小堀こぼり政まさし方かた

凡例はんれい 小堀こぼり政まさし方かた
時代じだい	江戸えど時代じだい中期ちゅうき - 後期こうき
生誕せいたん	寛ひろし保ほ2年ねん（1742年ねん）
死没しぼつ	享とおる和わ3年ねん9月8日にち（1803年ねん10月23日にち）
改名かいめい	政せい弥わたる、政せい方かた
別名べつめい	宗そう友とも（号ごう）
戒名かいみょう	修おさむ禅ぜん庵あん
墓所はかしょ	東京とうきょう都と練馬ねりま区く桜台さくらだいの広徳寺こうとくじ
官位かんい	従したがえ五ご位い下か備中びっちゅう守もり、和泉いずみ守まもる
幕府ばくふ	江戸えど幕府ばくふ 寺社じしゃ奉行ぶぎょう、伏見ふしみ奉行ぶぎょう
主君しゅくん	徳川とくがわ家治いえはる、家斉いえなり
藩はん	近江おうみ小室こむろ藩はん主あるじ
氏族しぞく	小堀こぼり氏し
父母ちちはは	小堀こぼり政まさし峯みね、戸田とだ忠ただし囿娘むすめ・真珠しんじゅ院いん
兄弟きょうだい	政せい養やしなえ、政せい報ほう、政せい寧やすし、政せい展てん、政せい方かた、 小堀こぼり惟おもんみ貞さだ室しつ、内藤ないとう正雄まさお正室せいしつ
妻つま	牧野まきの康かん周あまね娘むすめ
子こ	政せい昌あきら、政せい登とう、政栄まさえ、小堀こぼり政まさし共ども養女ようじょら

小堀こぼり 政まさし方かた（こぼり まさみち）は、江戸えど時代じだい中期ちゅうきの大名だいみょう。近江おうみ国こく小室こむろ藩はん6代だい（最後さいごの）藩主はんしゅ。官位かんいは従したがえ五ご位い下か・備中びっちゅう守もり、和泉いずみ守まもる。小室こもろ藩はん小堀おうほり家か7代だい。号ごうは宗そう友とも。

生涯しょうがい

寛ひろし保ほ2年ねん（1742年ねん）、5代だい藩主はんしゅ・小堀こぼり政まさし峯みねの七なな男おとことして伏見ふしみにて誕生たんじょう。初はつ名なは政せい弥わたる。姉あねの子こで嫡子ちゃくしだった政せい寿ことぶき（小堀こぼり遠とお州しゅうの弟おとうと政春まさはるの子孫しそん小堀こぼり仁ひとし右みぎ衛門えもん惟おもんみ明あきらの三男さんなん）が、宝たから暦れき2年ねん（1752年ねん）に廃嫡はいちゃくされたため、代かわって嫡子ちゃくしとなる。宝たから暦れき10年ねん（1760年ねん）12月に父ちちが死去しきょしたため、翌年よくねん2月がつ7日にちに跡あとを継ついだ。田沼たぬま意次おきつぐ時代じだいには親おや田沼たぬま派はとして幕政ばくせいにも参与さんよし、大だい番頭ばんがしらや伏見ふしみ奉行ぶぎょうなどの要職ようしょくを歴任れきにんした。

しかし、おりしも天明てんめいの飢饉ききんによって民衆みんしゅうが困窮こんきゅうする中なか、政せい方かたが行いき詰づまった藩はん財政ざいせいと自みずからの浪費ろうひのために、伏見ふしみ町民ちょうみんから総額そうがく11万まん両りょうにも及およぶ御ご用金ようきんを不法ふほうに徴収ちょうしゅうするなどの悪政あくせいを行おこなったため、天明てんめい5年ねん（1785年ねん）、悪政あくせいに耐たえ兼かねた伏見ふしみ元もと町年寄まちどしよりの文珠もんじゅ九きゅう助すけ、丸屋まるや九きゅう兵衛ひょうえら7名めいが政せい方かたの非道ひどうを松平まつだいら伯耆ほうき守もりに直訴じきそ。政せい方かたは伏見ふしみ奉行ぶぎょうを12月27日にちに罷免ひめんされた。文珠もんじゅ九きゅう助すけらは取とり調しらべ中ちゅうに獄死ごくししている。

翌よく天明てんめい6年ねん（1786年ねん）に田沼たぬまも失脚しっきゃくすると、政せい方かたは天明てんめい8年ねん（1788年ねん）5月がつ6日にちに改易かいえきされ、小田原おだわら藩はん主おも・大久保おおくぼ忠顕ただあきに預あづけられた。嫡子ちゃくしの政せい登とうも改易かいえきされた。この一連いちれんの事件じけんを天明てんめい伏見ふしみ義民ぎみん一揆いっき、または伏見ふしみ騒動そうどうと言いい、義民ぎみんの直訴じきそによって一揆いっきが成功せいこうに終おわった事例じれいと言いうことと、事件じけんのあらましが実録じつろく本ほん『雨中うちゅう之の鑵子』（文珠もんじゅ家かに秘蔵ひぞうされたもので、昭和しょうわ12年ねんに『雨中うちゅう之の鑵子 : 天明てんめい伏見ふしみ義民ぎみん伝でん』として翻刻ほんこく・出版しゅっぱん）に詳細しょうさいに記録きろくされたこともあって、町人ちょうにん一揆いっきの代表だいひょう的てき事例じれいとして知しられる。

小田原おだわら藩はんに永えい預あづけとなった後のちは、茶人ちゃじんとして活動かつどうし、『喫茶きっさ式しき』および『数寄すき記録きろく』を記しるした。改易かいえきによって小堀こぼり遠どお州しゅう以来いらいの領地りょうちを失うしない、遠とお州しゅう流りゅう茶道さどうを断絶だんぜつの危機ききに晒さらした一方いっぽうで、遠とお州しゅう流りゅうの作法さほうを書物しょもつとしてまとめ上あげ、後世こうせいに伝つたえる役割やくわりを果はたしたことは評価ひょうかされている。

享とおる和わ3年ねん（1803年ねん）9月がつ8日にち、62歳さいで死去しきょした。法号ほうごうは修おさむ禅ぜん庵あん。墓所はかしょは東京とうきょう都と練馬ねりま区く桜台さくらだいの広徳寺こうとくじ。

その後ご、文政ぶんせい11年ねん（1828年ねん）に小堀こぼり仁ひとし右みぎ衛門えもん家かの一門いちもんの・正せい優ゆう（遠とお州しゅう流りゅう茶道さどう6世せい・小堀こぼり正ただし寿ことぶきの子こ）が御ご切米きりまい300俵ひょうを与あたえられ、小堀こぼり家かは御家人ごけにんとして再興さいこうされた。

明治めいじ20年ねん（1887年ねん）、天明てんめい伏見ふしみ義民ぎみん一揆いっきから100年ねんを機きに伏見ふしみ義民ぎみんの功績こうせきを顕彰けんしょうするため、御ご香こう宮みや神社じんじゃに「伏見ふしみ義民ぎみんの碑いしぶみ」が建たてられた。石碑せきひに記しるされた「伏見ふしみ義民ぎみん事蹟じせき」（勝かつ海舟かいしゅう・撰えらべ、三条さんじょう実美みみ・書しょ）には、政せい方かたのことを「酷吏こくり」としている。また、伏見ふしみ義民ぎみん一揆いっきで獄死ごくしした伏見ふしみ深草ふかくさ町民ちょうみんの焼しょう塩屋しおや権兵衛ごんべえを顕彰けんしょうする藤森ふじもり神社じんじゃの「伏見ふしみ義民ぎみん焼しょう塩屋しおや権兵衛ごんべえ碑ひ」にも、政せい方かたの悪政あくせいが記しるされている。

茶道さどう

遠とお州しゅう流りゅう茶道さどうでは昭和しょうわ48年ねん以降いこう、6世せい家元いえもとは政せい峯みねの養子ようしの政せい寿ことぶき（宗そう延のべ）、政せい方かたは7世せい家元いえもととされているが、小室こむろ藩主はんしゅとしては政せい寿ことぶきが家督かとくを継つぐ前まえに廃嫡はいちゃくされたため、政せい方かたが6代だい藩主はんしゅである。

系譜けいふ

• 父ちち：小堀こぼり政まさし峯みね（1689-1761）
• 母はは：真珠しんじゅ院いん
• 正室せいしつ：牧野まきの康かん周あまねの娘むすめ
  • 次男じなん：小堀こぼり政まさし昌あきら（1764-1783）
• 生母せいぼ不明ふめいの子女しじょ
  • 四男よつお：小堀こぼり政まさし登とう
  • 六男むつお：小堀こぼり政栄まさえ
  • 女子じょし：小堀こぼり政まさし共ども養女ようじょ

関連かんれん項目こうもく

• 田沼たぬま時代ときよ