおか藩はん） ★志筑しづき藩はん土浦つちうら藩はん ○谷田部やたべ藩はん（茂木もき藩はん）牛久うしく藩はん麻生あそう藩はん結城ゆうき藩はん古河ふるかわ藩はん関宿せきやど藩はん高岡たかおか藩はん小見川おみがわ藩はん多古たこ藩はん佐倉さくら藩はん生実いくみ藩はん鶴牧つるまき藩はん ●請西じょうざい藩はん一宮いちのみや藩はん大多喜おおたき藩はん久留里くるり藩はん飯野いいの藩はん佐貫さぬき藩はん安房あわ勝山かちやま藩はん（加知かち山やま藩はん）館山たてやま藩はん ●船形ふながた藩はん ○岡部おかべ藩はん（半原はばら藩はん）忍にん藩はん岩槻いわつき藩はん川越かわごえ藩はん金沢かなざわ藩はん（六浦むつうら藩はん）荻野おぎの山中さんちゅう藩はん小田原おだわら藩はん
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中国ちゅうごく地方ちほう	鳥取とっとり藩はん ▲鹿しか奴やつ藩はん（鳥取とっとり藩はん） ▲若わか桜さくら藩はん（鳥取とっとり藩はん）松江まつえ藩はん広瀬ひろせ藩はん母里もり藩はん ●津和野つわの藩はん岡山おかやま藩はん津山つやま藩はん勝山かつやま藩はん（真島ましま藩はん）鶴田つるた藩はん浅尾あさお藩はん庭瀬にわせ藩はん岡田おかだ藩はん足守あしもり藩はん新見にいみ藩はん備中びっちゅう松山まつやま藩はん（高梁たかはし藩はん） ★成羽なりわ藩はん岡山おかやま新田にった藩はん（鴨方かもがた藩はん）岡山おかやま新田にった藩はん（生坂いくさか藩はん）福山ふくやま藩はん広島ひろしま藩はん ▲広島ひろしま新田にった藩はん（広島ひろしま藩はん）長州ちょうしゅう藩はん ★岩国いわくに藩はん ●徳山とくやま藩はん（山口やまぐち藩はん）清末きよすえ藩はん長門ながと府中ふちゅう藩はん（豊浦とようら藩はん）
四国しこく地方ちほう	高松たかまつ藩はん ●丸亀まるがめ藩はん ●多度津たどつ藩はん徳島とくしま藩はん土佐とさ藩はん（高知こうち藩はん） ▲土佐とさ新田にった藩はん（高知こうち藩はん）西条さいじょう藩はん小松こまつ藩はん今治いまばり藩はん伊予いよ松山まつやま藩はん新谷しんたに藩はん大洲おおす藩はん伊予いよ吉田よしだ藩はん宇和島うわじま藩はん
九州きゅうしゅう地方ちほう	○小倉こくら藩はん（香春かわら藩はん → 豊津とよつ藩はん）小倉おぐら新田しんでん藩はん（千束せんそく藩はん）中津なかつ藩はん杵築きつき藩はん日出にっしゅつ藩はん森もり藩はん府内ふない藩はん臼杵きゅうしょ藩はん佐伯さえき藩はん岡おか藩はん延岡のべおか藩はん高鍋たかなべ藩はん佐土原さどわら藩はん飫肥おび藩はん福岡ふくおか藩はん秋月しゅうげつ藩はん久留くる米べい藩はん柳河やなかわ藩はん三池みいけ藩はん蓮池はすいけ藩はん佐賀さが藩はん小城おぎ藩はん唐津からつ藩はん平戸ひらど藩はん ▲平戸ひらど新田にった藩はん（平戸ひらど藩はん）鹿島かしま藩はん大村おおむら藩はん島原しまばら藩はん福江ふくえ藩はん ▲富江とみえ藩はん（福江ふくえ藩はん）対馬つしま府中ふちゅう藩はん（厳原ごんばら藩はん） ○▲肥後ひご新田しんでん藩はん（高瀬たかせ藩はん → 熊本くまもと藩はん）熊本くまもと藩はん ▲宇土うと藩はん（熊本くまもと藩はん）人吉ひとよし藩はん薩摩さつま藩はん（鹿児島かごしま藩はん）
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藩はん庁ちょうの置おかれた地域ちいきを基準きじゅんに分類ぶんるいしているが、他たの地方ちほうに移転いてんしている藩はんもある。順番じゅんばんは『三さん百ひゃく藩はん戊辰戦争ぼしんせんそう事典じてん』による。明治めいじ期きの変更へんこう: ★＝新設しんせつ、●＝廃止はいし、○＝移転いてん・改称かいしょう、▲＝任にん知ち藩はん事前じぜんに本ほん藩はんに併合へいごう。（）内ないは移転いてん・改称かいしょう・併合へいごう後ごの藩はん名めい。（）のないものは県けんに編入へんにゅう。