射い匱可汗あせ

射い匱可汗あせ（漢音かんおん：しゃきかがん、拼音：Shèkuì kĕhàn、? - 618年ねん）は、西にし突厥の可か汗あせ。達いたる頭あたま可か汗あせの子この都と六ろく（トゥルク）の子こ。曷薩那な可か汗あせの族ぞく父ちち（『旧きゅう唐とう書しょ』では曷薩那な可か汗あせの叔父おじ）。姓せいは阿おもね史し那な氏し。

生涯しょうがい

大業おおわざ6年ねん（610年ねん）、隋ずいの煬帝は西にしで狩かりをしようと、侍さむらい御ご史しの韋節を遣つかわして泥どろ撅処羅ら可か汗あせを召めした。しかし、泥どろ撅処羅ら可か汗あせはこれに応おうじなかったため、煬帝の怒いかりを買かい、泥どろ撅処羅ら可か汗あせを廃はいして達いたる頭あたま可か汗あせの孫まごの射い匱を大だい可か汗あせの位くらいに就つけようとした。これによって射い匱は泥どろ撅処羅ら可か汗あせを襲撃しゅうげきして大敗たいはいさせ、泥どろ撅処羅ら可か汗あせは妻子さいしを棄すてて高こう昌あきらの東ひがしに遁走とんそうした。

大業おおわざ7年ねん（611年ねん）12月、泥どろ撅処羅ら可か汗あせは弟おとうとの闕達度ど設しつらえ（キュル・タルドゥ・シャド：官かん名めい）及および特とく勤つとむ（テギン）の大だい奈とともに入朝にゅうちょうした。大業おおわざ8年ねん（612年ねん）、煬帝は泥どろ撅処羅ら可か汗あせを国内こくないに留とめ、その弟おとうとの闕達度ど設しつらえに会かい寧やすし郡ぐんで牧畜ぼくちくさせた。これにより西にし突厥本国ほんごくの大だい可か汗あせが不在ふざいとなったため、国人くにびとたちは射い匱を可か汗あせに推戴すいたいした。

射い匱可汗あせは即位そくいすると、一度いちど離反りはんした西域せいいき諸国しょこくをふたたび服属ふくぞくさせるべく、東ひがしは金山かなやま（アルタイ山脈さんみゃく）、西にしは海うみ（カスピ海かすぴかいかアラル海あらるかい）に至いたり、玉門ぎょくもん関せきより西にしの諸国しょこくをすべて役やく属ぞくさせ、東ひがし突厥と敵対てきたいした。そして可か汗あせ庭にわ（首都しゅと）を亀かめ茲の北きたの三弥みつや山さんに建たてた。

射い匱可汗あせが死去しきょすると、弟おとうとの統すべ葉は護まもる可か汗あせが代かわって立たつ。

参考さんこう資料しりょう

• 『隋ずい書しょ』（列伝れつでん第だい四よん十じゅう九きゅう）
• 『旧きゅう唐とう書しょ』（本紀ほんぎ第だい一いち、列伝れつでん第だい百ひゃく四よん十じゅう四よん下か）
• 『新しん唐とう書しょ』（列伝れつでん百ひゃく四よん十じゅう下か 突厥下か）
• 佐さ口こう透とおる・山田やまだ信夫しのぶ・護まもる雅夫まさお訳注やくちゅう『騎馬きば民族みんぞく誌し２正史せいし北狄ほくてき伝でん』（1972年ねん、平凡社へいぼんしゃ）