小槻おおづく盛もり仲なか

小槻おおづく盛もり仲なか（おつきのもりなか、生年せいねん不ふ詳しょう - 保安ほあん3年ねん4月がつ5日にち（1122年ねん 5月12日にち））は、平安へいあん時代じだい後期こうきの貴族きぞく。左ひだり大だい史し・小しょう槻けやき祐ゆう俊しゅんの養子ようし。実じつは三善さんぜん国信くにのぶの次男じなん。官位かんいは正せい五ご位い下か・内匠たくみ頭あたま。

経歴けいれき

白河しらかわ院政いんせい期き初頭しょとうの寛治かんじ元年がんねん（1087年ねん）ごろ右みぎ大だい史し次ついで左ひだり大だい史しを務つとめ、寛治かんじ2年ねん（1088年ねん）従したがえ五ご位い下かに叙爵じょしゃくする。

その後ご、官かん史しを離はなれるが、算さん博士はかせを経へて、康かん和かず5年ねん（1103年ねん）小しょう槻けやき祐ゆう俊しゅんから嫡子ちゃくしの忠ちゅう兼けんを差さし置おいて養子ようしであった盛もり仲なかに対たいして大夫たいふ史しが譲ゆずられる^[1]。この際さいに通常つうじょうの手続てつづきとは異ことなって祐ゆう俊しゅんは辞表じひょうを提出ていしゅつしておらず、これをもって小しょう槻けやき氏しによる大夫たいふ史しの世襲せしゅうの始はじまりともされる^[2]。

その後ご、約やく20年ねんに亘わたって左ひだり大だい史しを務つとめる傍かたわらで、算さん博士はかせ・修理しゅうり右みぎ宮城みやぎ判官ほうがん・内匠たくみ頭あたまなどを兼かね、長治ながはる元年がんねん（1104年ねん）従したがえ五ご位い上じょう、天てん永ひさし2年ねん（1111年ねん）正せい五ご位い下かと昇進しょうしんした。また、摂政せっしょう・藤原ふじわら忠実ちゅうじつ^[3]や権けん大納言だいなごん・藤原ふじわら宗はじめ通どおり^[4]の政所まんどころ家いえ司しも務つとめた。

保安ほあん3年ねん（1122年ねん）正月しょうがつに実弟じっていの小しょう槻けやき政重まさしげに大夫たいふ史しを譲ゆずり^[5]、同年どうねん4月がつ5日にちに卒去そっきょ。

官かん歴れき

『官かん史し補任ほにん』による。

時期じき不ふ詳しょう：正せい六ろく位い上じょう
寛治かんじ元年がんねん（1087年ねん） 6月がつ22日にち：見み右みぎ大だい史し^[6]
寛治かんじ2年ねん（1088年ねん） 12月14日にち：従したがえ五ご位い下か^[7]、見左けんざ大だい史し^[6]
康かん和かず3年ねん（1101年ねん） 4月がつ：算さん博士はかせ^[8]
康かん和かず5年ねん（1103年ねん） 2月がつ30日にち：左ひだり大だい史し（父ちち祐ゆう俊しゅん譲ゆずる任にん）^[9]
長治ながはる元年がんねん（1104年ねん） 2月がつ27日にち：従したがえ五ご位い上じょう^[10]
嘉よしみ祥さち元年がんねん（1106年ねん） 5月がつ25日にち：見左けんざ大だい史し兼けん算さん博士はかせ能登のと介かい^[11]
嘉よしみ祥さち2年ねん（1107年ねん）正月しょうがつ：兼けん土佐とさ権けん介かい^[12]
天てん永ひさし2年ねん（1111年ねん） 2月がつ14日にち：正せい五ご位い下か（御ご遊ゆう行事ぎょうじ賞しょう）^[10]
永久えいきゅう2年ねん（1114年ねん） 11月26日にち：見み修理しゅうり右みぎ宮城みやぎ判官ほうがん^[13]
永久えいきゅう4年ねん（1116年ねん） 7月がつ12日にち：見兼みかね播磨はりま守まもる^[14]
永久えいきゅう5年ねん（1117年ねん） 10月がつ13日にち：見み内匠たくみ頭あたま兼けん越後えちご介かい^[15]
保安ほあん元年がんねん（1120年ねん） 3月がつ6日にち：見内みうち匠たくみ頭あたま兼けん越前えちぜん介かい^[16]
保安ほあん2年ねん（1121年ねん）正月しょうがつ19日にち：見み修理しゅうり右みぎ宮城みやぎ判官ほうがん正せい五位下内匠頭兼左大史算博士越前介^[17]
保安ほあん3年ねん（1122年ねん） 4月がつ5日にち：卒去そっきょ^[18]

系譜けいふ

父ちち：三善さんぜん国信くにのぶ
母はは：不ふ詳しょう
養父ようふ：小しょう槻けやき祐ゆう俊しゅん（?-1114）
養子ようし：小しょう槻けやき政重まさしげ（1094-1144） - 実弟じってい

脚注きゃくちゅう

^ 『大だい日本にっぽん史料しりょう』4-補遺ほい，建たて久ひさ9年ねん10月がつ29日にち条じょう所収しょしゅう,年月日ねんがっぴ未み詳しょう小しょう槻けやき隆たかし職しょく筆ひつ起請文きしょうもん
^ 井上いのうえ[2012: 212]
^ 天てん永なが3年ねん10月がつ摂関せっかん家か政所まんどころ下か文ぶん『神田かんだ孝平たかひら氏し旧きゅう蔵ぞう文書ぶんしょ』
^ 永久えいきゅう5年ねん10月がつ13日にち民みん部ぶ卿きょう家か政所まんどころ下か文ぶん『朝野ちょうや群ぐん載の』巻まき第だい7 公卿くぎょう家か
^ 『二に中ちゅう歴れき』大夫たいふ史し歴れき
^ ^a ^b 『為ため房ぼう卿きょう記き』
^ 『寛治かんじ2年ねん記き』
^ 『除目じもく大成たいせい抄しょう』第だい5,算さん博士はかせ重おも兼けん国こく例れい
^ 『本朝ほんちょう世紀せいき』
^ ^a ^b 『中ちゅう右記うき』
^ 『東大寺とうだいじ文書ぶんしょ』「内閣ないかく文庫ぶんこ所蔵しょぞう東大寺とうだいじ文書ぶんしょ」73
^ 『除目じもく大成たいせい抄しょう』算さん博士はかせ重おも兼けん国こく例れい
^ 『平安へいあん遺文いぶん』811
^ 『朝野ちょうや群ぐん載の』巻まき第だい11,廷尉
^ 『朝野ちょうや群ぐん載の』巻まき第だい7,公卿くぎょう家か
^ 『除目じもく大成たいせい抄しょう』第だい2上じょう春はる外国がいこく
^ 『除目じもく大成たいせい抄しょう』第だい5 諸国しょこく権守ごんもり介かい
^ 『系図けいず纂要』

参考さんこう文献ぶんけん

井上いのうえ幸治こうじ「官かん務つとむ小しょう槻けやき氏しの確立かくりつ : 太政官だじょうかん弁べん官かん局きょく（官かん方かた）の中世ちゅうせい化か」『立たて命いのち館かん文學ぶんがく 624』立命館大学りつめいかんだいがく、2012年ねん
永井ながい晋すすむ『官かん史し補任ほにん』続ぞく群ぐん書しょ類従るいじゅう完成かんせい会かい、1998年ねん

[1] 『大だい日本にっぽん史料しりょう』4-補遺ほい，建たて久ひさ9年ねん10月がつ29日にち条じょう所収しょしゅう,年月日ねんがっぴ未み詳しょう小しょう槻けやき隆たかし職しょく筆ひつ起請文きしょうもん

[2] 井上いのうえ[2012: 212]

[3] 天てん永なが3年ねん10月がつ摂関せっかん家か政所まんどころ下か文ぶん『神田かんだ孝平たかひら氏し旧きゅう蔵ぞう文書ぶんしょ』

[4] 永久えいきゅう5年ねん10月がつ13日にち民みん部ぶ卿きょう家か政所まんどころ下か文ぶん『朝野ちょうや群ぐん載の』巻まき第だい7 公卿くぎょう家か

[5] 『二に中ちゅう歴れき』大夫たいふ史し歴れき

[tkk-6] 『為ため房ぼう卿きょう記き』

[7] 『寛治かんじ2年ねん記き』

[8] 『除目じもく大成たいせい抄しょう』第だい5,算さん博士はかせ重おも兼けん国こく例れい

[9] 『本朝ほんちょう世紀せいき』

[cyk-10] 『中ちゅう右記うき』

[11] 『東大寺とうだいじ文書ぶんしょ』「内閣ないかく文庫ぶんこ所蔵しょぞう東大寺とうだいじ文書ぶんしょ」73

[12] 『除目じもく大成たいせい抄しょう』算さん博士はかせ重おも兼けん国こく例れい

[13] 『平安へいあん遺文いぶん』811

[14] 『朝野ちょうや群ぐん載の』巻まき第だい11,廷尉

[15] 『朝野ちょうや群ぐん載の』巻まき第だい7,公卿くぎょう家か

[16] 『除目じもく大成たいせい抄しょう』第だい2上じょう春はる外国がいこく

[17] 『除目じもく大成たいせい抄しょう』第だい5 諸国しょこく権守ごんもり介かい

[18] 『系図けいず纂要』

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