大谷おおや米よね太郎たろう

おおたに よねたろう 大谷おおや 米よね太郎たろう
ホテルニューオータニ庭園ていえん内ないの大谷おおや米べい太郎たろう像ぞう
生誕せいたん	1881年ねん7月がつ24日にち 富山とやま県けん西礪波にしとなみ郡ぐん正せい得とく村むら
死没しぼつ	1968年ねん5月19日にち（満まん86歳さい没ぼつ）
国籍こくせき	日本にっぽん
別名べつめい	鷲尾わしお嶽たけし
職業しょくぎょう	実業じつぎょう家か、力士りきし
栄誉えいよ	紺綬こんじゅ褒章ほうしょう

鷲尾わしお嶽たけし
基礎きそ情報じょうほう
本名ほんみょう	大谷おおや 米よね太郎たろう
所属しょぞく部屋へや	稲川いながわ部屋へや
成績せいせき
現在げんざいの番付ばんづけ	引退いんたい
最高さいこう位い	幕下まくした筆頭ひっとう
データ
引退いんたい後ご	実業じつぎょう家か
他たの活動かつどう	美術びじゅつ品ひん収集しゅうしゅう
備考びこう
■テンプレート  ■プロジェクト 相撲すもう

大谷おおや 米よね太郎たろう（おおたに よねたろう、1881年ねん7月がつ24日にち - 1968年ねん5月19日にち）は、日本にっぽんの実業じつぎょう家か、稲川いながわ部屋へや所属しょぞくの元もと大相撲おおずもう力士りきし。四股しこ名めいは鷲尾わしお嶽たけし。太平洋戦争たいへいようせんそう前まえは「鉄鋼てっこう王おう」と称しょうされた。戦後せんごの一時期いちじきは菊池きくち寛ひろし実み、南みなみ俊二しゅんじとともに「日本にっぽんの三さん大だい億おく万まん長者ちょうじゃ」と並ならび称しょうされた。ホテルニューオータニ創業そうぎょう者しゃ。

来歴らいれき・人物じんぶつ

富山とやま県けん西礪波にしとなみ郡ぐん正せい得とく村むら（現げん・小矢部おやべ市し）水落みずおち集落しゅうらく出身しゅっしん。

貧農ひんのうの家庭かていに長男ちょうなんとして生うまれ、31歳さいになるまで一家いっかを養やしなうために農家のうかの小作こさくとして使つかわれる生活せいかつを送おくった。31歳さいの時とき、僅わずかな金きむ（20銭ぜに）を親おやから借かりて裸一貫はだかいっかんで上京じょうきょうしたが、保証人ほしょうにんもいない単身たんしん田舎いなかから出でてきた男おとこにまともな仕事しごとは見みつからず、日雇ひやとい人夫にんぷとなっていた。

やがて力ちから自慢じまんでならしていた米よね太郎たろうに稲川いながわ部屋へやから声こえがかかり、大相撲おおずもう力士りきしとなる。砺波となみ山さん（後のちに改名かいめいして鷲尾嶽わしおだけ）の四股しこ名めいで褌ふんどし担かつぎから幕下まくした筆頭ひっとうにまでなるものの、手ての指ゆびに障害しょうがいを負おっていたことが原因げんいんで幕内まくうちに上のぼる事ことを断念だんねんして引退いんたい。鷲尾わしお獄ごく酒しゅ店てんを立たち上あげ酒屋さかやに転身てんしんする。鷲尾わしお獄ごく酒しゅ店てんは現金げんきん取引とりひきを優先ゆうせんしたことで利益りえきを上あげ、国技こくぎ館かん一いち手て扱あつかいの酒屋さかやとなった。この頃ころ米よね太郎たろうは結婚けっこんし、更さらに儲もうかる仕事しごとを求もとめて1919年ねんに鉄鋼てっこう圧延あつえん用ようのロールを作つくる東京とうきょうロール製作所せいさくしょを起業きぎょう。弟おとうとの竹次郎たけじろう（松竹しょうちくの大谷おおや竹次郎たけじろうとは同姓どうせい同名どうめいの別人べつじん）を富山とやまから呼よび寄よせ、竹次郎たけじろうと二人三脚ににんさんきゃくの事業じぎょう展開てんかいを行おこなう事ことになる。

1923年ねん9月1日にちの関東大震災かんとうだいしんさいでは米よね太郎たろうの工場こうじょうも全焼ぜんしょうの被害ひがいを受うけるが、今度こんどは震災しんさい復興ふっこうに伴ともなう鉄鋼てっこう需要じゅように注目ちゅうもく。1919年ねんに設立せつりつした大谷おおや製鋼せいこう所しょは、建築けんちく関係かんけいの鉄鋼てっこう製品せいひんの製造せいぞうで利益りえきを挙あげた。更さらに材料ざいりょうの特殊とくしゅ鋼こう製造せいぞうにも着手ちゃくしゅし、1939年ねんに大谷製鐵おおたにせいてつを設立せつりつ。翌よく1940年ねんには大谷製鐵おおたにせいてつ・東京とうきょうロール製作所せいさくしょ・大谷おおや製鋼せいこう所しょが合併がっぺいし、大谷おおや重工業じゅうこうぎょうとなった。加くわえて満州まんしゅうにまで進出しんしゅつし、当時とうじの「鉄鋼てっこう王おう」とまで呼よばれた。この間あいだ、1926年ねんの東京とうきょう市し会かい議員ぎいん選挙せんきょに本所ほんじょ区くから立候補りっこうほしたが次点じてんで落選らくせんした。

1942年ねん1月がつ、大日本帝国だいにっぽんていこくの賞しょう勲くん局きょくから紺綬こんじゅ褒章ほうしょうを与あたえられた。

太平洋戦争たいへいようせんそうでは満州まんしゅう地域ちいきでの事業じぎょうを失うしなうなど損害そんがいを受うけたものの、朝鮮ちょうせん特需とくじゅで大谷おおや重工業じゅうこうぎょうにも活気かっきが戻もどる。余勢よせいを駆かって星ほし製薬せいやくを傘下さんかに収おさめ、同社どうしゃの本社ほんしゃ工場こうじょう跡地あとちにTOCビルを計画けいかく（完成かんせいは米よね太郎たろう死し後ごの1970年ねん）するなど、企業きぎょうの買収ばいしゅうや再建さいけんにまで手てを広ひろげた。

1964年ねん、東京とうきょうオリンピックの開催かいさいが決きまり、東京とうきょうの宿泊しゅくはく地ち不足ふそくに対たいして米よね太郎たろうはホテルニューオータニを建設けんせつし、社長しゃちょうに就任しゅうにん。ニューオータニは開業かいぎょうしたものの、直後ちょくごに大谷おおや重工業じゅうこうぎょうの経営けいえい不振ふしんが露呈ろてい。開業かいぎょうの翌年よくねんには社長しゃちょうの座ざを追おわれ、大谷おおや重工業じゅうこうぎょうも八幡やはた製鐵せいてつが経営けいえい支援しえんに乗のり出だして実権じっけんを失うしなう。

1960年ねん、地元じもとの小矢部おやべ市役所しやくしょ建設けんせつのため、1962年ねん、富山とやま県立けんりつ大谷おおや技術ぎじゅつ短期大学たんきだいがく（現げん：富山県立大学とやまけんりつだいがく）の設立せつりつのため、それぞれ私財しざいを寄付きふした。

1968年ねんに脳腫瘍のうしゅようで死去しきょ、享年きょうねん86。死去しきょから9年ねん後ごの1977年ねん6月がつ、大谷おおや重工業じゅうこうぎょうは大阪おおさか製鋼せいこうと合併がっぺいし、合同ごうどう製鐵せいてつとして新あらたなスタートを切きった。

エピソード

• 米よね太郎たろうは銀行ぎんこう嫌ぎらいで有名ゆうめいで、取引とりひきはすべて現金げんきん決済けっさいとし口座こうざすら持もたなかった。これが裏目うらめに出でることもしばしばあり、大谷おおや製鐵せいてつを設立せつりつした際さいには戦時せんじ統制とうせいの絡がらみから当局とうきょくの認可にんかが必要ひつようだったが、信用しんよう調査ちょうさに手てこずりようやく認可にんかを得えた経緯けいいがある。
• 蔵前くらまえ国技こくぎ館かんの建設けんせつにあたっては、米よね太郎たろうが勧進元かんじんもととなり完成かんせいにこぎつけた。また浅草寺せんそうじ寶蔵ほうぞう門もんも、1964年ねんに米よね太郎たろうの寄進きしんによって再建さいけんされたものである。
• 浮世絵うきよえのコレクターでも知しられ、彼かれのコレクションはニューオータニ美術館びじゅつかんで見みることができた。この美術館びじゅつかんは2014年ねん3月がつ23日にちをもって閉館へいかんした。
• 当初とうしょ、ホテル業ぎょうに乗のり出だすことなど考かんがえていなかった。しかし東京とうきょうオリンピック開催かいさいが決きまった後のちに当時とうじのオリンピック担当たんとう大臣だいじんである川島かわしま正次まさつぐ郎ろうからオリンピックのためぜひホテルを建たてて欲ほしいと頼たのまれてホテル建設けんせつを決意けついしたと本人ほんにんは語かたっている。
  「永野ながの重雄しげお#ホテルニューオータニ」も参照さんしょう

家族かぞく

• 長男ちょうなん・大谷おおや哲あきら平たいら（1907年生ねんせい） - 幼名ようみょう利三郎としさぶろう。大谷おおや重工業じゅうこうぎょうなどの重役じゅうやくのほか、日本にっぽん大学だいがく理事りじなども務つとめた。長男ちょうなんの大谷おおや利勝としかつは日本にっぽん大学だいがく名誉めいよ教授きょうじゅ、旧きゅう磯野いその家か住宅じゅうたくなどを所有しょゆうする大谷おおや美術館びじゅつかん館長かんちょう。
• 二男じなん・大谷おおや孝吉こうきち（1910年生ねんせい） - 星ほし製薬せいやく社長しゃちょう、星薬科大学ほしやくかだいがく理事りじ長ちょう。満まん洲しゅうロール製作所せいさくしょ、東京とうきょうロール製作所せいさくしょ、満まん洲しゅう大谷おおや重工業じゅうこうぎょう、大谷おおや重工業じゅうこうぎょう、昭和しょうわ電極でんきょく、昭和しょうわ電機でんき製造せいぞう、天津てんしん大谷おおや製鋼せいこう所しょ役員やくいんなども務つとめた。早稲田大学わせだだいがく機械きかい科か卒そつ。
• 三男さんなん・大谷おおや米一よねいち（1916-1995） - 昭和しょうわ電機でんき製造せいぞう、大谷おおや工業こうぎょう各かく社長しゃちょう、ホテルニューオータニ3代目だいめ社長しゃちょう・会長かいちょう。岳父がくふに佐藤さとう助九郎すけくろう (12代だい)。長男ちょうなんの大谷おおや和彦かずひこ（1946年生ねんせい）はホテルニューオータニ4代目だいめ社長しゃちょう。
• 弟おとうと・大谷おおや竹次郎たけじろう（1895-1971） - 小学校しょうがっこう卒業そつぎょう後ご、兄あに米まい太郎たろう同様どうよう力士りきしとなった。米よね太郎たろうを補佐ほさして各社かくしゃを任まかされ、昭和しょうわ電極でんきょく社長しゃちょうなどを務つとめた。竹次郎たけじろうは再建さいけん屋やとしても有名ゆうめいで、昭和しょうわ電極でんきょくもそのひとつだった。小矢部おやべ市し名誉めいよ市民しみん。1970年ねんに宅地たくち山林さんりんなどを西宮にしのみや市しに売却ばいきゃくした益えきにより、同年どうねんの長者ちょうじゃ番付ばんづけ全国ぜんこく1位いとなった。美術びじゅつ品ひん収集しゅうしゅうでも知しられ、私邸していとともに西宮にしのみや市しに寄贈きぞうし、没後ぼつごの1972年ねんに西宮にしのみや市し大谷おおや記念きねん美術館びじゅつかんとして開館かいかん。実子じっしはなく、養子ようしに甥おいの大谷おおや米一よねいちのほか、大谷おおや勇いさむ（旧姓きゅうせい早坂はやさか、昭和しょうわ電極でんきょく社長しゃちょうなど）。勇いさむは教育きょういく関係かんけいの寄付きふに熱心ねっしんだった竹次郎たけじろうの遺志いしを継ついで大谷おおや教育きょういく文化ぶんか振興しんこう財団ざいだん初代しょだい理事りじ長ちょうのほか、小矢部おやべ市立しりつ大谷おおや中学校ちゅうがっこう設立せつりつなどに寄与きよした。勇いさみの長男ちょうなんに大谷製鉄おおたにせいてつ、関西かんさい興業こうぎょう社長しゃちょう・大谷おおや寿一ひさいち。

関連かんれん項目こうもく

• ホテルニューオータニ
• 富山県立大学とやまけんりつだいがく（元もと富山とやま県立けんりつ大谷おおや技術ぎじゅつ短期大学たんきだいがく）
• 永野ながの重雄しげお
• 大相撲おおずもう力士りきし一覧いちらん

脚注きゃくちゅう

注釈ちゅうしゃく

出典しゅってん