大だい興国こうこく

大だい 興国こうこく（だい こうこく、? - 1183年ねん）は、金きむの役人やくにん。後のちに大邦たいほう基もとと名乗なのる。渤海の出身しゅっしん。兄あには大邦たいほう傑すぐる。熙宗を殺ころした10人にんの一人ひとりである。

生涯しょうがい

大だい興国こうこくは熙宗に寝殿しんでん小しょう底そこ・権けん近侍きんじ局きょく直じき長ちょうとして仕つかえていた。この役職やくしょくは寝室しんしつの世話せわ係がかりといった役職やくしょくで、熙宗の就寝しゅうしん中ちゅうに客きゃくや使者ししゃが訪おとずれた時ときに応対おうたいし、状況じょうきょうや来客らいきゃくの立場たちばを見みて、寝殿しんでんに通とおす、あるいは帰きすのが主おもな任務にんむで、小職しょうしょくではあるが重要じゅうような役職やくしょくであった。

皇統こうとう9年ねん（1149年ねん）、迪すすむ古こ乃（後ごの海うみ陵りょう王おう）の誕生たんじょう日び、熙宗は大だい興国こうこくを使者ししゃにして司馬しば光ひかりの画像がぞうや珍品ちんぴん財宝ざいほうなどを誕生たんじょう日びプレゼントとして贈おくった。迪すすむ古こ乃がそのプレゼントを皇后こうごう裴満氏しに贈おくったところ、熙宗の怒いかりを招まねき、大だい興国こうこくが杖つえ刑けい100打だの罰ばちを受うけた。熙宗弑逆しいぎゃくの意図いとを固かためた迪すすむ古こ乃は、成功せいこうさせるには大だい興国こうこくの協力きょうりょくが不可欠ふかけつと判断はんだんした。大だい興国こうこくも、無実むじつなのに杖つえで打うたれたことを恨うらみ、また重臣じゅうしんや皇后こうごうが些細ささいなことで殺ころされる現状げんじょうに危機きき感かんを抱だいており、暗殺あんさつ計画けいかくに荷担かたんした。12月9日にち夜よる、大だい興国こうこくは寝殿しんでんの鍵かぎを開あけて迪すすむ古こ乃たちを招まねき入いれた。熙宗は佩刀はかせを寝台しんだいの上うえに置おく習慣しゅうかんであったが、大だい興国こうこくが佩刀はかせを寝台しんだいの下したに移うつしたため、目覚めざめた熙宗は佩刀はかせを手てにすることができず、為なす術じゅつもなく斬きられた。

迪すすむ古こ乃（海うみ陵りょう王おう）が即位そくいして皇帝こうていになると、熙宗殺害さつがいに多大ただいな功績こうせきを果はたした大だい興国こうこくは、広こう寧やすし尹いんに任にんじられ、奴隷どれい100口くち・玉たま帯たいなどを下賜かしされ、金きむ紫むらさき光ひかり禄ろく大夫たいふの位階いかいを得えた。その後ごも銭ぜに千せん万まん・黄金おうごん400両りょう・銀ぎん千せん両りょう・良りょう馬ば4匹ひきなどの大量たいりょうの財貨ざいかを賜たまわった。天徳てんとく4年ねん（1152年ねん）には崇たかし義軍ぎぐん節度せつど使しとなり、邦くに基もとの名なを賜たまわって大邦たいほう基もとと名乗なのる。その後ご、武たけ寧やすし軍ぐん節度せつど使し・河間こうま尹いんとなった。

しかし、海うみ陵りょう王おうが殺害さつがいされて世よ宗むねが即位そくいすると、海うみ陵りょう王おうから下賜かしされた財貨ざいかの全すべてを没収ぼっしゅうされてしまう。大だい定じょう23年ねん（1183年ねん）正月しょうがつ甲かぶと午うま、34年ねん前まえの熙宗殺害さつがいの件けんが蒸むし返かえされ、熙宗の陵墓りょうぼである思おもえ陵りょうの側がわで処刑しょけいされた。

伝記でんき資料しりょう

• 『金きむ史ふみ』巻まき132 列伝れつでん第だい70
• 『金きむ史ふみ』巻まき8 本紀ほんぎ第だい8世せい宗むね下か