女おんな三四郎さんしろう

女おんな三四郎さんしろう（おんなさんしろう）とは、柔道じゅうどうの強つよい女性じょせい（女性じょせい柔道じゅうどう家か）のことを指さす呼称こしょう。富田とみた常雄つねおの長編ちょうへん小説しょうせつ『姿すがた三四郎さんしろう』に由来ゆらい。

概要がいよう・歴史れきし

女おんな三さん四よん郎ろうという呼称こしょうの登場とうじょうには、まず「三四郎さんしろう」という呼称こしょうが強つよい男性だんせい柔道じゅうどう家かを指さす提ひさげ喩たとえとして十分じゅうぶんに定着ていちゃくすることが必要ひつようである。三四郎さんしろうが柔道じゅうどうの名手めいしゅとされたのは、富田とみた常雄つねおの長編ちょうへん小説しょうせつ『姿すがた三さん四よん郎ろう』（1942年ねん - 1944年ねん）においてであった。さらに1943年ねん（昭和しょうわ18年ねん）には黒澤くろさわ明あきらによって同名どうめいの映画えいがが作つくられた。

講道館こうどうかん女子じょし部ぶが発足ほっそくしたのは1926年ねん（大正たいしょう15年ねん）のことであり、小崎おざき甲子きのえねが最初さいしょの女子じょし初段しょだんに序じょせられたのは1933年ねん（昭和しょうわ8年ねん）のことであった。そして、映画えいが・テレビによるイメージ喚起かんきも、名称めいしょう定着ていちゃくに一役ひとやく買かったであろう。女おんな三さん四よん郎ろうという呼称こしょうは川路かわじ龍子りゅうこ主演しゅえんの1950年ねん（昭和しょうわ25年ねん）の映画えいが『女おんな三四郎さんしろう』や1970年ねん（昭和しょうわ45年ねん）の大映だいえいテレビ制作せいさくの同どう題だいのテレビドラマによって広ひろく知しられた。1972年ねん（昭和しょうわ47年ねん）に発表はっぴょうされた梶原かじはら一いち騎き原作げんさくの漫画まんが『柔道じゅうどう讃歌さんか』でも、主人公しゅじんこうの母ははの天才てんさい柔道じゅうどう家かが女おんな三さん四よん郎ろうと形容けいようされるなど、女おんな三さん四よん郎ろうの名称めいしょうが定着ていちゃくしつつあった。

世界せかい柔道じゅうどう選手権せんしゅけん大会たいかいで女子じょし大会たいかいが開催かいさいされたのは1980年ねん（昭和しょうわ55年ねん）からであり、オリンピックで女子じょし柔道じゅうどうが開催かいさいされたのは1988年ねん（昭和しょうわ63年ねん）のソウル五輪ごりんからである（公開こうかい競技きょうぎ。正式せいしき種目しゅもくとなったのは1992年ねん）。当時とうじ全盛期ぜんせいきにあった山口やまぐち香かおりは当然とうぜんのように女おんな三さん四よん郎ろうと謳うたわれた。これに対たいして、山口やまぐちの後のちに女子じょし柔道じゅうどう界かいを引ひっ張ぱった田村たむら亮子あきこは、同どう時期じきに人気にんきを博はくしていた浦沢うらさわ直樹なおきの漫画まんが『YAWARA!』のヒロインに因ちなみ、ヤワラちゃんと呼よばれた。

近年きんねんでは、前田まえだ桂子けいこが1999年ねんの世界せかい柔道じゅうどうで19歳さいにしてオール一本いっぽん勝がちで優勝ゆうしょうを飾かざった際さいに女おんな三さん四よん郎ろうと形容けいようされた。 その後ご、筑波大学つくばだいがくで前田まえだの2年ねん後輩こうはいとなる同おなじ63kg級きゅうの谷本たにもと歩あゆみ実みが女おんな三さん四よん郎ろうと称しょうされることとなった。アテネ・北京ぺきん五輪ごりんで連覇れんぱしたという実績じっせきだけでなく、彼女かのじょの師し・古賀こが稔彦としひこも、現役げんえき時代じだいは「平成へいせいの三四郎さんしろう」と呼よばれていたことにも起因きいんする。

関連かんれん項目こうもく

• 柔道じゅうどう
• 女おんな三さん四よん郎ろう (ゲーム)