富田とみた常雄つねお

富田とみた 常雄つねお
読売新聞社よみうりしんぶんしゃ『家庭かていよみうり』383号ごう（1954年ねん）より
誕生たんじょう	(1904-01-01) 1904年ねん1月がつ1日にち 東京とうきょう府ふ
死没しぼつ	(1967-10-16) 1967年ねん10月16日にち（63歳さい没ぼつ）
言語げんご	日本語にほんご
国籍こくせき	日本にっぽん
最終さいしゅう学歴がくれき	明治大学めいじだいがく商学部しょうがくぶ
活動かつどう期間きかん	1937年ねん - 1967年ねん
ジャンル	大衆たいしゅう小説しょうせつ
代表だいひょう作さく	『姿すがた三四郎さんしろう』（1942年ねん） 『刺青しせい』（1947年ねん） 『面めん』（1948年ねん） 『弁慶べんけい』（1951年ねん - 1955年ねん） 『柔やわら』（1964年ねん - 1965年ねん）
主おもな受賞じゅしょう歴れき	直木なおき三十五さんじゅうご賞しょう
デビュー作さく	富士ふじに歌うたふ
親族しんぞく	富田とみた常次郎つねじろう（父ちち）

富田とみた 常雄つねお（とみた つねお、1904年ねん（明治めいじ37年ねん）1月がつ1日にち - 1967年ねん（昭和しょうわ42年ねん）10月16日にち）は、日本にっぽんの小説しょうせつ家か。柔道じゅうどう五ご段だん。東京とうきょう府ふ生うまれ。明治大学めいじだいがく商学部しょうがくぶ卒そつ。初はじめ心しん座ざ文芸ぶんげい部ぶに入はいって新劇しんげき運動うんどうに参加さんかしたのち、『姿すがた三四郎さんしろう』が大変たいへんな人気にんきを呼よんで流行りゅうこう作家さっかとなる。戦後せんご『面めん』『刺青しせい』で直木賞なおきしょう受賞じゅしょう。映画えいが化か、ドラマ化かされた作品さくひんも多おおく、大衆たいしゅう文学ぶんがくの大家たいかとして人気にんきを博はくした。

人物じんぶつ

柔道じゅうどう家か富田とみた常次郎つねじろうの子ことして東京とうきょう府ふに生うまれる。永田町ながたちょう小学校しょうがっこう（現げん千代田ちよだ区立くりつ麹こうじ町まち小学校しょうがっこう）、旧制きゅうせい日本にっぽん大学だいがく中学校ちゅうがっこう（現在げんざいの日本にっぽん大学だいがく第一高等学校だいちこうとうがっこう）卒業そつぎょう、明治大学めいじだいがく商学部しょうがくぶ。在学ざいがく中ちゅう、詩し誌し『感情かんじょう革命かくめい』を創刊そうかんする。1928年ねん、河原崎かわらざき長十郎ちょうじゅうろうらの心しん座ざ文芸ぶんげい部ぶに参加さんかする。他たのメンバーに舟橋ふなばし聖一せいいち、村山むらやま知義ともよしらがいた。

『姿すがた三四郎さんしろう』（1942年ねん）で流行りゅうこう作家さっかとなる。戦後せんご、『刺青しせい』『面めん』（1949年ねん）で第だい21回かい直木なおき三十五さんじゅうご賞しょう受賞じゅしょう。大衆たいしゅう小説しょうせつの大家たいかとして知しられ、生前せいぜんは長者ちょうじゃ番付ばんづけの作家さっか部門ぶもんでは常連じょうれんとして名なを連つらね続つづける程ほどの人気にんきを誇ほこった。

『姿すがた三四郎さんしろう』は1943年ねんに初はつ映画えいが化かされた。檜垣ひがき源げん之の助役じょやくの月形つきがた龍之介りゅうのすけと姿すがた三さん四よん郎ろう役やくの藤田ふじた進すすむ。

数すう多おおくの作品さくひんが映画えいが化か・テレビドラマ化かされている。『姿すがた三さん四よん郎ろう』は1943年ねん、黒澤くろさわ明あきら監督かんとく、藤田ふじた進すすむ主演しゅえんで初はつ映画えいが化かされ、戦後せんごもたびたび映画えいが化か・ドラマ化かされた。1965年ねん（昭和しょうわ40年ねん）度どの日本にっぽんレコード大賞たいしょう受賞じゅしょう曲きょくである美空みそらひばりの『柔やわら』は富田とみた原作げんさくの同名どうめいドラマ の主題歌しゅだいかであった。1986年ねんには「弁慶べんけい」を原作げんさくとしてNHKで連続れんぞくドラマ『武蔵坊むさしぼう弁慶べんけい』が放送ほうそうされている。

1950年代ねんだい以降いこうは馬主ばしゅとして競走きょうそう馬ばを走はしらせており、所有しょゆう馬ばには姿すがた三さん四よん郎ろうに因ちなんで「スガタ」という冠かんむり名めいを付つけていた。主おもな所有しょゆう馬ばにはダイヤモンドステークス優勝ゆうしょうなど通算つうさん10勝しょうを挙あげたミネノスガタなど。

1967年ねん10月16日にち、食道しょくどう腫瘍しゅようの為ために死去しきょ。63歳さい没ぼつ。

著作ちょさく

作品さくひんの著作ちょさく権けんは2018年ねん元日がんじつに終了しゅうりょうし、パブリックドメインになっている。

• 『富士ふじに歌うたふ』新作しんさく讀物よみもの刊行かんこう会かい 1937
• 『現代げんだいの英雄えいゆう』博文ひろぶみ館かん 1940
• 『男性だんせい街道かいどう とんかつ大将たいしょう物語ものがたり』博文ひろぶみ館かん 1940
• 『西郷さいごう隆盛たかもり』大だい日本にっぽん雄辯ゆうべん會かい講談社こうだんしゃ 1940
• 『かた目め達磨だるま』博文ひろぶみ館かん 1941
• 『産業さんぎょう戦士せんしの歌うた』博文ひろぶみ館かん 1941
• 『輝かがやく海軍かいぐん魂たましい』都みやこ祥さち閣かく 1942
• 『軍神ぐんしん杉本すぎもと中佐ちゅうさ』童話どうわ春秋しゅんじゅう社しゃ 1942
• 『姿すがた三四郎さんしろう』錦城きんじょう出版しゅっぱん社しゃ 1942 のち新潮しんちょう文庫ぶんこ
• 『三さん千せん万まんの呼声よびごえ』成なり武たけ堂どう 1942
• 『日本にっぽん宝島たからじま』東栄とうえい社しゃ 1942
• 『亜細亜あじあは一いちなり』春江はるえ堂どう 1943
• 『猿飛佐助さるとびさすけ』太虚たいきょ堂どう書房しょぼう 1948 「忍者にんじゃ猿飛佐助さるとびさすけ」徳間とくま文庫ぶんこ
• 『虹にじの港みなと』 東和とうわ社しゃ 1949
• 『緑みどりの風ふう』 石狩いしかり書房しょぼう 1949
• 『君きみ失うしなふことなかれ』 実業之日本社じつぎょうのにほんしゃ 1949
• 『春はるの潮しお』 日比谷ひびや出版しゅっぱん社しゃ 1950
• 『白虎びゃっこ』 春陽しゅんよう文庫ぶんこ 1951
• 『朝あさの花はな』 湊みなと書房しょぼう 1951
• 『夢ゆめと知しりせば』 主婦しゅふ之の友とも社しゃ 1951
• 『雪ゆきもち笹ささ』 朝日新聞社あさひしんぶんしゃ 1951
• 『ここに幸こうあり』 湊みなと書房しょぼう 1951
• 『若わかい季き節ぶし・嵐あらしの中なかの顔かお』 大だい日本にっぽん雄弁ゆうべん会かい講談社こうだんしゃ 1951
• 『南風みなみかぜ』 湊みなと書房しょぼう 1951
• 『黒潮くろしお』 湊みなと書房しょぼう 1952
• 『浮雲うきぐも日記にっき』 湊みなと書房しょぼう 1952
• 『遥はるかなる虹にじ』 東方とうほう社しゃ 1952
• 『春はるの鼓笛こてき』 湊みなと書房しょぼう 1952
• 『春雪しゅんせつの門もん・花はなの扉とびら』 大だい日本にっぽん雄弁ゆうべん会かい講談社こうだんしゃ 1952
• 『処女峰しょじょほう』 春陽しゅんよう文庫ぶんこ 1952
• 『弁慶べんけい』全ぜん9巻かん 大だい日本にっぽん雄弁ゆうべん会かい講談社こうだんしゃ 1952-1955 「武蔵坊むさしぼう弁慶べんけい」と改題かいだい、講談社こうだんしゃ文庫ぶんこ
• 『誰だれか夢ゆめなき』東方とうほう社しゃ 1953
• 『水みず蓮はちす夫人ふじん』神正しんせい書房しょぼう 1953
• 『若草わかくさ』東方とうほう社しゃ 1953
• 『朝霧あさぎり』主婦しゅふ之の友とも社しゃ 1953
• 『東天紅とうてんこう』東方とうほう社しゃ 1953
• 『虹にじを射いる少年しょうねん・この星ほし万まん里さとを照てらす・愛あいの新珠あらたま』河出かわで書房しょぼう 1954
• 『御園みその』数寄屋すきや書房しょぼう 1954
• 『巴ともえ御前ごぜん』大だい日本にっぽん雄弁ゆうべん会かい講談社こうだんしゃ 1954
• 『天気てんき晴朗せいろうなれど』毎日新聞社まいにちしんぶんしゃ 1954
• 『慕情ぼじょう』東方とうほう社しゃ 1954
• 『嵐あらしの中なかの顔かお』東方とうほう社しゃ 1954
• 『地上ちじょうの愛あい』大だい日本にっぽん雄弁ゆうべん会かい講談社こうだんしゃ 1954
• 『天てんにひらく窓まど』東方とうほう社しゃ 1954
• 『少年しょうねん姿すがた三さん四よん郎ろう』河出かわで書房しょぼう 1955
• 『晩ばん花はな 大おおいなる虹にじ』東方とうほう社しゃ 1955
• 『講道館こうどうかん 姿すがた三さん四よん郎ろう余話よわ』春はる歩ふ堂どう 1955
• 『潮来いたこ出島でじま』大だい日本にっぽん雄弁ゆうべん会かい講談社こうだんしゃ 1955
• 『若草わかくさ軍記ぐんき』大だい日本にっぽん雄弁ゆうべん会かい講談社こうだんしゃ 1955 「風雲ふううん真田さなだ軍記ぐんき」と改題かいだい、徳間とくま文庫ぶんこ
• 『妻つまの年輪ねんりん』住吉すみよし書店しょてん 1956
• 『野火のび』大だい日本にっぽん雄弁ゆうべん会かい講談社こうだんしゃ(ロマン・ブックス)1956
• 『流星りゅうせい』東方とうほう社しゃ 1956
• 『明治めいじの風雪ふうせつ』同どう光ひかり社しゃ 1956
• 『真昼まひるの人ひと』大だい日本にっぽん雄弁ゆうべん会かい講談社こうだんしゃ 1956
• 『春風しゅんぷう秋雨あきさめ』新潮社しんちょうしゃ 1957
• 『銀河ぎんがの都と』大だい日本にっぽん雄弁ゆうべん会かい講談社こうだんしゃ 1957
• 『石いしの咲さく花はな』桃源とうげん社しゃ 1957
• 『源平げんぺい太平たいへい記き』毎日新聞社まいにちしんぶんしゃ 1957-1958
• 『東京とうきょう綺談きだん』東京とうきょう文芸ぶんげい社しゃ 1957-1958
• 『剣けんと潮しお』光風こうふう社しゃ 1958
• 『愛あい河かわ』平凡へいぼん出版しゅっぱん 1958
• 『夕鶴ゆうづる日記にっき』東京とうきょう文芸ぶんげい社しゃ 1958
• 『姿すがた三さん四よん郎ろうの手帖てちょう 柔道じゅうどう創そう生せい記き』春はる歩ふ堂どう 1958
• 『富田とみた常雄つねお選集せんしゅう』全ぜん15巻かん 東京とうきょう文芸ぶんげい社しゃ 1958-1959
• 『女おんなやわら抄しょう』平凡へいぼん出版しゅっぱん 1958
• 『小しょうえん日記にっき』講談社こうだんしゃ 1959（映画えいが「女おんなは二に度ど生うまれる」川島かわしま雄三ゆうぞう）
• 『赤あかと緑みどり』桃源とうげん社しゃ 1959
• 『白しろい波なみ濤』桃源とうげん社しゃ 1960
• 『河岸かわぎしの朝霧あさぎり』桃源とうげん社しゃ 1960
• 『ひょっとこ』新潮社しんちょうしゃ 1960
• 『天狗てんぐ往来おうらい』新潮社しんちょうしゃ 1960 のち徳間とくま文庫ぶんこ
• 『風ふう来き物語ものがたり』中央公論社ちゅうおうこうろんしゃ 1960
• 『熊谷くまがい次郎じろう』新潮社しんちょうしゃ 1961
• 『書生しょせい草紙ぞうし』中央公論社ちゅうおうこうろんしゃ 1961
• 『鳴門なると太平たいへい記き』新潮社しんちょうしゃ 1961-1962 のち徳間とくま文庫ぶんこ（蜂須賀はちすか家か）
• 『むらさき抄しょう』桃源とうげん社しゃ 1961
• 『清流せいりゅう』東京とうきょう文芸ぶんげい社しゃ 1962
• 『風神ふうじん雷神らいじん』中央公論社ちゅうおうこうろんしゃ 1962
• 『江戸えど無情むじょう』新潮社しんちょうしゃ 1963 のち徳間とくま文庫ぶんこ
• 『新宿しんじゅく夫人ふじん』講談社こうだんしゃ 1964
• 『柔やわら』新潮社しんちょうしゃ 1964-1965 のち徳間とくま文庫ぶんこ
• 『花はなと日輪にちりん』講談社こうだんしゃ 1965
• 『おんな』東方とうほう社しゃ 1966
• 『春色しゅんしょく江戸えど巷談こうだん』講談社こうだんしゃ 1966 のち徳間とくま文庫ぶんこ
• 『春はる灯とう奇き譚たん』新潮社しんちょうしゃ 1966
• 『嵐あらし来らいたり去さる』報知新聞社ほうちしんぶんしゃ 1967
• 『そと妻つま』桃源とうげん社しゃ 1967
• 『不知火しらぬひ抄しょう』講談社こうだんしゃ 1967 「剣けん侠阿ノ一番いちばん」と改題かいだい、徳間とくま文庫ぶんこ
• 『実説じっせつ坂本さかもと竜馬りょうま 土佐とさ海うみ援隊』光風こうふう社しゃ書店しょてん 1968 富士見書房ふじみしょぼう時代じだい小説しょうせつ文庫ぶんこ
• 『鏡かがみの中なかの女おんなたち』講談社こうだんしゃ 1968
• 『底そこにいた悪党あくとう』東京とうきょう文芸ぶんげい社しゃ 1968
• 『風ふう来き物語ものがたり』読売新聞社よみうりしんぶんしゃ 1970
• 『柔道じゅうどう水すい滸伝』東京とうきょう文芸ぶんげい社しゃ 1971

参考さんこう文献ぶんけん

• よしだまさし『姿すがた三さん四よん郎ろうと富田とみた常雄つねお』本ほんの雑誌社ざっししゃ 2006

関連かんれん項目こうもく

• 日本にっぽんの小説しょうせつ家か一覧いちらん
• 時代じだい小説しょうせつ・歴史れきし小説しょうせつ作家さっか一覧いちらん

外部がいぶリンク

• 富田とみた 常雄つねお：作家さっか別べつ作品さくひんリスト - 青空あおぞら文庫ぶんこ