寺社じしゃ奉行ぶぎょう

延暦寺えんりゃくじ根本中堂こんぽんちゅうどう

寺社じしゃ奉行ぶぎょう（じしゃぶぎょう）は、室町むろまち時代ときよから江戸えど時代じだいにかけての武家ぶけ政権せいけんや江戸えど時代じだいの諸しょ藩はんにおける職制しょくせいの1つで、宗教しゅうきょう行政ぎょうせい機関きかん。鎌倉かまくら幕府ばくふ以降いこう、寺社じしゃの領地りょうち・建物たてもの・僧侶そうりょ・神官しんかんのことを担当たんとうした武家ぶけの職名しょくめい。

江戸えど幕府ばくふでは、寛永かんえい12年ねん（1635年ねん）に設置せっちされた。将軍しょうぐん直属ちょくぞくで、三さん奉行ぶぎょうの最さい上位じょういに位置いちし、楽人がくじん（雅楽ががく演奏えんそう者しゃ）・陰陽いんよう師し・囲碁いご将棋しょうぎ師しに関かんする事項じこうをも扱あつかった。

概要がいよう

鎌倉かまくら・室町むろまち幕府ばくふ

鎌倉かまくら幕府ばくふでは社寺しゃじを担当たんとうする奉行ぶぎょう人じんが「寺社じしゃ奉行ぶぎょう」と呼よばれた他ほか、特定とくていの有力ゆうりょく社寺しゃじとの折衝せっしょう・取次とりつぎを担当たんとうする奉行ぶぎょうが別途べっと設置せっちされていた。『吾妻あづま鏡きょう』によれば、建たて久ひさ5年ねん（1194年ねん）5月に中原なかはら季き時じを「寺社じしゃの訴うったえを執とり申もうす」役目やくめとしたのが後こうの寺社じしゃ奉行ぶぎょうにあたると考かんがえられている。また、同年どうねん12月には大庭おおば景けい能のうらを鶴岡つるおか八幡宮はちまんぐう・勝長かつなが寿ひさし院いん以下いか鎌倉かまくらの幕府ばくふ御願ごがん寺てらの奉行ぶぎょうに任にんじている。後のちに太田おおた時じ連れんや二階堂にかいどう貞雄さだおが寺社じしゃ奉行ぶぎょうに任命にんめいされ、一方いっぽう諏訪すわ大社たいしゃや伊豆山いずさん神社じんじゃ、三島みしま大社たいしゃ、熱田あつた神宮じんぐうなど鎌倉かまくら幕府ばくふの庇護ひご下かにあった社寺しゃじには、当該とうがい寺社じしゃ担当たんとうの奉行ぶぎょう人じんを任命にんめいしている。

この政策せいさくは建たて武たけし政権せいけんや室町むろまち幕府ばくふにも継承けいしょうされた。室町むろまち幕府ばくふでは仏寺ぶつじを担当たんとうする寺てら奉行ぶぎょうと神社じんじゃを担当たんとうする社家しゃけ奉行ぶぎょうが設置せっちされ、さらに禅宗ぜんしゅうと律りつ宗むね（時ときに真言しんごん律りつ宗むね）を管轄かんかつする禅ぜん律りつ方かたや延暦寺えんりゃくじを担当たんとうする山門さんもん奉行ぶぎょう、東大寺とうだいじ・興福寺こうふくじを担当たんとうする南都なんと奉行ぶぎょうなど特定とくていの宗派しゅうはや社寺しゃじを担当たんとうする奉行ぶぎょう人じんが任命にんめいされた。足利あしかが義満よしみつ以後いごになると、奉行ぶぎょう衆しゅの中なかから特定とくてい寺社じしゃを担当たんとうする奉行ぶぎょう（別べつ奉行ぶぎょう）が積極せっきょく的てきに配置はいちされるようになった。これらの別べつ奉行ぶぎょうは特定とくてい有力ゆうりょく社寺しゃじと幕府ばくふの連絡れんらくを取とり持もつ立場たちばにあったために、社寺しゃじ側がわから多額たがくの金品きんぴんを贈おくられたり、反対はんたいに社寺しゃじ側がわと奉行ぶぎょうの対立たいりつが政治せいじ問題もんだい化かする場合ばあいもあった（例たとえば、足利あしかが義教よしのりの山門さんもん奉行ぶぎょう飯尾いいお為ため種しゅと延暦寺えんりゃくじの対立たいりつ）。足利あしかが義政よしまさの時代じだいにこうした別べつ奉行ぶぎょうの全盛期ぜんせいきを迎むかえるが、応仁おうにんの乱らん以後いごの幕府ばくふ機構きこうの衰退すいたいとともに別べつ奉行ぶぎょうは没落ぼつらくしていく。

なお、六ろく波は羅ら探題たんだいや奥州おうしゅう将軍しょうぐん府ふ、鎌倉かまくら府ふなどの地方ちほう機関きかんにも、寺社じしゃ奉行ぶぎょうや個別こべつ社寺しゃじを扱あつかう別べつ奉行ぶぎょうが設置せっちされている。

江戸えど幕府ばくふ

江戸えど幕府ばくふでは初はじめ、慶長けいちょう17年ねん（1612年ねん）に以心崇伝すうでん（僧侶そうりょ）・板倉いたくら勝重かつしげ（還俗げんぞく者しゃ）に社寺しゃじに関かんする職務しょくむにあたらせたが、具体ぐたい的てきな役職やくしょくは設置せっちしなかった。徳川とくがわ家光いえみつ時代じだいの寛永かんえい10年ねん（1633年ねん）、板倉いたくら勝重かつしげの没後ぼつご、専任せんにんで社寺しゃじに関かんする職務しょくむにあたっていた崇伝すうでんが死去しきょし、社寺しゃじの担当たんとう者しゃが不在ふざいとなった。そのため寛永かんえい12年ねん（1635年ねん）、社寺しゃじや遠国おんごくにおける訴訟そしょう担当たんとうの諸しょ職しょくとして寺社じしゃ奉行ぶぎょうが創設そうせつされた。諸しょ職しょくははじめ将軍しょうぐん直轄ちょっかつであったが、老中ろうじゅう制せいの確立かくりつとともに老中ろうじゅうの所管しょかんとなり、将軍しょうぐん徳川とくがわ家綱いえつな時代じだいの寛文ひろふみ2年ねん（1662年ねん）に将軍しょうぐん直属ちょくぞくに戻もどる。

定員ていいんは4名めいで、譜代ふだい大名だいみょうが月番つきばん制せいで務つとめた。自邸じていが役宅やくたくとなった。勘定かんじょう奉行ぶぎょう・町奉行まちぶぎょうと並ならんで評定ひょうじょう所しょを構成こうせいした（いわゆる三さん奉行ぶぎょう）。

原則げんそくとして一いち万まん石いし以上いじょうの譜代ふだい大名だいみょうが任命にんめいされ、奏者そうしゃ番ばんを兼任けんにんしていた。寺社じしゃ奉行ぶぎょうはいわゆる三さん奉行ぶぎょうの1つではあるが、主おもに旗本はたもとであり老中ろうじゅう所轄しょかつに過すぎない勘定かんじょう奉行ぶぎょう・町奉行まちぶぎょうとは別格べっかくであり、三さん奉行ぶぎょうの中なかでも筆頭ひっとう格かくといわれる。寺社じしゃ奉行ぶぎょうに任にんぜられた者ものは、その後ご、大阪おおさか城代じょうだいや京都きょうと所司代しょしだいといった重役じゅうやくに就つくこともあり、最終さいしゅう的てきに老中ろうじゅうまで昇のぼり詰つめるなどエリートの証あかしでもあった。例外れいがいとして大岡おおおか忠相ただすけが旗本はたもとのまま大名だいみょう格かくとなり、奏者そうしゃ番ばんを兼かねずに勤つとめたことがある（これは江戸えど時代じだい全体ぜんたいでも異例いれいである）。

社寺しゃじ領りょう以外いがいにも、関せき八はち州しゅう以外いがいの旗はた本領ほんりょうの訴訟そしょうを担当たんとうした。主おもな任務にんむは全国ぜんこくの社寺しゃじや僧職そうしょく・神職しんしょくの統制とうせいであるが、門前もんぜ町まち民みんや社寺しゃじ領民りょうみん、修験しゅげん者しゃや陰陽いんよう師しらの民間みんかん宗教しゅうきょう者しゃ、さらに連歌れんが師しなどの芸能げいのう民みんらも管轄かんかつした。寺てら請制度せいどの下した、当時とうじの庶民しょみんの戸籍こせきともいうべき宗門しゅうもん人別にんべつ改あらため帳ちょうは社寺しゃじが全すべて管理かんりしていたため、結婚けっこんと離婚りこん（今日きょうでいう戸籍こせきに関かんする訴訟そしょうや審判しんぱん）の管理かんり、移住いじゅう、旅行りょこう（通行つうこう手形てがたの発行はっこう）という点てんについては、現在げんざいの法務省ほうむしょうが担になう行政ぎょうせいも担当たんとうしていた役職やくしょくである。

慶応けいおう4年ねん（1868年ねん）5月がつ20日はつか、寺社じしゃ奉行ぶぎょうは廃止はいしされ、社寺しゃじ裁判所さいばんしょとなった。同年どうねん、江戸えどが東京とうきょうとなると、社寺しゃじ裁判所さいばんしょは廃止はいしされ、寺社じしゃは府県ふけんの管轄かんかつとなった。

江戸えど幕府ばくふ・歴代れきだい寺社じしゃ奉行ぶぎょう一覧いちらん

徳川とくがわ家光いえみつ時代じだい

• 安藤あんどう重しげる長ちょう（1635年ねん - 1657年ねん）
• 松平まつだいら勝隆かつたか（1635年ねん - 1659年ねん）
• 堀ほり利重とししげ（1635年ねん - 1638年ねん）
• 堀ほり直之なおゆき（1640年ねん - 1642年ねん）

徳川とくがわ家綱いえつな時代じだい

• 板倉いたくら重しげる郷きょう（1658年ねん - 1661年ねん）
• 井上いのうえ正利まさとし（1658年ねん - 1667年ねん）
• 加賀爪かがつめ直ちょく澄きよし（1661年ねん - 1670年ねん）
• 小笠原おがさわら長矩ながのり（1666年ねん - 1678年ねん）
• 戸田とだ忠昌ただまさ（1671年ねん - 1676年ねん）
• 本多ほんだ忠利ただとし（1671年ねん - 1678年ねん）
• 太田おおた資し次じ（1676年ねん - 1678年ねん）
• 板倉いたくら重しげる種しゅ（1677年ねん - 1680年ねん）
• 松平まつだいら重治しげはる（1678年ねん - 1681年ねん）
• 阿部あべ正武まさたけ（1680年ねん - 1681年ねん）

徳川とくがわ綱吉つなよし時代じだい

• 水野みずの忠春ただはる（1681年ねん - 1685年ねん）
• 稲葉いなば正ただし往（1681年ねん）
• 秋元あきもと喬たかし知ち（1681年ねん - 1682年ねん）
• 酒井さかい忠国ただくに（1681年ねん - 1683年ねん）
• 坂本さかもと重治しげはる（1682年ねん - 1687年ねん）
• 板倉いたくら重しげる形がた（1683年ねん - 1684年ねん）
• 本多ほんだ忠ただし周しゅう（1683年ねん - 1687年ねん）
• 大久保おおくぼ忠ただし増ぞう（1685年ねん - 1687年ねん）
• 酒井さかい忠ただし挙きょ（1687年ねん - 1689年ねん）
• 戸田とだ忠真ただざね（1687年ねん - 1699年ねん）
• 米津よねつ政武まさたけ（1687年ねん - 1688年ねん）
• 本多ほんだ正永しょうえい（1688年ねん - 1696年ねん）
• 加藤かとう明あきら英えい（1689年ねん - 1690年ねん）
• 小笠原おがさわら長重ながしげ（1690年ねん - 1691年ねん）
• 松浦まつうら棟とう（1691年ねん - 1694年ねん）
• 永井ながい直ただし敬けい（1694年ねん - 1704年ねん）
• 井上いのうえ正ただし岑（1696年ねん - 1699年ねん）
• 松平まつだいら重しげる栄さかえ（1696年ねん - 1702年ねん）
• 阿部あべ正ただし喬たかし（1699年ねん - 1704年ねん）
• 青山あおやま幸みゆき督とく（1699年ねん - 1702年ねん）
• 本多ほんだ忠晴ただはる（1702年ねん - 1713年ねん）
• 三宅みやけ康雄やすお（1704年ねん - 1710年ねん）
• 久世くぜ重之しげゆき（1704年ねん - 1705年ねん）
• 鳥居とりい忠英ただひで（1705年ねん - 1711年ねん）
• 堀ほり直利なおとし（1705年ねん - 1708年ねん）
• 安藤あんどう信友のぶとも（1709年ねん - 1713年ねん、1717年ねん - 1718年ねん）

徳川とくがわ家宣いえのぶ・家継いえつぐ時代じだい

• 森川もりかわ俊しゅん胤たね（1710年ねん - 1714年ねん）
• 松平まつだいら近きん禎ただし（1711年ねん - 1725年ねん）
• 土井どい利とし意い（1713年ねん - 1724年ねん）
• 建部たけべ政まさし宇（1714年ねん - 1715年ねん）
• 石川いしかわ総そう茂しげる（1714年ねん - 1717年ねん）
• 井上いのうえ正ただし長ちょう（1715年ねん - 1716年ねん）

徳川とくがわ吉宗よしむね時代じだい

• 酒井さかい忠ただし音おん（1718年ねん - 1722年ねん）
• 牧野まきの英成えいせい（1718年ねん - 1724年ねん）
• 黒田くろだ直ただし邦くに（1723年ねん - 1732年ねん）
• 本多ほんだ忠ただし統みつる（1724年ねん - 1725年ねん）
• 小出こいで英えい貞さだ（1725年ねん - 1732年ねん）
• 太田おおた資晴すけはる（1725年ねん - 1728年ねん）
• 井上いのうえ正之まさゆき（1728年ねん - 1737年ねん）
• 土岐とき頼よりゆき稔みのる（1728年ねん - 1730年ねん）
• 西尾にしお忠ただし尚なお（1732年ねん - 1734年ねん）
• 松平まつだいら忠ただし暁あかつき（1732年ねん - 1734年ねん）
• 仙石せんごく政まさし房ぼう（1734年ねん - 1735年ねん）
• 北条ほうじょう氏朝うじとも（1734年ねん - 1735年ねん）
• 牧野まきの貞通さだみち（1735年ねん - 1742年ねん）
• 板倉いたくら勝清かつきよ（1735年ねん）
• 松平まつだいら信しん岑（1735年ねん - 1739年ねん）
• 大岡おおおか忠相ただすけ（1736年ねん - 1751年ねん）
• 本多ほんだ正ただし珍ちん（1739年ねん - 1746年ねん）
• 山名やまな豊ゆたか就（1739年ねん - 1747年ねん）
• 堀田ほった正ただし亮あきら（1742年ねん - 1744年ねん）
• 松平まつだいら武たけし元もと（1744年ねん - 1746年ねん）

徳川とくがわ家重いえしげ時代じだい

• 秋元あきもと凉朝（1746年ねん - 1748年ねん）
• 小出こいで英えい持じ（1746年ねん - 1748年ねん）
• 酒井さかい忠ただし用よう（1747年ねん）
• 松まつ平忠恒たいらのただつね（1747年ねん - 1748年ねん）
• 稲葉いなば正ただし益えき（1747年ねん - 1750年ねん）
• 青山あおやま忠ただし朝あさ（1748年ねん - 1758年ねん）
• 酒井さかい忠ただし休きゅう（1748年ねん - 1749年ねん）
• 本多ほんだ忠ただし央ひさし（1749年ねん - 1758年ねん）
• 松平まつだいら輝あきら高だか（1751年ねん - 1752年ねん）
• 鳥居とりい忠ただし意い（1752年ねん - 1760年ねん）
• 井上いのうえ正ただし経けい（1753年ねん - 1756年ねん）
• 阿部あべ正ただし右みぎ（1756年ねん - 1760年ねん）
• 朽木くちき玄げん綱つな（1758年ねん - 1759年ねん）
• 松平まつだいら康やすし福ぶく（1759年ねん - 1760年ねん）
• 毛利もうり政まさし苗なえ（1759年ねん - 1764年ねん）
• 小堀こぼり政まさし方かた（1760年ねん - 1761年ねん）
• 松平まつだいら乗じょう佑たすく（1760年ねん - 1764年ねん）
• 太田おおた資し俊しゅん（1760年ねん - 1762年ねん）

徳川とくがわ家治いえはる時代じだい

• 酒井さかい忠ただし香が（1761年ねん - 1765年ねん）
• 土井どい利とし里さと（1763年ねん - 1769年ねん）
• 松平まつだいら忠順ただまさ（1764年ねん - 1775年ねん）
• 土岐とき定じょう経けい（1764年ねん - 1781年ねん）
• 久世くぜ広明ひろあき（1765年ねん - 1769年ねん）
• 牧野まきの貞さだ長ちょう（1769年ねん - 1777年ねん）
• 土屋つちや篤あつし直ただし（1769年ねん - 1776年ねん）
• 太田おおた資し愛あい（1775年ねん - 1781年ねん）
• 戸田とだ忠寛ただひろ（1776年ねん - 1782年ねん）
• 牧野ぼくや惟おもんみ成なり（1777年ねん - 1783年ねん）
• 阿部あべ正ただし倫りん（1779年ねん - 1787年ねん）
• 井上いのうえ正ただし定じょう（1781年ねん - 1786年ねん）
• 安藤あんどう信成のぶなり（1781年ねん - 1784年ねん）
• 堀田ほった正ただし順じゅん（1783年ねん - 1787年ねん）
• 松平まつだいら輝和てるかず（1784年ねん - 1798年ねん）
• 本庄ほんじょう資し承うけたまわ（1784年ねん - 1786年ねん）
• 土井どい利とし厚あつし（1786年ねん - 1788年ねん、1796年ねん - 1801年ねん）

徳川とくがわ家斉いえなり時代じだい

• 松平まつだいら乗じょう完かん（1787年ねん）
• 稲葉いなば正ただし諶（1787年ねん - 1788年ねん）
• 牧野まきの忠ただし精せい（1787年ねん - 1792年ねん）
• 松平まつだいら信道のぶみち（1788年ねん - 1791年ねん）
• 板倉いたくら勝政かつまさ（1788年ねん - 1798年ねん）
• 戸田とだ氏し教きょう（1789年ねん - 1790年ねん）
• 脇坂わきさか安あん董ただし（1791年ねん - 1813年ねん）
• 立花たちばな種たね周しゅう（1792年ねん - 1793年ねん）
• 青山あおやま忠裕ただみち（1793年ねん - 1796年ねん）
• 松平まつだいら康かん定じょう（1798年ねん - 1803年ねん）
• 植村うえむら家長かちょう（1799年ねん - 1800年ねん）
• 堀田ほった正ただし穀こく（1800年ねん - 1806年ねん）
• 阿部あべ正由まさよし（1801年ねん - 1804年ねん）
• 青山あおやま幸みゆき完かん（1802年ねん）
• 松平まつだいら輝あきら延のべ（1802年ねん - 1815年ねん）
• 水野みずの忠ただし成なり（1803年ねん - 1806年ねん）
• 大久保おおくぼ忠真ただざね（1804年ねん - 1810年ねん）
• 阿部あべ正ただし精せい（1806年ねん - 1808年ねん、1810年ねん - 1817年ねん）
• 酒井さかい忠ただし進すすむ（1808年ねん）
• 松平まつだいら乗じょう寛ひろし（1809年ねん - 1813年ねん、1815年ねん - 1818年ねん）
• 有馬ありま誉ほまれ純じゅん（1810年ねん - 1812年ねん）
• 内藤ないとう信しん敦あつし（1813年ねん - 1817年ねん）
• 松平まつだいら斉ひとし厚あつし（1813年ねん - 1822年ねん）
• 青山あおやま幸孝ゆきたか（1815年ねん）
• 松平まつだいら康やすし任にん（1817年ねん - 1822年ねん）
• 水野みずの忠邦ただくに（1817年ねん - 1825年ねん）
• 本庄ほんじょう宗はじめ発はつ（1818年ねん - 1826年ねん）
• 本多ほんだ正ただし意い（1822年ねん - 1825年ねん）
• 太田おおた資始すけはる（1822年ねん - 1828年ねん）
• 松平まつだいら信しん順じゅん（1825年ねん - 1831年ねん）
• 土井どい利とし位い（1825年ねん - 1829年ねん、1830年ねん - 1834年ねん）
• 堀ほり親ちかし寚（1826年ねん - 1828年ねん）
  【寚＝ウ冠うかんむり＋王おう＋缶かん】
• 土屋つちや彦直（1828年ねん - 1834年ねん）
• 松平まつだいら光年こうねん（1828年ねん - 1830年ねん）
• 脇坂わきさか安あん董ただし（1829年ねん - 1836年ねん）
• 間部まべ詮勝あきかつ（1831年ねん - 1837年ねん）
• 井上いのうえ正ただし春はる（1834年ねん - 1838年ねん）
• 堀田ほった正睦まさとし（1834年ねん - 1837年ねん）
• 牧野まきの忠ただし雅みやび（1836年ねん - 1840年ねん）
• 青山あおやま忠良ただよし（1837年ねん - 1840年ねん）
• 阿部あべ正ただし瞭あきら（1837年ねん - 1838年ねん）

徳川とくがわ家慶いえよし時代じだい

• 松平まつだいら忠ただし固かた（1838年ねん - 1843年ねん、1844年ねん - 1845年ねん）
• 稲葉いなば正ただし守もり（1838年ねん - 1842年ねん）
• 戸田とだ忠温ただよし（1840年ねん - 1843年ねん）
• 阿部あべ正弘まさひろ（1840年ねん - 1843年ねん）
• 酒井さかい忠義ただよし（1842年ねん - 1843年ねん）
• 松平まつだいら乗じょう全あきら（1843年ねん - 1844年ねん）
• 久世くぜ広ひろ周しゅう（1843年ねん - 1848年ねん）
• 青山あおやま幸みゆき哉（1843年ねん - 1846年ねん、1860年ねん - 1861年ねん）
• 内藤ないとう信しん親おや（1843年ねん - 1848年ねん）
• 脇坂わきさか安宅あたか（1845年ねん - 1851年ねん）
• 本多ほんだ忠ただし民みん（1846年ねん - 1857年ねん）
• 土屋つちや寅とら直ただし（1848年ねん - 1850年ねん、1864年ねん - 1868年ねん）
• 松平まつだいら信義のぶよし（1848年ねん - 1858年ねん）
• 太田おおた資し功こう（1850年ねん - 1856年ねん）
• 安藤あんどう信正のぶまさ（1851年ねん - 1858年ねん）

徳川とくがわ家定いえさだ時代じだい

• 松平まつだいら輝あきら聴（1856年ねん - 1860年ねん）
• 板倉いたくら勝かつ静しず（1857年ねん - 1859年ねん、1861年ねん - 1862年ねん）
• 松平まつだいら宗そう秀しげる（1858年ねん - 1860年ねん）
• 水野みずの忠ただし精せい（1858年ねん - 1860年ねん）

徳川とくがわ家茂いえもち・慶喜よしのぶ時代じだい

• 松平まつだいら信しん古いにしえ（1859年ねん - 1862年ねん）
• 牧野まきの貞さだ直ただし（1860年ねん - 1863年ねん、1864年ねん）
• 井上いのうえ正直まさなお（1861年ねん - 1862年ねん）
• 牧野まきの忠ただし恭きょう（1862年ねん）
• 有馬ありま道みち純じゅん（1862年ねん - 1863年ねん）
• 諏訪すわ忠誠ちゅうせい（1862年ねん）
• 松平まつだいら忠恕ただひろ（1862年ねん - 1864年ねん）
• 土井どい利とし善ぜん（1863年ねん）
• 松前まさき崇たかし広ひろ（1863年ねん）
• 堀ほり親義ちかよし（1863年ねん）
• 本多ほんだ忠紀ただのり（1863年ねん - 1864年ねん）
• 水野みずの忠誠ちゅうせい（1863年ねん - 1864年ねん）
• 酒井さかい忠ただし氏し（1864年ねん - 1866年ねん）
• 阿部あべ正ただし外がい（1864年ねん）
• 松平まつだいら近きん説せつ（1864年ねん、1866年ねん - 1867年ねん）
• 松平まつだいら親ちかし良りょう（1864年ねん - 1866年ねん）
• 松平まつだいら康やすし英えい（1865年ねん）
• 松平まつだいら乗じょう秩（1865年ねん - 1866年ねん）
• 永井ながい尚しょう服ふく（1866年ねん - 1867年ねん）
• 戸田とだ忠ただし友とも（1867年ねん - 1868年ねん）
• 内藤ないとう正ただし誠まこと（1867年ねん - 1868年ねん）

江戸えど時代じだいの諸しょ藩はん

江戸えど時代じだいの諸しょ藩はんでも寺社じしゃ奉行ぶぎょうを設置せっちする藩はんが見みられるが、越後えちご長岡ながおか藩はんのように寺社じしゃ奉行ぶぎょうを宗門しゅうもん奉行ぶぎょうに改称かいしょうした例れいもある。

また、柳川やながわ藩はんの寺社じしゃ町役まちやくや戸田とだ氏し時代じだいの大垣おおがき藩はんの寺社じしゃ町奉行まちぶぎょうのように町奉行まちぶぎょうと統合とうごうした藩はんもある。

その他た

時代じだい劇げきで町奉行まちぶぎょう同心どうしんや与力よりきが、犯罪はんざい者しゃが社寺しゃじ地ちに逃にげ込こむのをみて「寺社じしゃ奉行ぶぎょうが束たばねているので手出てだしが出来できない」と地団駄じだんだを踏ふむシーンが登場とうじょうするが、これは事実じじつと異ことなる。

犯罪はんざい者しゃが社寺しゃじ地ちに逃にげ込こんだ際さいには、町奉行まちぶぎょう所しょ側がわが寺社じしゃ奉行ぶぎょうに対たいし、一定いっていの手続てつづきや捜査そうさ協力きょうりょくの申もうし出でなどにより「下手人げしゅにんの引ひき渡わたし」や「捕縛ほばく権けんの執行しっこう・代行だいこう」が行おこなわれていた。また火付ひつき盗賊とうぞく改あらため方かたは寺社じしゃ奉行ぶぎょうによる事前じぜん了解りょうかいがなくても、社寺しゃじ地ちに立たち入いっての犯罪はんざい者しゃ捜査そうさや捕縛ほばくが認みとめられていた。社寺しゃじ側がわが犯罪はんざい者しゃをかばうのが明白めいはくな場合ばあい、寺社じしゃ奉行ぶぎょうによって厳きびしく取とり調しらべられ、僧侶そうりょ・神職しんしょくを捕縛ほばくしたこともあり、社寺しゃじ地ちが治外法権ちがいほうけんになるようなことはあり得えなかった。

参考さんこう文献ぶんけん

• 松平まつだいら太郎たろう「第だい十じゅう四よん章しょう 寺社じしゃ奉行ぶぎょう及所属官ぞっかん制せい / 第だい一いち節せつ 寺社じしゃ奉行ぶぎょう」『江戸えど時代じだい制度せいどの研究けんきゅう. 上巻じょうかん』、武家ぶけ制度せいど研究けんきゅう会かい、1919年ねん、817-822頁ぺーじ、NDLJP:980847。 
• 荒川あらかわ秀俊ひでとし「寺社じしゃ奉行ぶぎょう月番つきばん表ひょう（研究けんきゅう余禄よろく）」（『日本にっぽん歴史れきし』通どおり号ごう303号ごう:1973年ねん8月がつ号ごう所載しょさい）日本にっぽん歴史れきし学会がっかい編へん 1973年ねん8月がつ・吉川弘文館よしかわこうぶんかん発行はっこう
• 小川おがわ文子ふみこ「寺社じしゃ奉行ぶぎょう考こう」（『幕府ばくふ制度せいど史しの研究けんきゅう』児玉こだま幸みゆき多た先生せんせい古稀こき記念きねん会かい編へん：1983年ねん　吉川弘文館よしかわこうぶんかん発行はっこう所載しょさい）
• 新しん修おさむ新宿しんじゅく区史くし編集へんしゅう委員いいん会かい 編へん『新あたらし修おさむ新宿しんじゅく区史くし』東京とうきょう都と新宿しんじゅく区役所くやくしょ、1967年ねん3月がつ。NDLJP:3002679。 (要よう登録とうろく)
• 田中たなか秀典ひでのり「江戸えど幕府ばくふ寺社じしゃ奉行ぶぎょうに関かんする一いち考察こうさつ--就任しゅうにん者しゃの「数量すうりょう的てき検討けんとう」を中心ちゅうしんに」（『神道しんとう古典こてん研究所けんきゅうじょ紀要きよう』第だい11巻かん所載しょさい）神道しんとう大系たいけい編纂へんさん会かい編へん 2005年ねん3月がつ 神道しんとう古典こてん研究所けんきゅうじょ発行はっこう　　
• 福田ふくだ豊彦とよひこ/近松ちかまつ真知子まちこ「寺社じしゃ奉行ぶぎょう」（『国史こくし大だい辞典じてん』第だい7巻かん記載きさい）国史こくし大だい辞典じてん編集へんしゅう委員いいん会かい編へん 1986年ねん11月がつ 吉川弘文館よしかわこうぶんかん発行はっこう
• 丸田まるた亀太郎かめたろう 他た『長岡ながおか市し史し』/1931年ねん 長岡ながおか市役所しやくしょ

関連かんれん項目こうもく

• 延命えんめい院いん事件じけん

外部がいぶリンク

• 『寺社じしゃ奉行ぶぎょう』 - コトバンク