宝井 其角
略歴
[1963
人物 評
[蕉門
切 られたるゆめはまことかのみのあと其角
去來 曰 く「其角 は誠 に作者 にて侍 る。わずかに、のみの喰 ひつきたる事 、たれかかくは謂 ひつくさん」。先師 曰 く「しかり。かれは定家 の卿 也。さしてもなき事 を、ことごとしくいひつらね侍 る、ときこへし評 に似 たり」。(
現代 語 訳 )「其角 は本当 に巧 みですね。ちょっと、ノミが喰 いついただけの事 を、誰 がここまで言 い尽 くせるでしょう」と向井 去来 がいうと、芭蕉 が応 えて「確 かに。彼 は藤原 定家 卿 だよ。ちょっとしたことを、大 げさに表現 する(=修辞 が巧 みである)と評 されたのに似 ているね」と言 った。
逸話
[其角 同席 の場 で郭 の主人 が揮毫 を所望 したところ、書家 ・佐々木 文 山 は「此所小便 無用 」と書 き付 けて、座 をしらけさせてしまった。ところが、其角 が「花 の山 」と書 き足 したので、周囲 の人間 は其角 の機転 に感心 したという(『名家 談 叢 』)。
日本橋 茅場 町 に居 を構 えたが、隣接 して荻生 徂徠 の私塾 ・蘐園塾 が開 かれ「梅 が香 や隣 は荻生 惣右衛門 」 の句 をなしたとされる(江戸 名所 図会 )。ただし、蘐園塾 の開 塾 は宝永 6年 (1709年 )であり、その前 前年 に其角 は亡 くなっている。
創作
[忠臣蔵 では、赤穂 義士 討 ち入 り前夜 、四 十 七 士 の一人 の大高 忠雄 (源 吾 )と会 い、煤竹 売 りに身 をやつした姿 を憐 れんで「年 の瀬 や水 の流 れと人 の身 は」と詠 んだ。これに対 して源 吾 は「あした待 たるるその宝船 」と返 して、討 ち入 り決行 をほのめかしたとされる(歌舞伎 『松浦 の太鼓 』)。これについて作家 の丸谷 才一 は、渋 好 みの蕉門でも、酒 に弱 くて感激 家 の其角 が、芝居 仕立 ての人物 として取 り上 げられ、江戸 っ子 にあたったのだろうと解 している。実 は松浦 重信 は赤穂 義士 との関 りは特 にない。隠居 して鎮信と改 めた後 に著 した『武功 雑記 』にも一切 、事件 の記載 はない。また芝居 の脚色 とは反対 に、重信 (鎮信)は山鹿 素行 を通 じて吉良 義央 と交流 があったため、吉 良 氏 秘伝 の『吉良 懐中 抄 』が松浦 家 に伝 わり、今 も写 しが平戸 市 に現存 する[9]。史実 では、大高 が江戸 で其角 に近 づいたり、教 えを受 けた事実 はなく、両国橋 での話 も実話 ではない。為永 春水 の『伊呂波 文庫 』による虚構 が、出処 である[10]。中央 義士 会 も「大高 源五 と宝井 其角 とのエピソードは後世 に作 られた話 である」としている[11]。其角 自身 による記述 では「泉岳寺 の墓地 には草 が丈 高 く生 い茂 って、墓 が並 んでいるのも見 えない」と書 かれている[12]。
作品
[- 『
虚 栗 』天和 3年 (1683年 ) - 『
続 虚 栗 』貞享 4年 (1687年 ) - 『いつを
昔 』 - 『
花 摘』 - 『
誰 が家 』 - 『
雑談 集 』 - 『
枯尾花 』元禄 7年 (1694年 ) - 『
句 兄弟 』 - 『
末若 葉 』 - 『
三上 吟 』 - 『
焦 尾 琴 』 - 『
類 柑子 』
登場 する作品
[脚注
[注釈
[出典
[- ^ 『
宝井 其角 』 - コトバンク - ^
富士川 游 『醫 史 叢 談 』書物 展望 社 、1942年 、P.183頁 。 - ^ 『すみだゆかりの
人々 』墨田 区 教育 委員 会 、1985年 、22頁 。 - ^
田中 善信 『元禄 の奇才 宝井 其角 』新 典 社 、2000年 11月。 - ^
岡本 勝 ・雲 英 末雄 『新版 近世 文学 研究 事典 』おうふう、2006年 2月 、349-350頁 。 - ^
稲葉 有 祐 『宝井 其角 と都会 派 俳諧 』笠間 書院 、2018年 2月 、299頁 。 - ^ “
第 5回 宝井 其角 顕彰 俳句 俳文 大賞 ”. kikaku.boo.jp. 2020年 2月 3日 閲覧 。 - ^
堀切 実 『芭蕉 の門人 』岩波書店 、1991年 10月 、110-140頁 。 - ^ 「
松浦 家 関係 文書 」(松浦 史料 博物館 ) - ^
祖 田 浩一 『なぞ解 き忠臣蔵 』(東京 堂 出版 )P152-155 - ^ 『
忠臣蔵 四 十 七 義士 全 名鑑 』より「大高 源五 忠雄 」P177-178 - ^
宝井 其角 『類 柑子 』(宝永 四 年 )刊
関連 項目
[外部 リンク
[早船 の記 - ウェイバックマシン(2019年 3月 30日 アーカイブ分 )- 「
早船 の記 」の訳 と解説 - ウェイバックマシン(2019年 3月 30日 アーカイブ分 ) 其角 生誕 350年 記念 集 宝井 其角 俳句 大会