酷吏こくり

酷吏こくり（こくり）は、法律ほうりつを威いにかざし、人ひとに罪つみを被かぶせて処罰しょばつ、処刑しょけいする役人やくにんに対たいする蔑称べっしょう。

概要がいよう

この言葉ことばは司馬しば遷の『史記しき』列伝れつでん第だい六ろく十じゅう二に「酷吏こくり列伝れつでん」から始はじまったが、この言葉ことばが発生はっせいした当初とうしょは多少たしょう侮蔑ぶべつ的てきな意味合いみあいを含ふくませていたとしても、原則げんそく的てきには法家ほうか主義しゅぎに則のっとり、法律ほうりつを厳格げんかくに適用てきようする役人やくにんを指さした。時代じだいが下くだるに従したがって、冤罪えんざいの捏造ねつぞう、拷問ごうもん係がかりなど、いわゆる「汚よごれ仕事しごと」全般ぜんぱんを行おこなう官吏かんりを指さす蔑称べっしょうとなった。

酷吏こくりは前漢ぜんかんの景けい帝みかど時代じだいから台頭たいとうし始はじめ、武たけ帝みかど時代じだいには重用じゅうようされたため、他たの官吏かんりも出世しゅっせのために彼かれらの行おこないを見習みならったという。「酷吏こくり列伝れつでん」には、侯ほう封ふう、郅都、寧やすし成なり、周陽しゅうよう由よし、趙ちょう禹、張ちょう湯ゆ、義ぎ縦たて、王おう温あつし舒、尹いん斉ひとし、楊僕、減げん宣せん、杜もり周しゅうらが酷吏こくりとして名なを挙あげられ伝記でんきを記しるされている。